【月間総括】PSプラットフォームのビジネスモデル危機の解決策と,Switch OLEDモデル予約開始について
今月は,先月触れたPS5の空き容量問題から進めていきたい。今回はPlayStationのビジネスにかかわる問題点に対する対策もお話したい。
PlayStation 5は9月15日に待望のファームウェアアップデートが行われたが,ツクモの公式Twitterが,さっそくSSDの品薄を告知し,ITメディアもSSDの販売急増を報道している。これらからも,大容量の2TBクラスが人気のようである。前回,ここでもコメントしたPC周辺機器メーカーは,500GBクラスを売れ筋と見ていたようだが,エース経済研究所では懐疑的だった。
ゲームソフトの容量は増加傾向が一貫して続いており,早晩1タイトルが100GBクラスになるのは避けられないと考えている。また,ユーザーの実感としても,PS5の初期容量がゲームソフトの肥大化に見合っていないと感じていると思う。
こうした点を考慮し,エース経済研究所では1TB/2TBが売れ筋になると見ていた。そもそもソニーグループは,SSDの高速体験をPS5の売りにしていたのであるから,遅い外付けHDDを使うというのはユーザーとしてもなかなか許容できないことと,いろいろなゲームソフトで体験した思い出があり,再ダウンロードにかかる時間を考えるとゲームを消すのは心理的な障壁は高いと見ていた。
先月のスペースコストもそうだが,心理的な障壁は物理的な障壁とそう変わらないものであるとエース経済研究所では考えている。よって,一回限りの増設チャンスに,価格が高くても,より大容量のSSDが選ばれるのは当然の結果といえるだろう。
多くのゲーム専用機向けにゲームを提供するサードパーティでは最近,PCでのソフト販売が伸びている。これはオンライン認証で販売が可能なプラットフォームSteamの台頭によるところが大きい。
カプコンの説明では,ゲーム専用機が約80の国と地域での販売に対して,こちらは220の国と地域で販売が可能で,セール時に販売が大きく伸びるとのことであった。エース経済研究所では,Steamは販売とインストールが明確に分離されおり,空き容量を気にせずに購買する人が多いのが一因と考えている。
この点も考慮すると,PSプラットフォームでも今後起こりうる危機への対処として、販売とインストールの分離の明確化を提案したい。現状,購買とインストールが分離されていることが十分に周知されておらず、空き容量が購入のハードルになっているように思える。これをセール時に空き容量が乏しくても,とりあえず買っておいてあとで楽しむことができると改めて周知するのである。認知が今以上に広がれば、セール時の販売を大きく伸ばすことができるのではなだいだろうか。
またSSDのセールをソニーグループ自身が行うことも提案してみたい。サムスンのマイクロSDカードを任天堂が自社の通販サイトで割引販売した事例がある。大容量のSSDが増設されれば,よりゲーム販売が増えると考えられるため,試みる価値はあると思う。
グローバルな経済発展でゲームを楽しむユーザーが増えるなか,ゲーマー向けPCの普及は,巨大化した据え置きゲーム機と競合関係になってきている。ゲームの一般化は,ゲーム機をニッチ市場と定義するソニーグループの考えとは相反する動きで,エース経済研究所では警戒する必要があると見ている。
次に任天堂についてである。9月24日にNintendo Switch(有機ELモデル)の予約が開始されたが,コロナ禍ということもあり,店頭での発売はほとんどなく,大手量販店の大半は抽選のようである。エース経済研究所では,あまり好ましいとは思っていないが,コロナ禍という状況を考えるとやむを得ないであろう。
エース経済研究所でヒアリングした範囲内では,Switchの生産は2550万台の販売(着荷)台数に向けて,なんとか目途が付いている状態のようだ。半導体だけでなく,電子部品などの調達はどの会社も厳しいので,PS5もSwitchも一台でも多く生産してほしいものである。不足が叫ばれている半導体に関しては,最先端品よりも,40nmクラスの不足が深刻のようである。東芝のパワー半導体も,ゲーム機に対する供給が要望に応えきれていないとコメントしていた。
そのうえで,OLEDモデルのポイントは最初の2週間の販売動向だろう。Switchの普及はすでに十分なので5年目のゲーム機であれば,製品寿命がどの程度伸ばせるかが課題となり,あまり意味はない。しかし,任天堂は販売の長期化を狙っているので,ここでどれくらいの販売数となるかが重要だと考えている。
次世代機であれば2週間で45万台というところだが,今回はおそらくそこまで供給できないと見ている。Switch Liteの17万台に対してどうなるか,そして店頭で2週目以降どのような動きをするかがポイントであろう。
発売から25週間の国内ゲーム機の実売動向
任天堂のゲーム機では,ゲームボーイが非常に長寿命だった。世間一般では,ポケモンが救ったととらえられているが,エース経済研究所では,ゲームボーイポケットや,カラーのマイナーチェンジによる効果が大きかったと考えている。
今回のOLEDモデルはゲームボーイカラーに近い。この見ただけで分かるマイナーチェンジが受け入れられれば,Switchの長寿命化に一役買うことになるだろう。
もう一つ,任天堂はツイートで新型機の予定は現時点ではないとしているが,いずれ,マイナーチェンジは再度実施されるはずである。過去であれば次世代機のタイミングであるが半導体やソフトウェア技術の進歩で,アーキテクチャーを変更してもソフトの互換性は維持しやすくなっている。
それならば再度マイナーチェンジを行い,古川社長のいう長寿命化を実現するほうが良いと言えるだろう。
最後に,AmazonマーケットプレイではすでにOLEDモデルが高額で販売されているようだ。詳細は来月に譲りたいが,人気化しているならば,Switchの需要は古川社長のいうように相当長くなるだろう。
