Oculus「仮想現実に入るのはもはや負担ではありません」

Nate Mitchell氏とJason Rubin氏は,QuestとRift Sを使った二つのアプローチが,どのようにVRへの障壁を下げるのかを話し合った。

 Rift Sの発表で(関連記事),消費者が選ぶことのできるOculusヘッドセットは4つになる。

 オリジナルのRift,Go,そして今後予定されているQuestがなくても,まだPlayStation VR,Viveのさまざまなモデル,GoogleのDaydream,それにLenovo(※Daydreamです)などの製品などがある。これらは,新人の参入を困難にする細分化された市場を作り出し,そして技術進歩の急速さは,常により先進的でより快適なヘッドセットが存在することを意味している。

 そのような市場で,Rift Sはノイズの一つになることなく,妨げられずに人々に選ばれる可能性があるだろうか?

 「これは間違いなく我々が考えていることです」とOculusの共同創設者Nate Mitchell氏GamesIndustry.bizに語ってくれた。「Rift SとQuestには素晴らしい機構があると我々は実際に考えています。Rift SはRiftに完全に取って代わることになるでしょう。我々はRiftを段階的に廃止する過程にあり,これを置き換えるつもりです,そしてそれが終われば,消費者のための本当に単純で分かりやすい商品展開ができるようになります」

Nate Mitchell氏, Oculus
 AR/VRのパートナーシップおよびコンテンツ担当副社長のJason Rubin氏は,次のように付け加えて「これから数か月後にはRift SがRiftになります」と付け加えた。

 今後,少なくともゲームに関しては,Oculusは主にQuestとRift Sの二重提供に焦点を当てている。モバイルヘッドセットGoは引き続きエントリーポイントとなるだろうが,その用途の80%は,360度ビデオや短い体験などの,より幅広いエンターテイメント向けであるとされている。

 この春,Rift SとQuestが揃って登場することで,Oculusはメッセージングがいかに簡単になるかを強調していた。すでにハイエンドPCを持っていて,最先端のVR体験をしたいか? Rift Sはあなたのための製品だ。どちらかといえば持ち運び可能なものがよいか,もしくは単にゴツい装備を買う余裕がないのか? それなら,Questを選んだほうがいい。

 Rubin氏は,Rift Sは人々が考えるほど技術的要求が厳しいものではないかもしれないと素早く指摘した。「よいノートPCならは走らせることができる」と主張している。加えてOculus Insightは,Questで使用されているのと同じインサイドアウトトラッカーだ。さらに最新のPassthrough +テクノロジーが導入されている。これは周りに線を引くだけで「Guardian」スペースを設定できるというものだ。プレイヤーはもはや永続的なVR設定を必要としない。単にノートPCとRift Sを持っていって,新しいスペースを作ればプレイを続けることができる。


「(人々は)Assassin's Creed,Call of Duty,Maddenはどこにあるいのか? っと聞きます。我々はようやくそういったことについて話し始めることができるところまできました。それらはやってくるでしょう」
-Jason Rubin,オクルス

 「これらの製品のどちらを選んでもまったく問題はありません。実際に多くのコンテンツがそれらの製品間で共有されている場合はとくにそうです」とMitchell氏は語る。「それが消費者が置かれている状況であり,どのエコシステムに参加するかを決定することで,消費者の選択が簡素化されると考えています」

 それでも,PC版のVRをより利用しやすくするために,Rift SはQuestの技術を利用したが,ワイヤレス版が発売されるまでには何年かかるのだろうか。なぜ消費者はそれを待てないのか? 必然的に,我々の議論はスマートフォンの比喩で反論される。

 「今年か来年,iPhoneを購入しますか?」Rubin氏は問いかけた。「この質問は永遠に続くものであり,今や私たちは世界にある製造インフラを手にしています」

 「あなたが新しいiPhoneを購入していない場合でも,ソフトウェアの大部分は同じように機能します。ソフトウェアは変わりません。そしてそれが私達のエコシステムの現状でもあります。今後数年間で新しいハードウェアが登場する可能性はありますが,エコシステムは……我々はソフトウェアがあなたについてくることを確認して計画を立てていますので,今買わない理由は本当にありません。携帯電話と同じで ― 購入したいときに購入すればいいのです」

