Microsoft,Activision買収に関する英国規制当局の懸念を払拭する救済策を提案
Xboxの会社は,Activisionのゲームがほかのプラットフォームやサービスに残るように,コンテンツやクラウドのライセンス契約を提案し,売却提案に反撃する
Microsoftは,英国の競争・市場庁(CMA)がActivision Blizzardの買収を承認するためには変更が必要であると指摘した後,同庁が提案した救済措置に回答した。
Xboxプラットフォームホルダーは,このプロセスで提案に基づいて行った独自の解決策を説明し,これらによって規制当局の懸念にすべて対処できると主張している。
また,CMAの救済措置案に対するソニーの回答も発表され,規制当局の提案に同意し,Microsoftがすべての懸念に対処する合意に至ることに懐疑的で,再び買収の阻止を要求している。
Microsoftの33ページにおよぶ回答書の大部分は,CMAが提案した合併前にActivision Blizzardの事業や財産を一部売却することに異議を唱えている。
Microsoftは,これらは不適切であり,部分的な売却であっても“不確実性が高く,実行不可能”だと繰り返し述べている。
同社は,売却は競争を保護するどころか,Microsoftの“重要な戦略目標,すなわちGoogleとAppleに挑戦するために十分な規模のモバイルゲーム事業を構築すること”を妨げるため,ゲーム分野で“深刻な悪影響”をもたらすと述べている。
CMAの提案どおりにActivisionの事業部門を切り離すと,Microsoftは「Call of Duty Mobile」と近日発売予定の「Warzone Mobile」,さらに「Diablo Immortal」「Hearthstone」,現在ベータ版の「Warcraft Arclight Rumble」など,Blizzardの主要モバイルゲームにアクセスできなくなるからだ。
“売却は現状維持であり,XboxとPCのゲーマーを害する”
また,売却するとおそらくPlayStationで利用可能になるため,XboxとPCで「Call of Duty」の独占コンテンツを失うと主張した。Microsoftが,任天堂プラットフォームの「Call of Duty」や,Game PassにおけるActivisionコンテンツの利益を得られないことも意味するという。
“売却は現状維持であり,XboxとPCのゲーマーを害する”と同社は続けた。「このように,CMAが部分独占によってソニーが“著しく弱体化”すると予想するならば,CMAは現状維持の取り決めによってMicrosoftが“著しく弱体化”していることを同様に認めなければなりません」
また,MicrosoftはActivision Blizzardの所有がクラウドゲーミング分野に与える影響への懸念に対して,その市場規模を考慮すると,事業売却は“まったく不釣り合い”な救済策になると述べている。
その代わり,Microsoftは合併が競争に与える影響に関するCMAの懸念を満たすと考えられる2つのライセンス救済策を提案した。
1つ目はコンテンツライセンスに関するもので,Microsoftはソニーと10年間の契約を結び,ソニーのサブスクリプションサービスやクラウドゲーミングサービスへの搭載を含め,すべての「Call of Duty」をPlayStationプラットフォーム向けに提供することを約束すると繰り返した。
Microsoftは,“PlayStationとXboxの間で「Call of Duty」の品質とプレイアビリティを同等にする”と主張した。
また,任天堂と締結した任天堂プラットフォームで10年間「Call of Duty」を提供する契約について,もう一度指摘した。
同社は,救済措置とその契約条件により,少なくとも10年間は「Call of Duty」がXboxで独占されることはない(時限独占や独占コンテンツのリリースを含む)ことを保証すると強調した。
クラウドゲーミングとサブスクリプションの分野での懸念に対して,Microsoftはクラウドゲーミングプロバイダが「Call of Duty」や「World of Warcraft」などActivision BlizzardのPC向けタイトルにアクセスできる同様のライセンス契約を提案した。
