「株式会社24Frameの内情暴露日誌」第27回:職務経歴書(友野祐介)


これが僕の職務経歴です(興味があれば画像をクリックしてご笑覧ください)
「株式会社24Frameの内情暴露日誌」第27回:職務経歴書(友野祐介)
 気がつけばこの連載も開始から1年が経過しましたが,このGIJE読者の皆様におかれましては,僕は相変わらずの「あんた誰?」状態でありましょう。
 なので今回は「こういう者です」と改めての自己紹介がてら「職務経歴書」的にこれをまとめてみました。

 僕がゲームの前にいた映画業界の方も含めるとマジ収拾つかないので,ここではゲーム業界に来てからの話を。

 僕の最初の,そして唯一の会社務めはレベルファイブさんでした。この時同時にほかの会社さんも受けていたのですが,チュンソフト(現スパイク・チュンソフト)さんに「来週から来られますか?」と言われて「すいません,無理です」と答え,スクウェア・エニックスさんには僕のほうから「入社時期をずらせますか?」と打診して断られ,という次第でこのようになりました。

よりどりみどりのようで,現実は甘くありません
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 なぜ入社時期をずらしたかったかというと,その時は自分が脚本・監督をやっていた映画の編集作業が終わっていなくて,これを終えてからいかねば,という真面目なんだか馬鹿なんだか分からない理由によるものです。

 余談ですがこの編集で僕はあまりにも徹夜が続き,エナジードリンクを飲み続けていたのですが,それでも効かなくなって「一番高いユンケルを飲みながら寝てしまう」という状態に突入。これ以降エナジードリンクは飲んでいません。

 で,レベルファイブさんにも入社時期を1か月ずらせないかと電話で打診したのですが,その時は事務方の女性に「うーん,社長に聞いてみますけど,仮にそれで入社自体なくなっちゃってもいいですか?」と言われ,「はい」と(やめときゃいいのに)答え,しばらく保留音が鳴った後「あ,なんか社長がいいって言ってます」との返答をいただき晴れて入社と相成りました。今ではありえないことですね。

 そんなこんなで映画からゲームへの転向を果たすわけですが,データの扱いが厳密であるという点を除けば,意外と同じような温度感で安心しました。同社はドラクエ8で有名になった影響で映像系とか色んな人が入ってきてた時期だったので,それもあったんだと思います。

 研修もそこそこに「締切が近くて大変だから」とレイトンシリーズの2作目にアサインされ,そこからシナリオを書いていくことになります。

これが実質のゲーム初仕事と言えるかと思います
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 そこで一旦作品の完成を体験し,次なる企画の「イナズマイレブン」では最初からの参加となり,箱書き(ゲームチャート)〜ライティングまでを担当することに。実機でテキストを確認しながら修正していくという作業は,映画の編集と同じ感覚で,結構ハマってやっていました。

 仕事は楽しかったんですけどイナズマイレブン2の初出荷がかなりの本数になるという速報を聞いた辺りで「すごいし嬉しいけど,これって100%会社のパワーだよね。自分の実力って実際どうなんだろう?」というのを試したくなったり,成り行きもあったりして自分で会社をやることになります。

 それで24Frameという会社が誕生するわけですが,最初は決まった仕事もないのでただの無職と同じ。大手さんの検討用の企画書をまとめる仕事なんかをして,糊口をしのいでおりました。

開発されていることは,ニュースサイトで知りました
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 とはいえそれだけでは生きていくにも限界があるなあ,と思っていた矢先,自分が最高だと思っているRPGの一つ「メタルマックス」の続編が出ると聞いて角川ゲームスさんに営業をかけ「メタルマックス3」の企画サポートに入ります。その後もお声がかかり続け,「2R」「4」とメタルマックスシリーズで色々とやらせてもらうようになりました。

 同時に企画書仕事の縁でバンダイナムコゲームス(現:バンダイナムコエンターテインメント)さんの案件でも似たようなことをしていった結果,「デジモンワールド リ:デジタイズ」のディレクターをやることになります。「リデジ」の初期はメインシナリオなど多少前任者から引き継ぎつつ手を入れ,拡張版の「デコード」ではシナリオから企画までの基盤部分をかなり一人でやってました(もちろん仕上げは現場のパワーがすべてでしたが)。若かったんでしょうねと痛感します。

当時はディレクターは全仕様を書くものだと思い込んでいました
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このシリーズにこんな形で関わることになるのは望外でした
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 そこでの無茶を面白がってもらえたのか,その先には「テイルズオブ」シリーズとの邂逅があり,最終的には「テイルズ オブ アライズ」のゲームデザインを担当することになります。

 「アライズ」では,各システムの基本の部分に噛ませていただきつつ,マップのほとんどを書いた辺りでいったん燃え尽きかけていたところに,同時に難局を迎えていた「メタルマックス ゼノ」の話が舞い込みます。

 メタルには「4」以降参加していなかったので,これも前任者からの引き継ぎ系でした。いつも大変なメタルマックスシリーズですが,今まで以上に完成が危ぶまれる状態だったこともあり,できていたデータをつなぎ合わせる方針でなんとか完成。前提となる制約は多かったですけど,細かいデータの値には結構こだわりましたね。

 その後は開発自体を自社で抱える形で「メタルマックス ゼノ リボーン」を開発し,それはそれで新しい試みだったので,その反省を活かす形でやるべきことを整理して「メタルドッグス」の制作へと進んでいきます。

 このような浮沈はありつつ「メタルドッグス」も概ね問題なく家庭用機版のリリースを迎え,僕もこの会社も曲がり角に来ているなあと思い当たり,同時にこの連載も1年,節目に節目が重なったという思いもあり,改めて自分を俯瞰してみました。

 映像界隈,スマホ系,僕以外のスタッフの活躍とか,職務経歴,社歴という意味ではほかにも色々とあるのですが,キリがないので今回はこの辺りで。それでは皆さん,また次回!

それまでの環境に比べると,自社でできることにはまだまだ制限が必要ですね
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