[CJ2017]ChinaJoy 2017会場に見る中国の最新VR動向まとめ
さて,中国のVR市場は世界各国とは別次元で動いている。それでも,独自仕様VRヘッドセットの新製品が減っていたことはお伝えしたとおりだが,すでに発表されていた製品は,会場内の大型筐体などで併用されているのを見かけた。
中国ではVR用の施設もあちこちにできているはずなので,そのあたりについて通訳さんに聞いてみたが,あまりゲームに詳しい人ではなかったのでよくわからないとのことだった。それでもあちこちのショッピングモールに小規模なVRアーケードのようなものは併設されているようで(体感筐体とVR機器の組み合わせ),そういうのは体験したことがあるという。聞くと,1プレイ1000円相当だそうで,日本で考えてもちょっとお高めな設定ではある。
会場内でのVRデモはほとんどがViveによるものだった。8割がViveで残りが中国産の製品といったところだろうか。業務用のものでは中国産のVRヘッドセットが結構使われている感じだった。Riftを見かけたのは2箇所くらいだろうか。この傾向は,Riftの入手がかなり困難だった昨年の状況から変わらない。
こちらは昨年の模様
●デザインが激変したHYPERREAL
昨年はViveをカクカクさせたようなメカメカしさがあったのだが,今年展示されていた製品は打って変わって洗練された形になっていた。黒いPlayStation VRという感じだろうか。PSVR風の額で支える系の機構などが
こちらが完成版 |
ちなみにPSVR |
最終製品を試用しての感想は,品質的にはよくも悪くもごく普通という印象だ。
●奇遇VRはDaydreamに対応
奇遇VRの装着機構はだいたいIdealens K2と同じものになっている。Idealens K2が2本のパイプで頭の中心線を一直線に覆うようにしているのに対し,奇遇VRでは金属板1枚で同様の機構を作っている。
奇遇VRはいわゆるオールインワンタイプのVR端末だ。SoCはSnapdragon 821で,表示部には4Kの液晶パネルが使われており,ハンドコントローラが付属する。表示遅延は50ms以下,連続使用時間は2時間とされている。
本体にはカメラが搭載されており,カメラを使って外界を撮影することでヘッドセットの移動を検出するInside-out 6DOFトラッキングシステムが採用されている。
実際に使ってみると,装着感は悪くない。ただ高解像度はいいのだが残像が多く,頭を動かすと画面全体が流れる感じだ。じっとしている分には高画質なのだが。全体のフォーカスは少し甘めに感じられた。
試したのは「恐竜星球」のデモで,最初にラプターが出てきて,肉を投げて餌付けしているとティラノサウルスが登場し,ラプターを食べてしまう。次にスピノサウルスが出てきてティラノサウルスを食べるという展開だった。どっちかというと,ポスターにあった「AI Girl Friend双児」というのを試したかったのだが,ダウンロードに数時間かかりそうなので諦めた。
この製品で最大のポイントとなるのは,Daydreamに対応しているというところだろう。で,Googleを徹底的に排除している中国でDaydreamって大丈夫なのかと聞いてみたのだが,アプリの配信は独自に行うので大丈夫とのことだった。
●3GlassesのVRキオスク小8
用意されているコンテンツにはいくつかの種類があり,会場では観光コンテンツを選んで試してみた。フライバイで観光地を飛んで回るといった内容だが,映像のフレームレートが低めで快適性はいまひとつだった。推奨GPUはGeForce GTX 980以上と,他社製品より要求スペックが高いものの,2800×1440ドットで120Hz駆動はきついのか,GPU側の性能が明らかに足りていない。上空からの風景見下ろしは内容的にオブジェクトが重くなるというのはあるかもしれないが,ソフト側の最適化が足りていないような気はする。
●Pico VRはポジショントラッキングに対応
Pico Goblin |
Pico U |
会場に展示されていた新世代一体型のPico Goblinは,2560×1440ドット表示の高性能製品だ。もう一つのPico Uは,スマートフォンを挟み込むタイプのヘッドセットであり,丸いタッチパッドと1ボタン付きのコントローラが付属する。iOS製品と5〜6インチのAndroid端末に対応するというが,布張りの外観も合わせて,率直に言ってDaydream Viewにそっくりだ。一応,Daydreamに対応するのかとは聞いてみたが,とくに互換性はないようだった。
そのPicoは,従来製品の欠点を補うべくポジショントラッキングを行うデバイスを追加していた。二眼の外部赤外線トラッキングカメラとハンドコントローラ,そして既存のVRヘッドセットの前面部分に取り付けるトラッキングデバイス内蔵のカバーのようなパーツだ。ポジショントラッキングは,Pico製品をPCに接続したときに動作する。
後付けのポジショントラッキング用アタッチメントはユニークな発想だ。ヘッドセットの前端にトラッキングタグという4つの突起部がある。ここに赤外線LEDが入っているか,赤外線を強く反射する素材が取り付けられているものと思われる(電源供給されているのでLEDか)。フレーム面から飛び出しているのは,多少であれば後ろを向いても感知できるようにしているのであろう。なお,最初からトラッキングの機構を組み込んだヘッドセットも発売されている。
●VR機器用アタッチメント
3Dプリントの部材のほかに,ケーブルマネジメント用の製品なども扱っているようだ。販売以外にリースや設計代行などもしているとのこと。
●Lenovo製ARヘッドセット
背中に背負っているのは,Lenovo製のバックパックPCだ。名前はLegion VR PCとだけ記されている。CPUはCore i7のHシリーズで型番は不明。Hシリーズはゲーマー向けノートPC用とされている種類のCPUである。GPUにはRadeon RX 480が搭載されている。どうやら液冷のようだ。そのほか,2個のバッテリーをスワップして使えるほか,据え置き用のスタンドも用意されている。
●大型体感VR筐体など
ChinaJoy会場で強く感じたのは,大型のVR筐体が多いことだ。日本でも各社独自に作っていたり,SIMVRのような製品はあるのだが,とにかく多彩なのだ。多人数相乗りの製品も多く,大型でアトラクションとしては現実的なものがたくさんあった。
細かいことはともかく,動画で紹介しておこう。