[CJ2018]12個の小型慣性センサーでモーショントラッキングするMotionbitとは
Motionbitが展示していたのは,身体の各部にセンサーを取り付けるタイプのモーショントラッキングシステム「Motionbit」である。外部のカメラやレーザーなどを使わないため,手軽に利用できるのがウリだという。現在開発中で,2か月後くらいの製品化を目指しているとのこと。
どのようにトラッキングを行うかというと,IMU(慣性計測装置)つまりジャイロ,加速度,“Eキャンバス”を利用しているという。“Eキャンバス"は,並びからすると地磁気センサーではないかと思うのだが,調べてもちょっとよく分からなかった。これらを使ってセンサーの移動量や角度を算定するのだという。誤差は2度以内であるとのこと。動いているうちに誤差が蓄積されたりしないのかと聞いてみたが,それはないとのことだった。動き回っても誤差は2度の範囲であるそうだ。
位置のトラッキングまでやろうと思ったら,やはり外部のセンサーかインサイドアウトのカメラシステムなどは必須になるのだろう。一応,脚の動きは取れるので概算は出せなくはないとのことだったが……。
これらのセンサーで手足の関節の動きと,さらに指輪まで使うと手首から先の動きもある程度取れるので,非常に忠実度の高いモーションが再現できる。カメラを使ったトラッキングとは違い,背中側に手を回しても破綻は生じないと同社では説明していた。
さて,用途だが,かつてのKinectに代わる全身の手軽に動きを取れるデバイスになれば需要はあるだろうか。最近は,VRデバイスの普及で,頭の位置と手の位置・角度を取得することは簡単になり,それをもってある程度の身体運動を表現することはできるようになっている。しかし,実際の身体の動きそのものを使えるわけではない。とくにVRでは身体の動きと表示の違和感は少ないほうが望ましい。そういう意味では需要はあるのだろうが,10個もあると装着の手間もかかるため,センサーポケットのついた服などを用意するのがいいのかもしれない。
この製品は,最終的にはコンシューマ向け製品を目指しているとのことだが,現状は開発向けのものとして位置づけられているという。問題は,価格が2万〜3万元になると見られることだ(36万〜50万円程度)。それこそV-Tuver用にでも簡易モーションキャプチャデバイスとして使えれば少しは普及が進みそうなのだが,その値段だと確実に別のデバイスが選ばれるだろう。シンプルさが価格に反映されていないのはちょっと残念だ。