【ACADEMY】ゲームのIPライセンス。ブランドの導入で利益を得る方法
ブランド導入を活用することで,IPホルダーやゲームデベロッパは,すでに確立されたゲームに複数のブランド要素を統合し,より多くのオーディエンスにリーチする可能性がある。
これらの要素には,象徴的なキャラクター,ストーリー,音楽,その他の機能を含めることができ,プレイヤーはブランドやゲームへのエンゲージメントをさらに高める新しいエキサイティングなコンテンツとして楽しむことができるようになる。
デベロッパとIP所有者の両方にとってブランド導入は,短期的なコミットメントとして,IPライセンスの世界とそのメリットに迅速かつ容易にアクセスできるものとなっている。
Yodo1は,HasbroなどのIP所有者との長年にわたるパートナーシップを通じて,スタジオがTransformers, My Little Pony, Monopoly, Play-Doh, BlytheなどのワールドクラスのIPにアクセスするのを支援し,ブランド導入でゲームを増幅させたり,スタジオと提携して新しいIPベースのタイトルを作成したりするのを支援するライセンスを取得してきた。
ゲームにおけるブランドという有望な分野での活動を始めるには,以下の5つのステップを踏む必要がある。
1. ブランド導入で利益を得るためにゲームを準備する
ビデオゲームのIPを探すことを考える前に,タイトルの準備ができているかどうかを確認する必要がある。それは,マネタイズ,構造,ユーザー維持のための強力なバックボーンを持つことを意味する。
IPコラボレーションは,素晴らしいタイトルをさらに成功させるための触媒としての役割を果たす
最適なゲーム収益化戦略,法的に健全なゲーム,そしてプレイヤーを惹きつけ,維持するための適切なツールがあれば,これらの分野で改善できるだろう。IP コラボレーションは,ゲームを構築するための基盤を提供するというよりも,素晴らしいタイトルをさらに成功させるための触媒としての役割を果たす。ゲームに必要なバックボーンがなければ,ブランド導入がもたらすチャンスを十分に活用できないかもしれない。
しかし,時間と市場で実証済みのリテンション,堅固な技術構造,大きなマネタイズの可能性を持っているにもかかわらず,ゲームの成長が鈍化している場合,ブランド導入は勢いを取り戻すためにまさに必要なものとなるだろう。
2. IPを探す際にはジャンルを考慮する
次に,IPを探す際には,ゲームの種類やテーマに何が適していて,何が適していないのかを考えなければならない。
すべてのモバイルゲームがIPコラボで良い結果を生むわけではない。結果は,ゲームのジャンルやテーマ,オーディエンス,IPの種類やサイズによって異なる。
IPが提供するコンテンツにもよるが,特定のゲームジャンルでは,双方の長所を最大限に引き出し,大きな成果を生み出す可能性が高くなる。
●アクションロールプレイングゲーム
たとえば,モバイルメカバトルARPGゲームIron Sagaは,Netflixのウルトラマンアニメシリーズとのコラボレーションを開始し(参考URL),大成功を収めることができた。並外れたスーパーヒーローが登場するSFショーが,ゲームのジャンルやストーリーに自然にマッチしていたからだ。このようにまとまりのある組み合わせで,スムーズにIP化を実現しいてる。
●MOBA・格闘ゲーム
Mobile Legendsとキングオブファイターズのコラボレーションでは(参考URL),格闘ゲームとMOBAは「プレイヤー対プレイヤー」を核としているため,お互いに非常によく補完し合っている。
格闘ゲームのIPには多くのキャラクターが登場し,必殺技や動き,効果などがはっきりしているため,MOBAゲームのデザイナーは自分たちのブランドを浸透させやすいと考えられる。
●ハイパーカジュアル
一方,ハイパーカジュアルなジャンルの場合,IPコラボはより複雑になる。シンプルなゲームプレイとグラフィックスに加え,広告による収益化に依存しているため,これらのタイトルではブランド関連のアプリ内課金で利益を得ることが難しい。アプリ内課金はハイパーカジュアルゲームの収益化で,最も一般的で効果的な方法だ。
さらに,ゲームのライフサイクルが短い場合(中堅・ハードコアなビデオゲームと比較して,ハイパーカジュアル層がそうであるように),価値のある利益やブランドへの露出を提供することは困難だ。要するに,その組み合わせを見極めることが重要なのだ。
3. IPのリーチと潜在的な可能性を調査する
強力なIPは,あなたのゲームを知らないようなプレイヤー層を獲得する可能性を秘めている。ライセンサーが築いた忠実なファンベースを活用し,ブランドの親和性の力を利用するだけで,タイトルへのトラフィックを増加させることができるのだ。
