「株式会社24Frameの内情暴露日誌」第18回:ゆく年,くる年,光陰矢の如し
前回は僕の過去物語,題して「アオムラサキノホノオ(仮)」に戻ると予告したものの,この年の瀬にふさわしいのはやはり振り返り企画ではないか,そして過去物語の時代だと振り返り過ぎなので,やっぱ今年の振り返りでいこう,ということで今回も予定変更して進めてまいります。
とはいえコロナ禍とか解散総選挙とかを僕が振り返っても何の含蓄も記憶もないので,辛うじて自己責任が保てるこの連載の1年,特に各話タイトルに込めたパロディの元ネタを振り返って行きたいと思います。これは何も,ここで密かにボケているつもりが何処からもツッコミが来ないことを年の瀬の雰囲気と相まって寂しく感じてしまったから……ではありません。
では早速やっていきましょう。
「第1回:銀行員がやってきた! YAH YAH YAH!」
これは当初カタカナで「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」表記だったのですが,それを担当編集のN氏が気を利かせて「YAH YAH YAH!」にしてくれたという経緯があります。
当初の表記は僕としては「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」になぞらえたつもりが,お前にはチャ○アスがお似合いだ,とばかりに初手から修正を食らってこうなっております。
そこへのアンサーとして
「第7回:追いかけて,追いかけても」
があるのですが,これはチャゲ○スの「太陽と埃の中で」の一節ですね。SAY YES以降世代にはこれも「なんのこと?」状態でしょうが,この辺りからも僕がチャ○アスを信奉していることは間違いなく,N氏は慧眼であったと言わざるを得ません。2〜3回はまあ置いといて,次は
「第4回:リモートワークの極み」
ちなみにこの本も元々は「小さなチーム,大きな仕事」というタイトルでだいぶ前に出ていたものなんですが,コロナ禍に有益だろってことで改題されて再販されてます。厳選勢かと思いきや,意外と小回りがきくのがハヤカワNFなんですね。
僕は本屋に行ってもハヤカワ文庫NFのコーナーを必ずチェックして新刊が出ていたら何でもとりあえず買う,みたいな人間ですが,この悪癖も来年は是正していきたいですね。
「第5回:カネがないのは首がないのと同じ」
この「できるかな」の題材が「脱税」だというアニメ業界も真っ青な青色申告著書からです。時節柄きな臭いので,この話題はこれ以上掘り下げません。
「第6回:かくも永き不在(カレーの具の)」
そんな文脈に仏文学の香りが格調高すぎて照れ隠しにカレー云々をくっつけてみたら,このくだりがかつてないほど評判が悪くてですね……。「おお神様!頼りがないのは良い知らせ,というのはネット社会でも揺るがない人類の真理なのですね!」と,僕は天を仰ぎました。「第7回:追いかけて,追いかけても」は上述の部分をご参照いただくとして,
「第8回:そのスピードで!?」
は,かつてあったthe brilliant greenという音楽グループの曲名から。最近?だとトミー○ェブラリーといったほうがいいのでしょうか。
このグループ名,ましてや曲名が分かる方はおそらく1978〜1982年生まれ限定ってことになると思いますが,どうでもいい情報ついでに言いますと,このボーカルの方はどうやら僕と同郷らしく僕も名前を知っているとある女子校に通ってらしたそうです。
ご本人にお会いしたことはまったくないのですが,彼女が女子高生ブーム(そういうのがあったんです,昔)の最中に女子高生をしている傍らで,僕は男子校に通いながら担任の教師に「お前は必ず社会的に抹殺される」と宣言された(三者面談で)のも,今ではいい思い出です。いや具体的に悪いことは何ひとつしてなかったんですけど,教師のメンタリティというものは時に実に複雑であるといえましょう。
さて,残りは
「第11回:リリース&アップデート!」
イギー・アンド・ザ・ストゥージスの曲名「サーチ・アンド・デストロイ」から……ですがこれは「パロってます」と言われても無理がある分かりにくさですね。
「第12回:相談するは我にあり」
今村昌平監督の映画「復讐するは我にあり」から。
「第15回:プレゼンへの道」
これは,ブルース・リー「ドラゴンへの道」からです。
当連載とは正反対の内容です |
どちらかというとカウボーイビバップのことを思い出しますね |
「第17回:採用戦線異常……なし?」
「就職戦線異状なし」という金子修介監督の映画から,ですが,僕はこの映画をきちんと見たことはなくて,主題歌の「どんなときも」が初めて買ったCDシングルだったことに強い郷愁を覚えるものです。
僕は1980〜90年代の邦画を通じて当時のバブル的な時代を対象化する,という作業が大好きです。今や国際映画賞常連の黒沢 清監督の「スウィートホーム」が今では絶版状態でまさか黒歴史化しているのか? ゲームは名作なのに。などという疑問に謎の感慨を覚えるような人間なのですね。
バブルに乗り遅れ,その後いきなり勝手に「ロストジェネレーション」というあだ名を付けられた僕以降の世代が抱える閉塞感。それを打破するために僕は作品を作っています。
僕が文脈に依存することなく一番好きな映画は「ミツバチのささやき」というスペイン映画なんですけど,この慢性的な国内斜陽経済の中では,そのナイーブな同好のスモールサークルさえ守り切ることはできません。
そのような状況下で僕にできることといえば,スペイン内戦をメタファにして静かな表現の中に世界への批評を忍ばせる,というヴィクトル・エリセ監督が残してくれた武器で,いかなるゲリラ戦を繰り広げるべきか?と夢想するばかりなのです。
その結果は今回のタイトルをご覧いただくとして,これを読んでくれている皆様,今年1年,お付き合いいただきありがとうございました。できれば来年もどうぞよろしくお願いいたします。
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