テンセントクラウドのキーマンが語る,「テンセント・ゲーミング・クラウド」の魅力や市場展望
世界有数のクラウドソリューションプロバイダーの1つ,テンセントクラウド。同社は2021年9月,日本向けにゲーム開発用ソリューション「テンセント・ゲーミング・クラウド」をリリースし,現在では多くのゲーム関連企業が利用する状況となっている。今回,テンセントクラウドインターナショナル 東北アジアマネージングディレクター 趙 剣南(チョウ ケンナン)氏に,同社が提供するソリューションの魅力や,活用のされ方などを教えてもらった。
GamesIndustry.biz:
本日はよろしくお願いします。さっそくですが,趙さんがテンセントクラウドでどんな役割を担っているのか教えてください。
趙 剣南氏(以下,趙氏):
2016年にテンセントに入社し,現在はテンセントクラウドのクラウド・スマートインダストリー事業における,アジア太平洋地区の担当をしています。
GamesIndustry.biz:
2021年9月に,テンセントクラウドは日本向けに「テンセント・ゲーミング・クラウド」をリリースしましたよね。現在は,どんな状況になっているのでしょうか。
趙氏:
2021年当時に私達が思い描いていた状況と,実際にこれまで辿ってきた状況はほぼ同じだと捉えています。そうやって2年近くにわたりサービスを展開してきたなかで,多くのお客様と接してきたわけですが,本当にさまざまな需要があるのだなと認識しました。そうした多様化するニーズと,私達の持つ技術力を結びつけることで,お客様各自のビジネスモデルの速やかな構築をサポートしています。
GamesIndustry.biz:
日本のゲーム会社とのやり取りのなかで,印象に残っているものはありますか。
趙氏:
当初,私達は「ほかのサービスとは違う」といったように,差別化を図る形でプロモーションをしていました。今では日本のお客様にも受け入れていただけているのですが,最初の頃は様子見されているなという印象を抱くことも少なくありませんでしたね。
GamesIndustry.biz:
テンセントクラウドが提供しているサービスの中で,ゲーム会社からとくに好評を得ているものを教えてください。
趙氏:
たくさんあるのですが,いくつか例を挙げると,まずPaaS(Platform as a Service)の構築です。発生し得る各シーンをレゴのブロックのような形にまとめておき,それらをお客様のニーズに沿うように組み合わせてビジネスモデルの構築をサポートしています。また,通信の低遅延化を図るサービスの「Tencent Real-Time Communication」(TRTC)や,ワンストップの3D音響システム「Game Multimedia Engine」(GME)なども好評です。あとは,ハイパフォーマンスなトランスコードサービスの「Top Speed Codec Transcoding」も,インフルエンサーなどが活用しています。そして2023年2月には,そうした一連のサービスを1つのツールボックスにまとめたイメージのサービス「Metaverse-in-a-Box」を発表しました。
今挙げたサービスだけでなく,テンセントクラウドでは10数種類のサービスを提供しています。また日本では,すでに100社近いゲーム関連企業が,お客様としてそれらのサービスを活用しています。
GamesIndustry.biz:
テンセントクラウドの技術やサービスは,ゲーム開発やゲーム体験にどのような貢献をしているのでしょうか。
趙氏:
ゲームデベロッパは,テンセントクラウドのサービスを利用することにより,私達の提供する技術を即座に活用できます。またテンセントクラウドの「WeTest」は,新旧さまざまな機種のモバイル端末に対応したテストプラットフォームです。日本では流通していないような端末のリモートテストも可能となっており,スマートフォンゲームをグローバルで展開するようなケースにも最適です。
また,ゲームのプレイヤーは,テンセントクラウドの技術を使ったゲームをプレイすることで,新しい遊び方や新しい体験をすることができます。たとえば多人数でプレイするゲームにGMEの技術を使えば,プレイヤーは今何人が生き残っているか,自分に迫りつつあるプレイヤーはいるかといったことを音で把握できるようになります。またGMEは,発砲音の違いで相手がどんな銃器を使っているのかを表現することも可能にしています。
GamesIndustry.biz:
VRやAR,AI,ブロックチェーンなどさまざまな技術が続々と登場していますけれども,テンセントクラウドでは,そうしたトレンドにどうやって対応しているのでしょうか。
