【ACADEMY】Valveが教えるSteam Deck用ゲーム最適化の6つのヒント
Valveの携帯ゲーム機Steam Deckは今年初めに発売され,プレイヤーにSwitchのようなPCゲームのプレイ体験を提供している。
Valveは,数か月に及ぶ入荷待ちの期間を経て,Steam Deckが容易に購入できるようになったことを発表した(関連英文記事)。この機会に,お手持ちのPCゲームをSteam Deckに対応させるのはいかがだろうか?
先月開催された GI Live: London では,Valve のデザイナー Alden Kroll氏とビジネス開発責任者 Erik Peterson氏がデベロッパの質問に答え,Steam Deck にゲームを最適化する方法など,さまざまなテーマについてアドバイスを提供した。
以前,我々はSteamへのパブリッシングに必要なすべての知識を紹介したが(),今回の記事でははとくにDeckに焦点を当てたい。
まず初めに,Peterson氏は,このプロセスは思ったよりずっと難しくなく,余分な作業も必要ないと語った。
「我々がデベロッパから聞いているのは,ほとんどの場合,彼らのゲームが実際には何の追加作業もなく,とりあえずSteam Deck上で動作するということでした」と氏は出席者に語った。「これは,Steam Deckが当初から意図していたことです。Proton (Windows ゲームを Steam Deck のオペレーティングシステムである Linux で実行できるようにする互換性レイヤー) を使用して,ゲームの Windows ビルドを実行し,今すぐ全体で動作するはずです」
しかし,氏はプレイヤーにとってSteam Deckの体験をさらに良くする方法について,いくつかの提案を付け加えた。
1. ゲームを検証する
Valveは,すべてのSteam Deckゲームを4つの互換性レーティングで分類している。
- 検証済み。すべての互換性チェックを通過したゲームで,ユーザーはゲーム内のすべての機能を利用するために設定を行う必要がない
- プレイアブル。Steam Deck 上で動作するが,オンスクリーンキーボードの表示やランチャーの操作など,すべての機能にアクセスするためにはユーザーによる手作業が必要な場合があるゲーム
- 未対応。Steam Deck 上で機能しないゲーム。これはProtonと互換性がない,または特定のハードウェアコンポーネントを必要とすることが原因である可能性がある
- 不明。まだ互換性審査に合格していないゲーム
以前にリリースされたゲームで,「特定の自動ヒューリスティックに合致する」ものは,自動的に審査キューに追加されるという。一部のデベロッパは手動でSteam Deck Compatibility Reviewをリクエストすることができ,Valveはこのオプションを時間をかけてより多くのスタジオに開放し,Valve自身もSteam Deckの客層にとって重要だと考えるゲームを追加していく。
Steam Deck検証済みゲームのセールがいつか行われることは100%間違いありません -Alden Kroll氏, Valve
Peterson氏は,Valveがマーケットプレイスにあるゲームの検証評価の処理能力を向上させるために取り組んでいると付け加えている。「たくさんのゲームがあります……。 Steamには3万本以上のゲームがあり,これらをすべてレビューするのは大変な作業で,本当に長い時間がかかるのです。しかし,我々はプロセスを改善し,デベロッパのためにできるだけ早くできるように努めていますので,この面での改善にご期待ください」
Valve のデザイナー Alden Kroll 氏は,デベロッパやパブリッシャが Deck でゲームを検証したいと思うもう1つの理由は,将来的に,とくにインストールベースが大きくなったときに,このタグが使用される可能性が高いからだと付け加えている。
とくにインストールベースが大きくなった場合だ。「まだ少しバックログが残っていますので,特定のゲームに超期待している顧客がDeckを手に入れられるようにしたいのです」と氏は語る。「我々はそのために規模を拡大し,作業を続けています。そして私は100%間違いなく,ある時点でSteam Deck検証済みゲームのセールが行われると思っています。まだ発表してておらず,実のところまだその日にちをカレンダーに書き込んですらいませんが,それは間違いなくいつかはやってくることです」
Steam Deck Compatibility Reviewのプロセスについては,こちらで詳細を確認できる。
2. コントローラをサポート
このデバイスを一目見れば,家庭用ゲーム機スタイルのコントロールを中心に据えていることが分かるはずだ。Peterson氏は,Steam Deckが本質的に「コントローラを内蔵した携帯ゲーム機PC」であることを強調し,そのためにコントローラサポートが 「本当に,本当に重要 」であると付け加えている。
