【月間総括】ついにPS5正式発表,「リングフィット アドベンチャー」は「Wii Fit」の道をたどれるか
内容は,
- 名称は「プレイステーション 5」
- 発売時期は2020年の年末商戦期
- コントローラにハプティクス機能を搭載
- 性能面の話はオンラインメディア「WIRED」にて発表
であった。
発売時期については,エース経済研究所は既に2020年の年末商戦期と想定しており,ほぼ予想どおりであった。
任天堂の故・山内氏がGCの発売が2001年7月から9月になった際,「クリスマスに間に合えばいつでもいい」といったように,ゲーム機の発売はクリスマス前が最適との考え方が当たり前であり,きわめて常識的な判断だろう。
コントローラのハプティクス機能は,歴代のDUALSHOCKが振動機能を搭載していたほか,より高度なものも,すでにNintendo SwitchがHD振動として搭載しており,サプライズとは言い難い。Switchの場合はLiteで削除されたことも考えると,ゲーム機の販売に大きな影響が出るとも思えない。よって,この点はニュートラルに考えていいだろう。
開発費の高騰は避けられないにしても,最初の段階ではインストールベースの大きいPS4とのマルチで解決する形で展開することになるだろう。
残るは価格である。エース経済研究所では,499ドル(以下すべて税別),4万9980円と想定している。日本にいると実感はないが,海外では緩やかなインフレが続いており,499ドルは許容される価格帯になってきていると考えている。
実際,Switchは299ドルと,これまでの任天堂据え置き機よりも50ドル近い上昇であったが,普及ペースはWiiを上回る結果になっている。
また,1万9980円と価格を抑えたSwitch Liteが発売されたあとも2万9980円の従来型Switchのほうが実売台数は多い。このようにゲーム機はそもそも価格弾力性が小さいことを考えると,購入の障壁にはならないだろう。
エース経済研究所では,高性能なスペック,多くのソフトラインナップを考えると初年度600万台,翌年度1500万台の販売予想が妥当だと考える。今後,ゲーム市場でのPS5に対する期待が大いに高まるだろう。
ただ,エース経済研究所ではゲーム機の販売を決める要因はデザインとプレイスタイルだと見ているため,現状では売れるかどうかについては,確定には至っていないと考えている。
まず,PS5のプレイスタイルはPS4とほぼ変わらないだろう。これほどのスペックのゲーム機が持ち運べるとは考えにくい。大画面テレビと接続することで美麗なグラフィック,高音質を楽しむスタイルになるはずだ。
デザインはまだ,分からない。排熱などの要素で大きく変える余地も残っているためだ。
そして最後に,もう一つ述べておきたい。それは日本での発売時期である。PS4は,米国よりも3か月以上遅れての発売となった。この点は,PS5ではぜひ改めていただきたいものである。Switchの成功で,ゲーム専用機市場は国内でも十分成り立っていることが分かったはずだ。米国に次ぐ市場規模のマーケットに対して,SIEもMSも軽視しすぎであると,エース経済研究所では考えている。
ファミコンがゲーム機以上のディファクトスタンダートとなって以来,ゲーム市場のトレンドは日本発という状況が続いている。この点にぜひ,留意していただきたいということである。
その点からすると,遊べる場所が限られるリングフィット アドベンチャーはヒットが難しいと考えていた。よって,メディアや投資家向けの参考情報で一度も,リングフィット アドベンチャーについては触れてこなかったのだが,一部では「Wii Fit」の再来が期待されていたようである。
Wiiはゲーム機というよりも,異質なもの,未知なものとしてユーザーには認知されていたこともあって,ゲームよりも「Wiiスポーツ」や,Wii Fitのような従来にはなかったようなゲームが楽しまれていたが,Switchはデザインやプレイスタイルは従来のゲーム機の延長線上にあるもの,未知のものを楽しむようにはできていないと考えている。
まだリングフィット アドベンチャー初週しかデータ(ファミ通調べで約6.8万本)が出ていない(執筆時点)ため,判断は難しいが,ラボのバラエティキットの初週を下回る水準であることを考えると,成功とは言い難いように見える。
資本市場では,過去の類例から類推されることが多いため,Wii Fitの再来を期待するのは無理からぬことだが,任天堂は非連続な成長を目指して,その都度,大きな変革を行う企業のため,類似事例で予測することはリスキーなケースが多いように思う。
AV機器,家電,電子部品,通信,運輸と幅広い分野を見てきた経験から見ても,モノの購買動機には視覚情報の占める部分が極めて大きい。
おそらく,もう任天堂は理解していると思うが,消費者がすでに「Switchはゲーム機である」と認知している状況下で,新しい未知の体験は好まれないのである。
任天堂は大胆な変革を実施する傾向があるため,ゲーム機の当たり外れが極端に大きくなりがちである。定説となっているゲームタイトルでゲーム機の販売が決まるのであれば,「マリオ」「ゼルダ」「カービィ」「ポケモン」「メトロイド」「スプラトゥーン」「どうぶつの森」と強力なIPを持つ任天堂がここまでゲーム機販売のバラツキが大きいことを説明できない。とくにSwitchは,必ずしも,サードパーティの有力タイトルが揃っていたわけでもない。むしろすでに発売されていた過去作のリマスターや移植中心である。にもかかわらず,PS4との着荷台数比較では遜色ない販売である(下図参照)。
発売から10四半期の着荷台数推移
エース経済研究所としては,任天堂のゲーム機は短命であるという多くの人の先入観を払拭するためにも,2年ごとにマイナーチェンジを2回行い,ライフサイクル全体を6年に延ばすプランを提唱したい。実際,Liteの投入後,Switch全体の販売は大きく伸びている。
定期的なマイナーチェンジを行うことで,今までと違う結果が生み出せるはずである。
発売から250週のゲームハード販売推移
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