私のお金はどこに? Part4:ローカライズについて

AurumDustのNikolay Bondarenko氏は,ゲームを他国の市場用に翻訳する際の特典,プロセス,価格についての話を始めている。

 我々はすでにSteamとサードパーティ配信ネットワークがどのように動いているのかその他のオープンプラットフォームはまだ生き残っているのかバンドルとクラウドファンディングはどのように働くのかの詳細について話してきた。この記事では非常に狭い分野「ローカライズ」にフォーカスしていきたい。

 私は,なぜ自分がローカランズについて語る資格があると考えているのかを簡単に説明しておくべきだろうと感じている。私が商用ゲームのローカライズと適応に遭遇したのは2006年のことだった。それ以来,デベロッパとして私はPC,ブラウザ,そしてモバイルの翻訳を統合しなくてはならなくなった。

 私はパブリッシングチームの一員として(そしてクソ高いTradosの代わりになるモノを探し続けていた者として)ローカライズ用のツールを開発した。2年前,私は道を誤ってしまい,コミュニティベースの翻訳というウサギの巣穴に迷い込んでしまった。巨大プロジェクトのローカライズは怖くないが, そのときばかりは身震いと歯軋りが止まらなかった。

私のお金はどこに? Part1:Steamの経済学

私のお金はどこに? Part2:戦利品を山分けする

私のお金はどこに? Part3:ハンティングから収穫へ



ローカライズとはなにか?


 ローカライズのプロセスは,決してゲームのテキストを翻訳するだけではない。それには品質保証や翻訳文の統合されたゲームのテスト,そして地域の要請に従ってテキストを適合させることなどが含まれる。以下は,ローカライズプロセスの最も重要な側面の概要である。

翻訳:ゲームのテキストやアセットをある言語から別の言語に翻訳する。これは一人ないし複数の人々によって行われる。

編集:文体と意味の誤りを修正し,翻訳の一貫性をチェックする。そして擁護が正しく一貫していることを確認する。

「ゲームをどの言語にローカライズするかを決めるときに,あなたの中の厭世家。合理主義者。統計家を呼び起こすようなことはあまり勧められない」

校正:綴り間違いやその他の打ち間違いを修正する。この部分はしばしばゲーム内ではなく,テキストだけで作業が行われる。

統合:翻訳された素材をゲームに統合する。すべてのディスプレイで正しく映るように,UI/UXを変更し調整する。そして翻訳された素材をゲームに加えるため,少しコードをいじる。

地域的適合:たとえば,中国では,ゲーム内で血や髑髏,もしくはいかなる宗教的シンボルもを見せてはいけない。韓国では宗教的テーマを弄ぶことに難色を示す。オーストラリアでは,ゲーム内からすべてのアルコールとドラッグの要素を排除する必要がある。

言語的品質保証(LQA):翻訳の品質とゲームへの統合について確認する。
 そして忘れてはいけないのが,販促素材だ。これはゲームがリリースされる市場に向けて実行する必要のあるローカライズのもう一つの側面にすぎない。


プロセス


 電卓を取り出す前に,2段落ほどローカライズプロセス自体について説明しておこう。これは,あなたがデベロッパであろうとプロジェクトマネージャーであろうと,注意していなくてはならない類のものである。

 もし我々が1万語くらいのゲームについて語るなら,ローカライズはたいした問題にはならないだろう。しかし,10万〜30万語くらいの大きなゲームだと,そのプロセスとツールを正しく理解できていない場合,大いに頭を抱える結果になるであろう。通常,翻訳者は訳したテキストがゲーム内でどのように見えるかなどは分からない。

 もし翻訳者がローカライズキットの特定の部分,アイテム名とその詳細ないしクエスト名とその説明といったところでの論理的な結び付きを理解できない場合は大量の間違いを生むことになる。その結果は,時間とリソース(発見と報告と修正と間違いの確認に要する時間)の莫大な消費となるだろう。
 

「忘れてはいけないのが,販促素材だ。これはゲームがリリースされる市場に向けて実行する必要のあるローカライズのもう一つの側面にすぎない」

 エンジンの準備。あなたはUTF-8/16の文字を表示できるようにし,フォント用にスプライトシートを使い,スプライトシートに文字キットを作るためのツールを導入する必要がある(とくに表語文字を使う言語では ―あなたは少なくとも中国語をすべて入れるだけでも12ポイントの文字用に8Kテクスチャが必要になるだろう)。

