Angry Birdsから10年。モバイルゲームに影響を与えた12作から占う今後の市場動向
NewZooの調査によれば,2018年の時点でモバイルゲームが家庭用ゲームやPCゲームよりも遊ばれるゲームとなり,ARやVRなどを駆使した革新的なモバイルゲームの登場によって,3分の2以上のスマホユーザーが週に3〜4回もモバイルゲームで遊ぶようになったという結果も出ています。
ことゲームにおいては「不自由な携帯ゲーム機」のように扱われていた初期のスマートフォンが,これまでとは違うゲームとの付き合い方ができるデバイスであることを最初に教えてくれたのは「Angry Birds」でした。Angry Birdsは2009年12月にリリースされています。そして大々的なヒットを記録し,現時点でちょうど10周年を迎えたところです。本稿では,この機会にモバイルゲーム業界に影響を与えたゲームタイトル12本をピックアップして,歴史を振り返るとともに,今後10年の展望について考察していきます。
Angry Birds:
Doodle Jump:
Fruit Ninja:
Infinity Blade:
キャンディ・クラッシュ・サーガ:
クラッシュ・オブ・クラン:
Geometry Dash:
クロッシーロード:
Kim Kardashian: Hollywood:
ポケモン GO:
クラッシュ・ロワイヤル:
フォートナイト:
2019年の動向
さて,スマートフォンによって,ユーザーが情報やサービスへすぐにアクセスできるようになっただけでなく,スマートフォンはゲームの遊び方まで変えています。
その傾向は2019年も変わることなく,さまざまなテクノロジーやキャラクターを活用したモバイルゲームが登場し,Apple Arcade・Google Play Passなどのサブスクリプション型モデルが発表されるなど,モバイルゲーム業界にとって非常に大きな1年となりました。
2019年のモバイルゲーム市場は685億ドル(予測値)となり,その市場規模は年々上昇傾向にあります。また,2019年下半期にはシューティングゲームの「Call of Duty」やレースゲームである「マリオカート」のモバイル版が登場したことで世界中で人気を博しました。さらに,日本では位置情報ゲーム「ドラクエウォーク」が登場し,Googleの検索ランキングで5位に入るなど,社会的にも注目を集めました。
このように知名度の高いキャラクターを活用したモバイルゲームの登場が注目を集める一方,ゲーム市場において,ハイパーカジュアルゲームの存在も無視できないものとなっています。App Annieが今年に発表した年間レポートによると,2018年と2019年に登場したゲームアプリで最もダウンロードされたゲームタイトルでは,トップ10のうち,ハイパーカジュアルゲームが7本を占める結果となりました。
モバイルゲームの今後10年
過去10年間でモバイルゲームは大きな進歩を遂げましたが,一貫して変わらないのは,プレイヤーが「外出先でもゲームをプレイしたい」と考えていることです。テクノロジーが進化するにつれ,グラフィックスやゲームプレイは高度になりましたが,その一方で多くのユーザーが「シンプルなゲームに楽しみを見出している」ことに変わりはありません。近年のハイパーカジュアルゲームの人気の高まりをうけ,1970〜1980年代に発売されたシンプルなアーケードゲームの人気が再燃していることは,その裏付けと言えるのではないでしょうか。
これまで同様,今後10年間においても,プレイできるゲームは今まで以上に増えていくと予想されています。 Google StadiaやMicrosoftのProject xCloudのようなゲームストリーミングサービスが,高度なグラフィックスを採用したゲームを配信し,その可能性を広げます。モバイル通信における速度の関係で,外出先でゲームストリーミングを楽しめるのは数年先と予想されていますが,5Gの登場によって,そのスピードはますます加速すると期待されています。
一方で,モバイルに特化したゲームは,今後も引き続き市場を席巻すると予想されています。プレイヤーはゲームをダウンロードしてすぐにプレイしたいと考えていることは変わらず,シンプルな構造とグラフィックスのモバイルゲームは,外出先のちょっとした時間に遊びたいという多くの人の欲求に応え,今後も成長し続けるでしょう。ここ数年間で,モバイルを通じて,ゲームを楽しめる環境は著しく進化を遂げましたが,今後10年でさらに良いものになっていくと確信しています。
林 宣多(はやし・のりかず)
AppLovin日本法人代表取締役。GREE,Yahoo! Japanでの広告プロダクト立ち上げ後,米国に拠点を移し,設立直後のAppLovinに参画する。AppLovin本社の営業責任者として事業の成長をけん引した後,2016年4月にAppLovin日本法人の代表取締役に就任する。
AppLovin日本法人代表取締役。GREE,Yahoo! Japanでの広告プロダクト立ち上げ後,米国に拠点を移し,設立直後のAppLovinに参画する。AppLovin本社の営業責任者として事業の成長をけん引した後,2016年4月にAppLovin日本法人の代表取締役に就任する。