Straw Fawn Studio の Philomena Schwab 氏は，他のデベロッパと協力してマーケティングを行う方法のヒントを共有している。

　インディペンデントデベロッパは，大規模なスタジオの騒音の中で叫ぶほどのマーケティング予算を持っていることはほとんどないが，他のデベロッパと協力して自分のメッセージを増幅させる簡単な方法がある。

　これについては，スイスのデベロッパ Stray Fawn Studio の共同設立者である Philomena Schwab 氏が Devcom で語っている。氏のチームはNiche: A Genetics Survival GameやNimbatus: The Space Drone Constructorを開発している。

　「デベロッパは通常，多くのお金を持っていませんし，ゼロ予算のマーケティングに依存していません」と彼女は語る。「YouTuberやTwitchのストリーマーマーケティング，プラスソーシャルメディアやコミュニティ構築のようなものは，非常に一般的な慣行となっています。しかし，一部のデベロッパのツールセットにはクロスプロモーションがまだ欠けています。あるいは，デベロッパはそれを行っていても，それ以上に何ができるかを過小評価しているのかもしれません」

Philomena Schwab氏, Stray Fawn Studio

　Schwab氏は，100人以上のインディーズデベロッパにクロスプロモーションマーケティングを利用しているかどうかを尋ねた調査結果を発表した。60％以上の人が定期的に行っていると答え，約10％が一度はやったことがあると答え，30％弱がやったことがないと答えている。

　クロスプロモーションを試したことがある人のうち，60％は非常に満足していると答え，失望を報告した人はいなかった。

　Schwab氏は，クロスプロモーションの最もポピュラーな形態の例をいくつか挙げている。

声援

　これが一番人気で，一番簡単かもしれない。簡単に言えば，仲間のデベロッパがどんなゲームに取り組んでいるかを広めることだ。

　Schwab氏は，友人でありソロデベロッパでもあるJonas Manke氏が3人称視点のアドベンチャー「Omno」のKickstarterキャンペーンを行っていたときに，彼女が行ったシャウトアウトの例を挙げた。彼のビジュアルスタイルに感銘を受けたSchwabは，アクション中のゲームのGIFを作成し，Redditで共有したのだ。

　この投稿をきっかけに，Kickstarterの寄付金が急増し，投稿した日にはキャンペーン全体の中で3番めに有利な金額となり，Manke氏のために8000ユーロ以上の寄付金が集まった。そして，Schwab氏がGIFをアップロードして投稿するまでにかかった時間は10分だ。

　しかし，彼女は付け加えた：「Redditでは，それがエスカレートしがちなので，私は注意するようにアドバイスします。数か月後に同じことをしようとしたとき，1人の人間が他の多くのデベロッパを知ることは不可能ですから，彼らは私を広報担当者だと非難したのです」

　「しかし，Twitter，Imgur，Instagram，またはあなたが考えているものは何でも，シャウトアウトすることは非常に有用です ― とくに，あなたが相手がそうではないプラットフォームに精通している場合は」

戦略を交換する

　Schwab氏は，知識の共有，とくにインディーズデベロッパ間の知識共有を大々的に支持している。彼女は，Totally Accurate Battle SimulatorのデベロッパであるLandfallとのカンファレンス中のカジュアルなランチを思い出し，そこでチームがKickstarterキャンペーンについて話し始めた。

　「YouTuberやTwitchのマーケティングのようなものは，かなり一般的になってきています。しかし，一部のデベロッパのツールセットにはまだ欠けているのはクロスプロモーションです」

　彼らは，メールマガジンに登録して定期的にアップデートを受けたり，もちろん将来のプロモーションメッセージを受け取ったりするプレイヤー専用のゲームモードを作るというアイデアを実験していた。Landfallではそれがうまくいったので，Schwab氏はStray Fawnでも試してみたところ，同様の成功を収めたという。

　知識の共有が有益であると確信したSchwab氏は，18か月前にゲームマーケティングのDiscordサーバーを立ち上げ，スタジオがアイデアを話し合ったり共有したりできる場を提供している。

テーマ別セール

　昨年，Straw FawnはNicheのプロモーション方法として，世界環境デーに合わせてテーマ別のSteamセールに参加した。自然をベースにしたゲームを開発していた別のデベロッパから，このようなセールで協力して，他の自然関連のゲームをいくつか招待してはどうかと提案されたため，スタジオはSteamに売り込み，結果として50以上のタイトルがこのプロモーションに参加した。

　Schwab氏によると，このセールは成功しただけでなく，実際にはSteamのサマーセールよりもStray Fawnにとって効果的だったとのことだ。これをきっかけに，彼女はスイスのゲームを含むテーマ別のセールをさらに実施するようになった。

　「ここには本当にチャンスがあるので，似たようなゲームを作っている人たちを捕まえに行きましょう」とSchwab氏は付け加えた。。「テーマ，ジャンル，国籍，チーム規模など，他のデベロッパとの共通点がたくさんあるはずです」

　あるいは，インディーズパブリッシャのFellow TravellerがLudaNarraConで行ったように，これをさらに発展させて，自分のテーマに沿ったオンラインイベントを作ることもできる，と彼女は付け加えた。

