同社の新しいApp Store Small Business Programでは，年間100万ドル未満の収益のスタジオは，手数料削減の恩恵を受けることができる。

　Appleは，デベロッパがiOSストアを利用するために支払わなければならない手数料を削減する「App Store Small Business Program」と呼ばれる新しい取り組みを発表した（参考URL）。

　2021年1月1日からは，前暦年の収入が100万ドル未満の企業は，アプリやアプリ内課金によるApp Storeの収益に対して支払う必要がある手数料は15％のみになるとAppleは語る。

　年間100万ドル以上の収入を得ているデベロッパに対しては，Appleの取り分は30％のままとなる。この取り組みの詳細は12月上旬に発表される予定だ。

　2021年からApp Storeスモールビジネスプログラムの対象となるには，2020年にApp Store上のすべてのアプリで得た収益が100万ドル未満である必要がある。

　App Storeを初めて利用する人も申請できるが，年内のどこかの時点で100万ドルの上限を超えてしまった場合は，残りの年は標準レートが適用される。一方で，その年の間に収益が閾値を下回っていても，翌年まで減額の再申請はできない。

　AppleのTim Cook最高経営責任者（CEO）は，中小企業は世界経済の "バックボーン "であり，それが今回の方針変更を後押ししていると語る。

　「我々は，中小企業のオーナーがApp Storeで創造性と繁栄の次の章を描き，顧客に愛されるような質の高いアプリを構築するのを支援するために，このプログラムを開始します」とコメントしている。

　Appleの30％カットは今年に入ってから炎上しており，ForniteのデベロッパEpic Gamesとの論争の中心となっている。8月には，EpicがAppleの手数料を回避するためにゲーム内で直接支払いを実装したため，AppleはApp StoreからFortniteを削除した（関連英文記事）。EpicのTim Sweeney最高経営責任者（CEO）は，7月にAppleが「狂ってしまった」と語り（関連英文記事），常にiOSストアのモデルを批判していた。同じ頃，欧州委員会はAppleに対して独占禁止法違反の調査を開始した（関連記事）。

　Epicは8月にAppleを反トラスト法違反で提訴し（関連英文記事），9月にはAppleが反訴した（関連英文記事）。紛争の最新の展開では，裁判官はAppleによる窃盗の主張を棄却した（関連記事）。

　30％は高すぎるという意見がデベロッパの間で一般的には一致しているようだが，GamesIndustry.bizの寄稿編集者Rob Faheyは7月に，代替的な数字についてのコンセンサスがほとんどないことを強調している（関連記事）。

更新: モバイルトラッキング会社のSensor Towerは，文脈の中でのAppleの動きの重要性を示すいくつかの統計を送ってきた。同社によると，同社が追跡しているパブリッシャの97.5％は，昨年のApp Storeでの売上が100万ドル未満であり，それらをすべて合わせても，プラットフォームの総売上のわずか4.9％を占めるにすぎないという。

追加取材はBrendan Sinclairが行った。