「株式会社24Frameの内情暴露日誌」第17回:採用戦線異常……なし?
採用ってのは難しいですね。よくよくみていくと大体の会社は苦労しているところなんです。
何が大変かというとまず,選考が大変とかそういうレベルではなく,僕らの場合は人材を募集していても「気づいてもらえない」というところから始まります。
まあ,当たり前で業界経験者,例えば僕が再就職するとしても,知っている会社を知っている順番に受けていくわけで。24Frameという会社の存在に気づくまでに255社は見ているでしょうし,そこで条件がさらに合致する可能性となると,65535分の1,いやそれどころか天文学的な,まさに宇宙で素粒子が激突する確率に等しいかもしれません。
素粒子物理学ですらスーパーカミオカンデなどという常軌を逸したハードウェアを用意してその邂逅に備えているというのに,僕らとしたらぼんやりゲームを作っているだけの存在です。
まあ煎じ詰めて考えれば知名度,ということにもなるのですが,「テイルズ オブ アライズ」のゲームデザインまでさせてもらっておいて知名度がないってどゆこと? などここには永遠に解けない千年パズル並みの深淵な問いが潜んでいます。また,仮に知名度があったとしても内実が伴っていないと看板詐欺師みたいになっちゃいますし,会社の内実にもレッツ触れていきましょう。
そもそもウチぐらいの規模では,「1作品作ったメンバーたちがラインごと独立」ってパターンが多いのですが,この会社は僕が勝手に手違いまじりに立てたものなので,初期パラメータは人数1人,開発力は0からスタートです。
そこから偶然にもメタルマックスやらデジモンワールドやらのディレクションやらシナリオやらを担当させていただく機会を得て現在に至るわけですが(この辺りは前回までやっていた過去話の続きで追っていこうとは思いますが)その中で,基本的にはすでにある母体に入り込んで個人ではっちゃける,という構造でした。さすがに忙しくなりすぎたんでクライアントさんから「友野さんのサポートスタッフも入れていいですよ」なんてことも言われ,個人が拡大していくわけです(ちなみにこの辺り,2010年代前半の僕は常に2〜3本受け持つディレクター状態で,一日平均18時間くらい働いていました。結果として僕は年齢にしては相当ディレクション経験が多い人間だと思いますが,だとしても知名度には以下略……です)。
今でこそ距離近めのメタルマックスシリーズも,4以降に僕は関わっていなかったんですが,相変わらずの炎上ぶりという極限点で呼び戻され,そこからはちょっと自分のコントロール領域を広げたほうがいいのでは……と思い,初の自社開発というのをやってみようと思い立ったのが設立から10年目の2年前,ですね(やや戦慄)。
設立して10年経って(ヒィ〜)ただのフリーランスがいきなり開発会社になり始め,そっからさらに2年が経った,そのあたりの流れは「こちら」を御覧ください。
まあ,そういう感じで中に入れば良くも悪くも変なダイナミズムはある会社と言えます。フリーランスの助っ人としてはそこそこの社歴(僕以外のメンバーも沢山活躍して各社の用心棒やってます)ですが,開発会社としてはほんとこれから。
完全リモートですし,経験者は給与の希望にもできるだけ沿います。新人さんの初任給は僕の経験とズレがないように,をベースにある程度のルールがあり。僕が会社に入ったときは倍率n百倍とかでしたが,そこに入るより遥かに簡単に同じ額の初任給が得られます。残業は局面次第もあって完全ゼロにするのは難しいですが,禁止の傾向あり。とはいえ,額面は外資系の金融とかに比べたらもちろん少ないですよ。その分外資は入るのがムズいとか勤続年数持続がさらにムズいとか,まあ,いろいろあるんですが。
ちなみに僕が働きすぎた際のお金で,すでにほぼ使われていない会社の内装はまあまあ頑張りました。結構な有名百貨店とかも手掛ける知り合いの会社に頼んで。
総じて,ごちゃごちゃしている会社成長の面白さと,まあ人間関係は良好だと思うんで,大手の人間関係に疲れた人は,人生に一度くらいはこういう会社で働いてみるのもいいんじゃないでしょうか。だめでしょうか。気が向いたら「こちら」をクリックしてみてください。
と予告編的に最近の外郭を語り終えたところで,次回は昔語り編に戻ります。それではまた再来週!