【月間総括】ゲームソフトメーカー第3四半期決算から窺う業界の趨勢
今月は2018年3月期第3四半期決算に見る大手ゲーム会社の動向について触れたい。
まずは,スクウェア・エニックスHDである。2018年3月期第3四半期(累計)は,前年同期比1%減収の1880億円,同57%営業増益の337億円と減収営業増益だった(参考URL)。
減収については,HDタイトルでワールドワイドに展開した「FFXV」と国内展開だけだった「ドラクエ11」の差が出たことと,期待されていたアミューズメント用「電車でGO」が想定を下回ったことが主な要因だ。また,四半期(3か月間)でも,第2四半期と比べて大幅減収減益。「ドラクエ11」の一巡に加えて,スマートフォンのゲームアプリも第1四半期237億円,第2四半期227億円,第3四半期213億円と減速したことも響いている。
増益のほうは,前年はドラゴンクエストXの拡張ディスク販売がなかったため減益となっていたところに今年は新拡張ディスクが発売されたこと,NieR:Automataなどの旧作品のダウンロード販売が好調だったことなどが要因となっている(参考URL)。
スマートフォン用ゲームアプリ市場は全体に第3四半期は低調だったようで,後述するバンダイナムコHDなどでも前四半期比減収となった企業が多い。要因は各社まちまちで,特定しきれてない面があるが,市場が飽和しつつあることも影響している可能性がありそうだ。急激な高性能化を遂げたスマートフォンではあるが,デザイン面では変化が乏しくなっており,プレイヤーのプレイスタイルが固定化さてきている可能性も否定しきれない。
HDゲームでは今後,会社側はNintendo Switchをマルチプラットフォームの対象に加えるとしている。AAAのタイトルは,再来期以降になるだろうが,収益拡大のチャンスが広がる点は評価している。
次は,バンダイナムコHDである。2018年3月期第3四半期(累計)は,前年同期比5%増収の4831億円,同11%営業減益の534億円と増収減益だった(参考URL)。
アニメーションなどを手掛ける音楽映像プロデュース部門が,下期偏重の計画で第3四半期までは苦戦していたこと,家庭用ゲームタイトルの差異,トイホビーのガンダムの東京ベース開設に伴う調整などが響いた。
スマートフォン用ゲームアプリは前四半期比減収だったようだ。イベントなどのタイミングが問題だったとしている。第4四半期は「ドラゴンボールドッカンバトル」が3周年のタイミングとなることから再び増収基調に戻ると,エース経済研究所では見ている。
同社は豊富なIPを持つため,基本戦略はハードウェアの普及を待ち,高いシェアを得るという方針になっている。しかし,HTML5は比較的早期に打って出る方針のようだ。これは,AppleやGoogleに対する手数料支払いを低減したいという意向があるようだ。
ただ,HTML5は通信量が増大する傾向にあるため,プレイヤーに受け入れられるかは慎重に見る必要があるだろう。
同社は今後,30年先を見据えて新規IPを連続して創出できる体制の構築に挑む。長期的な視野に立った投資戦略は目先の効果は見えにくい。エース経済研究所では,経営とは「ヒト,モノ,カネ」の配分と捉えており,長期を見据え,業績拡大が続き,財務的な余裕のある時期に超長期的措置を実行する同社経営陣の姿勢を評価している。
カプコンに話を移そう。
2018年3月期第3四半期決算(累計)は,前年同期比11%減収の477億円,営業利益70億円(同+37%)と減収増益となった(参考URL)。
販売台数の減少によるアミューズメント機器事業の落ち込みで減収となったが,コンシューマソフト販売本数の増加,モバイル部門におけるライセンス収入の寄与で大幅増益となっている。
同社については,実績を話してもあまり意味がない。先月も取り上げたように,1月26日に発売した「モンスターハンターワールド」が600万本を超える大ヒットとなっている。以前指摘したように,同社にとって「モンスターハンター」を世界で売れるタイトルにすることは悲願であった。まだ国内比率が高いため,完全に達成できたとは言い難い部分はあるが,海外の販売も伸びており,概ね目標は達成できたと考えている。
エース経済研究所では想定していた本数が250万本程度だったので,予想を大きく上回る進捗となっており,おそらく期末は現時点で700万本以上ターゲットと言えるだろう。予想を外した要因は,ゲーム機を持ち寄って遊ぶというプレイスタイルが,エース経済研究所の想定していた以上に廃れていたという点を見逃していたためと考えている。
この10年で,テザリング機能の登場,スマートフォンの普及によるSNSの拡大など,オンラインサービスが一般化しており,ゲーム機を持ち寄って遊ぶというDS,PSP時代の文化は時代遅れとなっていたことに気づくのが遅れたためと考えており,反省している。
カプコンとしては,最先端のプラットフォームにコンテンツを供給することに強いこだわりがあるため,今回の成功も相まって,AAAは今後もPS4/XboxONE/PCとなるのではないだろうか?
