[CJ2017]ChinaJoy 2017会場に見る中国の最新VR動向まとめ

[CJ2017]ChinaJoy 2017会場に見る中国の最新VR動向まとめ
[CJ2017]ChinaJoy 2017会場に見る中国の最新VR動向まとめ
 2017年7月末に開催されたChinaJoy 2017。それと併催されていたスマートデバイスの展示会eSmartでは多くのVR機器が展示されていた。すでにいくつか紹介しているものもあるが,その他のものをここでざっと話題をまとめてみよう。

 さて,中国のVR市場は世界各国とは別次元で動いている。それでも,独自仕様VRヘッドセットの新製品が減っていたことはお伝えしたとおりだが,すでに発表されていた製品は,会場内の大型筐体などで併用されているのを見かけた。
 中国ではVR用の施設もあちこちにできているはずなので,そのあたりについて通訳さんに聞いてみたが,あまりゲームに詳しい人ではなかったのでよくわからないとのことだった。それでもあちこちのショッピングモールに小規模なVRアーケードのようなものは併設されているようで(体感筐体とVR機器の組み合わせ),そういうのは体験したことがあるという。聞くと,1プレイ1000円相当だそうで,日本で考えてもちょっとお高めな設定ではある。

 会場内でのVRデモはほとんどがViveによるものだった。8割がViveで残りが中国産の製品といったところだろうか。業務用のものでは中国産のVRヘッドセットが結構使われている感じだった。Riftを見かけたのは2箇所くらいだろうか。この傾向は,Riftの入手がかなり困難だった昨年の状況から変わらない。

こちらは昨年の模様


●デザインが激変したHYPERREAL
これが昨年のイメージモデル
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 昨年も紹介したHYPERREALの Panoはかなり様相が変わっていた。
 昨年はViveをカクカクさせたようなメカメカしさがあったのだが,今年展示されていた製品は打って変わって洗練された形になっていた。黒いPlayStation VRという感じだろうか。PSVR風の額で支える系の機構などがパクられ採用されている。AR系の製品を含め,新しく作られるヘッドセットではPSVR風の機構を真似ているところは結構多い。

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こちらが完成版
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ちなみにPSVR

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 ハンドコントローラも昨年はワンドタイプで,完成予定のモックアップではViveコントローラのリングとTouchを組み合わせたようなものが展示されていたのだが,今年出ていた製品版「Sense」は,円形のタッチパッドのある部分を中心に3方に伸ばした柄を下部で一つにまとめたような形状になった。そのうち一つが取っ手となり,残り二つがナックルガード兼センサーというところだろう。このあたりは内側と外側の2つのパーツでできているようだが,なんというか,金型屋さん大変だったろうなと思わせる形状だ。
 最終製品を試用しての感想は,品質的にはよくも悪くもごく普通という印象だ。

プレイの様子。Riftのようにトラッキングカメラ2台を使ってヘッドセットとハンドコントローラを追跡する
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●奇遇VRはDaydreamに対応
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 PSVRの装着機構の評価が高く,真似をするところが多いのはすでに書いたとおりだが,個人的に装着機構を高く評価していIdealens K2そっくりの製品がChinaJoy会場に出展されていた。
 奇遇VRの装着機構はだいたいIdealens K2と同じものになっている。Idealens K2が2本のパイプで頭の中心線を一直線に覆うようにしているのに対し,奇遇VRでは金属板1枚で同様の機構を作っている。
 奇遇VRはいわゆるオールインワンタイプのVR端末だ。SoCはSnapdragon 821で,表示部には4Kの液晶パネルが使われており,ハンドコントローラが付属する。表示遅延は50ms以下,連続使用時間は2時間とされている。
 本体にはカメラが搭載されており,カメラを使って外界を撮影することでヘッドセットの移動を検出するInside-out 6DOFトラッキングシステムが採用されている。
 実際に使ってみると,装着感は悪くない。ただ高解像度はいいのだが残像が多く,頭を動かすと画面全体が流れる感じだ。じっとしている分には高画質なのだが。全体のフォーカスは少し甘めに感じられた。
 試したのは「恐竜星球」のデモで,最初にラプターが出てきて,肉を投げて餌付けしているとティラノサウルスが登場し,ラプターを食べてしまう。次にスピノサウルスが出てきてティラノサウルスを食べるという展開だった。どっちかというと,ポスターにあった「AI Girl Friend双児」というのを試したかったのだが,ダウンロードに数時間かかりそうなので諦めた。
 この製品で最大のポイントとなるのは,Daydreamに対応しているというところだろう。で,Googleを徹底的に排除している中国でDaydreamって大丈夫なのかと聞いてみたのだが,アプリの配信は独自に行うので大丈夫とのことだった。