PlayStation 5は9月15日に待望のファームウェアアップデートが行われたが,ツクモの公式Twitterが,さっそくSSDの品薄を告知し,ITメディアもSSDの販売急増を報道している。これらからも,大容量の2TBクラスが人気のようである。前回,ここでもコメントしたPC周辺機器メーカーは,500GBクラスを売れ筋と見ていたようだが,エース経済研究所では懐疑的だった。
ゲームソフトの容量は増加傾向が一貫して続いており,早晩1タイトルが100GBクラスになるのは避けられないと考えている。また,ユーザーの実感としても,PS5の初期容量がゲームソフトの肥大化に見合っていないと感じていると思う。
こうした点を考慮し,エース経済研究所では1TB/2TBが売れ筋になると見ていた。そもそもソニーグループは,SSDの高速体験をPS5の売りにしていたのであるから,遅い外付けHDDを使うというのはユーザーとしてもなかなか許容できないことと,いろいろなゲームソフトで体験した思い出があり,再ダウンロードにかかる時間を考えるとゲームを消すのは心理的な障壁は高いと見ていた。
先月のスペースコストもそうだが,心理的な障壁は物理的な障壁とそう変わらないものであるとエース経済研究所では考えている。よって,一回限りの増設チャンスに,価格が高くても,より大容量のSSDが選ばれるのは当然の結果といえるだろう。
多くのゲーム専用機向けにゲームを提供するサードパーティでは最近,PCでのソフト販売が伸びている。これはオンライン認証で販売が可能なプラットフォームSteamの台頭によるところが大きい。
カプコンの説明では,ゲーム専用機が約80の国と地域での販売に対して,こちらは220の国と地域で販売が可能で,セール時に販売が大きく伸びるとのことであった。エース経済研究所では,Steamは販売とインストールが明確に分離されおり,空き容量を気にせずに購買する人が多いのが一因と考えている。
この点も考慮すると,PSプラットフォームでも今後起こりうる危機への対処として、販売とインストールの分離の明確化を提案したい。現状,購買とインストールが分離されていることが十分に周知されておらず、空き容量が購入のハードルになっているように思える。これをセール時に空き容量が乏しくても,とりあえず買っておいてあとで楽しむことができると改めて周知するのである。認知が今以上に広がれば、セール時の販売を大きく伸ばすことができるのではなだいだろうか。
またSSDのセールをソニーグループ自身が行うことも提案してみたい。サムスンのマイクロSDカードを任天堂が自社の通販サイトで割引販売した事例がある。大容量のSSDが増設されれば,よりゲーム販売が増えると考えられるため,試みる価値はあると思う。
グローバルな経済発展でゲームを楽しむユーザーが増えるなか,ゲーマー向けPCの普及は,巨大化した据え置きゲーム機と競合関係になってきている。ゲームの一般化は,ゲーム機をニッチ市場と定義するソニーグループの考えとは相反する動きで,エース経済研究所では警戒する必要があると見ている。
次に任天堂についてである。9月24日にNintendo Switch(有機ELモデル)の予約が開始されたが,コロナ禍ということもあり,店頭での発売はほとんどなく,大手量販店の大半は抽選のようである。エース経済研究所では,あまり好ましいとは思っていないが,コロナ禍という状況を考えるとやむを得ないであろう。
エース経済研究所でヒアリングした範囲内では,Switchの生産は2550万台の販売(着荷)台数に向けて,なんとか目途が付いている状態のようだ。半導体だけでなく,電子部品などの調達はどの会社も厳しいので,PS5もSwitchも一台でも多く生産してほしいものである。不足が叫ばれている半導体に関しては,最先端品よりも,40nmクラスの不足が深刻のようである。東芝のパワー半導体も,ゲーム機に対する供給が要望に応えきれていないとコメントしていた。
そのうえで,OLEDモデルのポイントは最初の2週間の販売動向だろう。Switchの普及はすでに十分なので5年目のゲーム機であれば,製品寿命がどの程度伸ばせるかが課題となり,あまり意味はない。しかし,任天堂は販売の長期化を狙っているので,ここでどれくらいの販売数となるかが重要だと考えている。
次世代機であれば2週間で45万台というところだが,今回はおそらくそこまで供給できないと見ている。Switch Liteの17万台に対してどうなるか,そして店頭で2週目以降どのような動きをするかがポイントであろう。
発売から25週間の国内ゲーム機の実売動向
任天堂のゲーム機では,ゲームボーイが非常に長寿命だった。世間一般では,ポケモンが救ったととらえられているが,エース経済研究所では,ゲームボーイポケットや,カラーのマイナーチェンジによる効果が大きかったと考えている。
今回のOLEDモデルはゲームボーイカラーに近い。この見ただけで分かるマイナーチェンジが受け入れられれば,Switchの長寿命化に一役買うことになるだろう。
もう一つ,任天堂はツイートで新型機の予定は現時点ではないとしているが,いずれ,マイナーチェンジは再度実施されるはずである。過去であれば次世代機のタイミングであるが半導体やソフトウェア技術の進歩で,アーキテクチャーを変更してもソフトの互換性は維持しやすくなっている。
それならば再度マイナーチェンジを行い,古川社長のいう長寿命化を実現するほうが良いと言えるだろう。
最後に,AmazonマーケットプレイではすでにOLEDモデルが高額で販売されているようだ。詳細は来月に譲りたいが,人気化しているならば,Switchの需要は古川社長のいうように相当長くなるだろう。
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