そして,コーエーテクモHDである。2018年3月期第3四半期決算(累計)は,前年同期比0.7%減収の240億円,営業利益56億円(同+62%)と減収大幅増益だ(参考URL)。
同社は,第3四半期に国内で「信長の野望 大志」「リディー&スールのアトリエ」などを発売したほか,海外で「FE無双」を発売し,大幅な増益を達成した。同社は第4四半期に収益が集中する傾向があるが,今期は第3四半期までも好調に推移することができた点を評価している。
なお,Nintendo Switchには早期から積極的に移植を行っているものの,まだ十分な成果を出すことができていない。要因は現時点では判然としていないが,すべてのタイトルをNintendo Switchに出し切れていないことも影響しているのではないかと考えている。今後の対応に期待したい。
大手ではないが,日本一ソフトウエアについても触れておきたい。第3四半期までの進捗度が高くなっており,営業利益は,5億5200万円と,通期計画の4億900万円を大きく上回っている(参考URL)。
これは欧米での「ディスガイア5」の成功によるものだが,同社は,PSの特定の層だけに対する方針を改め,広く普及を狙うことになったことが大きい。
今後は日本ファルコムタイトルの移植を,発表済みの「イース8」だけでなく他にまで広げる方針である。PS系の顧客は,忠誠心が高いため,反発を心配していたようだが,エース経済研究所では,ネガティブな反応はむしろ関心の高さを示しており,反発が大きいほど大きな成果につながるだろうと見ていたため,同社への関心が世界的に高まることで成果を出せると考えている。
エース経済研究所は、同社に対して特定の層の受けているだけでは、業績の拡大は難しいと評価していた。Nintendo SwitchやSteamといった新しいプラットフォームに対応することで飛躍のチャンスが来たと考えている。注目したい。
まずは,スクウェア・エニックスHDである。2018年3月期第3四半期(累計)は,前年同期比1%減収の1880億円,同57%営業増益の337億円と減収営業増益だった(参考URL)。
減収については,HDタイトルでワールドワイドに展開した「FFXV」と国内展開だけだった「ドラクエ11」の差が出たことと,期待されていたアミューズメント用「電車でGO」が想定を下回ったことが主な要因だ。また,四半期(3か月間)でも,第2四半期と比べて大幅減収減益。「ドラクエ11」の一巡に加えて,スマートフォンのゲームアプリも第1四半期237億円,第2四半期227億円,第3四半期213億円と減速したことも響いている。
増益のほうは,前年はドラゴンクエストXの拡張ディスク販売がなかったため減益となっていたところに今年は新拡張ディスクが発売されたこと,NieR:Automataなどの旧作品のダウンロード販売が好調だったことなどが要因となっている(参考URL)。
スマートフォン用ゲームアプリ市場は全体に第3四半期は低調だったようで,後述するバンダイナムコHDなどでも前四半期比減収となった企業が多い。要因は各社まちまちで,特定しきれてない面があるが,市場が飽和しつつあることも影響している可能性がありそうだ。急激な高性能化を遂げたスマートフォンではあるが,デザイン面では変化が乏しくなっており,プレイヤーのプレイスタイルが固定化さてきている可能性も否定しきれない。
HDゲームでは今後,会社側はNintendo Switchをマルチプラットフォームの対象に加えるとしている。AAAのタイトルは,再来期以降になるだろうが,収益拡大のチャンスが広がる点は評価している。
次は,バンダイナムコHDである。2018年3月期第3四半期(累計)は,前年同期比5%増収の4831億円,同11%営業減益の534億円と増収減益だった(参考URL)。
アニメーションなどを手掛ける音楽映像プロデュース部門が,下期偏重の計画で第3四半期までは苦戦していたこと,家庭用ゲームタイトルの差異,トイホビーのガンダムの東京ベース開設に伴う調整などが響いた。
スマートフォン用ゲームアプリは前四半期比減収だったようだ。イベントなどのタイミングが問題だったとしている。第4四半期は「ドラゴンボールドッカンバトル」が3周年のタイミングとなることから再び増収基調に戻ると,エース経済研究所では見ている。
