E3 2023は中止に。ESAが語るその理由とは

ESAのエグゼクティブディレクターが語る,ショウの未来。「我々は業界のマーケティングのためのプラットフォームを提供することに引き続きコミットします」

[免責事項: GamesIndustry.bizはE3と提携しており,親会社のReedPopが今年のイベントを主催していた]

E3 2023は中止に。ESAが語るその理由とは

 ESAとReedPopは,E3 2023がキャンセルされたことを発表した。

 このビデオゲームエキスポは,6月13日から6月16日までロサンゼルスコンベンションセンターで開催される予定だった。現在は,デジタルでも物理でも,まったく開催されないことになった。

 2022年には開催されなかったが,ESAはReedPop(GamesIndustry.bizの親会社)と提携して,2023年の新しいバージョンのショウに取り組むことを発表していた。しかし,任天堂,ソニー,Microsoftといった大手企業は,このイベントをサポートしようとしなかった。

 GamesIndustry.bizは,ESAの社長兼CEOであるStanley Pierre-Louis氏に,何が問題だったのか,そしてショウが復活する可能性はあるのかについて質問してみた。

Q: 何がいけなかったのでしょうか?

SPL: 米国におけるビデオゲーム業界の代弁者,擁護者として,ESAの中核的な役割の1つは,業界を招集することと,企業内や素晴らしい労働力によって業界全体で行われている素晴らしい仕事を紹介する最善の方法を見つけることだと信じています。

 ESAでは,政策課題に関する会員の調整や,政府関係者,メディア,さまざまな利害関係者との間で業界を擁護することなど,招集者と擁護者の役割を毎日行っています。我々は,E3を通じて,そのような役割も果たしていました。

 これまでE3は,ゲームソフトやサービスを発表する業界のプラットフォームとして,またビジネスを成立させる機会として機能していました。長年にわたり,コンシューマーがE3に参加するようになっても,E3は業界のマーケティングやビジネスニーズに大きく焦点を当てたイベントでした。しかし,そうしたマーケティングニーズは進化しており,COVID-19の大流行以前から進化を始めていたのです。

我々は好調なスタートを切りました。出展者,業界関係者,メディア,そして確かにファンの間でも関心が高かったのです

 ですから,2023年にE3を直営で復活させることを決めたとき,そうした変化するニーズを反映させなければならないと思いました。それだけに,ReedPopとの協業は理想的な状況でした。彼らは,PAX,Comic Con,EGXなど,業界や消費者のイベントを成功させてきた歴史と実績を持っています。

 我々は好調なスタートを切ることができました。出展者,業界関係者,メディア,そして確かにファンからの関心もありました。しかし,最終的には,乗り越えるにはあまりに大きな課題が明らかになったのです。

 まず,COVIDの流行が始まってから,ゲーム開発のスケジュールが変更になったという報告が数社からあったこと。第2に,経済的な逆風により,いくつかの企業が大規模なマーケティングイベントへの投資方法を見直すようになったこと。そして3つめは,対面式イベントとデジタルマーケティング機会の適切なバランスを見つける方法について,企業が試行錯誤を始めていることでした。

 このような状況下でも,我々は業界のマーケティングと情報収集のためのプラットフォームを提供することを約束しており,我々は,業界の現在および継続的なニーズに対して,適切なバランスを見出すようにしたいと考えています。また,世界で最もクリエイティブで革新的な業界を代表して,問題提議活動にも引き続き注力していきます。E3は,ESAの活動において,多くの点で公的な役割を担っていますが,我々の主な焦点は,経済的・文化的にプラスの影響を与える業界と労働力を擁護することであり,我々の優先事項は変わりません。

Q:会員がこのイベントをもう望んでいないように感じますか?