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●3GlassesのVRキオスク小8
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 昨年のChinaJoyで最も完成度の高いVRヘッドセットを出していた3Glassesは,今年はVRキオスクのようなものを出展していた。「小8」は,車輪付きで移動も簡単そうな据え置き端末であり,画面のメニューから各種VRコンテンツを簡単に起動できる。利用するVRヘッドセットはBlubur S1だ。
 用意されているコンテンツにはいくつかの種類があり,会場では観光コンテンツを選んで試してみた。フライバイで観光地を飛んで回るといった内容だが,映像のフレームレートが低めで快適性はいまひとつだった。推奨GPUはGeForce GTX 980以上と,他社製品より要求スペックが高いものの,2800×1440ドットで120Hz駆動はきついのか,GPU側の性能が明らかに足りていない。上空からの風景見下ろしは内容的にオブジェクトが重くなるというのはあるかもしれないが,ソフト側の最適化が足りていないような気はする。

商店街や観光地,学校への設置が見込まれている。教育用コンテンツもある
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●Pico VRはポジショントラッキングに対応
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Pico Goblin
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Pico U
 オールインワンタイプで独自の製品展開を行い,日本へもかなり早い段階から進出していたPico。Pico Neo Sではコントローラ部に本体を詰め込んだり,一体型でありながらPCにも接続できたりというアイデアに満ちており,中国産VRヘッドセットでは珍しく独自性の高い実装だった。

 会場に展示されていた新世代一体型のPico Goblinは,2560×1440ドット表示の高性能製品だ。もう一つのPico Uは,スマートフォンを挟み込むタイプのヘッドセットであり,丸いタッチパッドと1ボタン付きのコントローラが付属する。iOS製品と5〜6インチのAndroid端末に対応するというが,布張りの外観も合わせて,率直に言ってDaydream Viewにそっくりだ。一応,Daydreamに対応するのかとは聞いてみたが,とくに互換性はないようだった。

 そのPicoは,従来製品の欠点を補うべくポジショントラッキングを行うデバイスを追加していた。二眼の外部赤外線トラッキングカメラとハンドコントローラ,そして既存のVRヘッドセットの前面部分に取り付けるトラッキングデバイス内蔵のカバーのようなパーツだ。ポジショントラッキングは,Pico製品をPCに接続したときに動作する。
 後付けのポジショントラッキング用アタッチメントはユニークな発想だ。ヘッドセットの前端にトラッキングタグという4つの突起部がある。ここに赤外線LEDが入っているか,赤外線を強く反射する素材が取り付けられているものと思われる(電源供給されているのでLEDか)。フレーム面から飛び出しているのは,多少であれば後ろを向いても感知できるようにしているのであろう。なお,最初からトラッキングの機構を組み込んだヘッドセットも発売されている。

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●VR機器用アタッチメント
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 VR・MANのブースではVR関連の小物が展示されていた。ViveをPSVR風の装着方法にする機材や保護カバー,コントローラスタンドなど,3Dプリンタを使ってVR周りの小物をいろいろ製作しているのだ。Viveコントローラを取り付ける銃型の部材なども多彩だ。Viveを額で支えるPSVR式のヘッドバンド(?)で399元(約6500円)程度だ。
 3Dプリントの部材のほかに,ケーブルマネジメント用の製品なども扱っているようだ。販売以外にリースや設計代行などもしているとのこと。

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●Lenovo製ARヘッドセット
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 Lenovoブースで見かけたヘッドセット。二眼のカメラからして,おそらくARかMRがターゲットと思われるが,普通にVR用としても使えそうだ。視野は透過式ではなく,カメラで撮影した映像に対してCG映像を加算するタイプだ。それにしてもカメラの視差はかなり大きい。残念ながら,スペックなどの詳細についてはまったく教えてもらえなかった。もうじきなんらかの発表があるような気配はあったのだが……。
 背中に背負っているのは,Lenovo製のバックパックPCだ。名前はLegion VR PCとだけ記されている。CPUはCore i7のHシリーズで型番は不明。Hシリーズはゲーマー向けノートPC用とされている種類のCPUである。GPUにはRadeon RX 480が搭載されている。どうやら液冷のようだ。そのほか,2個のバッテリーをスワップして使えるほか,据え置き用のスタンドも用意されている。

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●大型体感VR筐体など
 ChinaJoy会場で強く感じたのは,大型のVR筐体が多いことだ。日本でも各社独自に作っていたり,SIMVRのような製品はあるのだが,とにかく多彩なのだ。多人数相乗りの製品も多く,大型でアトラクションとしては現実的なものがたくさんあった。
 細かいことはともかく,動画で紹介しておこう。