同社は豊富なIPを持つため,基本戦略はハードウェアの普及を待ち,高いシェアを得るという方針になっている。しかし,HTML5は比較的早期に打って出る方針のようだ。これは,AppleやGoogleに対する手数料支払いを低減したいという意向があるようだ。
ただ,HTML5は通信量が増大する傾向にあるため,プレイヤーに受け入れられるかは慎重に見る必要があるだろう。
同社は今後,30年先を見据えて新規IPを連続して創出できる体制の構築に挑む。長期的な視野に立った投資戦略は目先の効果は見えにくい。エース経済研究所では,経営とは「ヒト,モノ,カネ」の配分と捉えており,長期を見据え,業績拡大が続き,財務的な余裕のある時期に超長期的措置を実行する同社経営陣の姿勢を評価している。
カプコンに話を移そう。
2018年3月期第3四半期決算(累計)は,前年同期比11%減収の477億円,営業利益70億円(同+37%)と減収増益となった(参考URL)。
販売台数の減少によるアミューズメント機器事業の落ち込みで減収となったが,コンシューマソフト販売本数の増加,モバイル部門におけるライセンス収入の寄与で大幅増益となっている。
同社については,実績を話してもあまり意味がない。先月も取り上げたように,1月26日に発売した「モンスターハンターワールド」が600万本を超える大ヒットとなっている。以前指摘したように,同社にとって「モンスターハンター」を世界で売れるタイトルにすることは悲願であった。まだ国内比率が高いため,完全に達成できたとは言い難い部分はあるが,海外の販売も伸びており,概ね目標は達成できたと考えている。
エース経済研究所では想定していた本数が250万本程度だったので,予想を大きく上回る進捗となっており,おそらく期末は現時点で700万本以上ターゲットと言えるだろう。予想を外した要因は,ゲーム機を持ち寄って遊ぶというプレイスタイルが,エース経済研究所の想定していた以上に廃れていたという点を見逃していたためと考えている。
この10年で,テザリング機能の登場,スマートフォンの普及によるSNSの拡大など,オンラインサービスが一般化しており,ゲーム機を持ち寄って遊ぶというDS,PSP時代の文化は時代遅れとなっていたことに気づくのが遅れたためと考えており,反省している。
カプコンとしては,最先端のプラットフォームにコンテンツを供給することに強いこだわりがあるため,今回の成功も相まって,AAAは今後もPS4/XboxONE/PCとなるのではないだろうか?
そして,コーエーテクモHDである。2018年3月期第3四半期決算(累計)は,前年同期比0.7%減収の240億円,営業利益56億円(同+62%)と減収大幅増益だ(参考URL)。
同社は,第3四半期に国内で「信長の野望 大志」「リディー&スールのアトリエ」などを発売したほか,海外で「FE無双」を発売し,大幅な増益を達成した。同社は第4四半期に収益が集中する傾向があるが,今期は第3四半期までも好調に推移することができた点を評価している。
なお,Nintendo Switchには早期から積極的に移植を行っているものの,まだ十分な成果を出すことができていない。要因は現時点では判然としていないが,すべてのタイトルをNintendo Switchに出し切れていないことも影響しているのではないかと考えている。今後の対応に期待したい。
大手ではないが,日本一ソフトウエアについても触れておきたい。第3四半期までの進捗度が高くなっており,営業利益は,5億5200万円と,通期計画の4億900万円を大きく上回っている(参考URL)。
これは欧米での「ディスガイア5」の成功によるものだが,同社は,PSの特定の層だけに対する方針を改め,広く普及を狙うことになったことが大きい。
今後は日本ファルコムタイトルの移植を,発表済みの「イース8」だけでなく他にまで広げる方針である。PS系の顧客は,忠誠心が高いため,反発を心配していたようだが,エース経済研究所では,ネガティブな反応はむしろ関心の高さを示しており,反発が大きいほど大きな成果につながるだろうと見ていたため,同社への関心が世界的に高まることで成果を出せると考えている。
エース経済研究所は、同社に対して特定の層の受けているだけでは、業績の拡大は難しいと評価していた。Nintendo SwitchやSteamといった新しいプラットフォームに対応することで飛躍のチャンスが来たと考えている。注目したい。
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