全米ライフル協会の支持を受ける政治家,暴力的ゲームに10%の課税を提案

Mレーティング(成人指定)のゲームの売り上げの10%が学校でのメンタルヘルスのカウンセリングの予算となる。

 ロードアイランド州下院の共和党員Robert Nardolillo3世氏は,暴力的なビデオゲームで,学校でのメンタルヘルスとカウンセリングに使う予算のための,税金を上げる計画を明らかにした。

 アメリカの州はMレーティング(※Mature:成人指定)のゲームを未成年者に販売することを法で規制する力を持たない。Nardolillo氏の提案は,税金を増やしメンタルヘルス予算に送り込むことでこれを相殺しようとするものである。

 「若年期に暴力的なビデオゲームに晒された子供たちは,そうでない子供たちよりも暴力的な行動をする傾向にあるという証拠があります」と氏は声明で語っている(参考URL)。

 「この法案は,学校に学生が積極的な方法で攻撃に対処するために必要な追加リソースを提供することになるでしょう」

 全米ライフル協会から93%の支持率を得ているNardolillo氏は(参考UEL),氏が挙げている「証拠」については引用していない。しかしながら,米国のシークレットサービスによって実施された研究によると(参考URL),―Glixelが強調するように(参考URL)― 校内乱射事件の犯人のうち暴力的なゲームをプレイしていたのは20%未満だった。

 法案はロードアイランド州で販売されるMレーティング以上のビデオゲームの売り上げに追加の10%を課す。

 「我々のゴールは,ロードアイランド州のすべての学校に学生が安全で平穏に学べる場所を作ることです」とNardolillo氏は付け加えた。「今日,子供たちに攻撃性を管理するリソースを提供することによって,我々はもっと平和な明日を保証できるのです」

 GamesIndustry.bizは,Nardolillo氏とEntertainment Software Associationの両者にコメントを求めて接触中だ。


2018/2/27追記
GamesIndustry.bizからの問い合わせに対する返答。Nardolillo代表のスポークスマンは「アメリカ心理学会と米国小児科学会の両方が,暴力的なビデオゲームと子供たちの攻撃性の増加との関係を示す研究を発表しています」と語っている。

 2015年のアメリカ心理学会による研究(参考URL)は暴力的なビデオゲームは攻撃性に影響すると結論している。しかしながら,それには,暴力的ゲームに晒されていたことと犯罪的暴力ないし生理的神経的変化が関連しているという十分な証拠はないことも注記されている。

 一方,2016年の米国小児科学会の研究では(参考URL),「仮想世界の暴力と現実世界での攻撃性との実験的連携」が見つかるものの,仮想世界の暴力と現実世界の暴力を結びつける現実世界の研究はまだ行われていないことを認めている。


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