「24Frameの邪道経営哲学」第22回:オリジナル作品を作る時の哲学
続く運営の中で
さて,メタルマックスのIPシリーズでありつつ,弊社がパブリッシャでありつつ,とはいえ原作はCygamesさんがお持ちのMETAL DOGSですが,まさかの毎月更新という運営は現在も続いております。
また,それと同時に社内では新たな施策の萌芽もあります! 「もうじっとしとけよ,酷暑なんだし」という声が周囲からも自分の心の声としても聞こえてきそうな今日この頃,皆様はいかがお過ごしでしょうか。
謎のINUMEDA以前のお話
新たな施策,それはオリジナルIPへの挑戦,ということになります。
「24FrameのオリジナルIP」というのには実はここでも何度か触れていて現在も続いている「INUMEDA」という作品もあるのですが,これは自分でまいたタネのせいで完成させるのが超実験的な謎の状態になっており,うかつに完成への道が引けない状態となっております。
じゃあそれ以外に何かやるの? という話になりそうですが,実は弊社オリジナルというのは「INUMEDA」が最初ではないんです。その時の話をするには,時代を遡らねばなりません。具体的にどれくらい遡るのかというと,それは今からちょうど10年前,2014年のことでした。
新たな施策とは
多くの開発会社がそうであったように「次はオリジナルだ!」という健康的な意気があったことはもちろんなのですが,もう一つあったのは「不景気対策」ですね。
定期的に襲う不景気
上述の通り2014年は我々にとっては結構ご依頼の仕事で多忙な時期でした。
しかし同時にこれが常に続くとは考え難かったわけです。今やっている仕事が今すぐ消滅したらどうすんだ? という視点も持っていないと経営というものは成り立ちません。
幸いながらお付き合いさせていただいてきた会社さんがしっかりとしていたおかげで「仕事がいきなり消滅」みたいな憂き目には現在に至るまであっておりませんが,2014年の時点で業界にはそんなにいい人ばかりではない,ということも分かってきた時期でしたので,その側面が強調されたターンだった,と言えるかもしれません。
元々僕は非常にネガティヴ経営というか,最悪のケースばかりを考えてから行動する,という傾向がありまして,それゆえにこの会社が15年続いたということがありつつも,同時に15年の割にすっごく急成長したこともない,という現在のわが社の形があったりします。
まあいい時もあれば悪い時もあり,むしろ試されるのは悪い時の生き方であろう,ということなんですが,この時も「まあいったんいい波が来ていたからこの先は悪くなるだろう」という勝手な推測のもと,リスクヘッジとして始めたのが弊社初のオリジナルIP作品「サバイバールPG」であったといえるでしょう。
発端となる資料
おそらくいく度目かの不景気時に私の強迫神経症が発症して,突発的に何かを始めたであろうそのとき。気が付けば上記写真のような資料が目の前にできかかっておりました。
僕は一人では物事を完成させることができませんので,すぐさま他人に相談することが必要となります。しかし交友関係も極めて狭いことから相談相手もスタッフに限られており,自動的に翌朝の弊社スタッフが犠牲者となったのでありました。
そこでまあ概要を数名のスタッフたちに話すと「はあ,なるほど……」と分かったような分からないような返事が来て,とりあえずその場は終了しました。
それもそのはず,この時点でうちにいたスタッフというのは「プランナーだけ」なのです。
だから仮に「これ作ろうぜ! 俺たちのゲームをよ!」と今でいうカッコいいインディゲーム会社のように言ってみたところで,プログラムどうすんの,という基本的な問題にさえ解がない状態だったのです。
どんなゲーム?
とはいえこの内容的には「最高のフル3Dオープンワールドゲーム!」とかではなく微妙になんか作れそうな気がするものでもあったのは事実です。
具体的にはこんな感じです↓
(1)八角形のマス目のマップがあって,そこを一歩ずつ歩いていく
(2)多く歩けば歩くほど,スコアが上がる
というのを基本として
(3)ただし,歩くたびにプレイヤーの体力は減る
(4)また,歩くたびに敵に出会ったり,何らかのイベントが起こる
(5)イベントには危険度があって,危険度に応じたサインがマップ上には表示されている
というサブルールがあります。
なので「危険な箇所を乗り越えるか回避するかを判断して,できるだけ長く歩いていく」というのがプレイヤーの基本ムーブですね。
まあ,とはいえプランナーだけではどうしようもねえしな,というところで,その日は暮れていったのでした。
プロトタイプが動き出す
「どういうこと?」と周囲に聞いてみたら,どうやらプランナーとして雇っていたはずの約1名はプログラマーでもあったらしいのです。「それを知らずに雇用するのってどんな会社?」と思わなくもないのですが,当時の彼との出会いは平日の昼の白木屋とかであり,キャリアがどうのとかいったレベルでの採用ではありません。知り合いからの,一応履歴書はもらっていただろうけれども,くらいの勢いです。いい時代(?)でしたね。
ネットワークの要素も
この後はデータの設計やらなんらになっていく訳ですが,そこはまあここまでのゲーム制作の雰囲気で,なんとなくそれっぽくできそうだったのでOK! とばかりに数か月の実装を急に行い,最初のステージは何となく形になってきたので「まあ,1回リリースしてみようか」,という怒涛の展開が生まれたのでした。
かくして,ウソみたいな本当の話として,「サバイバールPG」はAppleのApp Storeで配信されます。
リリース後の動向
そして本件もひと段落し,その傍らで日々の業務に戻っていく,というサイクルをとり戻そうとしている,そんなときに事件は起こったのです。
深夜の電話
いつもは静かな自分の携帯電話が幾度となくブウブウ振動している。
数回の振動であれば気づかないことも多くて仕事中は電話を放っておくのが通常運転の僕ですが,この時は頻度が半端なさ過ぎて思わず携帯を見ました。
するとまあ,そこに表示されたのは,スタッフ(僕を除けば2名です)のひっきりなしのやり取り。どうしたどうした,誰か離婚か結婚でもするのか?と思いきや「〇〇(某有名掲示板)見てみろ!」的なことでタイムラインは埋め尽くされています。
なんか問題じゃなくてよかった。「じゃあまあ見てみる?」と思いきや,同時に「売上ってどうなってんの?」という質問もちらほら。どうもこうもないだろう,と思いきや,指定の掲示板を精査するより,社内の売り上げダッシュボードを見るほうが迷わず行けそうなのでまずはそちらをクリック!
した瞬間に,僕はようやく状況を理解しました。
それまで波風などなかった売り上げグラフが,垂直に近い形のビッグウェーブを迎えていたのです!!
「いったい何がどうなった?」と思う間もなく,そして肝心の今回(2024年)制作のオリジナルIP作品の話もできないままに続きは次回! 乞うご期待!