[TGS 2017]体感型大型筐体やマルチプレイVRなど,VRアーケード向けの出展総まとめ

 東京ゲームショウ2017に設定されたVR/ARコーナーでは多くの展示が行われているが,今回はVRアーケードなどの商業施設を対象とした少し大きめの展示物を中心に紹介してみよう。なお,そのうち最も派手だった,360度ぐるんぐるんのGYRO VRについてはすでに紹介済みなので,別途そちらの記事を参照していただきたい。

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[TGS 2017]匂い,熱,視線 ―― VR/ARコーナーのVR系デバイス総ざらえ

[TGS 2017]360度ぐるんぐるん振り回される大型アトラクション「GYRO VR」

●Noitom
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 米Noitomは,バックパックPCを背負って多人数で体験する大型VR用システム「Alice Space」を出展していた。デモされていたコンテンツは「Lunar Mission」で月着陸船内や月面での作業を体験するものとなっている。
 同社はVRゲームEarthlightを制作したスタジオと協業している。Earthlightはリアルな宇宙空間作業で話題になりNASAの訓練にも使われるようになったゲームであり,NASAの協力でますます完成度を上げている。同様にNASAとのパートナーシップで宇宙モノのコンテンツが作られており,今回のものでは月面着陸がテーマとなっている。今後6か月ごとにコンテンツは追加されていき,火星,木製と続いていくとのこと。

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 今回の出展でNoitomはGeForce GTX 1070搭載のバックパックPCを使用しているが,性能とバッテリーライフについては苦労しており,「30分。(カタログスペックの)1時間とか全然もたない」と笑っていた。見ると,山のようなバッテリーが充電されていた。
 VRヘッドセットにはRiftが使用されているが,今後変更されることもあるという。常に最高画質の製品を導入していきたいとのことだった。

 さて,Alice Spaceのポジショントラッキングには,「ツノ」をカメラで撮影する光学的な方式と手足につけたモーションセンサーとの複合による「Data Fusion」と呼ぶ方式が採用されている。光学式だとカメラの陰になった際にデータが取れなくなるが,モーションセンサーを併用することで安定した動作を実現しているという。トラッキングに使われていたカメラは8台(頂点と辺の中点)だったが,この方式なら少ないカメラ数で大丈夫とのことだった。

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 この方式の最大プレイヤー数は6人で,フィールドの最大面積は形状にもよるが標準的な広さとして7×10mが使われている。これ以下の大きさだと6人でのプレイは難しいそうだ。
 ちなみにお値段だが,ハードウェアについては19万9000ドル(約2220万円)で,ソフトウェアについては毎月6000ドル(約67万円)の料金となる。

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●REALIS
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 昨年も出展しており,ChinaJoyでもレポートしたREALISもバックパックPCを背負うタイプの大型VR施設に対応したシステムである。こちらも「ツノ」を使った光学式のポジショントラッキングを行うので,見掛けは上で紹介したNoitomのAlice Spaceとかなり似ている。ただ,こちらは光学式のみでポジショントラッキングを行うのが大きな違いとなっている。
 REALISのカメラが認識できる距離は最大30mで,かなり広い面積でも対応できるのが特徴だ。ちなみに,昨年は映像出展のみで,プレイムービーを見る限りではピンポン球式のマーカーだったのだが,今年は高精度なツノ式に変更されている。

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 会場で提供されていたコンテンツのひとつ,「THE LOST PASSAGE」を提供しているキッズプレートの茂出木氏によると,ツノの出し方はそれぞれでユニークにする必要があるため設定が難しいそうなのだが,それでも10人いけるとのこと(REALISの最大プレイヤー数は10人)。上で死角云々の話があったが,16台のカメラを使うとほぼ死角はなくなるそうだ(1辺につき4台)。なお同社が日本でのREALISの代理店をしている。