Activisionのゲームは現在,どのクラウドゲーミングサービスでも利用できない。Microsoftは,この契約によりクラウドサービスプロバイダがこれらのタイトルを発売日当日に提供できるようになると主張し,今後10年間,Activision Blizzardのゲームを“少なくとも1つのサードパーティのPCデジタルストアフロント”に配信し続けることを約束した。
同社は,これらの契約によって,ActivisionのPCゲームがXbox Cloud Gamingで独占や,時限独占される可能性があるという懸念に対処できると主張している。
また,Microsoftは,同社がこれらの契約を遵守していることをチェックする監視委員と,起こりうる紛争を解決するための独立した裁定者を任命するように,CMAに対して提案した。
ソニー・インタラクティブエンタテインメントは,13ページにわたる回答書の中で,この買収を“禁止するか,構造的救済措置の対象とすべき”だと強調した。
“SIEは,Microsoftとの合意が成立し,ましてや効果的に監視・執行されることに極めて懐疑的である”
“SIEは,Microsoftとの合意が成立し,ましてや効果的に監視・執行されることに極めて懐疑的である”と同社は書いている。
“結果として,MicrosoftとSIEの合意の基礎となるよう設計された行動コミットメントは,有効な競争を維持するような合意が成立する現実的な見込みが無いため,CMAによって受理されるべきではない”
ソニーは,構造的な事業分割は“「Call of Duty」や「World of Warcraft」といったActivisionの重要コンテンツが独立した状態で残ることを保証する”ので,CMAの懸念を払拭できると述べている。
また,プラットフォームホルダーは,Microsoftが発売予定の「Starfield」をXboxのエコシステム専用としたことを,“行動コミットメントが慎重にアプローチされるべき理由の追加証拠”だと指摘している。
CMAは,2023年4月25日までに買収に関する最終決定を発表する予定だ。
先週,欧州委員会は,MicrosoftによるActivision Blizzardの買収について,今年初めに正式な独占禁止法上の警告を発したにもかかわらず,承認する可能性が高いと報じられた。
規制当局の懸念と,この買収が直面するハードルについては,当社の広範な入門書(関連英文記事)で詳しく解説している。
Microsoftは,英国の競争・市場庁(CMA)がActivision Blizzardの買収を承認するためには変更が必要であると指摘した後,同庁が提案した救済措置に回答した。
Xboxプラットフォームホルダーは,このプロセスで提案に基づいて行った独自の解決策を説明し,これらによって規制当局の懸念にすべて対処できると主張している。
また,CMAの救済措置案に対するソニーの回答も発表され,規制当局の提案に同意し,Microsoftがすべての懸念に対処する合意に至ることに懐疑的で,再び買収の阻止を要求している。
Microsoftの33ページにおよぶ回答書の大部分は,CMAが提案した合併前にActivision Blizzardの事業や財産を一部売却することに異議を唱えている。
Microsoftは,これらは不適切であり,部分的な売却であっても“不確実性が高く,実行不可能”だと繰り返し述べている。
同社は,売却は競争を保護するどころか,Microsoftの“重要な戦略目標,すなわちGoogleとAppleに挑戦するために十分な規模のモバイルゲーム事業を構築すること”を妨げるため,ゲーム分野で“深刻な悪影響”をもたらすと述べている。
CMAの提案どおりにActivisionの事業部門を切り離すと,Microsoftは「Call of Duty Mobile」と近日発売予定の「Warzone Mobile」,さらに「Diablo Immortal」「Hearthstone」,現在ベータ版の「Warcraft Arclight Rumble」など,Blizzardの主要モバイルゲームにアクセスできなくなるからだ。
“売却は現状維持であり,XboxとPCのゲーマーを害する”
Microsoft
また,売却するとおそらくPlayStationで利用可能になるため,XboxとPCで「Call of Duty」の独占コンテンツを失うと主張した。Microsoftが,任天堂プラットフォームの「Call of Duty」や,Game PassにおけるActivisionコンテンツの利益を得られないことも意味するという。“売却は現状維持であり,XboxとPCのゲーマーを害する”と同社は続けた。「このように,CMAが部分独占によってソニーが“著しく弱体化”すると予想するならば,CMAは現状維持の取り決めによってMicrosoftが“著しく弱体化”していることを同様に認めなければなりません」