 一度あなたがGoogle Sheetをt受かってテキストをエクスポートし,エンジンにインポートすると,別の形式に変更することは非常に難しくなる。いくつかのローカライズ用プラットフォームではテキストをリアルタイムに更新可能だ。これはとても便利である。とくにモバイルプロジェクトで作業しているときには。これはとても大切で有用な機能だ。

フォント:ライセンス問題は置いておいて,あなたは選んだフォントが,ラテン文字やキリル文字,ラテン語やドイツ語のウムラウトなど,すべての文字種を表示できるか確認しなくてはならない。あなたはおそらく中国語,韓国語,日本語用のフォントのために分離したフォントグループを使う必要が出てくるだろう。

 すべてのグループのビジュアル要素をサブグループに分割するところから始めなさい。これには見出しや小見出しが含まれる。テキストの基本・追加ブロック,ナビゲーション要素などだ。最低でもフォントサイズの柔軟な設定と,行間と文字間の調整,ベースラインフォントの変更はできるようにする必要がある。

 必須ツールを持っているかを確認しなさい。もしくは非テキストアセット(画像,サウンド,モデリングデータ)がどのようにローカライズされるかを理解しなさい。あなたは自分のツールやエンジン,ライブラリが追加の労力なしで,これをこなすことができたらと望むでしょう。

 どのように翻訳をユーザーに届けるのかを決めよう。すべての利用可能な言語をゲーム内に含まるのか,それとも特定の言語ごとにランゲージパックをDLCとして分離するのか?

 さらに,もし準備ができていてやる気があるのなら,対話やセリフを別の言語で音声収録するかどうかも決めなくてはならない。そのコストは,少なくとも,翻訳費用単体と比べると馬鹿高い。そしておそらく新たな技術的問題も出てくるだろう。しかしながら,これは直接的にローカライズのクオリティを一段上に引き上げるものでもある。


どうやってやるのか?


 あなたがやろうとしている翻訳というものは静的なものではないことに留意しよう。ゲームは進化するのだ。あなたはDLCをリリースするだろう。変更点,追加要素などが発生する。いくつかの部分はまた翻訳し直しになってしまうだろう。考えてみてほしい。開発の初期段階でいったいどうやってこれらすべてをやればいいのだろうか。それには少なくとも3つのアプローチがある。それぞれのやり方はいずれも調書と短所を併せ持っている。以下に示すダイアグラムはそれぞれの例である。

連続的アプローチ:ローカライズキット内での単語数が1万を超えない限り,あなたは困難をすべて無視しても大丈夫であり,一度に一つの言語にローカライズしてしまおう。このアプローチの欠点は,時間がかかることだ。言語するが増えると翻訳にさらなる時間がかかる。利点は単純なことだ。

私のお金はどこに? Part4:ローカライズについて

並列的アプローチ:このアプローチは,特定の日までに多くの言語への対応が要求される大規模なプロジェクトでは典型的なものである。これは一つの主要な言語からその他の言語へのゲームテスト翻訳を含んでいる。主要言語での開発が終わったら,テキストをすべてのほかの言語に同時に翻訳していく。これには一般的な統合とLQAが続く。このアプローチの欠点は,LQAと変更を加えることが非常に高価に付くというところだ。利点は,スピードである。それは,とくに複数の業者がある場合にワークフローの複雑さが増すという代償の下に達成されている。

私のお金はどこに? Part4:ローカライズについて

カスケード型アプローチ:これは最初の方法と2番目の方法のハイブリッドである。個別の部分のテキスト(たとえば章ごとやUIカテゴリ単位)が用意されて安定したらすぐに,一つ一つを外部の翻訳に送っていく。個別のテキストブロックはゲーム全体をまとめて処理するのと比べてるとより高速に翻訳と統合が可能になる。このアプローチは,あなたがいくつかの主要言語を使っているか,言語のペア間で連続して翻訳している場合に理想的なものとなる。たとえば,ロシア語から英語,英語からスペイン語,イタリア語,そしてスペイン語からポルトガル語といった場合だ。利点はスピードとコスト上昇がごくわずかだということである。欠点は,プロジェクト管理がより複雑化するということだ。

私のお金はどこに? Part4:ローカライズについて


ツール


 正しい翻訳管理ツール(コンピュータ補助翻訳ないしCAT)は,ストレス,時間,そしてお金の問題の束からあなたを救ってくれるだろう。それは,効率的かつ正確に働けるようにすることに加えて,プロジェクトにかかわる個人ないしチームの実績と正確な工期を把握できるようにしてくれる。