これをデジタルマーケティングキャンペーンと組み合わせることで,ゲームやソーシャルメディア,動画プラットフォームなど,既存のプレイヤーとブランドに惹かれたプレイヤーの間で,これまでにないコミュニティのエンゲージメントに火をつけることができる。
たとえば,最近のTikTokのMy Little Pony と Mini World のブランドコラボに関するプロモーションビデオでは,2020年のエンゲージメント率がゲームがこれまでに経験した中で最高の数字を記録した。
また,適切なブランドは,あなたのゲームのために新しいプロモーションの機会を作ることができる。たとえば,オフラインでブランド関連のイベントを開催することで,露出をさらに増やすことができる。
4. あなたのゲームをブランドのオーディエンスに合わせる
ぴったりしたブランドを研究し,選択したあとは,そのファンがあなたのゲームプレイを楽しむかどうかを考慮する必要がある。彼らが夢中になっているものでなければ,彼らの心を掴むことはできないのだ。
NetEaseが最近作ったトムとジェリーのゲームを考えてみよう(参考URL)。この楽しくて風変わりなIPは,カジュアルな視聴者をターゲットにしているため,ハードコアなゲームのメカニズムを実装することにはあまり意味がない。これでは,番組の最大のファンを引きつけることはできない。
子供向けのIPを使用する場合は,データ追跡と報告のルールに厳密に準拠している必要がある
また,ブランド導入がターゲットとしている年齢層を考慮し,ゲームメカニクスをどのようにマッチさせるかを考える必要がある。たとえば,My Little Pony のように子供たちに強くアピールするIPを選択した場合,子供たちが理解しやすく,楽しめるようにゲームプレイを設計する必要がある。また,子供向けのIPを使用するには,データ追跡や報告のルールを厳密に遵守する必要がある。
子供に人気のあるIPは,ゲーム業界の企業にとって非常に価値のあるものとなる。なぜなら子供は親から手渡されたビデオゲームを信頼しており,親は国際的に認知されている漫画や玩具ブランドのIPを信頼しているからだ。
これは,ポジティブな価値観や教育的な要素を持つものにはとくに当てはまる。
5. ブランドにゲームを強化させる
IP保有者がコラボレーションの機会に熱心であったら,大規模なゲームパブリッシャやデベロッパが上記のアドバイスを考慮に入れれば,自分のタイトルをさらに牽引するための適切なIPを簡単に見つけることができる。
たとえば,RPGゲームはキャラクターの成長,特化した武器,豊富なバックストーリーを中心としていることが多いため,愛されるヒーローや悪名高い悪役を主人公としたIPでゲーム性を向上させることができる。その際には,彼らの経歴や特徴をゲームプレイに反映させて,プレイヤーをプロットに没頭させよう。
ブランドの統合がうまくいったもう1つの例は,中国のデベロッパMiniWanのものだ。サンドボックスゲームのMini Worldは,トランスフォーマーのブランドを美しく表現している。
Yodo1のクリエイティブな協力を得て,トランスフォーマーのロボットキャラクターをゲームのアートに合わせてピクセルで表現した。IP導入チームは1984年のアニメ「トランスフォーマー」シリーズからインスピレーションを得て,より本格的なゲーム性を実現した。
洗練されたグラフィックスとサウンドエフェクトを備えたMiniWanブランドのスキンを購入して,いつでもゲーム内で変換することができ,高品質でブランド性の高いゲーム体験を楽しむことができる。
近年,モバイルゲーム市場では,サードパーティのIPライセンスが顕著な成果を上げている。しかし,どのタイプの知的財産が自分のゲームの特性に最も適しているのか,また,知的財産の所有者にどのようにアプローチするか,ブランドをゲームのテーマ,製品,ゲームプレイのメカニズムにどのように統合するかを知っておく必要がある。
しかし,上記の原則に注意を払い,ブランドとゲームがお互いに補完し合うようなマッチアップを見つけることができれば,双方に利益がもたらされるだろう。
Yu Huan Mirko氏は,Yodo1の国際的なPRマネージャー,コンテンツクリエイターであり,同社の全出版物を担当する編集者でもある。Yodo1は,デベロッパがゲームのマーケティング,管理,マネタイズをよりよく行えるように支援するゲームプラットフォーム企業だ。当社のAIを搭載したツールと,モバイル広告,コミュニティ管理,デジタルIPライセンスなどの分野におけるグローバルな専門知識により,パートナーはプレイタイム,収益,リテンションを向上させることができる。当社のビジョンは,開発の才能があれば誰でもゲームの成功の世界を開くことだ。詳細については,www.yodo1.com を見て(参考URL),LinkedInでフォローしてほしい(参考URL)。
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