Steamの公式ドキュメントによると(参考URL),Valveは,すべてのゲーム内機能がデフォルトのコントローラ構成でプレイヤーにアクセスできるようにすることを推奨しており,実際,これはタイトルに「Verified on Deck」バッジを付与する場合に必要なことだ。
もしあなたのタイトルがコントローラにネイティブ対応していない場合は,マップやキーボード入力用にコントローラ設定を作成することを検討してほしい(マウスについては,Steam Deckが2つのタッチパッドを備えているため,これを利用するとよいだろう)。
3.ランチャーの使用は避ける
Peterson氏は,「Steam Deckからゲームにアクセスできないようなランチャーがないようにすること」が重要であると強調した。
ゲームのためのすべての機能は,別のプログラムを必要とするのではなく,ゲームクライアントに入れる必要がある。Valveのドキュメントでは(参考URL),ランチャーはプラットフォーム固有のフレームワークに依存していることが多く,コントローラを使った小さな画面では使いにくいからだと説明されている。
800×600の解像度では,テキストが小さすぎて読めないということがないようにしたいものです -Erik Peterson氏,Valve
ただし,ネイティブUIのランチャーを必要とするゲームには,SetGameLauncherModeというAPIが用意されていることを付け加えている。これはコントローラの入力を自動的にキーボードとマウスに変換するもので,Steamのパートナーサイトにはその方法のガイドが掲載されている(参考URL)。4. クラウドセーブの有効化
Steam Deckの初期段階では,所有者の大半はすでにPCでプレイしている人である可能性が高い。彼らは,単にDeckでSteamゲームのライブラリにアクセスしたいだけでなく,マシンを切り替えてもゲームの進行を継続させたいと思うはずだ。
当然ながら,Valve のドキュメントでは(参考URL),セーブ データの自動転送を処理するために,Steam Cloud を使用することを強く推奨している。また,ディスプレイ解像度などのゲーム構成設定を同期することは,デバイス間の切り替え時に問題を引き起こす可能性があるため,推奨されていない。
Valve はデベロッパに自社サービスの利用を推奨しているが,サーバー側のセーブファイルをゲームやパブリッシャ固有のユーザーアカウントに関連付けることができるサードパーティ製のサービスもあることを付け加えている。
5.オフラインでプレイできるようにする
マルチプレイヤーゲームでは,どうしてもインターネット接続が必要になるが,Valveは,シングルプレイヤー用のコンテンツではこれを避けるようデベロッパに促している。また,ゲームやオフラインコンテンツは,オンライン接続を一切せずにテストし,動作確認を行う必要がある。Steam Deckはオンラインに対応しているが,携帯端末という性質上,安定したインターネット接続を保証することはできず,常に利用できる状態であることも保証できないからだ。
6. テキストの読みやすさを確認する
PCゲームの多くは,比較的大きなモニターでプレイすることを想定しており,プレイヤーの顔からさほど離れていないことが多い。Steam Deckはより小さな画面で,さらに(※相対的に)遠くから見ることになるため,どんなテキストも見えるだけでなく,読みやすくする必要がある。
「800×600 の解像度では,文字が小さすぎて読めないということがないようにしたいものです」と Peterson 氏は推奨している。
また,Valveのドキュメントでは(参考URL),プレイヤーがテキストを入力する必要がある場合は,自動的にオンスクリーンキーボードを表示することを推奨している(Deckバッジの検証については,必須となっている)。
Steamworks SDKは,すでに2つのオンスクリーンキーパッドAPIを提供している。直接キー入力を送信する ShowFloatingGamepadTextInput(参考URL) と,コールバックベースの ShowGamepadTextInput(参考URL) だ。ここでも,それぞれのガイドがSteamのパートナーサイト(上記リンク先)に掲載されている。
そのほかにも,Kroll氏と Peterson氏は,ゲームが「レビュー爆撃」された場合にどうすればよいか,どの言語を確実にサポートすべきかなど,Steam に関する幅広い質問を講演で取り上げた。セッションの全容は以下から閲覧可能だ。
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