「第1回eスポーツビジネスEXPO」でeスポーツ関連商品を見る


 2022年6月29日,東京ビッグサイトで「第1回eスポーツビジネスEXPO」が開催された。本稿では同イベントを中心に,併催イベントでのあまりゲームとは関係のないものも含め,面白そうなものをまとめて紹介していく。


●ゲーム中の脳波を調べてゾーンに至る

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 NOKでは,ゲーム中の脳波を調べる機器が展示されていた。
 計測器となるSotto Capはキャップ型の帽子の額部分に2個の電極,耳たぶにアース用クリップを取り付けるだけの簡単な構造だ。
 この手の脳波デバイスではα波でリラックス具合,β波で集中具合を測って利用するものが多いのだが,この製品では第3のパラメータが記載されていた。記述される個所によって「行動力」だったり「活性」だったり「ゾーン」だったりと用語が一貫していないのだが,すべて同じものだそうだ(以下,ゾーンで統一)。

 競技者を調べていると,α波とβ波がともに高い状態のときにいわゆるゾーンに入っていることが分かったのだと説明を受けたが,展示されている説明資料を読むとそうでもないらしい。α波とβ波の間にあるSMR波帯の脳波を計測して,これが高い場合にゾーンとみなしているようだ。
 まだ未解明なところも多いため現在はゲームプレイ中の脳波を記録して,大学レベルで研究を続けているとのことだった。ゾーンに入ったかどうかがプレイヤーに分かるとよさそうではあるのだが,集中を乱される要因にもなるため,そのあたりの導入には慎重であるようだ。

 また,ゲームプレイ中の脳波を計測して,性格判定を実施する試みも行われていた。これは特定の場面での脳波を記録しておき,機械学習で蓄積されたデータから,行動力,直観力,注意力,冷静さ,共感という5つの要素を数値化し,それらの特徴から,統率タイプ,実行タイプ,研究タイプ,補佐タイプ,共感タイプ,司令官タイプなどの性格を判定するものだ。プロチームなどでは,役割分担の参考になるものかもしれない。

 判定用ゲームにはセガのソニックレーシングが使用されていた。セガから許諾を取って使っているものの,ゲーム自体にはなんの手も加えられていないとのことだ。
 会場では,マリオカートの大会での優勝者だという人のプレイを見たのだが,ソニックレーシングは初見らしかったものの,ちゃんと1位になっているあたりはさすがだった。結果は補佐型だったが,初見のゲームで注意力や行動力を判断するのもちょっと無理があるだろう。

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 ゲーム中の精神状態を数値によって見える化することができれば,そこからセルフフィードバックループでゾーンに入りやすくなるトレーニングをすることも可能になるだろう。すでにリラックスに特化したようなモノはいろいろあるのだが,ゾーンのほうが需要は広そうだ。ゲームに限らず,集中力を鍛えるという点では幅広く使えるツールとなるかもしれない。



●eスポーツ用サプリ

 MARGA JAPANのBUFF G3は,ビルベリーを特徴としたグミ状のサプリメントだ。
 ビルベリー(※ブルーベリーの一種)やブルーベリーのアントシアニンによる視力改善効果については賛否両論がある。最近はなぜか「あれは第二次大戦中のイギリス軍が流したデマなんですよ」みたいな言動をしている人も多いのだが,研究自体はもっと前から行われているものであり,そういう人が挙げている,効果を否定する論文検索リンクを見てもほとんどは視力改善効果を肯定するものだったりする。

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 BUFF G3の原材料を見ると,水あめ,砂糖,ゼラチン,ブルーベリー濃縮果汁,粉末オブラート,ビルベリーエキス/ソルビトール,酸味料,ペクチン,光沢材,香料,乳化剤となっている。
 内容物から推測するに,効果はあまり期待できないかもしれない。カフェインは飲み物で摂るとしても,視力重視ならルテインやビタミン類入れるとか,砂糖ではなくて吸収の速いブドウ糖にするとか,もっとやりようはあるのではないかという気がした。48g(12粒)中ビルベリーエキス120mgだけでは弱い。
 アントシアニンだけでも,肝臓にいいとか,抗酸化作用がどうのと,悪いものではないので下手なキャンディなどよりはマシなのかもしれない。しかし,参考までに調べると,UHA味覚糖のブルーベリーグミには,5g(2粒)中にビルベリーエキス末が140mgも入っていた。うーむ。

●ゲームブースを家庭でも

 宮地楽器は,個室型ゲーム環境を構築するVERY-Qを展示していた。これは防音材パネルを組み合わせて作る半個室環境で,ネットカフェなどでの使用のほか,個人向けにも販売されているものだ。価格は,パネル1枚で3万円程度,ブース状に組まれたセットだと50万円ほどとのことだった。



 なお,防音材は使っていても天井部分は素通しなので,そのままでは完全な防音効果は期待できない。法的な問題などもあって難しいのだろう。
 それでも半個室となるだけでもゲームに集中できるようになる人は多いだろう。パネルを組み合わせているだけなので,簡単に片づけられる点もなかなかよさそうだ。

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●レーザー式サバゲー日本上陸

 渡邊油化はレーザータグを使用した対戦シューティングシステムを展示していた。これは胴体に付けたセンサーに銃から発射されたレーザーが当たると振動して命中を知らせるというもので,サバイバルゲーム風のアトラクション用機材である。

 ビームはだいたい10m先まで感知できるということで,フィールドは10m四方程度は必要になる。5vs5などのチーム戦も可能で,対戦状況は集中管理でき,タブレットを介して外部ディスプレイに表示することも可能だ。
 今回が国内初披露とのことだが,まもなく東京タワーでイベントが行われるとのことであった。

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●ロボに乗れる


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 ロボットライドのスケルトニクスは,手足を延長したような器具をロボット状に仕上げて,「ロボットに乗れる」体験を実現するデバイスである。イベントやテレビなどで利用されているとのことだが,ロボットが動き回るショウを見たあとで,脚を固定されたロボットに実際に乗ってみることができるというイベントが好評を博している。

 足まで延長された状態だと乗るのに慣れが必要とのことだが,それでも1日あれば歩けるようになるという。現在は,このロボに乗った状態でできるスポーツ競技も模索されているようだ。今後のエクストリームスポーツとして注目したい。

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MAD CATSブースではマウスなどの機器が展示されていた
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