翻訳メモリ(TM):これは近代翻訳プロジェクトでの主要技術となるものだ(※参考URL)。TMソフトウェアの目的は,時間の節約というよりも,コストの削減とクオリティの改善にある。あなたも翻訳者も,テキストの同じ部分を何度も翻訳して時間を無駄にすべきではない。同じ文脈の同じテキストはいつも同じように訳されるべきだ。翻訳キー(テキストではなく)を変更する必要性は問題にならない。のちほどファジーマッチについて話をするが,それはまさにTMなしにはできないモノだ。私の最新のローカライズ経験では,TMの使用により5.1%の節約ができた。私が個人的に知っているローカライズマネージャーは,TMソフトウェアをMMOで使うと最大25〜30%を節約できると語っていた。


「行にちょっとだけ変更が加えられたり,文に単語が加えられたときのことを想像してみよう。あなたは文章全体を翻訳し直したくはないだろう」

繰り返し:大きなゲームでは,繰り返しの数は簡単に30〜40%にもなる。翻訳y前に適切な処理を行うことで,さらにテキスト全体の50〜60%にすることも可能だ。一例としては:我々は現在MMOを援護に翻訳しているのだが,元の単語数は約30万語に上る。適切なmemoQ(※翻訳ソフト)の設定で繰り返しを分解した結果,単語数は約25万となった。これは20%または6500ドルの節約になる。

校正ツール:これらのツールは単純なフィルタの実行やタグ付け,すでに検証済みのキーとテキストの分析に役立つものだ。どのキーが検証されているのかを知ることは,何人かで翻訳を行っている場合には非常に重要になってくる。

変更管理(ファジー):これらのツールは,元の言語と変更を行った対象の言語で,変更されたテキストとキーにマーク付けやフィルタリングを行うものである。行にちょっとだけ変更が加えられたり,文に単語が加えられたときのことを想像してみよう。あなたは文章全体を翻訳し直したくはないだろう。そうだろう? さらに,原文の言語での小さな文体の変化は,しばしばほかの言語への翻訳では反映する必要がない。

用語集:用語集は,主要な用語,適切な名前,局所名などを翻訳全体で一貫性を保たせるのに役立つ。これらは用語が使われているときならいつでも統一フォーマットと統合原則が適用されているかを確認してくれる。さらにこれにより統一された翻訳法が提供され,造語への対応ルールも設定できる(ストーリーラインがしっかりしたゲームだとおそらく造語もたくさんある)。

 用語集を持つことで,主要な用語を変更することも簡単にできるようになる ―おそらくは(ロシア語のような)語尾変化のある言語でさえも。もし何人かの翻訳者がプロジェクトに同時に含まれているのであれば,これは重要な要件となる。もし用語集を作るのを怠っていると,あなたは同じ用語のためにたくさんの翻訳をすることになってしまうだろう。これは,すべての不整合を究明しつつ修正するのにまとまった時間とお金を使わなくてはならないというとこを意味している。

ライフハック:翻訳業者を使っているときはいつも,あなたがテキストを送ると彼らは見積もりを送ってくる。クールだ。プライドのある業者ならどこでもCATツールを使っている(翻訳にWordやExcelを使う人はいない)。そして彼らの利益のマージンは。繰り返しやファジーマッチによって40〜50%に達するだろう(すでにTMを使っている場合は)。

 業者に行くときには,CATの統計をベースにしてそれだけしか支払わないと彼らに伝えてみよう(自身でCATツールを持つのはよい考えだ。そうすればすべての数字をダブルチェックできる)。彼らにファジーマッチと繰り返しの見積もりを送ってくれるように頼んでみよう。マネージャーは(不承不承ながら)同意してくれるだろう。そしてずいぶん違った見積もりが送られてくるはずだ。

 章ごと,ファイルごと,パーツごとにフィルタリングする:この種のツールは並列ないし多段の翻訳を簡単にしてくれる。そしてある部分のテキストはしっかりしており,LQAを通過できそうだということも分かってくる。

 ローカライズキットのフォーマット:これらのツールは。ローカライズキットのエクスポートとインポートをあなたのフォーマットで行うか,単にインポートまたはエクスポートしたときのローカライズキットの形式に合わせるかして使われる。もしくは,自動的にデータをエクスポート・インポートするためにAPIを使うこともできる。

 バージョン管理:これは組み込みのバージョン管理ないしスナップショットを取る機能を含んでいる。これは膨大な量のテキスト変更を処理する際には非常に重要になってくる。


薔薇色に染まった色メガネ


 ゲームをどの言語にローカライズするかを決めるときに,あなたの中の厭世家。合理主義者。統計家を呼び起こすようなことはあまり勧められない。ゲームをいくつかの言語に翻訳するには,たくさんの時間とお金がかかるのだ。

