【ACADEMY】Lovesharkの投資ストーリー：エンジェル投資家を感動させる方法

[2020/05/01 19:26]

後編では，スタジオのCEOであるTara Reddy氏が，最初の重要な支援者を確保するためのアドバイスをしている。

　これはLovesharkの投資ストーリーの第2部かつ最終部だ。前編では，Game DragonsのPhilip Oliver氏がスタジオへの投資を選んだ理由と，デベロッパが投資家にどのようにアプローチすべきかを語っているが，それはこちらから参照できる。

　18か月前にLovesharkを立ち上げたときは，ゲームについてはまったくの初心者だった。ゲームイベントに行っても誰も知り合いがいなかったのだ。しかし，多くの友人や人脈ができ，素晴らしいエンジェル投資家やベンチャーキャピタル（VC）の投資家，そして助成金による資金調達で75万ポンド以上の資金調達ができた。

LovesharkのTara Reddy氏

　Lovesharkを立ち上げたのは，カメラゲームの分野に大きなチャンスがあると考えたからだ。共同創業者のSam Weekesと私は，拡張現実の会社Blipparで数年働いていたが，ARやコンピュータビジョン（CV）のような技術がゲームの次のパラダイムを生み出す大きなチャンスがあると感じていた。Samはエンジニアで，私はプロダクトマネージャーをしていたので，ビジネス，クリエイティブ，テクノロジーのスキルを完璧にミックスしてスタートさせることができた。

最初の小切手が最難関

　通常，潜在的な投資家は「他に誰が参加しているのか？」と尋ねるだろう。その答えが，彼らが尊敬する賢い人たちのリストであり，投資の可能性が限られている場合，それは希少性と勢いを生み出すので，彼らは迅速に動き，決断力を発揮するだろう。Philip（Oliver, Game Dragons）はこのタイミングで我々の投資ラウンドで会ってくれたので，素早い投資決定に役立った。

最初の小切手はどうやって手に入れるのか？

あなたのジャンル，空間，視聴者に特定の情熱を持っている投資家をターゲットにする。彼らがそれを理解し，あなたのやっていることをすでに信じているならば，彼らは確信を持って投資してくれる可能性が高く，今後の最高のエバンジェリストとなるだろう。
チームをよく知っている投資家をターゲットにしてほしい。これは，昔の上司や同僚，あるいは数か月から数年の間にあなたの進歩を見てきた人かもしれない。この場合，あなたのスピードとアイデアに感銘を受けた投資家は，チームとしてのあなたを信頼し，最初の小切手を書いてくれるかもしれない。

エンジェルは何を求めているのか？

　エンジェルとVCはアプローチが異なる。VCは次の10億ドル規模の企業を探しており，エンジェルは通常，投資収益を上げて業界に還元する方法を探している。

　ここでは，エンジェルがどのように投資するかについての私の見解をいくつか紹介する。

エンジェルは慈善団体ではない。彼らはあなたのビジネスがどのように成長し，お金を稼ぐことができるかを見たいと思っているので，あなたは彼らにあなたの可能性を示す必要がある。
彼らは証拠を求めている。彼らは以前にあなたと一緒に仕事をしたことがあり，あなたが素晴らしいことを知っているかもしれない。印象的なチームや実績を持っているかもしれない。プロトタイプをテストして有望なデータを得たかもしれない。通常，エンジェルにとっては，それは単にアイデアだけではない ― 彼らはあなたのチームがこれを行うために必要なものを持っていることを彼らに納得させるために何か他のものを必要としている。
多くの場合，彼らは自分たちが理解していて，自分たちが支援できる企業に投資したいと考えている。たとえば，我々のエンジェルの中には，パフォーマンスマーケター，プログラマ，広告主，オペレーションの専門家，そして複数のゲーム会社のCEOがいる。彼らが投資したのは，彼らが我々のビジネスの可能性を理解していて，お金だけではなく，アドバイスやメンタリングを提供できるからだ。

地域のサポーターを探す

「資金調達をしていると，しばしば拒絶され，本当に意気消沈することがある。個人的なことではないことを忘れないようにしよう」

　自分を信じてくれている人を見つけて，業界の他の人に保証してくれる人を見つけよう。初期の段階では，Games London と UKIE が多くのサポートをしてくれ，ゲーム仲間や潜在的な投資家とのネットワークを構築できるイベントに招待してくれた。

　最初のエンジェル投資家を獲得すると，彼らはイベントで我々のことを話し，他の投資家との関係を試してくれた。投資家も人だから，間接的に自分を売り込むことができる支持者がいると，プレッシャーが軽減される。さらに，彼ら自身が自分の現金を投資したことがある場合は，より説得力がある。

いろいろな場所を見てみる

　株式投資（エンジェル/VC）は，スタートアップビジネスの唯一の選択肢のように思えるかもしれないが，他の資金源もある。助成金による資金調達では，株式を手放す必要はない。Innovate UKは同僚に勧められ，説得力のある申請書を作成するために努力した。助成金を獲得するまでには，ここ数年で5回の申請が必要だった。大変な作業だったが，英国のイノベーション機関の支援を受ける価値は間違いなくあった。

Lovesharkチーム

　我々はTwitterで UK Games Fund のことを知り，新しい助成金の発表まで目を光らせていた。資金を提供してくれるだけでなく，メンタリングやイベント，EGXでのブース出展など，8万人以上の人に見てもらえるようにしてくれた。彼らは我々の大規模な支援者であり，アーリーステージのゲームコミュニティにとって素晴らしいリソースとなっている。

他の創業者に話を聞く

　これはあなたの秘密兵器だ ― 他の創業者はあなたが経験していることを正確に経験している。あなたが資金調達の課題やフラストレーションについて正直に話せば，率直なアドバイスを得ることができる。また，彼らはあなたがターゲットとしている投資家と同じ投資家に会ったことがあり，舞台裏の情報を持っている可能性もある。

　もし彼らがあなたの活動を本当に気に入ってくれれば，彼らの投資家にあなたを紹介してくれるかもしれない。投資家は通常，創業者を高く評価しているため，このような紹介は投資家にとって高い価値を持っている。

継続して顔を出す

　資金調達をしていると，しばしば断られることがあり，本当に気が滅入ってしまうことがある。ほとんどの投資家が断るのは事実であり（通常は90％以上），イベントで何度も何度も同じ人に会うと気まずい思いをすることもある。

　それは個人的なものではないことを覚えておいてほしい ―彼らはちょうどあなたの分野に興味がないかもしれない，または彼らはすでに他の投資にコミットしている可能性がある，それは彼らが市場がどのように行くのかの予測を間違っていることもありうる。

　しかし，私が学んだ1つの重要な教訓は，顔を出すことが大切だということだ。ノーと言った投資家も，将来的にはイエスと言ってくれるかもしれない。良好な関係を保ち，恨みを持たないようにして，前進し続けよう。

　資金調達の道のりは確かに難しいものだが，我々を信じて応援してくれる素晴らしい投資家の方々が集まってくれた。そのおかげで，我々のビジネスはより強固なものとなり，実験や大胆な行動をするための燃料を与えてくれた。Hoxton Ventures，Innovate UK，UK Games Fund，そして支援してくれたエンジェルの皆さんに感謝している。