SPL:我々は,E3に関わる戦略的な決定において,イベントやプログラムを企画する際に,会員の優先順位を考慮するよう,常に会員に働きかけていました。今回もそのとおりでした。我々がReedPopに依頼したのは,彼らの実績と非常にポジティブなイベントを実施してきた歴史を知っていたからだけでなく,ReedPopが会員のニーズを理解して,日々の運営を引き継ぐ前に,会員と協力してオンボーディングを行うことで,会員との接点を確保することができたからでもあります。

 そのために,我々は最善を尽くしました。しかし,結局のところ,企業は何が有効かについて,個々のビジネスやマーケティングを決定しています。E3は進化しており,我々はそのニーズに確実に応えたいと考えています。

Q: もしE3が継続されるとしたら,どのような方法で行いますか? 完全にリセットする必要があるのでしょうか?

SPL:我々が確実に行いたいのは,業界のニーズに合ったプラットフォームを提供することです。つまり,前回の質問を継続しつつ,進化する世界の中で,彼らがどのように資産を展開したいのかをモニターするという意味です。しかし,ゲーム開発や経済の逆風など,業界にとって非常に異なる時期の真っ只中であることも念頭に置いておく必要があります。 ですので,現在と将来のために持続可能な方法でプラットフォームを提供していることを確かめたいのです。

我々が確実にしたいことは,業界のニーズに合ったプラットフォームを提供することです

 これは進化するニーズに対して,適切な(健全なという意味での)ピッチを見つけるということです。彼らは,作品の販売方法について実験を続けています。また,他のプログラムがゆっくりと,しかし復活しているのを目の当たりにしています。それらはE3とは規模も投資額も違いますが,我々も業界のニーズを満たすダイナミックで持続可能なモデルをどのように作り上げるか,引き続き取り組んでいかなければなりません。

Q: E3 2023のキャンペーン期間中,イベントに対する反感を感じることがありました。それはなぜでしょうか?

SPL:私はその見解にまったく同意するわけではありませんが,あなたのような見方をするのは興味深いことです。E3は,多くの人にとって多くのことを象徴するイベントであり,その遺産は常に書き残されていると思います。これはE3は,ある人にとっては懐かしく,ある人にとっては未来を象徴するものだという意味です。

 我々は,E3が我々の業界のベストを紹介する機会であり,プラットフォームであると同時に,E3で起こる素晴らしい会議を可能にするものであることを確認したいと思います。他のプラットフォームとは異なり,E3は,世界中の人々がゲームに興奮し,またお互いに興奮する姿を見ることができる唯一の機会なのです。E3に行ってよかったと思うのは,確かに発表やブースの演出のスケールの大きさかもしれませんが,それだけではなく,ビジネスやネットワーキングのために人々が集まっている姿も見られたことでしょう。E3の会場には,ビジネスやネットワーキングのために集まった人々がいました。我々は,マーケティングという側面だけでなく,このような大規模な会議という側面からも,今後,業界に対してそのような機会を提供していきたいと考えています。

Q:もっとうまくやれたことがあったと思いますか? 今年のE3はどうなるのか,コミュニケーションに問題はなかったのでしょうか?

SPL:確かに,オンボーディングの過程で,出展者を紹介して,つなげることにかなりの時間を費やしました。その結果,出展者のニーズを直接聞くことができ,そのニーズに沿った戦略やショウを作り上げることができたのです。我々は,成功のために最善を尽くており,また,ReedPopは,そのようなニーズに応えるべく,本当に本腰を入れてプログラムを組んでくれたことを理解しています。ゲーム開発のスケジュールや経済的な逆風など,このご時世に乗り越えるのは非常に困難だったと思います。

ゲーム開発のスケジュールや経済的な逆風など,このご時世に乗り越えるのは非常に困難だったと思います

 今言ったように,企業にとって,E3や発表会で行うようなデジタルショウだけでなく,物事に命を吹き込み,ネットワークを構築するための人的資源を投入することは,重要な投資です。これは,パンデミックを通じて企業が使用し,実験してきた他のプラットフォームとは,まったく異なる種類の投資になります。

Q:E3が成功するためには,任天堂,ソニー,Xboxという大きなプラットフォームホルダーが必要なのでしょうか?