デモはホラー風味の脱出ゲームと雪合戦の2種類
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●アンビリアル
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 アンビリアルが提供していたのはフィットネスとVRを組み合わせた対戦ゲーム「アーティファイト」だ。このゲームは最大6人での対戦が可能だが,会場では2対2のチーム戦が行われていた。
 ざっくりルールを説明すると,2チームに分かれて戦闘車両に乗り,フィールド内のポータルを破壊しつつ相手を倒してポイントを稼ぎ,最終的にポイントの多いほうが勝ちというゲームになっている。一般的なゲームと違うのは,ゲーム内での前進にエアロバイクを使用するということだ。バイクを漕いでスピードを調整するフィットネス要素を加味したゲームになっているのだ。

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 選択できるメカには,攻撃型,防御型,遠距離型,高速型といった種類があり,好みの機体を使って戦闘を行うことができる。また,運動負荷もバイクごとに好みで設定できる。
 実際にプレイしてみると,脚を使って動かしているので移動モノVRにつきものの酔いはほとんどない。ゆるゆる動き出すのでスピードは乗せにくいが,勢いがつくと止まりにくい(ブレーキはない)。そのあたりも含めて戦略的に行動する必要がありそうだ。
 このように,単調で続けにくいといわれるエクセサイズにゲーム要素を取り入れることで,飽きずに続けさせることができるとのことだ。人数が揃わなくてもAIが代行するなどの機能も備えている。フィットネスへのVRの応用はあちこちで模索されており,エアロバイクを使ったものなどはシンプルな内容のものが多いのだが,アーティファイトはかなりゲーム寄りの作品だといえるだろう。今冬に発売予定とのこと。

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●ハシラス
 国内の体感型VRゲームを多く手がけているハシラスでは,GOLD RUSH VRを出展していた。これはVRヘッドセットViveを装着し,コントローラを持ったプレイヤー4人が同時に遊べるコンテンツだ。
 遺跡を探検しつつ黄金を集めるというゲームだが,3つのステージに分かれているが,途中はトロッコで移動する。プレイヤーは両手に掃除機のような吸い込み式の器具を使っていろんなものを引き寄せ,金塊は吸い込み,岩やレンガはつかんで投げるといった感じだ。いろんなものを破壊すると金塊や隠し部屋などが現れる。見ていると,金塊を集めるという主目的を理解していない人が結構いるようで,壁壊しなどに熱中していたりした。

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 さて,ゲームとは直接関係ないのだが,ハシラスブースは赤いカーテンに覆われていた。当初はそういう予定ではなかったそうなのだが,機材が不調のため急遽導入されたらしい。
 Viveのベースステーションを1か所で多数使うといろいろ干渉するというのは展示会での課題ではある。ハシラスブースの斜め向かいにあるViveのブースのうち,ハシラス寄りの角の1箇所だけ同様な不調になっていた。Viveを使ったブースは数多くあったのだが,この2箇所だけとくにひどい状態だったようだ。

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 また,本来GOLD RUSH VRはバックパックPCで利用する予定だったとのことだが,こちらも安定せず,直前に天吊り式に変更したのだそうだ。写真のように,ケーブルは結構ギリギリな感じで運用されていることが分かる。プレイ中にも係員に誘導されたが,改めて見ると誘導必須ではあろう。本来はフリーロームで歩き回れる仕様だ。
 バックパックPCを使ったプレイについては,プロモーションムービーを見れば雰囲気が伝わるだろう。


 ちなみに,Viveブースの一角のほうでは,初日はほぼ稼動せず,2日めに急遽カーテンを導入するなどの対策が行われたが,相変わらす不調が続いていた。CEDECでは展示会で混線する際のノウハウなども紹介されていたのだが,ダメなときはとことんダメみたいだ。

●JPPVR
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 VRでのe-Sportsを推進するJPPVRは,2種類のVR筐体を展示してデモを行っていた。中国製VRアーケード関連デバイスとゲームを扱っている会社だが,同社が中心になって進めているVR×eSportsアジア大会は,国内最大級の賞金を用意する大規模なものになるという。
 ブース正面にあったなにかと派手なバイクは,同社が戦略的提携をした北京楽客(楽は簡体字)の製品だ。展示されていたレースゲームも大会の種目として採用される予定のものだとのこと。その内容は,バイク型筐体を使ったマルチプレイヤータイプの障害物競走で,さまざまなコースで障害物をかわしつつ順位を競う。現状でもわりと理不尽系の障害が多めな気はするのだが,実際に競技化するにあたっては,マリオカートのようなアイテムを使った妨害要素なども組み込みたいとのことだった。

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 もうひとつ展示されていたのは二丁拳銃でのFPSだ。ショートワープでの移動と左右のコントローラでの銃撃,リロードといった操作のみのゲームだが,カバーアクション必須の内容となっている。少しずつ進んでウェーブをしのぐといった展開である。NPC側の弾速は遅いのでかわすことは難しくない。この手のゲームにしては,きちんと補正しないと弾が当たらない感じで,やり込みは必須といったところか。

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●Dooribantech
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 韓国Dooribantechが出展していたのは,VRスーツを使ったアーケード向けシステムVARMANJIだ。
 コントローラなしで,プレイヤーの動きそのものを反映できることがウリとのことだが,スーツは上半身,下半身のパーツが基本になっている。今回の展示では下半身が省略されていた。トルソ部のスーツは鎧のように上半身を包み,腕の上部(肩のあたり)までカバーしている。このVRスーツでポジション&モーショントラッキングを行うわけだ。さらには,指の動きまで取れるアドバンス型も用意されている。ポジショントラッキングは,スーツにつけたマーカーを外部カメラで撮影する方式である。また,銃撃などに対しては,撃たれた部分が振動するといった体感機能も備えている。カタログをよく見ると,オプションでプレイヤーの表情も取れるとある。

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 マルチプレイヤー型のシステム構成も紹介されていたが,1つのフィールドに複数人を入れるタイプではなく,それぞれ分離されたフィールドで動き回るタイプになっていた。パンフレットの写真ではヘッドセットにDK2が使われており,図ではRift(CV1),会場ではViveが使われていた。実際の運用はワイヤレスとのことなので,スーツの上からバックパックPCが使われるのだろうか。お値段は1セットで2万ドル程度(約220万円)とのこと。

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●JPW International
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 台湾JPWでは,体感型VRデバイスでのゲームを多数展示していた。
 馬のようなライド系,丸い台座のスキー系,バイク系など,体感筐体自体は,昨年台湾FUTURE TOWNが出していたものと同系列のようだ。それらを使ってスキーでの滑走から,エクストリームスポーツ系,馬に乗った無双系,龍に乗って飛び回る系など非常に多彩なコンテンツが紹介されていた。ある意味,きわめて正統派のVRアーケード展開であろう。

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 展示されていたゲームのいくつかは公式ムービーがあったので貼っておこう。龍に乗って飛び回る(リングをくぐる系)のGliding to the Moonは,スカイツリーらしきものが登場して都内っぽい雰囲気なのだが東京のマップを使っているというわけではなさそうだ。


●TQ INTERACTIVE
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 ブースの半分を占めるPicoについてはすでに紹介済みなので,残り半分を紹介しておこう。中国TQ INTERACTIVEでは体感筐体を用いたゲームなどを展示していた。
 もらったパンフレットを見ると,Net Dragonという懐かしい名前が出ていた。日本でオンラインゲームのサービスをしていたこともある会社だが,最近では体感筐体やVRゲームの開発も行っているらしい。体感筐体で出展されていたのは,ガトリング銃のついた車両で走り回るヒャッハー系のD-DAY,流鏑馬系の騎射栄耀,無双系の虎豹騎VRだ。会場ではD-DAYがとくに人気な感じだった。