2016年の報道メディアに最も多く掲載されていたゲームはなにか?
BlizzardのOverwatchは2016年のプレス掲載率で圧倒的な勝者だった。ICO Partnersの調査によると,このFPSは次点となるライバルのPokemon GOと比べても2倍の記事がメディアに掲載されていたのだ。
ICOが毎年出しているデータによると(参考URL),Overwatchは約7万5000本の記事を記録している。一方,Pokemon GOは3万5000で,FFXV,Battlefeild 1,Doomが続いている。Battlefield 1は,昨年比で12%減となったライバルとなるCall of Duty: Infinite Warfareに対し,40%多い掲載数となっている。
しかしながら,このモニタリング調査の対象がゲームに特化されたメディアに限られている点には注意が必要だろう。おそらくは一般サイトや新聞・雑誌で大量の掲載が行われたと思われるPokemonの記事は反映されていない。それに加えて,Pokemonの伸びの少なさでは,2016年6月のリリース以前には記事にされることはなかったということも考慮すべきだろう(ICOの手法についてはこちら)。
それでもOverwatchの極端に大きなリードは印象的だ。昨年度の王者だっただけでなく, ICO Partnerによる2015年の調査結果と比べても50%以上の掲載数を誇っているのだ。CEOであるThomas Bidaux氏は,これにはいくつかの要因が関与しているという。
「Overwatchは, No Man's Skyと並んで,ランキングに登場したたった2つの新規IPのうちの1つだという点で印象的です(The DivisionはTom Clancyシリーズの一部)。業界の多くのコメンテーターは,No Man's Skyの誇大宣伝が不興を買った原因だと指摘しています。たとえ小さな独立系スタジオ製ながら1年間に最も記事が掲載されたゲームのトップ15に入る快挙を成し遂げていても,この指摘は信用しなければなりません。ソニーのPRマシンだけがそれをやっていたわけではありませんが,多くの大作はこのランキングに入っていないのです。ゲームの誇大宣伝は製品寿命をごっそり減らしました」
ICOは広告代理店でもあり,Bidaux氏はゲームについてやり取りするときに,大量の注目の引き付けがうまくいかないときは最大の注目が最善の策という点を示唆するアドバイスをくれた。しかし,20種の最も人気のあるゲーム(夏に偏った急上昇を見せるPokemon GOを除く)についてメディアに登場するパーセンテージを示したグラフからは年間を通してほぼ一定のままであることが示されている。
Bidaux氏はこう説明している。
「おそらくあなたはAAAタイトルの記事が占める比率が下がってきたら報道したいと思うでしょう。これは記事の取材が非常に多様で,あなたのゲームも掲載されやすいことを意味しています。この観点から言うと,11月は少し掲載されづらい月だといえます。これは両方のグラフがよく示しています」
「記事の数が多くなると,取材の機会はさらに増えていきます。しかし,記事はは目立たなくなります。大量の記事は全体にノイズが多くなるということも意味しています。その意味では,E3期間中の報道というのは祝福と呪いが一緒にくるようなものです」
「メディアへの記事掲載はクリスマスシーズンに低下します。これはすべてのメディアに共通して記事の数が目に見えて少なくなる,年間で唯一の期間です。これが意味するのは,それ以外の時期は書く必要のある記事が一定数あるということです。そして,それはAAAタイトルがリリースされる1月や7月といった時期を外して狙うことで利益をあげられるということです」
プラットフォームごとの掲載数について見てみると,ソニーは明らかな勝者で,PS4はSlim(※新型PS4)やPro,PSVRのおかげでXbox Oneより25%ほど勝っている。また12月のPlayStation Experienceによる露出からも多大な恩恵を受けている。しかしながら,Xbox Oneも2015年の記事掲載に対して18%の上昇が見られ,来年のScorpioのリリースに先駆けて,Microsoftにとっては心強い成長が示されている。Wii Uの掲載数は低下し続けており,上昇してきているOculus Riftにほとんど追いつかれそうになっている。
※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら)