Matt Candler氏が，オリジナルデベロッパであるHuman Headの終焉から，新しいスタジオを立ち上げるまでについて語ってくれた。

　Rune 2の開発元であるHuman Headの予期せぬ解散を受けて，パブリッシャのRagnarok Gamesは，アクションRPGの仕事を引き継ぐために特別に新しいスタジオを設立した。

　Rune 2は，11月12日にEpic Games Storeで発売された。その翌日，Human Headは閉鎖を発表してRagnarokを大いに驚かせた（関連英文記事）。そのスタッフはBethesdaが所有するRoundhouse Studiosとして再編成された（関連英文記事）。

　そのため，Ragnarokはパッチ適用と継続的なサポートを必要としており，2つの大きな問題を抱えていた：作業するスタジオがないこと，そして作業するソースコードがないことだ（関連英文記事）。

　先週GamesIndustry.bizとのインタビューで，RagnarokのマネージャーでありRune 2のエグゼクティブプロデューサーでもあるMatt Candler氏は，1つの問題を解決することが自然ともう1つの問題を解決することにつながったと語っている。


　1月には，RagnarokがRune 2のソースコードとアセットが入ったハードドライブを受け取ったことを明らかにした（関連英文記事）。しかし，Candler氏によると，Ragnarokはまだプロジェクトの完全なバージョン履歴を持っておらず，「重要なビルド構成がいくつか欠けており，作り直さなければならなかった」とのことだ。

　氏は，Studio 369 CTOのDan Nikolaides氏を含む，以前に一緒に仕事をした経験のあるデベロッパを集めて，彼らが作業可能なビルドを再構築するのを手伝ってもらい，彼らはすぐにゲームのためのクオリティオブライフパッチを作成した。

「1月，2月，3月と仕事が多かったので，『我々はいい仕事をしてるんだ，会社を作るべきだと思う』と言ったんです」

　「そして，我々は掘り下げて言ったんです」と氏は語る。「 『何を直したいのか？』 戦闘，AI，敵の出現方法，戦利品システムなどを修正したいと思っていました。基本的には，『これは楽しくない』と言っていたゲームシステムをすべて修正したかったのです」とCandler氏は語る。「飢餓や凍結などのサバイバル要素は排除しました」

　いつの間にか，彼らはほぼ十数人がプロジェクトに取り組んでいた。

　Candler氏は説明した。「1月，2月，3月と仕事が多かったので，『我々はよい仕事をしているんだから，会社を作るべきだと思うんだ』と言ったんです。チームを結成して開発を引き継ぎ，このチームがゲームの顔となって，実際に誰がやっているのかをファンやコミュニティが理解できるようにしたいと思ったのです」

　3月上旬に決定し，3月31日に正式に設立された。現在，Studio 369には14名が在籍しており，年末までにはその数を倍増させる予定だという。開発者の中でHuman Headでの経験があるのは1人だけだ。

　Candler氏のStudio 369がゲームに変更を加えているリストを見ると，ビジョンの問題が浮かび上がってくる。結局，Human Headはフランチャイズの生みの親であり，Rune 2のオリジナルデベロッパだった。そして，明らかにいくつかのハードな感情がある一方で ，― 進行中の法的な戦いは言うまでもなく ― 物事が実行された方法については，我々は，彼がオリジナルのクリエイターが心に持っていたものに忠実であることを維持する義務を感じているかどうかをCandler氏に尋ねた。

Studio369のRune 2に対するビジョンはHuman Headとは異なる

　「我々の義務は，ファンの方に楽しんでもらい，お金分の価値を手に入れたと言ってもらえるような楽しい商品をお届けすることです」と氏は語っている。「新しいチームとHuman Headとの最大の違いは，アイデアや質問が出てきても，『ああ，できるよ』と答えが返ってくることです」

　「新クエストの追加は可能か？」「ああ，できるよ」

　「村人を作れる？」「ああ，できるよ」

　「建物を破壊できる？」「ああ，できるよ」

　「群衆モードはできないのか？」「ああ，できるよ」

　「巨人のAIを修正して，森の中を走ったときに木が割れるようにできないか？」「ああ，できるよ」

　「（Human Headと）一緒に仕事をして，『これはあなたのIPだ。これをできるだけ素晴らしいものにするために，あなたはできる限りのことをする必要がある』と言ったのは，まさにシュールな経験でした。それなのに，ゲーム性を向上させるために何かをしてほしいとお願いするたびに，その答えはほとんどノーでしたから」

　Candler氏は，このような否定的な回答はプロジェクトの終盤に向けてより一般的になったことを認めており，ゲームを出荷する時期になってくると，これは「ある種の普通のこと」だと語る。しかし，Rune 2の開発プロセスを通して，「常に実行に失敗がありました」と語っている。

「ゲーム業界にはいろいろなごまかしがありますよね。みんな狂った話を聞いたことがあります。しかし，ある時点で人は義務を果たさなければなりません」

　ゲームはローンチ時には事実上死んでいたが，RagnarokとStudio 369はその災難から何かを救い出したと氏は語る。

　5月にスタジオは，戦闘やプレイヤーの進行を一新し，ゲームの世界に村のような新機能を追加する「The Lazarus Update」をリリースした。

　次に大きな変更点としては，ゲーム全体のストーリーの書き換えとナレーションの再録，最大30人までのマルチプレイヤーモードの追加などが挙げられる。

　プレイヤーやストリーマーからのフィードバックを可能な限り取り入れており，Ragnarokが権利を持っていないオリジナルのRuneのリメイクなど，いくつかの要望は実現できないものの，Candler氏によると，チームは改造ツールのようなものを模索しているとのことだ。

　Candler氏はRune 2の状況が安定し，ゲームの継続的な開発を阻む大きな障害が取り除かれたと語っているが，Human Headのサーガ全体のページをめくる準備ができているわけではない。現在進行中の訴訟のほかにも，Ragnarokは法的にはまだ Human Head から IP のライセンスを取得しているため，この契約が続く限り，同社はこのパートナーシップの厄介な影響を乗り越える必要があるだろう。

　「このような行動は許されるべきではありません」とCandler氏は語る。「ゲーム業界にはいろいろなごまかしがありますよね。みんな狂った話を聞いたことがあります。しかし，ある時点で人は義務を果たさなければなりません」