[CJ2018]VRは少々なれどChinaJoy会場で見かけたハードウェア各種
VR系は勢いのある中国で特徴的なデバイス(無茶さ加減を含めて)だったのだが,しかたがない。ここでは会場で見かけたその他のハードウェア情報をまとめてみよう。
これもすでに書いたように,ChinaJoy会場ではVR機器が鳴りを潜め,椅子とヘッドセットが多かった。もちろんVRヘッドセットではないオーディオヘッドセットだ。
■ゲーマー向けチェアはどう使われているのか?
ということで,会場ではあちこちのブースがe-Sports系の競技会を開催していたので,そこを中心に見て回った。そういった会場では当然のように競技用PCの前に「ゲーマー向けチェア」が並んでいるのだ。e-Sportsに最適というのが謳い文句なのだろう。そして,そういったメーカーのサイトでは,背もたれに深く腰かけたプレイヤーの写真ばかり目立ったりするのだが,実際にはどうなのかと,今回はそのあたりを注意して見てきたわけだ。
まず,e-Sportsではないが,レースゲームシムの大型筐体,VRでの乗り物系ではしっかりと背をつけている人が多かった。ハンドルの位置がかなり手前にくるので,それは当然なのだろう。座面も背もたれもしっかり使われており,ゲーマー向けチェアはレースゲームに向いていることが分かる。
こんなに深く腰掛けている人も |
もちろん例外もいる |
肘掛けやリクライニング,背もたれの途中にある用途不明の枕などはほぼ使用されていない。こういったものは競技の合間の休憩などでは役立つだろうが,たいていこういった大会では入れ替え制だろうから,試合が終わったら場所はすぐに明け渡すのが普通だろう。
比較的深めに座った例。後ろが狭いのかもしれない |
別角度から。背中は浮いている |
また,この手の椅子はたいてい曲線的なデザインとなっており,座面の奥まで腰かけて座ったときに荷重を効果的に分散させるようになっていることが分かる。実際には座面の奥深くまで腰かける人は少なめで,人によっては座面の前側しか使わないこともある。少なくともゲーマー向けチェアがほぼ例外なく採用しているバケットシートが生かされている場面は,乗り物系以外では見受けられなかった。
■ゲーマー向けヘッドセットは激戦区。JBLも参戦
今年の新顔としてはJBLがブースを構えていた。メインの出展はカプセル状の光るカジュアルなスピーカーだったようだが,発売予定であるというゲーマー向けヘッドセット「G3500」と「G6500」が出展されていた。7.1chバーチャルサラウンドに対応した密閉式のヘッドフォンはかなり大きめで,USBでのデジタル接続と3.5mmのピンジャックでアナログ接続が可能だ。イヤパッドのオーバルが大きめで着け心地はよかった。ケーブルはJBLな感じのオレンジ色だ。あとヘッドフォンの側面が光るので競技会では目立つかもしれないが,普通に使うだけだと極端に視野角の広い人でも光の変化は確認できないだろう。実況映え狙いか?
体験デモで使われていたのは,アスファルト8の東京ステージだ。道路に大きな鳥居が架かっていたり,巨大ロボットが立っていたり,色気のまったくないゴシック体で「カタロニア料理」「ゲームロフト」などといった看板が並ぶ異世界の街並みを走り抜けていく。
試してみてちょっとボコボコした音に感じたが,会場の騒音などでこういった機器を評価するような環境でもない。日本市場に登場したら評価の機会もあるのではないかと思うので,それを待とう。
■会場で見かけたVR系デバイス各種
●吊り下げ系飛行体感デバイス
VR体感筐体で吊り下げ型のデバイス。状況がいまひとつよく分からなかったのだが,軍用ぽい輸送機からダイビングを行う。飛び出したあとの挙動はパラシュートではなくウィングスーツぽい。あちこちのチェックポイントを巡って,最終的に空母の甲板に着陸する。
飛行系のVRデバイスとしては面白い展開ができそうな気もするのだが,やってみると操作はまったくできないジェットコースター系のコンテンツだった。各部を見ても,腕や体の動きなどを検知することはまったく考慮されてないようなのはちょっと残念だった。
●小型可動椅子
しかし,会期中の通じて座面の下に置かれていたコンビニ袋風のビニール袋はもしかしたら重要なものだったのだろうか? いずれは家庭用にも売りたいとのことだが,2万〜3万元(約32万〜50万円)という値段はちょっとどうかと思う。
●EYETOP VR+
これは装着すると視界中央に四角い窓の出るタイプの,やや懐かしいデバイスだ。頭の動きなどには追従しない。それでも付属の機器でHDMI信号をワイヤレスで飛ばせるといったあたりが新しい。会場ではPS4の画面をワイヤレスで飛ばして格闘ゲームを動かしていた。遅延? あまり気にならない。有機ELの画面は綺麗ではあったが,いまとなっては視野角が狭い。視野角が広いという試作品もあったが,ちょっと不調だったようで体験はできなかった。
技術的には,これも懐かしいフリーフォームドプリズム(昔はオリンパスにしか設計できないと言われていた変態光学系)ぽい単語「自由曲面穿透光学」が使われている。確かにかなり小型でまとめているなあと評価はできるのだが,5年遅かったという感じか。「本物の」小型VRデバイスへの応用などは期待できないのだろうか……。