趙氏:
テンセントクラウドでは,お客様によって異なるニーズに対応するべく,トレンドとなる新技術にもかなりの投資をしています。今は,ブロックチェーンやメタバースなどの研究開発に注力しています。そのように私達は,市場のニーズを踏まえたサービスの実現を目指しています。
GamesIndustry.biz:
それでは,ユーザーのプライバシーを守るために,どのような取り組みをしていますか。
趙氏:
テンセントクラウドには,ユーザーのプライバシーを保護する専門のセキュリティチームがあります。実のところ,そのチームは私の管轄外なんですけれども,私なりにお伝えしますと,テンセントクラウドのセキュリティは「EU一般データ保護規則」(General Data Protection Regulation,GDPR)の要件を満たしていますし,各国のプライバシー保護に関する法令は,私達が進出する前にしっかりリサーチし,100%法令に沿った形でサービスを展開することを徹底しています。
GamesIndustry.biz:
インフラを支える企業の視点から,日本とほかの東アジアのゲーム市場の違いを教えてください。
趙氏:
私個人の感覚で言うと,日本のゲームは世界の最前線をいっていると同時に,日本ならではの際だった特徴も併せ持っています。とくに漫画やアニメのような,2次元の表現が特徴的ですね。また,プレイヤー同士のコミュニケーションを大切にしていると感じます。ほかの国では,どちらかというとプレイヤー同士の対戦に重きを置く傾向があるので,そこも日本ならではですね。もちろん,プレイヤーによって何を重視しているかは違うとは思いますけれども。
テンセントクラウドとしては,異なる国や地域には異なるニーズがあると認識しており,それらに合わせたさまざまなサービスを用意しています。ゲームデベロッパとプレイヤーそれぞれに私達だからこそのサービスを提供していますので,とくにプレイヤーの皆さんはご自身が好む環境でゲームを楽しんでいただけるのではないでしょうか。
GamesIndustry.biz:
東アジアでゲームをヒットさせるには,何が重要だと考えていますか。
趙氏:
ご存じのとおり,テンセントグループにはテンセントゲームズというゲームパブリッシャがありまして,所属するゲーム開発者は常に今おっしゃった質問に向き合っています。私達テンセントクラウドとしては,そうしたゲーム開発者のアイデアを速やかに実現できるような技術やサービスを提供することがもっとも重要だと捉えています。
GamesIndustry.biz:
ゲームプレイヤーの動向が,テンセントクラウドのサービス開発やマーケティングなどに影響を与えることはあるのでしょうか。
趙氏:
ゲームのデベロッパやパブリッシャは,プレイヤーのニーズにきめ細かく対応することにより,多くのプレイヤー数を獲得したいと考えているはずです。そうしたプレイヤーの獲得を速やかに実現するべく,多くのデベロッパやパブリッシャが私達のサービスを選んでくださっていると捉えています。
GamesIndustry.biz:
それではクラウドゲーミングの現在の状況について,どう考えているか教えてください。あまりうまくいっているとは言えない状況だと思いますが。
趙氏:
その意見は否定できないですね。そもそもクラウドゲーミングは,ハイエンドのゲームを常にプレイするために,端末をハイエンドのものに買い換えるようなことをしなくてもよくなるという状況を作り出すために存在しているわけです。ゲームの処理を,たとえばテンセントクラウドにあるサーバーで行うため,プレイヤー各自はゲームの画面が表示できる端末さえ持っていれば,ゲームをプレイできます。
クラウドゲーミングが現在抱えている最大の課題は,コストが下げられない一方で,料金体系を低めに設定しないと利用してもらえないことです。そうなるとパブリッシャにとっては,利益の出ない事業となってしまいますよね。これが,クラウドゲームの台頭を妨げている1つの要因となっています。
現在テンセントクラウドでは,世界に先駆けてそうしたボトルネックになっている部分の解消に努めています。またタイトル名は控えますが,アルゴリズムを使ってプレイヤー1人あたりに必要な処理能力を抑えることによってコストを下げ,利益を上げられるようになったクラウドゲームプラットフォームも実際にあります。
GamesIndustry.biz:
クラウドゲーミングの普及を妨げているのは,価格であると。
趙氏:
そのとおりです。処理能力を合理的な範囲に抑えることができるかどうかで,クラウドゲーミングの今後が変わると捉えています。
GamesIndustry.biz:
どのくらいの料金であれば,クラウドゲーミングがサービスとして利用されると考えていますか。
趙氏:
かつて読んだ論説には,サービスの月額料金が,現在使用しているモバイル端末の月額料金の20%以下であれば,そのサービスを利用するモチベーションが上がると書かれていました。私個人もそう考えています。
通常のゲームだと端末にインストールする手間がかかり,また端末のストレージがいっぱいになってしまったら何かをアンインストールする必要が生じます。ゲームをアンインストールすると,プレイデータが消えてしまうこともありますから,少々やるせない気持ちになるかもしれません。
しかしクラウドゲーミングであれば,毎月たとえば5ドル払うだけでゲームを遊べるわけです。インストールやアンインストールは必要ありませんし,プレイデータもサーバーに残りますから,プレイヤーの体験が変わります。今後,テンセントクラウドの技術でコストが抑えられるようになれば,進むべき方向性としては確実だと捉えています。
なおクラウドゲーミングの普及は,日本が先行すると考えています。理由はいくつかあり,まず日本はすでに5Gが使えるなど通信インフラが整っています。またゲームのエコシステムが大変優れており,優秀なゲームデベロッパと,いろんな年齢層のゲームプレイヤーが数多くそろっています。あとは課金に関するいい習慣があります。テンセントクラウドにとっても,クラウドゲーミングの普及はお客様に新しいビジネスモデルを提供するいい機会ですし,また多くのプレイヤーに好まれるものになるでしょう。
GamesIndustry.biz:
テンセントクラウドでは,クラウドゲーミングを推進していくと。
趙氏:
繰り返しですが,私達はお客様のニーズがあるところに技術やサービスを開発し提供しています。もちろんニーズがあれば,クラウドゲーミングにも注力していきます。
GamesIndustry.biz:
それでは最後に,GamesIndustry.bizの記事を読んでいるゲーム業界関係者に向けてメッセージをお願いします。
趙氏:
テンセントクラウドはテクノロジー系の企業で,コアとなるのはサービスプロダクトです。私達の技術やサービスプロダクトによって,お客様が効率よくビジネスを展開するためのお手伝いをすることを最大の目標に掲げています。ぜひ私達に,皆さんのビジネスをサポートさせていただきたいです。
GamesIndustry.biz:
ありがとうございました。
高い技術力で,多様化する顧客のニーズに素早く対応
本日はよろしくお願いします。さっそくですが,趙さんがテンセントクラウドでどんな役割を担っているのか教えてください。
趙 剣南氏(以下,趙氏):
2016年にテンセントに入社し,現在はテンセントクラウドのクラウド・スマートインダストリー事業における,アジア太平洋地区の担当をしています。
GamesIndustry.biz:
2021年9月に,テンセントクラウドは日本向けに「テンセント・ゲーミング・クラウド」をリリースしましたよね。現在は,どんな状況になっているのでしょうか。
趙氏:
2021年当時に私達が思い描いていた状況と,実際にこれまで辿ってきた状況はほぼ同じだと捉えています。そうやって2年近くにわたりサービスを展開してきたなかで,多くのお客様と接してきたわけですが,本当にさまざまな需要があるのだなと認識しました。そうした多様化するニーズと,私達の持つ技術力を結びつけることで,お客様各自のビジネスモデルの速やかな構築をサポートしています。
GamesIndustry.biz:
日本のゲーム会社とのやり取りのなかで,印象に残っているものはありますか。
趙氏:
当初,私達は「ほかのサービスとは違う」といったように,差別化を図る形でプロモーションをしていました。今では日本のお客様にも受け入れていただけているのですが,最初の頃は様子見されているなという印象を抱くことも少なくありませんでしたね。
GamesIndustry.biz:
テンセントクラウドが提供しているサービスの中で,ゲーム会社からとくに好評を得ているものを教えてください。
趙氏:
たくさんあるのですが,いくつか例を挙げると,まずPaaS(Platform as a Service)の構築です。発生し得る各シーンをレゴのブロックのような形にまとめておき,それらをお客様のニーズに沿うように組み合わせてビジネスモデルの構築をサポートしています。また,通信の低遅延化を図るサービスの「Tencent Real-Time Communication」(TRTC)や,ワンストップの3D音響システム「Game Multimedia Engine」(GME)なども好評です。あとは,ハイパフォーマンスなトランスコードサービスの「Top Speed Codec Transcoding」も,インフルエンサーなどが活用しています。そして2023年2月には,そうした一連のサービスを1つのツールボックスにまとめたイメージのサービス「Metaverse-in-a-Box」を発表しました。
今挙げたサービスだけでなく,テンセントクラウドでは10数種類のサービスを提供しています。また日本では,すでに100社近いゲーム関連企業が,お客様としてそれらのサービスを活用しています。
GamesIndustry.biz:
テンセントクラウドの技術やサービスは,ゲーム開発やゲーム体験にどのような貢献をしているのでしょうか。
ゲームデベロッパは,テンセントクラウドのサービスを利用することにより,私達の提供する技術を即座に活用できます。またテンセントクラウドの「WeTest」は,新旧さまざまな機種のモバイル端末に対応したテストプラットフォームです。日本では流通していないような端末のリモートテストも可能となっており,スマートフォンゲームをグローバルで展開するようなケースにも最適です。
また,ゲームのプレイヤーは,テンセントクラウドの技術を使ったゲームをプレイすることで,新しい遊び方や新しい体験をすることができます。たとえば多人数でプレイするゲームにGMEの技術を使えば,プレイヤーは今何人が生き残っているか,自分に迫りつつあるプレイヤーはいるかといったことを音で把握できるようになります。またGMEは,発砲音の違いで相手がどんな銃器を使っているのかを表現することも可能にしています。
GamesIndustry.biz:
VRやAR,AI,ブロックチェーンなどさまざまな技術が続々と登場していますけれども,テンセントクラウドでは,そうしたトレンドにどうやって対応しているのでしょうか。
趙氏:
テンセントクラウドでは,お客様によって異なるニーズに対応するべく,トレンドとなる新技術にもかなりの投資をしています。今は,ブロックチェーンやメタバースなどの研究開発に注力しています。そのように私達は,市場のニーズを踏まえたサービスの実現を目指しています。
GamesIndustry.biz:
それでは,ユーザーのプライバシーを守るために,どのような取り組みをしていますか。
趙氏:
テンセントクラウドには,ユーザーのプライバシーを保護する専門のセキュリティチームがあります。実のところ,そのチームは私の管轄外なんですけれども,私なりにお伝えしますと,テンセントクラウドのセキュリティは「EU一般データ保護規則」(General Data Protection Regulation,GDPR)の要件を満たしていますし,各国のプライバシー保護に関する法令は,私達が進出する前にしっかりリサーチし,100%法令に沿った形でサービスを展開することを徹底しています。
GamesIndustry.biz:
インフラを支える企業の視点から,日本とほかの東アジアのゲーム市場の違いを教えてください。
趙氏:
私個人の感覚で言うと,日本のゲームは世界の最前線をいっていると同時に,日本ならではの際だった特徴も併せ持っています。とくに漫画やアニメのような,2次元の表現が特徴的ですね。また,プレイヤー同士のコミュニケーションを大切にしていると感じます。ほかの国では,どちらかというとプレイヤー同士の対戦に重きを置く傾向があるので,そこも日本ならではですね。もちろん,プレイヤーによって何を重視しているかは違うとは思いますけれども。
テンセントクラウドとしては,異なる国や地域には異なるニーズがあると認識しており,それらに合わせたさまざまなサービスを用意しています。ゲームデベロッパとプレイヤーそれぞれに私達だからこそのサービスを提供していますので,とくにプレイヤーの皆さんはご自身が好む環境でゲームを楽しんでいただけるのではないでしょうか。
GamesIndustry.biz:
東アジアでゲームをヒットさせるには,何が重要だと考えていますか。
趙氏:
ご存じのとおり,テンセントグループにはテンセントゲームズというゲームパブリッシャがありまして,所属するゲーム開発者は常に今おっしゃった質問に向き合っています。私達テンセントクラウドとしては,そうしたゲーム開発者のアイデアを速やかに実現できるような技術やサービスを提供することがもっとも重要だと捉えています。
GamesIndustry.biz:
ゲームプレイヤーの動向が,テンセントクラウドのサービス開発やマーケティングなどに影響を与えることはあるのでしょうか。
趙氏:
ゲームのデベロッパやパブリッシャは,プレイヤーのニーズにきめ細かく対応することにより,多くのプレイヤー数を獲得したいと考えているはずです。そうしたプレイヤーの獲得を速やかに実現するべく,多くのデベロッパやパブリッシャが私達のサービスを選んでくださっていると捉えています。
クラウドゲーミングが抱える課題と今後の展望
GamesIndustry.biz:
それではクラウドゲーミングの現在の状況について,どう考えているか教えてください。あまりうまくいっているとは言えない状況だと思いますが。
その意見は否定できないですね。そもそもクラウドゲーミングは,ハイエンドのゲームを常にプレイするために,端末をハイエンドのものに買い換えるようなことをしなくてもよくなるという状況を作り出すために存在しているわけです。ゲームの処理を,たとえばテンセントクラウドにあるサーバーで行うため,プレイヤー各自はゲームの画面が表示できる端末さえ持っていれば,ゲームをプレイできます。
クラウドゲーミングが現在抱えている最大の課題は,コストが下げられない一方で,料金体系を低めに設定しないと利用してもらえないことです。そうなるとパブリッシャにとっては,利益の出ない事業となってしまいますよね。これが,クラウドゲームの台頭を妨げている1つの要因となっています。
現在テンセントクラウドでは,世界に先駆けてそうしたボトルネックになっている部分の解消に努めています。またタイトル名は控えますが,アルゴリズムを使ってプレイヤー1人あたりに必要な処理能力を抑えることによってコストを下げ,利益を上げられるようになったクラウドゲームプラットフォームも実際にあります。
GamesIndustry.biz:
クラウドゲーミングの普及を妨げているのは,価格であると。
趙氏:
そのとおりです。処理能力を合理的な範囲に抑えることができるかどうかで,クラウドゲーミングの今後が変わると捉えています。
GamesIndustry.biz:
どのくらいの料金であれば,クラウドゲーミングがサービスとして利用されると考えていますか。
かつて読んだ論説には,サービスの月額料金が,現在使用しているモバイル端末の月額料金の20%以下であれば,そのサービスを利用するモチベーションが上がると書かれていました。私個人もそう考えています。
通常のゲームだと端末にインストールする手間がかかり,また端末のストレージがいっぱいになってしまったら何かをアンインストールする必要が生じます。ゲームをアンインストールすると,プレイデータが消えてしまうこともありますから,少々やるせない気持ちになるかもしれません。
しかしクラウドゲーミングであれば,毎月たとえば5ドル払うだけでゲームを遊べるわけです。インストールやアンインストールは必要ありませんし,プレイデータもサーバーに残りますから,プレイヤーの体験が変わります。今後,テンセントクラウドの技術でコストが抑えられるようになれば,進むべき方向性としては確実だと捉えています。
なおクラウドゲーミングの普及は,日本が先行すると考えています。理由はいくつかあり,まず日本はすでに5Gが使えるなど通信インフラが整っています。またゲームのエコシステムが大変優れており,優秀なゲームデベロッパと,いろんな年齢層のゲームプレイヤーが数多くそろっています。あとは課金に関するいい習慣があります。テンセントクラウドにとっても,クラウドゲーミングの普及はお客様に新しいビジネスモデルを提供するいい機会ですし,また多くのプレイヤーに好まれるものになるでしょう。
GamesIndustry.biz:
テンセントクラウドでは,クラウドゲーミングを推進していくと。
趙氏:
繰り返しですが,私達はお客様のニーズがあるところに技術やサービスを開発し提供しています。もちろんニーズがあれば,クラウドゲーミングにも注力していきます。
GamesIndustry.biz:
それでは最後に,GamesIndustry.bizの記事を読んでいるゲーム業界関係者に向けてメッセージをお願いします。
趙氏:
テンセントクラウドはテクノロジー系の企業で,コアとなるのはサービスプロダクトです。私達の技術やサービスプロダクトによって,お客様が効率よくビジネスを展開するためのお手伝いをすることを最大の目標に掲げています。ぜひ私達に,皆さんのビジネスをサポートさせていただきたいです。
GamesIndustry.biz:
ありがとうございました。