QuestとRift S,Oculusはこれらを中心にゲームプラットフォームとしてのVRでより広く受け入れられるように推進を続けていくだろう
Oculus「仮想現実に入るのはもはや負担ではありません」

 Rubin氏は,クロスプレイとクロスバイの組み合わせについて言及している。これは,今後のOculusのメッセージのもう一つの柱となるものだろう。QuestプレイヤーはRiftやRift Sの所有者とマルチプレイタイトルを一緒にプレイできるようになるだろう。そして同社は,可能なら限り両方のストアにタイトルを置くことをデベロッパに奨励するだろう。―プレイヤーがどちらかのバージョンを購入したら自動的にもう片方ももらえるようにすることもありえる。

 二つのデバイスには違いがある。― Questはまだモバイルグラフィックスチップセットを中心に構築されている― Rubin氏によると,QuestからRift Sへの移植は「比較的簡単」で,VR開発者にとって扱いやすい市場が広がりそうだ。氏はまた,両方のデバイスに焦点を当てることを,それぞれの将来への保証と見なしていた。現在投資しているプレイヤーは,すでに1000本以上のRiftで利用可能なタイトルに加えて,今後の互換性のあるタイトルに期待できるのだ。

Jason Rubin氏, Oculus
 「消費者が,(仮想現実に)入ることはもはや負担ではないという考えを持ったなら,彼らは興味を示すだろうと考えています」と氏は語る。「メッセージははるかに簡単です。あなたがBest Buyに入るか,またはAmazonに行くとき,我々はあなたが使える何かを持っていますので」

 「多くの人がQuestを見て『Ok,入手できるぞ。だが買うべきだろうか?』となっているのを見ることになるでしょう。それは変曲点の始まりです」

 Mitchell氏はさらに,同社初のスタンドアロンのプレミアムVR機器であるQuestの登場が変曲点になるだろうと主張している。

 「我々は,これがすべてのものをもたらすパッケージになると思っています」と氏は語る。「6自由度のトラッキング,スーパーポータブルデバイス,素晴らしいコンテンツラインナップ-―現在あるあらゆるVRプラットフォームでも最高のもの― そして魅力的な価格を揃えています。私たちはこれがVR,とくにVRゲームを前進させるデバイスになるだろうと考えています」

 VR技術は進歩し続けている。しかしMitchell氏はRift SとQuestが近い将来Oculusのハードウェアラインアップの主軸になることを強調していた。同社は,これらの単純な2つのデバイスからなるメッセージを維持するために,ワイヤレス版の誘惑や,フルボディトラッキングのようなより高度な入力については(今のところ)見送ることになるだろう。

 Rubin氏はさらに次のように述べている。「これら2つの製品で,私たちは次のように言えるようになりました。『みんなRiftが大好きだ。6軸自由度が大好きだ。なにか重要なものが抜けているかい?』いつ無線にアップデートするのか? と聞かれます。ええ,我々はソフトウェアを時代遅れにせずにワイヤレスにアップデートすることができるでしょう。なぜなら,ケーブルを流れている情報を伝達する方法が違うだけだからです。しかし,フルボディトラッキングはソフトウェアの変更なしでは追加できません」

 よりシンプルな製品構成の提案は,消費者にOculusを導入しやすくするだけでなく,これまで手を控えていた大規模なデベロッパやパブリッシャにとっても参入を容易にすることになるだろう。氏はInsomniacのStormlandsを,スタジオがこの分野にもたらすことのできる品質の一例として挙げている。そして氏は,馴染み深いゲームブランドがVRに取り組むことが「起こるだろう」と主張した。

 「今後数年間は,この機能セットとこのパラダイムを可能な限り最高のものにすること,そして大規模なデベロッパとパブリッシャに,深く複雑なソフトウェアの開発を開始してもらうことに注力していきます」とRubin氏は締めくくった。

 「私たちは多くのデベロッパと協力しています。Assassin's Creed,Call of Duty,Maddenはどこにあるのかと人々が尋ねることは知っています。私はそれを理解していますが,我々はようやくそういったことについて話を始めることができるところまできたと感じています。それらはやってくるでしょう」

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら