【ACADEMY】ソーシャルメディアを求人ツールとして効果的に活用する方法
10人規模のスタジオを率いる場合であれ,100人規模のスタジオを率いる場合であれ,質の高いチームメンバーの集団を作ることは最も重要なことである。ビジョンやアイデア,プランニングは,それを現実にするスタッフがいなければ意味がない。
しかしながら,一般的な採用プロセスには多大な時間と資金が必要であり,この2つは小規模スタジオにとって非常に貴重な資源だ。我々は,一般的な採用方法でのチームメンバーの雇用でもうまくやってきていたが,TwitterやBlueskyのようなソーシャルメディアアプリを利用した採用活動のほうが,より迅速かつ効率的であることに気づいた。
このガイドでは,上記のソーシャルメディアアプリを利用した採用の利点,採用ツールとしてソーシャルメディアを利用する方法,そしてこの方法を取ったあとにGylee Gamesが気づいた結果について説明する。
なぜソーシャルメディアを通して採用するのか
採用活動において,あなたの会社がどこであるかは信じられないほど重要になってくる。人材は,分かりやすいIPを持つ大きなスタジオにほぼ毎回集まるものだからだ。新しいものを作っている小さなスタジオである我々には,そのような強みはない。その代わり,質の高い新人を発掘し,我が社に合うかどうかを素早く確認するために,ソーシャルメディアなど他のツールに頼らざるを得ない。
我々の規模では,ジュニアレベルの新人を集めるのが最も簡単だ。シンシナティは幸い,ゲーム開発プログラムを持つ多くの大学に囲まれており,そこから人材を引き抜くことができる。しかし,テックハブ(※技術の中心地)に位置しておらず,有名企業でもない場合,シニアレベルの人材を見つけるのはかなり大変だ。
もしあなたの会社がテックハブに位置しておらず,有名でもない場合,シニアレベルの人材を見つけるのは手間がかかる。我々は,偉大な平衡装置としてソーシャルメディアに目を向けた
このようなデベロッパは,リクルーターを通じて大企業からアプローチされたり,通常の採用方法で採用されたりすることが多い。我々はソーシャルメディアを活用し,シニアレベルのデベロッパが市場に戻ってきたことを確認したらすぐに直接コンタクトを取るという,一種の偉大な平等をもたらすものとして活用している。もちろん,我々が発見した全員がGylee Gamesに適しているとは限らず,これは通常,採用プロセスの正式なあと,つまり採用者が最高の印象を残そうとしているときに発見されるものだが,ソーシャルメディアは,あなたが誰を採用しようとしているのかを知る素晴らしい窓を提供してくれる。投稿の習慣,「いいね!」の数々,そしてその人が追いかけているトレンドから,その人がどのような人間なのかを知ることができるのだ。
チームがうまくかみ合うようにすることは私にとって非常に重要なことであり,入社を決める前にその人がどんな人なのかをある程度知ることができれば,時間やお金,頭痛の種を減らすことができる。ソーシャルメディアを通じて人材を募集する最大の利点の1つは,より質の高い人材を常に見つけることができるということだ。これは,Twitterで自分の作品を共有する傾向があるアーティストやアニメーターにとっては二重のメリットだ。
ソーシャルメディアを通じて採用するということは,多くの場合,アーティストが提供する入念に作成されたポートフォリオをバイパスできるということを意味する。その代わりに,彼らのTwitterページのメディアタブに散らばっている作品例を見つけることができる。採用担当者がオンラインで存在感を示していれば,自分自身や自分の能力を誤魔化すことはずっと難しくなる。
ソーシャルメディアを通して効果的に採用するには
ソーシャルメディアを通じた採用は,特定のアプリの定期的な使用と明鏡止水の心を組み合わせた非常にシンプルなプロセスだ(ただし,ゲーム業界のポジションの候補者のほとんどがTwitterとBlueskyに集中しているため,ここではそれらに焦点を当てている)。単にTwitterをスクロールできるようになることと,採用ツールとして理解しながらスクロールすることはまったく異なる。結局は,別のレンズを通してソーシャルメディアにアプローチするのだ。