 2,3の重要な言語地域がある。EFIGS(English,French,Italian,German,Spanish),CJK(Chinese,Japanese,Korean)そして LATAM(Spanish,Brazilian Portuguese)だ。トルコ語とペルシャ語も忘れてはいけない。

 本当に英語以外の言語にゲームを翻訳する必要はあるのだろうか? 感情を排して生の数字だけを見ると,これは難しい質問だ。ほとんどの西ヨーロッパ諸国で,とくにゲーマーは,英語をかなりよく知っている(英語力指数)。

私のお金はどこに? Part4:ローカライズについて

 では,このリストをゲーム収益でトップ15の国と比較してみよう(NewZoo 2018年6月レポートより)。

私のお金はどこに? Part4:ローカライズについて

 これらの図に翻訳コストを組み合わせてみれば,最低限の言語群は英語,中国語,ドイツ語,フランス語,ロシア語によるものだと簡単に結論が出るだろう。


価格


 ゲームのローカライズ分野では,価格の問題はとても単純だ。―誰もが交渉にオープンであり,検査や値切りをしてくるのだ。これはあなたがどれくらい頑固であるかと,最適なソリューションを見つける時間があるかどうかにかかっている。

 翻訳なしには,ゲームの開発も公開もできない。しかしながら,(言いたくはないが)翻訳家というのは作曲家の次にしつこい連中だ。ローカライズされたゲームが必要なのだとどこかで言いなさい。そうすればあなたは受信箱とおさらばできる。

業者:単独の会社ですべての言語の翻訳経験を持つところなど存在しないことに留意しなさい。典型的な業者はCATライセンスとProZ(※世界最大の翻訳者コミュニティ)もしくいは業界フォーラムで見つけた翻訳者,校正者,編集者,感じのよいマネージャーを組み合わせており,利益の20〜40%のマージンを取る。効率的なチーム編成が難しいのはいつものことだ。結局のところ,私はテキストのあらゆる局面に対応するには翻訳業者に頼むしかないと考えている。

 原則として翻訳量は翻訳された単語数で設定される。言語ペアを考慮に入れなければ,平均単価はどこでも0.07〜0.15ドル(ユーロ)/wordになるはずだ。もし我々がロシア製ゲームを英語にローカライズするためにロシアの業者を通すのであれば,平均単価は単語当たり0.09〜0.12ドル/wordになる。

翻訳者:世の中には非常に多くの優れたフリーランスの翻訳者がいる。彼らは編集者なしで自身で働いており,しかもゲームのローカライズに精通している。ほとんどすべての言語ペアが利用可能だ。

 業界でのあなたの同僚に相談しなさい。翻訳者との連絡方法を尋ねよう。翻訳者を直接雇うと業者を通したときの半額で済む。さらにビデオゲームのローカライズに特有な問題を理解している人を確実につかまえられるだろう。

クラウドソーシング:これに興味があるのなら,あなたはゲーム翻訳のためのチームを組むことができなくもない。しかし,まずは薔薇色の幻想を拭い去って,どうやって編集と校正,LQAに対応すればいいのかを自問してみなさい。

 コミュニティの助けを借りて,我々は最新のゲーム(全体で57万語ちょっと)をなんとかイタリア語とポルトガル語に翻訳したが,韓国語とスペイン語に翻訳するのには失敗した。もし身の周りでまともなコミュニティを集めることができるのであれば,この種のことに関してあなたを助けようとする人々に常に恵まれるだろう。それは翻訳が難しく,仕上げるまで何か月もかかるようなものでも同じだ。しかしながら,あなたは自分がどういう状況にいるのかについて十分目を光らせておく必要がある。くいれぐれも,ローカライズとLQAの全般について責任が持てるのはあなたしかいないのだということを忘れてはいけない。

 まとめると,業者に提供されるサービスでは通常,翻訳と編集が含まれる。そしてどこでも簡単に校正とLQAを依頼することが可能だ。フリーの翻訳者の場合,ゲームをあなたのために翻訳してくれるだろう。彼らは校正やなにかの編集の手助けもしてくれるかもしれない。しかし彼らは,LQAという点ではまったく手助けにならない。クラウドソーシングはあなたに翻訳を提供してくれるだろう。稀に校正も,ごくごく稀にまともな編集もつくかもしれない。LQAに関しては完全にあなた次第だ。


言語


英語:ほとんどすべての言語ペアでの理想的な第一言語であり,考慮に入れるべき主要言語でもある。アメリカとイギリス,カナダの英語圏とオーストラリアを別にしても,英語はほとんどの西ヨーロッパをカバーするだけでなく,東ヨーロッパとアジアのそれぞれの国々をカバーしている。ヨーロッパ言語への翻訳は業者を介すると0.085〜0.12ドル/wordであり,フリーの翻訳者だと0.04〜0.075ドル/wordである。英語からほかの言語,とくにヨーロッパ言語に翻訳する場合は,コミュニティからの支援を非常に簡単に得ることができる。

 豆知識だが,多くの業者は非ネイティブスピーカーを翻訳者として雇い,ネイティブスピーカーを編集者として雇っている。この方式だとあなた(ないし業者)はゲーム全体をネイティブスピーカーに翻訳してもらう場合よりも30%節約ができる。しかし,品質については……翻訳者ガチャの運次第だ。

簡体中文:この選択肢は比較的安価で莫大な潜在顧客層を獲得できる。―これはモバイルゲームだけでなく,PCゲームとくにSteamでだ。英語からの翻訳を業者に頼むと0.065〜0.115ドル/wordで,フリーの翻訳者だと0.025〜0.075ドル/wordだ。英語から中国語への翻訳に従事するいくつかの大きなインディコミュニティや団体が存在する。

「この選択肢は比較的安価で莫大な潜在顧客層を獲得できる。―これはモバイルゲームだけでなく,PCゲームでもだ」

フランス語:この選択肢はフランスだけのためのものである。しかしケベックなどかつてのフランス植民地でも有効だ。もしあなたがゲーム機でゲームをリリースしようと考えているなら,フランスはNintendo Switchにとって重要な地域のひとつであることを念頭に置いておこう。英語のゲームからの翻訳コストは,業者を使った場合に0.085〜0.15ドル/wordで,フリーの翻訳者だと0.035〜0.09ドル/wordだ。編集のコストは0.05〜0.08ドル/wordである。フランス語コミュニティは,私がこれまで出会ったゲームコミュニティの中で最も不活発だった。

ドイツ語:ほとんどのドイツ人は十分に英語を読むことができる。しかしドイツ語の選択肢は,現地の顧客により簡単にかつより素早く効いてくる。英語のゲームからの翻訳コストは,業者に頼むと0.09〜0.135ドル/word,フリーの翻訳者だと0.02〜0.06ドル/wordだ。編集のコストは0.05〜0.08ドル/wordである。私はこれまでのビジネスで単一のクラウドローカライズコミュニティに出会ったことはない。

ロシア語:Newzooによると,ロシアはビデオゲームの収益で前年比,12位から11位になっており,PCゲーム市場では最も大きなものの1つとなっている。一般的にロシアでは英語の流暢さがかなり低いレベルであることを考えると,ロシアでゲームを売りたいのならばロシア語のオプションを考慮すべきだろう。幸い,英語からロシア語へのローカライズは非常に安価だ。業者を通しても0.04〜0.1ドル/wordで,フリーの翻訳者だと0.005〜0.04ドル/wordとなる。編集のコストは0.02ドル/wordで校正は0.01ドル/wordとなっている。

スペイン語:世界で最も普及している5つの言語の1つだ。スペイン自体はゲーム業界によい収益を与えている。Castilian Spanish(※スペイン中北部,カスティーリャ地方のスペイン語。標準スペイン語として扱われている)と中南米のものでは少し異なるにもかかわらず,標準スペイン語はラテンアメリカのスペイン語スピーカーにも通用する。英語のゲームからの翻訳コストは,業者を通すと0.08〜0.12ドル/word,フリーの翻訳者だと0.01〜0.06ドル/wordとなる。編集コストは0.06ドル/wordだ。

日本語:私に聞かれたら,日本は欧州の会社にとって中国に次ぐ2番めに魅力的な市場だと答えよう。しかしながら,パブリッシングの難しさと高い翻訳コストのため,どんなデベロッパでもこの市場が本当に必要かについてじっくりと考えなければならないだろう。英語のゲームの翻訳コストは,業者と通した場合に0.13〜0.18ドル/word,フリーの翻訳者の場合に0.09〜0.12ドル/wordとなる。編集のコストは0.05〜0.07ドル/wordだ。

 最後から2番めの記事では,我々はマーケティングとPRそしてパブリッシャの探し方について見ていきたい。

Nikolay Bondarenko氏はProtocol Oneのテクニカルオフィサーであり,Ash of Godsを作ったAurumDustのオーナーでもある。

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら