「24Frameの邪道経営哲学」第23回:精神的続編を考える時の哲学


初めてのバズは突然に


まさかのバズ……?
「24Frameの邪道経営哲学」第23回:精神的続編を考える時の哲学

 さて前回,我々が初のオリジナル作品として作ったゲーム「サバイバールPG」が謎のバズを迎えつつある……! というところまでお話をしていたかと思います。

 発端はとある深夜,スタッフ間の連絡用チャットツールがけたたましく通知の雄たけびを上げているところから始まります。何事ぞ,と思って内容を確認してみると,
 「なんかうちらのゲームが某巨大掲示板で話題になってるぞ!」とのこと。

 「マジかマジでか」と言い合いながら(当時の社員は僕含めても4名程度でしたが)社員同士で電話をつなぎ(当時はZOOMなんてまだなかったので普通に電話で)その流れを追っていくと,どうやら「バランスはクセあるがなんか刺激的なゲーム」ということで,一部の好事家を筆頭に「サバイバールPG」のガチャを回す,という局所的ムーブが起こっていたようです。


刺激的なその全貌

「なんか刺激的」なその内容とは?

 そもそもこのゲームはどんなゲームだったのでしょうか。簡単に言うと以下の通りです。

自分が何歩か歩くごとに……

バトルかイベントが発生します
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 これらは基本,殺しにかかってくるヤツですが,それらを切り抜け,できるだけこの島で生きぬこう! というのが基本コンセプトです。

また地図上には死体が,時に山のようにありますが,ここはより危険な敵,トラップがあるというヒントになっています
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基本,出てくるキャラや設定はイカれがちです
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 これらの土台となる舞台として「動物同士が最強決定戦をさせられている蟲毒のような孤島」というシチュエーションを設定。

 ちなみに敵として出てくるのは基本「他プレイヤーのデータ」なので,結構リアル蟲毒です。

 その「他プレイヤー」が他人をやっつければやっつけるほど,その周辺に死体が積みあがっていき,実際にそのヤバさが画面に表示される,という仕組みです。

 まあ,なんだかそれなりにいろいろな要素が組み合わさってできており,物量がやたらと想定されていたので作り切ってはいないが滑り出しは思いのほか,好調と言えそう。そんなスタートとなりました。


いくつかのうれしい評価もいただきました

いくつか記事にも取り上げていただきました
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 内容の尖りを評価していただいたのか,いくつかのメディアにも発見していただき,嬉しい方向性でのレビューもいただけました。未だにこれには勇気づけられたりしていますね。

 このゲームの軸は端的に言うと「死体の山は危険だが,近づかねばいいアイテムがもらえない」ということであります。

 そのイメージの元には一つのゲームがありました。

「DAYZ」と「DARK SOULS」と


これから受けた衝撃を元に……!
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 写真にもある「DAYZ」というゲームは今でこそ結構有名なのですが,当時は主にカウンターストライクのMODとして登場しており,でっかい孤島にリアルにオンラインで放り込まれ,油断していると数時間誰にもあわずに島をさまようだけ,というなかなかダイナミックなゲームでありました。

 ただし,時折見える「家」や「建物」には武器やそれなりの物資があり,そこへ行かなければ中々状況は打開できない。でも行ったら行ったですでにアイテムを回収したほかの誰かに待ち伏せされて殺される可能性がある,という状態です。

 当時の僕にとっては「数時間放置」や「それでも建物に行く」というのは中々に刺激的で,それをまったく別の形に再構成したのが「サバイバールPG」と言えなくもありませんが,この「予感させれば多少理不尽でも大丈夫」というのは「DARK SOULS」シリーズのオンラインの「先人の死にざま」なんかの文脈もありそうですし,そのほかにも,いろいろなものの影響が(今となっては)見て取れますね。

小規模で運営は難しい


とはいえ4人で運営は無謀すぎました
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 さて,そんな風に幸先のいいスタートを切れた「サバイバールPG」でしたが,いくつかの課題は残っています。

 まずは何と言っても「まだ未完成」なこと。ここまでは少人数で何とか頑張ってきた,としてもリリースの範囲は全体の構想の1/6程度。この6倍頑張るのか……ちょっと現実的じゃないな,というのが直観としての僕の印象でした。

 少しでも進めるか,と思いつつ,日々仕事が増えていく中で再び時間がとりにくくなり,この「社内開発」の流れはその後のトラウマスターへとつながって行ったりして,なかなかにサバイバールPGの完結編は描かれることのないまま,月日が流れていきました。

別の作品へつながっていくゴール

社内開発は一こちらに結実しました

 その後も折に触れてはイラストを増産してみたりしつつ,隙あらばリブート,と思っていたのですがそのタイミングはこないままに幾星霜,そしてこのたび,ついに部分的にではありますが,この増産されたイラストを元に,精神的な後続作を発表させていただくに至りました。それが「OIHAGI STREAMER SURVIVAL」です。

改めて向き合う

画面は開発中のものです
「24Frameの邪道経営哲学」第23回:精神的続編を考える時の哲学

 今回はその増産されていたイラストを軸に,そのバリエーション豊富な「着替え」と,「それにより強くなっていく自分」に立脚し,RPGのプリミティブな喜びを感じることのできるゲームを目指しました。

 RPGといってもマップを歩いて,というくだりはなくただひたすらにバトルして,自分のレベルアップを実感していくゲームです。やっぱりレベルアップって楽しいじゃないですか。シンプルにそこだけにフォーカスするゲームがあってもいいんじゃないか? というところに端を発し,ようやく完成が見えてきました。

 あの頃と同じメディアさんに取り上げていただいたりしつつも,当初発売は今月末を予定していたのですが,せっかくだからもうちょっと調整してよりよくしようか,という可能性が見えてきたのでここは少し延期を決断しました。

 その分,シンプルながらもよりスムーズに「レベルアップ」を感じて遊べるゲームになって参りますので,皆様どうぞお見知りおきを。

「社内開発」の難しさ


「社内開発」の難しさとは
「24Frameの邪道経営哲学」第23回:精神的続編を考える時の哲学
 さて,ここまで書いてきて自分でも気づいたのですが,我々の社内開発は常に「可能性を見出しつつも,別の仕事が増えてくると中断される」という運命にあります。

 これは社内リソースの管理が流動的で,多少暇があっても,新たな戦場を見つければ「行ってこーい」とばかりに(たまには僕も自分で行きますし)スタッフを参加させてもらうという,普通ながらもあまりない我々の経営方針によるものでしょう。

 「行ってこーい」は割とよくあるというか,会社ってそれが基本だと思うのですが,その傍らで「社内開発」を進めようとしているのがちょっとクセのあるところですね。

 大規模開発を請け負えるバリバリの「元請け」という規模でもなく,これをやっていく,時々オリジナルで,というのがあんまりない特徴であると同時に「だから管理がややこしくなるんだ」という宿業みたいなものでもあって,経営者としては考えどころです。

 よく言えば個性的,悪く言えばあだ花のようなそれこそ「邪道経営」がそこにあります。

 ここには小規模の社内開発,それを以下に世間に投げかけていくか? という深遠なテーマも伴走しているのですが,その掘り込みも,ここで行っていけるとよいなと思います。

 まずは間もなく発売されるであろう「OIHAGI STREAMER SURVIVAL」をウィッシュリストに登録して,見守っていただければ幸甚です。

 それでは,間もなくやってくる我々の新作に乞うご期待!