サブスクリプション部門の責任者であるNick Maguire氏は，ファーストパーティのゲームをサービス外で最初にリリースすることは「今後も我々の戦略です」と語っている。


　PlayStationは，PS5ゲームのクラウドストリーミングをテストしており，PS Plus Premium加入者に提供する予定だ。

　このサービスには，PlayStation Plusのゲームカタログおよびゲームトライアルに含まれるPS5タイトルと，プレイヤーがすでに所有してるPS5デジタルゲームの「サポート済み」タイトルが含まれる。

　同社の副社長兼サブスクリプション部門のグローバル責任者であるNick Maguire氏は，現時点ではプレイヤーがこれらのゲームをPS5コンソールにのみストリーミングできることを明らかにした。

　「我々は非常に楽しみにしています」とGamesIndustry.bizの取材に対して氏は語った。「テスト段階なので，今日これ以上お伝えすることはありませんが，準備が整い次第，より多くのアップデートを提供する予定です」

ソニーCEO：クラウドゲーミングの技術的な難度は高い

　PS5のゲームストリーミング以外では，ソニーは今月，このサービスにさらにゲームを追加すると発表している。これには，PS4とPS5でFar Cry 6， Shredder's Revenge，Rogue Legacy 2そしてInscryptionが含まれる。また，PS5ではSoulstice，PS4ではDeus Ex: Mankind DividedとKilling Floorが追加される。また，PS4版WWE 2K23がGame Trialsに登場し，PSP版Killzone LiberationがClassicsシリーズに加わった。

　これらのニュースは，ちょうど人々の年間サブスクリプションが更新される時期に発表されたものだ。 PS Plusは昨年6月にリニューアルされ（関連英文記事），3つの異なるメンバーシップを提供するようになった。これにより，同社は事実上，2つの定額制サービスを統合することになった： PS Plusは，一部のゲームを提供するものの，オンラインプレイが中心で，PlayStation Nowは，ダウンロードやストリーミングが可能なゲームカタログを提供するものだ。

　Maguire氏は，このサービスがヒットしていると語り，「このカタログが発売されて以来，10億時間のゲームプレイがありました」と，統計データを強調した。また，同サービスのユーザーは，発売前の1年間にPlayStation Nowで費やした時間の平均7倍をPS Plusで費やしていると語る。

ライフサイクルの少し遅い時期にゲームをサービスに投入することは，我々にとって効果的です

　「そして，それはより多くのプレイヤーから得られたものです」と氏は付け加える。「これは，ゲームポートフォリオが多様性に富んでいるからだと確信しています。Plusは，多くの人々にとって魅力的であり，高品質・高水準のタイトルを探し続けていました。つまり，ほぼすべての人に楽しんでいただけるということです」

　Maguire氏は，Dead By Daylight，The Legend of Dragoon，Rainbow Six: Siegeなど，同サービスにおける注目のタイトルを挙げた。そしてもちろん，インディーズゲームStrayも，7月に同サービス内で昼夜を問わず発売されていた。

　「Strayは，最初の12か月間にそのタイトルにアクセスしたプレイヤーの数が最も多かったのです」とMaguire氏は語る。「そして，Ghost of Tsushimaは，ゲームプレイ時間が最も長くなっています。このゲームには本当に多くの人々が参加し，投資しています。これは，PSスタジオのタイトルの強さを示すものであり，素晴らしいエンゲージメントと多くの興奮をもたらしました」

　「Spider-Man: Miles Morales，Horizon Forbidden West，そして最近加わったRatchet and Clank Rift Apartなど，年間トップ10のうち4タイトルがPSスタジオのタイトルであり，非常に速いペースで上昇して，月ごとに伸びています。これらの独占タイトルは，本当に反響を呼んでいます。人々を惹きつけているのです」

　Maguire氏によると，PS5は，より高価な価格帯を含むPlusサービスの最大のプラットフォームであり，家庭用ゲーム機のインストールベースが拡大し続ける中，良い兆候であるとのことだ。