SPL:E3は,このグローバルなプラットフォームでのマーケティングを希望する企業のニーズを満たすために,繰り返し実施されています。つまり,人々のE3への関わり方も変化していくのです。我々は,E3を重要なプラットフォームと考えるプレイヤーのニーズに応えたいと考えており,それは時間の経過とともに進化していくでしょう。

Q:かつて,ESAの膨大な資金がE3からもたらされていた。このことは,業界のアドボカシーという点で,他の仕事をする能力に影響を与えますか?

SPL:米国における業界の代弁者・擁護者として,我々は幸運にも,日々の仕事において会員から強い支持を得ています。ですから,E3は我々の活動の中で,多くの点で公的な役割を担っていますが,我々が最も重視しているのは,会員企業や業界の労働力,彼らが我々に文化的な形で提供しているものを擁護することです。会員企業はこのプログラムに非常に協力的であり,とくにこの業界が非常に良い意味で注目を集めて,文化的な関連性を持つようになったことで,その活力を理解してくれています。我々は,業界のニーズを考慮しつつ,我々が好意的に見られ,我々の文化的な影響力を示すような方法で提唱することを確実にしたいという思いから,プログラム制作を進めているのです。

Q: しかし,それを続けるための資金はあるのでしょうか?

SPL:E3は,我々のアドボカシー活動の予算編成に影響を与えることはありません。

Q: 業界の外から見ると,E3が中止されることは,業界がベルトを締めることを示唆しているのかもしれません。市場の状況について何か語っていると感じますか?

SPL:私は,私が見ているものについて,非常に一般的なコメントをしており,私が話していることの多くは,実際にニュースで見ていることであり,企業は非常に公的な方法でこれを報告しています。各企業はそれぞれ異なる立場にあります。すべての企業で,そのような大言壮語を切り分けることは困難です。ゲーム開発,ゲーム発売,ゲーム以外の新製品やサービスの提供など,各社が異なる段階にあることを認識することが重要です。

全体として,業界は好調を維持しているが,異なる時期に差し掛かっています

 業界全体の兆候かどうかは分かりませんが,これまで我々が過ごしてきた非常に長い期間とは違う位置にいることを示す指標であることは確かです。2012年,アメリカのゲーム業界の売上は約148億ドルでした。その10年後には566億ドル,つまり550億ドルと600億ドルの間のような数字になっていたと思います。10年間で2桁成長,ほぼ4桁成長という,業界の一貫した成長を示しています。全体として,この業界は引き続き好調ですが,同時に異なる時代に突入しています。企業は調整し,その持続可能性を維持するための正しい決断をするための方法を見つけようとしているのです。

Q:E3は2024年に復活する計画はありますか?

SPL:我々は,マーケティングや会議のための業界のプラットフォームを提供することを約束していますが,業界のニーズを満たす適切なバランスを見つけることを確認したいのです。我々が提供したいものが,そのようなニーズを満たすものであることを確認し,耳を傾けるつもりです。そのときには,さらに詳しいニュースをお伝えするつもりです。

Q:E3が復活するとしても,これまでのようなものではなさそうですね?

SPL:ESAは約30年にわたって米国で業界のために提言してきました。E3はそのうちの何年か前から運営されています。我々が産業界に提供するものの中で,重要な定番となっているのです。E3は,我々が産業界に提供する重要なアドボカシー活動の1つですが,我々は,産業界を1つにまとめて,我々が生み出した素晴らしいイノベーションとクリエイティブな作品を紹介することを本当に楽しみにしています。

 ESAは,そのような機会を提供し続けることで,今後も強力な存在であり続けるでしょう。E3がその一部であり続けることを望んでいるのですが,我々は日々の役割として,業界のための問題提議活動を続けていくつもりです。

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら