UnityによるImprobableのライセンス失効によりSpatalOSのゲームは脅威に晒されている
Unity Technologiesのサービス利用規約変更は,ImprobableのSpatialOSプラットフォームを使ったUnityゲームを脅威に晒している。
1月10日にImprobableから発表された声明では(参考URL),Unityは2018年12月4日にサービス利用規約を変更し(※ドキュメントの更新日付は2019年1月4日となっている),1月9日にImprobableに変更を明らかにした。
その結果,Improbableは「すべての現存するSpatialOSとUnityで作られたゲームは,すべての開発者の製品版ゲームと開発中ゲームを含めて,Unityのライセンスに違反することになった」と語っている。
新たなサービス利用規約は,「とくにImprobableのようなサービス」とUnityを使ったゲームを禁止するものとなっている。これは過去の規約の更新では見られなかったものであり,競合するEpic GamesのUnreal Engineのような技術にはない事例だ。
※SpatialOSは,クラウド上でマルチプレイヤーゲームを動作させるためのプラットフォームであり,ゲーム自体はUnityかUnreal Engineで制作することが前提とされている
Improbableによると,この開発は「オープンな商業的交渉」から始まったものであり,二つの会社が協業する道を探すことを目標としていたという。
代わりに,Unityの新たな規約は多くの開発中のゲームの未来を危険に追い込んでいる。Improbableのエンジンに対するライセンスも取り消された。これはUnityで作られたSpatialOSのサポートを妨害するものである。
「一晩で,Unityによるこの行動は直接的に業界中に害を及ぼしています」-Improbable
「一晩で,Unityによるこの行動は直接的に業界中に害を及ぼしています。これには非常に脆弱ないし小規模のデベロッパが含まれており,開発中の主力製品へのダメージは何年間も続きます」とImprobableは声明で語っている。「次世代マルチプレイヤーゲームを提供するというSpatialOSの約束に基づいて出資を受けていたゲームは,フロントエンドエンジンの選択で存続の危機に瀕しています。サービス中のゲームは合法的なものとなりました」
ImprobableはUnity Technologiesへの「多大な敬意」を強調している。そして新しい利用規約をユビキタスエンジン企業による「判断ミスないし調整の失敗」として悲惨な結果だと位置づけている。
Improbableは,規約の撤回が理想的な解決策だと述べている。しかし,そういった交渉が行われる間に,現在財政危機に瀕しているパートナーを助けるために緊急融資を設立している。Unityを使っているデベロッパがプロジェクトを別のエンジンに切り替えることが一つの可能性として浮上するが,Improbableはそれは「最後の手段」だとしている。
多くのSpatialOSのゲームはUnityエンジンで作られている。これには昨年ローンチされたBossa StudiosのWorlds Adrift(関連英文記事)や未リリースながらKlang Gamesの野心的なMMO Seed(関連英文記事)が含まれる。
我々はImprobableとUnity Technologiesにコンタクトを取りコメントを求めた。この件はまだ終わっていない。
更新:Improbableから,UnityがSpatialOSを「ストリーミングとクラウドゲームの制限」に関するサービス規約変更のためブロックしていることを確認した。
その項目の全文は以下のとおりだ。もしくはUnityのサービス規約2.4章で確認できる(参考URL)。
更新:Bossa StudiosはUnityとImprobable間のトラブルに関わらず,Worlds Adriftは「通常運営」されているとコミュニティを安心させていた。
Twitterで行われた声明では,英国スタジオは,SpatialOSは「Worlds Adriftサーバーの基盤となる技術」ではあるが,Bossaはプレイヤーのゲーム体験を守ることに注力し続けるとしている。
更新:Spilt Milk Studioは,サービス利用規約変更によるImprobableとUnity間の紛争のためにゲームをオフラインにすることを余儀なくされた最初のデベロッパとなった(参考URL)。
英国のインディはTwitterで(参考URL),ゲームLazarusのサーバーは「期間未定でダウンする。基本的になんらかの方法で紛争が解決するまで」としている。Lazarusはオープンαがプレイアブルな状態であり,Steamで2019年3月にリリースされる予定だった。
Attention Travellers,
— Worlds Adrift (@WorldsAdrift) 2019年1月10日
We’ve just been made aware there is a situation developing between Improbable (makers of SpatialOS, the technology underpinning the Worlds Adrift servers) and Unity (the technology we use to create the game itself). The details are still sparse.
更新:Spilt Milk StudioはLazarusサーバーを復活させた。Twitterでは「我々にはなにが起きているのかさっぱり分からない。我々は今日の午後2時半にサーバーへのアクセスが取り消されると通達されたが,どうもそうではないようだ。サーバーが強制的にダウンさせられるか,停止するように言われるまで,我々はLazarusのサービスを継続する」(参考URL)
※記事に見る事件の流れ
- 2019年1月11日1時(日本時間):本記事
- 2019年1月11日3時(日本時間):ImprobableのCEOによるUnityのサービス利用規約変更は気違い沙汰だとする記事
- 2019年1月11日9時(日本時間):UnityによるImprobableの主張は間違っているという記事
- 2019年1月11日12時(日本時間):Epic GamesとImprobableがもっとオープンなエンジンを使おうと2500万ドルの融資を立ち上げた記事
※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら)