「24Frameの邪道経営哲学」第15回:2か月連続でアップデートする時の哲学


新機能の実装


今回は新機能の実装がメインです
「24Frameの邪道経営哲学」第15回:2か月連続でアップデートする時の哲学

 さて,我々が制作しておりますゲーム作品「INUMEDA」は11月に引き続き12月もアップデートを行います。喧騒のアーリーアクセス開始を経て現在,いろいろなギアが回り始め,ここからは加速度的にゲームが面白くなってくると思います。

 前回のアップデートは既存機能の整えが主題でしたが今回は新規の実装がメインです。これらは我々も作りながら感じていた「INUMEDA」の謎のいくつかを捉えた結果により生まれてきたものですが,その説明に先駆けて,まずは現状の整理をしておきましょう。


現状のINUMEDAまとめ


「24Frameの邪道経営哲学」第15回:2か月連続でアップデートする時の哲学

 INUMEDAは大きく言うと

  • 「スキルの発生条件が1万通り以上ある」
  • 「レトロコマンドRPG」
 です。

 これだけではイメージしづらいかもしれませんので,以下に実例を挙げつつ説明します。

プレイヤーは見下ろし型の画面でフィールドを歩きます
「24Frameの邪道経営哲学」第15回:2か月連続でアップデートする時の哲学

すると敵(動物)にエンカウントし,バトル画面に遷移します
「24Frameの邪道経営哲学」第15回:2か月連続でアップデートする時の哲学

敵(動物)を撃破すると,その動物が自分についてくるようになります
「24Frameの邪道経営哲学」第15回:2か月連続でアップデートする時の哲学

何度かの戦いを経て,仲間が特定の数・組み合わせに達すると
「24Frameの邪道経営哲学」第15回:2か月連続でアップデートする時の哲学

動物のくみあわせによりスキルが発動します
「24Frameの邪道経営哲学」第15回:2か月連続でアップデートする時の哲学

 このスキルの発動条件が1万通りという数を超えている訳ですが,そこに踏みこむと話が長くなりますので,今回はそこは一旦おいておき,この基本構造にどのようなアップデートがかかったかをお話していきたいと思います。


新機能その1! 「召喚」システム


主人公のコマンドに「Summon」の文字が!
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 本作の主人公は謎の巫女である訳ですが,彼女のとれる行動に新たなものが加わりました。その名も「召喚」
 これを使うと,今までに倒したことのある敵を,自分の仲間として呼び出すことができます。

 INUMEDAは基本攻撃に比べるとスキルの効果が絶大です。
 パーティメンバーによって変化するそのスキルをチューニングしてから戦闘に挑むことが要諦となる訳ですが,それは逆に言うと仲間が死亡するなどしてスキルの想定が崩れると,一気にバランスを崩して敗北,となるリスクが常に存在すると言えます。

 さらに言うなら本作の最終的なバランスはハードコアにする予定で,デッキは崩されまくりの阿鼻叫喚,というところを目指しています。
 そこで「デッキが崩されっぱなしだとキツい……,何かこちらが打つ手はないものか?」というところでこの「召喚」が有効になってくるわけです。

 召喚の対象は自分が今までに倒した敵であり,つまり仲間にしたことがある動物であることが多いのですが,これはもちろん上記のような危機的なシチュエーションでも一発逆転の手として有効ですし,さらに言うなら,そもそも召喚対象とならないように特定の動物を倒さないようにして召喚対象を厳選する,という遊び方も可能です。

「召喚事故」というロマンもあります
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 それだけではありません。
 この召喚は時に「召喚事故」を起こして暴走します。これで呼び出されるのは想定外の動物,どころか現状はそこでしか登場しない動物,なども含まれており何が起こるか分からない,という側面もあります。

 主人公は巫女であり,ここは現世の記憶が混濁してエントロピーを高め続けている死後の世界である,と考えればこれもまた納得(?)のカオスでしょう。


新機能その2! 世界に点在する「碑文」

各地に佇む謎の碑文,その意味するところとは?
「24Frameの邪道経営哲学」第15回:2か月連続でアップデートする時の哲学

 次の新システムは現在「碑文」と呼ばれているものです。
 これは文字が刻まれた石板のようなものでINUMEDAの世界の各地に点在しています。
 我々にとっても謎だらけなこの世界,ともすれば「何をしていいか分からない」となりそうな状況に対し,こまめな世界の手がかりが必要であると判断し,今回実装となりました。