また,MicrosoftはActivision Blizzardの所有がクラウドゲーミング分野に与える影響への懸念に対して,その市場規模を考慮すると,事業売却は“まったく不釣り合い”な救済策になると述べている。
その代わり,Microsoftは合併が競争に与える影響に関するCMAの懸念を満たすと考えられる2つのライセンス救済策を提案した。
1つ目はコンテンツライセンスに関するもので,Microsoftはソニーと10年間の契約を結び,ソニーのサブスクリプションサービスやクラウドゲーミングサービスへの搭載を含め,すべての「Call of Duty」をPlayStationプラットフォーム向けに提供することを約束すると繰り返した。
Microsoftは,“PlayStationとXboxの間で「Call of Duty」の品質とプレイアビリティを同等にする”と主張した。
また,任天堂と締結した任天堂プラットフォームで10年間「Call of Duty」を提供する契約について,もう一度指摘した。
同社は,救済措置とその契約条件により,少なくとも10年間は「Call of Duty」がXboxで独占されることはない(時限独占や独占コンテンツのリリースを含む)ことを保証すると強調した。
クラウドゲーミングとサブスクリプションの分野での懸念に対して,Microsoftはクラウドゲーミングプロバイダが「Call of Duty」や「World of Warcraft」などActivision BlizzardのPC向けタイトルにアクセスできる同様のライセンス契約を提案した。
Activisionのゲームは現在,どのクラウドゲーミングサービスでも利用できない。Microsoftは,この契約によりクラウドサービスプロバイダがこれらのタイトルを発売日当日に提供できるようになると主張し,今後10年間,Activision Blizzardのゲームを“少なくとも1つのサードパーティのPCデジタルストアフロント”に配信し続けることを約束した。
同社は,これらの契約によって,ActivisionのPCゲームがXbox Cloud Gamingで独占や,時限独占される可能性があるという懸念に対処できると主張している。
また,Microsoftは,同社がこれらの契約を遵守していることをチェックする監視委員と,起こりうる紛争を解決するための独立した裁定者を任命するように,CMAに対して提案した。
ソニー・インタラクティブエンタテインメントは,13ページにわたる回答書の中で,この買収を“禁止するか,構造的救済措置の対象とすべき”だと強調した。
“SIEは,Microsoftとの合意が成立し,ましてや効果的に監視・執行されることに極めて懐疑的である”
Sony
“SIEは,Microsoftとの合意が成立し,ましてや効果的に監視・執行されることに極めて懐疑的である”と同社は書いている。“結果として,MicrosoftとSIEの合意の基礎となるよう設計された行動コミットメントは,有効な競争を維持するような合意が成立する現実的な見込みが無いため,CMAによって受理されるべきではない”
ソニーは,構造的な事業分割は“「Call of Duty」や「World of Warcraft」といったActivisionの重要コンテンツが独立した状態で残ることを保証する”ので,CMAの懸念を払拭できると述べている。
また,プラットフォームホルダーは,Microsoftが発売予定の「Starfield」をXboxのエコシステム専用としたことを,“行動コミットメントが慎重にアプローチされるべき理由の追加証拠”だと指摘している。
CMAは,2023年4月25日までに買収に関する最終決定を発表する予定だ。
先週,欧州委員会は,MicrosoftによるActivision Blizzardの買収について,今年初めに正式な独占禁止法上の警告を発したにもかかわらず,承認する可能性が高いと報じられた。
規制当局の懸念と,この買収が直面するハードルについては,当社の広範な入門書(関連英文記事)で詳しく解説している。
※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら)