3D&バーチャルリアリティ展開催,最新VRの動向は?
主に産業用VRの展示会として開催されていた歴史を持つが,最近では民生用品が発展していることもあって,さまざまな展示が行われるようになってきている。今回は,3DやVR以外に,併催されているイベントの情報も織り交ぜてお届けしたい。
●4K裸眼立体視ディスプレイ
テレビはどんどん4K化されているのだが,Ultra HD Blue-rayがそこまで普及しているとも思えず,なんとなくもったいない使われ方がされているのではないかという気がしている。裸眼立体視テレビは,一時東芝などが製品化していたものの,ほとんど普及しなかった。4K時代こそ裸眼立体視だという気がしているのだが。
●IDEALENS K3
新型となるK3は夏発売とのことだが,画面サイズなどは従来と変わらないものの,使用するSoCがExynos 8890(Galaxy S7などに使われているSoC)に変わり,表示性能もアップしているという。リフレッシュレートが75Hzから90Hzに上がっており,この手のデバイスではほぼ最高品位のVR体験が楽しめそうだ。
装着しやすいサイドバンドのないシステムは健在で,構造はよりシンプルになっているようだ。また,スピーカーやマイクが内蔵できるようになったことで,ヘッドフォンなしでより手軽に扱えるようになっている。
●Crystal LEDディスプレイ
画素がすべてLEDなので色もコントラストも高く,ある意味で究極のディスプレイではある。HDR(10bit)表示に対応し,最大輝度は1000cd/m2となっている。120Hz表示にも対応するという。LEDなのでもっといけそうな気はするが,高解像度で超高リフレッシュレートだと映像信号の送信で限界がきそうだ。
見たところまったくシームレスなのだが,構造としては,このディスプレイは40.3×45.3cmのユニットを18枚並べて構成されている。計算すると,135.9×241.8cmとなり,画面サイズでいうと109型くらいに相当することになる。ユニットとなるパネル自体も複数のパネルで構成されており,近寄って斜めから見るとその区切りは分かるが,普通に見ている分には映像に途切れはない。よくよく見ると画素の欠損ぽい部分は何箇所かあったが,一般的な視聴距離からだとまず分からない。価格は3000万円くらいとのこと。
大きさはスケーラブルに変更でき,やろうと思えば壁一面のディスプレイ化も可能だろう(消費電力は知らないが)。今後が期待されるデバイスである。
●HPバックパックワークステーション
なお。これは設計・製造ソリューション展で展示されていたものである。
●VRデバイス各種
興味深いのは歩行デバイスだろう。これは腰の下あたりに丸い鉄柵を設け,その内部で歩行を行ったときの動きを検出するものとなっている。緩衝材の下には圧力センサーがあり,そのセンサーで脚がどの程度動いたかを検出して歩幅を推定しているようだ。
●DeepFrame
映像ソースとしては,湾曲有機ELパネルを使ったディスプレイの併用が想定されている。コントラストなどからして自発光のデバイスがよいのだろう。
●球体投影機
●VREZ CINEMA
ただ,独自VRヘッドセット(約10万円くらいとのこと)専用とのことで,正直,サービス自体はちょっと厳しい気はする。VRヘッドセットは高解像度のそこそこよさそうなものではあるらしいのだが。
公式サイトにはAppleマークとGoogle Playマーク,そしてCardboardマークが付いているので,一般的なスマホなどでも視聴は可能にはなるのだろう。
●空間認識
もう一方のARmeは画像(映像)認識技術だ。顔認識などのほか,任意のオブジェクトを登録しておけばそれも認識できる。ARデバイスが普及してきたらこのような技術も注目を浴びるようになるのだろう。
●なぜか3Dプリンタ
会場を見ると,大手のストラタシスが強い。
カラープリンタで使える材料が追加され,クリアでビビッドな発色の材料が利用できるようになっている。アウディによるテールランプの作例は圧倒的だ。色の違う透明素材による造形が一発で出力できるという。
また,カーボンファイバー入りのプラスチックを利用できる機種もあり,こちらはマクラーレンに使われてブラケットを4時間で作成できたとのことだった。
また,デジタルモールド(3Dプリンタで金型を作るようなこと)での精度や仕上がり問題に対応して,少し肉厚に削りしろを取って主力力したものを別のデバイスで研磨してクオリティを上げるなどといったソリューションも展示されていた。
ただ,出力すればすぐに結果が手に入るわけではなく,できあがったものを溶液に数時間浸してポリマーを除いたのちに焼結するといった過程を経る必要がある。
気になるヒケはやはり出てくるようで,最初は「1%以上」と聞いていたのだが,出力後のものと焼結跡のものを見せてもらうと明らかに大きさが違う。聞くと「20%程度」とのことだった(それではちょっと使いにくすぎるだろうとは思うのだが,このあたり日本語でのやり取りで意思疎通が取れていたかは自信がない)。
レーザーやほかの方法で金属粉末を加熱し加工していくタイプの3Dプリンタは1億円くらいするわけだが,この方式なら3000万円くらいで済み,導入時に電源の心配や安全対策なども必要なく,デスクトップで使えるくらい手軽である。いくつか欠点はあるが,予算と用途次第では魅力的な製品かもしれない。
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