StrayはPlayStation Plusで大ヒットした

　ファーストパーティのゲームは，このサービスで大きな人気を博しているが，Maguire氏によると，同社は，このプラットフォームには古いゲームしか投入せず，自社のタイトルを即日発売しないという戦略を断固として貫いているとのことだ。

　「我々は，この戦略に満足しています」と氏は語る。「ゲームのライフサイクルを少し遅めにすることで，発売から12か月，18か月，24か月後に，より多くのお客様と接できるようになりました。我々は，お客様がそのゲームに興奮し，飛び込んでくるのを目の当たりにしています。我々にとっては，それがうまくいっているのです。ときおり，Strayのような同時発売に投資する機会もありますが，そのときは飛びつくつもりです。しかし，我々にとっては，ファーストパーティのゲームを，まずサービス外のプラットフォームに出す……それがうまくいっており，今後もその戦略を続けていくつもりです」

　サブスクリプションサービスは，サービスベースのゲームにとって有益なものだった。大手パブリッシャが GTA OnlineやRainbow Six: Siegeのようなサービスベースのタイトルをサブスクリプションプラットフォームに投入しているのを見たことがあるだろう。サービス型タイトルをサブスクリプションプラットフォームに導入して，新規プレイヤーを獲得し，これらのゲームの視聴者を増やしている（通常，マイクロトランザクションやその他の形態のマネタイズを特徴とする）。ソニーが最近，新しいサービスベースのゲームに投資していることを考えると，今後発売されるタイトルのいくつかは，PS Plusで即日発売される可能性があるのではないだろうか。あるいは，PS Plusの会員がこれらのゲーム内で特別な特典を受けられるようになるかもしれない。

　「我々は，今後どのような戦略を取るのが正しいのかを常に考えています」とMaguire氏は答えた。「プレイヤーの習慣がどのように変化していくのか，そして，そのような習慣に対応したサービスをどのように提供していくのか。今のところ，それ以上のことは言えませんが，明らかに，我々はそれを身近に感じつつ，Plusが今後果たすべき役割について考えています」

PremiumがExtraよりも大きなシェアを占めることになったことに驚きました

　Maguire氏は，PCゲームのカタログが増加していることを考慮し，このサービスがPCでも提供される可能性があるかという質問に対しても同じ答えを返した。

　結局のところ，チームは耳を傾け，学びながら進めているのだ。そして，Maguire氏は，すでにいくつかのサプライズがあったことを教えてくれた。

　「個人的には，ExtraよりもPremiumのほうがベースのシェアが大きくなってしまったことに驚いています。我々は皆，大多数の人がまずExtraに行くだろうと思っていたのですが，実際にはPremiumのほうが人気があり，大きくなっています」と明かした。「これは嬉しい驚きでした」

　「そして，国や地域によって，これほどまでに状況が似ていることにも驚きました。明らかにいくつかの例外もありますが，全体的に言って，上位10位や20位は，多少の順位の違いはあるにせよ，概ねどの国でも同じような傾向があるのです。異なるタイトルを好む国もありますが，平均すると，本当に似たような構成になっています」

　新しいPS Plusが開始されたとき，収益は増加したものの，加入者数は減少した。これは，昨年ゲーム業界全体が経験したパンデミック後の落ち込みが原因だとMaguire氏は語る。氏は，同サービスは急速に成長を取り戻しており，ビジネスが現在の戦略から転換する必要はないと述べている。

　「軌道修正が必要だと言われたことはないと思います」と氏は締めくくる。「今は，プレイヤーが求める新しい機能，ユーザーが求める新しいゲーム，ユーザーが求めるその他の特典をどのように追加するかということを探しています……どのようにしてサービスを適切なものにして，より価値を高め，より多くの人を呼び込むかが重要なのです」

　「初年度のエンゲージメントは，本当に素晴らしいものでした。我々が思っていた以上に，多くの人がゲームに飛びつき，多くの時間を割いてくれたのです。我々の戦略は，さまざまな種類のゲームを見つけることで，人々にアピールできるのです。そのためには，今の自分に満足しすぎないよう，常にアンテナを張っておく必要があります。我々は，次のことを考え，数年後，5年後にプレイヤーが何を求めているかを予測しようとしています。それはとてもエキサイティングなことです」