　今年の初めに，Steam セールでゲームの価格を設定して成功させる方法についての記事を掲載している（関連記事）。

テーマに沿ったセールは，同じようなタイトルを開発しているデベロッパに，より多くの人にアピールするチャンスを与えてくれる

ツールの共有

　多くのインディーズデベロッパは革新的であり，ゲームビジネスの運営，とくにマーケティング面での足かせになるような便利なツールを自分たちで作っており，それを仲間のデベロッパと共有したいと考えている者もいる。

　たとえば，Pixelmaniacs は，誰かが自分のゲームを Twitch でプレイしている場合にデベロッパにメールを送るツールを作った。これにより，デベロッパはチャットに飛び込んでストリーマーとつながるチャンスを得ることができ，数人の視聴者や潜在的な顧客を獲得できるようになる。

　一方，Straw Fawnは現在，YouTubeとTwitchの両方のプラットフォームをクロールして，誰がゲームをプレイしているかを確認し，メトリクスを収集するために，YouTubeとTwitchのビデオトラッカーに取り組んでいる。取得するデータには，ストリーマーやYouTuberの動画数，総再生回数，「いいね！」数，購読者数，コメント数などが含まれており，潜在的なマーケティングの機会を特定するのに役立つ。このビデオトラッカーは，他のデベロッパと共有されるという。

　「我々は皆，自分たちで使うためにこれらのものを作っているのですから，他の人と共有してみてはいかがでしょうか？」とSchwab氏は述べている。

その他のオプション

　上記は，Schwab氏が調査したデベロッパの間でクロスプロモーションの最も人気のある4つの方法だったが，彼女によると，スタジオがお互いに協力できる方法はもっとたくさんあるという。

　たとえば，Steam上のデベロッパは，それぞれのストアページに「友達のゲーム」セクションを持っているので，リリースが近づいているときに，仲間のインディーズに手を差し伸べて，あなたが含まれているかどうかを尋ねてみてはいかがだろうか？

　割引は，すでに似たようなゲームを楽しんでいるプレイヤーを印象付けたり，コンバージョンさせたりするためにも有効だ。Nimbatus の発売にあたり，Stray Fawn はドイツのデベロッパ Boxelware と協力して，発売週に自社のスペースシューターAvorionのプレイヤーに 10％ の割引を提供した。

「我々は皆，自分たちのために作っているのですから，他の人たちとシェアしてみてはどうでしょうか？」

　「これは本当に効果的でしたが，なぜかSteamはもうこれをやっていません」とSchwab氏は語る。

　だからといって，この戦略がもはや有効ではないというわけではない。他のデベロッパのメールマガジンに含まれる割引コードを提供することもできるが，Steamユーザーが自分のインベントリにクーポンが表示されず，割引を受けるためにストアページに行かなければならないのと同じくらいの面倒さだとSchwab氏は指摘している。

　バンドルリワードも選択肢の1つだ。Away.The Survival Seriesのデベロッパは，バンドル特典を提供している。The Survival Series のデベロッパは，Kickstarter キャンペーンの上位層への報酬として自然関連ゲームのバンドルを提供し，集まった収益の一部をデベロッパに提供した。

　Stray Fawn はデベロッパに Niche の鍵を提供し，スタジオは 500ドルを獲得した。「鍵と請求書を送る以外には，何の手間もかかりませんでした」と，Schwab氏は述べている。

　Schwab氏は，テーマに沿ったSteam販売のアイデアを基に，テーマに沿ったWebサイトやゲームコミュニティを提案した。Nicheに取り組んでいる間に，彼女はPlayfulOasis.comと関連するSlackワークスペースを立ち上げ，デベロッパが自然に関連したゲームについて投稿したり議論したりできるようにした。

　「似たようなテーマのゲームに焦点を当てたWebサイトがもっとないのはなぜなのか理解できません。あなたのようなゲームを作っているデベロッパと協力することで，多くの利益を得ることができるのですから」

　同様に，サブレディットやFacebookグループのようなテーマ別のコミュニティは，特定のタイプの体験に興味のあるプレイヤーにリーチするのに役立ち，ソーシャルメディアのイベントは，デベロッパがお互いのゲームに注目を集めるのに役立つ。Twitterで#loveindiesや#pitchyagameなどの例を見てみよう。

　デベロッパ同士で協力する方法は他にもたくさんあり，お互いのゲームにキャラクターを入れたり，IndieMegaBoothやIndie Arenaのような主要なイベントでブースを共有したりできる。後者の場合は，スペースを共有するだけでなく，ブースを運営するための費用も分担することになる。

　最後に，より基本的なレベルでは，Schwab氏はインディーズがYouTuberやTwitchストリーム，特定のタイプのゲームを取材するジャーナリストの連絡先を共有することを提案している。―もちろん，その詳細はすでに公開されている。これは，すべてのスタジオがとにかく探している情報なので，誰もが手動で独自のリストをコンパイルする必要がないことは理にかなっている。

　「私はまた，我々の多くがゲームのキーを搾り取ろうとしている同じ人々からメールを受け取っていると確信しているので，我々が共有詐欺師のリストを持っていない理由が理解できません」と氏は語る。「メールアドレスを検索して，それが詐欺師かどうかを確認できるリストがあれば最高ですね。それは我々が完全に行うべきことです」

GamesINdustry.biz ACADEMY関連翻訳記事一覧