 内容はゲームの基本ルール,世界観を語るものから,1万通りを超えるスキルの発生条件のヒントまで,実に多種多様です。

 この多くはかつてこの地で死んでいった(死後の世界で死ぬとどうなるんだ? という部分はゲーム本編でご確認ください)巫女たちの遺言であることも多いです。
 ということは,この世界の巫女とはプレイヤーが操る唯一の個体ではなく,あるいは……? という新たな謎も呼び起こす,世界の奇妙なオブジェクト。

 しかも重要なヒントは「ジャーナル」として手元に残り,いつでも見られるようになっています。これがこの1万通りというスキルの海を渡っていくための手がかりとなっていく訳ですね。こうやって少しずつ,INUMEDAという謎の真実に近づいていこう,というのがプレイヤーのみなさんへこの作品を提供する,現在の我々の歩みでもあります。

ここではどうすべきか?という問いと,その先の予感が記されています
「24Frameの邪道経営哲学」第15回:2か月連続でアップデートする時の哲学

 先達の巫女による世界のガイド的な存在の「碑文」ですがこれには実は別の効果・役割もあります。
 INUMEDAのマップは見下ろし型の2Dっぽいビューですが,構造としてはオープンワールド,つまり一つの大きな世界です。これを探索してより強いスキルの組み合わせを探っていくのが主なゲームの流れですが,このゲームプレイは必然的に長期化し,時には直近の目的に迷うこともあるかもしれません。そんな大きな流れを細かく区切ってプレイヤーへの短期目的を提示する,という役割(ちょっとメタい話になりますが)そんな側面もあるのがこの「碑文」というオブジェクトなのです。

 謎に満ちたINUMEDAの世界,そのガイド役として,この奇妙な石碑が皆さんの来訪を待ちながら,悠久の時と共に煉獄に佇んでいる。お立ち寄りの際にはぜひ近づいてそこに彫り込まれた文字から,INUMEDA世界の謎へとアクセスしてみてください。


新機能その3! 何度でも蘇る恐怖のボス!


その姿を見た者はまだ誰もいないが……
「24Frameの邪道経営哲学」第15回:2か月連続でアップデートする時の哲学

 さて,もう一つは本作のラスボスに関する仕組みです。
 INUMEDAでは比較的序盤にラスボスの存在を知ることになり,それは強大な存在なのですが,同時に本作の主人公である巫女の持つ神通力は強力です。彼女がINUMEDA世界で強力なスキルを見つけ出せば,いつかはこのボスにも勝利を収めることができるかもしれません。しかし,このゲーム,INUMEDAはそこで終わりではありません。それこそ今後前述の碑文に散りばめられていく本作の世界観設定でも語られていくことではあるのですが,このボスはとある理由により,何度も復活します。しかも倒すたびにより強力になって。

 そのたびに巫女は戦いを挑み,より強力なスキルを探す旅が始まる。終わることのない戦いは何のために存在するのか? これもまたINUMEDAの謎であるのですが,これはおそらくINUMEDAの謎に止めを刺すであろうストーリーテリング(最近ではナラティブ,とも言いますね)の話へとつながっていきます。

 それと同時に,これはゲーム内の短期目標,ショートスキームを構築するためのものであった碑文に対し,長期目標,ロングスキームを支えるための仕組みです。

どんなに整理をかけても,謎が増えていくばかり
「24Frameの邪道経営哲学」第15回:2か月連続でアップデートする時の哲学

 蘇り続けるラスボスとの戦い,その間を点でつなぐ,かつての巫女の遺言が記された碑文,それらの上に横たわるように,1万通りのスキルが存在する。それが本作INUMEDAの基本構成です。

 また,現状準備が進んでいる実装はこれだけではありません。さらにいくつかのアップデートをここで紹介していくことになるでしょう。
 これらによって謎とされているINUMEDAというゲームの面白さの輪郭をはっきりさせ,プレイヤーの皆さんの手に取りやすいものを作っていく。現在はスタッフ一同これに邁進しております。

 実は今回は謎のコアである「1万通りのスキル」の詳細とそれに至った本作の成り立ち,について原稿を起こすつもりだったのですが,矢継ぎ早のアップデートにより中々そこに入っていくタイミングがなくなってしまいましたので,ここはまた次回,と言いたいところですが,今現在は連載内容,アップデート内容ともに未定であり,ここはまた僕にとっても謎の状態であります。

 今回も早めに一度上がった原稿があったのですが随時激変する状況に合わせて結局全部書き直し,という経緯をたどった本連載,僕自身もうねりを続けるこの現実についていけるのかという不安と期待に胸を膨らませつつ,次回も乞うご期待!