最初のステップは簡単で,チームに加わってほしい人をフォローすることだ。その人がフォローし返すかどうかは問題ではないが,もしフォローし返してきたら,その人はあなたに何らかの関心を持ち,またその人の動向を把握したいと思っているという明確な指標になる。そうすれば,その候補者の仕事ぶりやキャリアパスを追跡し,いつ採用できるかを確認できる。
最初のステップは簡単で,チームに参加してほしい人をフォローすることだ
上級スタッフを採用しようとしているとき,私はまず自分のフォローを調べる。このレベルのゲーム業界の従業員は,ソーシャルメディアに自分の進退に関することを投稿する可能性が高いからだ。彼らが投稿するとすぐに簡単なDMを入れることで採用プロセスへの第一歩は終わる。このアプローチの問題は,ソーシャルメディアアプリが進化し,変化するにつれて表れる。Twitterのアルゴリズムシフトは直接的な問題であり,スクロールするだけで人材を発見することを難しくしている。これに対しては,ハッシュタグが最も安定した解決策であることが分かった。
#portfoliodayのようなハッシュタグは,さまざまな分野の潜在的な労働者を見つけるのに最適な方法だ。アーティスト,アニメーター,ライターでは最も一般的である。クリエイターはこのようなハッシュタグを使って自分の作品を共有し,彼らが最近制作したものを,通常はキュレーションされたポートフォリオというフィルタなしで,すぐに見ることができる。これは,あなたが好きな作品を制作している幅広い人々や,彼らの雇用可能性を発見する最良の機会の1つだ。
言うまでもなく,これはかなりの時間を費やすことになる。 さまざまなフィードをスクロールしながら注意深く見るだけでなく,その人の仕事や投稿の習慣,どんなものが好きなのかなど,彼らが自分を表現しているオンラインプロフィールの背後にある部分にも目を向けなければならない。ソーシャルメディアを通じての採用活動は,非常にDIY的なアプローチであるため,あなたは基本的に候補者の第一次審査を行うことになる。こちらから声をかける場合であれ,相手から提案される場合であれ,彼らが自社の社風に合うかどうかを確認するためには,ある程度の調査が必要だ。
ソーシャルメディア上での採用には,固有のマイナス面もある: それは,潜在的な従業員に自分自身を見せることになるということだ
ソーシャルメディア上での採用には,固有の欠点もある: それは,潜在的な従業員に自分自身を見せることになるということだ。私は普段からTwitterとBlueskyを使っていて,自分のこと,好きなこと,嫌いなこと,やっているゲームなどを投稿している。私が採用者のプロフィールを見てその人について知ることができるのと同じように,採用者も私について知り,自分なりの結論を出すことができるのだ。ソーシャルメディアで採用する際に最も重要なことの1つが,ソーシャルメディアが「得意」であることなのはそのためだ。抽象的な概念だが,Twitterのようなものが「得意」であることは不可欠だ。雇用主としてのあなたがどんな人かを見てもらえ,少人数のチームを率いる場合は,あなた自身の個性も考慮される。そのため,仕事とプライベートの投稿のバランスを取りながら,興味深いコンテンツのストリームを作らなければならない。
ソーシャルメディアは一般的に,使うべきものであり,避けるべきものではない。ツールとして活用することで,チームの新人を見つけたり,他の人から学んだりできるし,同業者との絆も深まる。このようなプラットフォームでゲーム業界コミュニティの一員になれば,必要なときに彼らを活用できるようになる。
ソーシャルメディアを通して採用した結果
全体として,ソーシャルメディア上での採用は,Gylee Gamesにとって信じられないほど有益だった。我々が使ってきた採用ツールはこれだけではないが,当社のスタッフの大半(約80%)は,従来の採用方法とは対照的にソーシャルメディアを通じて採用されている。この数字には,さまざまな部署の数多くのメンバーやメイン声優の4人全員が含まれており,彼らは皆,我々のクリエイティブなビジョンを遂行する上で必要不可欠な存在となっている。
これらの社員はソーシャルメディアを通じてアプローチされたため,定着率も驚異的な数字を記録している。ソーシャルメディアからの採用プロセスがいかに個人的なものであるか,そして候補者をいかに早く知ることができるかということもあり,我々のスタジオの文化や,我々が取り組んでいるプロジェクトに関して,採用を検討する人に驚きを与えることはない。そのため,ソーシャルメディアを通じて採用した人材を手放したことは一度もない。このプロセスで採用した候補者での虚偽申告は,非常に低い頻度に留まっており,新人研修後に赤旗が上げられることに比べたら,時間と費用の節約になる。
このことをもっとよく考えてみよう: LinkedInのような従来の方法で採用しようとすると,300人ほどの反応が返ってくる。このような人数を選別するのは大変なことであり,小規模なチームにとっては,通常の日常業務に加えてかなりの負担となる。そのため,このプロセスでは実際に価値のある人を見逃してしまいがちだが,ソーシャルメディアを通じての採用はもっと小さな網をかけることができる。
私がフォローしている人の中に,その人に合いそうな人がいれば,すぐにDMを送ることができるのだ。そうでない場合は,TwitterやBlueskyで募集をかけると,10人から15人が返事をくれたり,推薦してくれたりする,
全員が素晴らしい候補者だ。そこからの課題は,その仕事に適しているだけでなく,我々の会社にも適している人を選ぶということだ。実際,我々がソーシャルメディアを通じて採用した人は,常に質の高いチームメンバーになっている。
本日のキーポイント
ゲーム開発チームの大小を問わず,ソーシャルメディアが重要なツールであることに気づいてほしい。ソーシャルメディアプラットフォームで自分自身を確立するメリットはもちろんのこと,迅速かつ効果的な方法で新しい才能を発見し,雇用するのに優れた場所なのだ。
ソーシャルメディアを別のレンズで見る必要はあるが,この方法で雇用することで築けるチームとしての見返りは大きい。ソーシャルメディアを通じて採用することを決めたら,以下のポイントに留意してほしい:
- 採用候補者と頻繁につながること。採用のためにソーシャルメディアを利用する際には,細心の注意を払う必要がある。フィードをスクロールしているときは,たとえその人が現在採用可能でなくても,チームに何かをもたらしてくれそうな人がいないか,常に目を光らせているべきである。その人のキャリアパスが変わるかどうかは分からない。もしも変わったならば,すぐにあなたの会社を次のステップに進める。可能であれば,ハッシュタグを使ってこのプロセスをさらに加速させよう。たとえば私は,自分のチームに加わってほしい真新しい人材を見つけるために,#portfoliodayを注意深くフォローしている。
- 採用候補者への理解を深めよう。アート作品,ショートストーリー,過去のプロジェクト,あるいは単純な投稿習慣など,ソーシャルメディアは,採用する可能性のある人物を覗き見ることができる。内定を出したり,関連費用を伴うプロセスを開始する前に,彼らの作品群や自社に合うかどうかを理解しよう。
- 選んだプラットフォームを使いこなそう。チームを成長させるためにTwitterやBluesky,その他のソーシャルメディアプラットフォームを使うにしても,それを効果的に使わなければならない。それは,オンラインで流暢かつ簡単にコミュニケーションが取れるということに留まらない。興味深いコンテンツのストリームを作り,自分自身のコミュニティを築かなければならない。あなたのオンラインプレゼンスは,潜在的な従業員と同じくらい,あなたがどんな人間であるかを示す窓であることを忘れないでほしい。自分自身,会社,そして知的財産を売り込まなければならないが,プラットフォームを効果的に使うことができれば,これを達成するのは簡単だ。
Chris Bergman氏は,短時間で楽しめる簡潔なプロジェクトに重点を置くデベロッパ,Gylee Gamesの創設者兼CEOである。Gylee Gamesは現在,2023年秋発売予定のPC向け,物語重視のbeat-’em-up Ra Ra Boomを開発中だ。
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