なぜGTA Onlineにはブランドとのコラボレーションが少ないのか?

Take-Two CEO Strauss Zelnick氏が語る,ブランドとの相性の問題,次期GTAへの適切な期待度,そしてQAの労働組合化について。

 Fortnite,Roblox,Fall Guysなどのゲームには定期的にコミック,映画,ミュージシャン,スポーツリーグ,自動車メーカーなどが登場し,ブランドコラボレーションは最近のゲームにおけるビッグビジネスになっている。

 Grand Theft Auto Onlineは,それらのタイトルと同じメタバース的な性質を多く持ち,大成功を収めた同じ階層を占めているが,そのコラボレーションの数ははるかに少なく,見過ごされがちだ。

 今週発表される決算報告を前に,Take-TwoのCEO Strauss Zelnick氏に,このゲームがブランドとのコラボレーションをもっと進める可能性はあるのか,また,過去の論争やフランチャイズの風刺的ブランドがそれを難しくしているのかを聞いてみた。

GTAの世界は架空の世界ですので,現実のブランドを取り込むには,本当に象徴的でなければならず,その世界の中に溶け込まなければならないのです

 「GTAの世界は架空の世界ですので,現実のブランドを取り込むには,本当に象徴的でなければならず,その世界に適合していなければならないのです」とZelnick氏は語る。

 「これは,Rockstarのチームによるクリエイティブな決定です。財務的な判断ではありません。我々は,消費者を魅了するためにすべてのビジネスを展開し,マネタイズは自分たちの手で行うものだと考えています。金銭的な理由だけでブランドを投入することは,どのタイトルにもありません」

 「ブランドを巻き込んだり,直接広告を出したりするのに適したタイトルはほかにあります。NBAもそうですし,PGAもそうです。現実の世界でこれらの競技の試合を見れば,広告主やスポンサーを目にすると期待できます。しかし,Grand Theft Autoでは,架空のブランドを除いて,そのような期待を抱くことはないのです。ですから,現実世界での体験を持ち込むには,消費者への配慮と感受性が必要であり,それはRockstar Gamesの得意とするところだと思います」

 Rockstar Gamesが最近,Grand Theft Autoの新作に実際に取り組んでいることを認めため,我々は1億6500万本を売り上げたGrand Theft Auto 5のような大作ゲームの続編への期待管理についても聞いてみた。そのような特異なヒットだと,続編の計算は「前作の売り上げにX%加えたもの」といった見込みが立たないのではないだろうか。

 「そうですね,おっしゃるとおりです」とZelnick氏は語った。「我々は期待に応えようとしているわけではありません。目標を作成するときの我々の仕事は,ちょうど真ん中に立って,我々が考えることを市場に伝えることです。今回も同じことをするつもりです。しかし,我々は通常,どのようなリリースでも,単に『前回のリリースにXを加えた結果』というようなSWAG(※根拠のない有識者の勘:参考URL)は使いません」

通常,我々は目標を上回りますが,それはそのために一生懸命働いたことの結果であって,何らかの形で目標を切り下げたためではありません

 「我々は,タイトルそのものと,それがどのように実行されると思うか,我々が期待するMetacriticのスコアを見るでしょう……。発売前にMetacriticの模擬採点をします。我々の予測はかなり優れています。通常,我々は目標値を上回りますが,これは目標を下げたからではなく,そうするために一生懸命努力したことの反映なのです」

 Zyngaの買収が来週完了する予定であることから,モバイルのスペシャリストがTake-Twoのコアゲームフランチャイズの安定をモバイルにもたらすという憶測についても質問してみた。Take-Twoのミッドコアゲームやコアゲームの成功は,自社で開発したものではなく,ほとんどが買収によってもたらされたものであることに言及しつつ,Zynga PokerやWords With Friendsのようなカジュアルなモバイルゲームのヒット作の学習が,Take-Twoのカジュアルではないフランチャイズに反映されるかどうかを尋ねてみた。

 「そうなってほしいですね」とZelnick氏は語る。「この買収の成功は,それに依存するものではありません」とZelnick氏は語る。我々は,将来の業績予想に収益シナジーを一切モデル化していません。今週発表する目標は,単独でのものです。8月には複合的な目標を発表しますが,その場合でも,発売されることが分かっているタイトルについてのみ予想を入れています」

 氏は,Zyngaの「Forverシリーズ」の多くは,異なる読者層に偏っていたとしても,社内で作成されたものであることを指摘している。

 「レガシーなTake-TwoのコアIPからヒット作を生み出せるかどうかという点はまだ分かりません」とZelnick氏は語る。「我々は,それがエキサイティングな機会だと思いますが,モバイルのヒット率は,彼らが家庭用ゲーム機やPCのためにあるよりもはるかに低く,我々はそれに対して健全な敬意を持っています」

競合他社にとって,組合結成が問題になるかもしれないことは理解できます

 最後に,2019年の組合結成について,Zelnick氏に投げかけた質問(関連英文記事)の続きを聞いてみた。当時,氏はデベロッパの報酬は年間平均10万ドルで,売り手市場であると述べたうえで,「その一員が組合を結成する気になるとは思えない」と述べていた。

 2年後,組合結成の動きは,Zelnick氏が述べたようなデベロッパたちからではなく,人手不足になることがほとんどないこの分野で,はるかに低い収入を得ているQAスタッフたちから始まっているのだ。Zelnick氏の組合結成に対する評価は変わっていないのか,それとも企業のQAスタッフに対する扱いがより広く変わってきているのかを尋ねてみた(とくにRockstarのQAスタッフに対する扱いは,Rockstar LincolnのQAチームのスタッフ(関連英文記事)やスタジオ自体の元責任者(関連英文記事)などから繰り返し批判を受けている)。

 「我々の文化がそれを物語っていると思いますし,本当に誇りに思っています」とZelnick氏は語る。「そして,我々は社員第一の会社です。我々はすべての人々を大事に扱っており,これは簡単にお分かりいただけると思っています。また,給与はビジネス界でも最高水準にあり,QA部門を含めて非常に競争力があります」

 「ですから,我々の立場でも同じことが言えると思います。しかし,競合他社が組合結成を問題視するのも理解できます」

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら