デジタルダウンロードは2020年に欧州全体で47%増|欧州年次報告書

AAAパブリッシャが,2020年のゲーム売上の6割近くがデジタルであると報告


 セールストラッカーのGSDによると,2020年にイギリス,アイルランド,ヨーロッパ本土,中東,アフリカ(EMEA)で2億1190万本のゲームが販売されたという。

 GSDは,複数のテリトリーでパッケージで販売されたゲームを調査しており,ほとんどの主要ゲームパブリッシャのダウンロード販売もカウントしています(詳細はこの記事の一番下を参照)。

 すでに英国市場の特定の分析を行っているので,今回の分析では英国を除いて,GSDがパッケージ版とダウンロード版の両方を調査しているヨーロッパの全市場に焦点を当てた。それには,ベネルクス,フランス,GSA(ドイツ,スイス,オーストリア),イベリア,北欧,ポーランドが含まれている。

 これらの市場では,1億2370万本のゲームが販売され,2019年と比較して19%の上昇となった。また,それらのゲームのうち5870万本がダウンロードされ,前年比47%増となった。ロックダウンによりストリートの店舗が閉鎖されたにもかかわらず,6500万本のパッケージゲームが様々な市場で販売され,0.8%増加した。

 パッケージ版とダウンロード版の市場シェアをより正確に把握するためには,両方の売上をカウントしていない国を除外する必要がある。また,任天堂,Bethesda,CD Projektのように,GSDとデジタルの数字を共有していない会社の分は,差し引く必要がある。それを行ったのち,パブリッシャによって販売されたゲームの59%がダウンロードされ,残りは物理的な販売を経由したことが分かった。また,2019年には48%未満の売上がデジタルであったことが分かる。

FIFA 21は,ヨーロッパ全体で最も売れたゲームだった
デジタルダウンロードは2020年に欧州全体で47%増|欧州年次報告書

 サッカーの巨大市場として,大陸で最も売れているゲームとして「FIFA 21」を見ても不思議ではありません。このサッカータイトルは2位の「Grand Theft Auto 5」を楽々と破っている。また,ロックスターのゲームは,新たな人達がゲームを遊ぶようになったため,COVID-19のロックダウンの間,非常に好調に推移した。

 チャートには古いゲーム(2020年以前に発売されたタイトル)も多く,「FIFA 20」,「Red Dead Redemption 2」,「Mario Kart 8 Deluxe」,「Call of Duty: Modern Warfare」がトップ10に入った。

 「FIFA 21」に次いでチャート上位にランクインしたのは「Animal Crossing: New Horizons」だった。任天堂はGSDプロジェクトとデジタルダウンロードデータを共有していないため,ダウンロード数を入れれば,もっと上位にランクインしていたかもしれない。

「FIFA 21」は,「NHL 21」が1位になったフィンランドを除くほぼすべての市場で1位となった


 パッケージ版とダウンロード版のデータがある国では,オーストリア,ベルギー,デンマーク,フランス,ドイツ,イタリア,オランダ,ノルウェー,ポーランド,ポルトガル,スペイン,スウェーデン,スイスのほぼすべての国で「FIFA 21」が1位となった。ただ一つだけ例外があり,フィンランドでは「NHL 21」が1位だった。

 欧州全体で箱物ゲームのパブリッシャで最大だったのは任天堂で,市場シェアは28%を超え,2位のEAの2倍以上だ。ダウンロード版では,Ubisoftが18%近い市場シェアで1位となり,2位のEAを引き離している。

 コンソール機では,PS4が最大のダウンロードプラットフォームで,売上の52%を占め,PCは27%で2位だった。注目すべきは,ダウンロード版の売上を共有しているパブリッシャの大半が,主にコンソール向けのリリースで知られていることだ。また,このデータにはゲームパスの売上は含まれていないことも注目に値する。

 パッケージ版では,市場シェア41%のNintendo Switchを僅差で引き離し,市場シェア43%でPS4がトップに立った。しかし,これは地域によって異なる。フランスとドイツではSwitchがパッケージ版の販売台数でトップであるのに対し,イタリアとスペインではPS4が好調だった。

 ジャンル別に見てみると,アクションが2020年で最も大きく,売上高の27%を占め,前年比30%増となった。これはGrand Theft Auto,Assassin's Creed,Super Marioの好調な売上に後押しされたものとなる。
 シューティングゲームは2位だが,2020年のシューティングゲームの売上は4%減少した。これはシューティングゲームの発売本数が減少していることが原因で,このジャンルでは「Call of Duty」と「Rainbow Six」がこの1年で最大のゲームとなった。

欧州全体でパッケージ版の最大パブリッシャは任天堂で,市場シェアは28%以上だ


 最も伸びたジャンルはストラテジーで,前年比57%増。これは主に任天堂の「Animal Crossing: New Horizons」の成功によるものだ。

 また,調査対象となった市場で販売されたゲームの32%がPEGIレーティング18で,これは2019年と完全に同じ結果となった。

スイッチの売上高は欧州全体で22%急増


 ベネルクス,フランス,スイス,北欧,スペイン,イタリアで559万台のゲーム機が販売され,前年比1.9%のわずかな減少となった。

2020年のフィンランドではNHL21が1位に
デジタルダウンロードは2020年に欧州全体で47%増|欧州年次報告書

 Nintendo Switchが今年最も売れたゲーム機であったことは驚くに値しないだろう。任天堂のゲーム機は,前年の同時期に比べて22%以上も売り上げが急増した。これは2番目に売れたデバイスの3倍近い数字だ。
 PS4の売上は2019年に比べて42%減少したが,PlayStation 5が11月に発売されたことを考えると,それほど驚くべきことではない。PS5は今年3番目に売れたゲーム機で,Xbox Series X|S,Xbox Oneの順となった。

 前年比ではコンソールの販売台数は減少したものの,これらの機器からの収益は実際には12%増の17億ユーロとなった。これは新型機の価格が上昇したことによるものだ。

 北欧地域を除き,ヨーロッパではSwitchが販売台数を独占。デンマークとフィンランドではPS4が最も売れたゲーム機であり,スウェーデンではPS5が最も人気のあるデバイスとなった。

DualShock 4がまたしてもトップに


 アクセサリ(コントローラ,ヘッドセット,その他のアドオン)では,ベネルクス,北欧,フランス,スペイン,イタリアで1820万個の製品が販売された。

 最も売れた製品は,ソニーのDualShock 4コントローラだったが,これはPS4の人気を考えれば当然のことだ。PS5の登場が迫っているにもかかわらず,DualShock 4の売上は5%増加した。SwitchのJoy-Conコントローラは前年比32%増となったものの,2位に留まっている。
 次いでXbox Oneコントローラが続き,前年比37%減となった。もちろん,Xbox OneコントローラはXbox Series Xのゲームパッド(古いデバイスでも動作する)に取って代わられたわけだが,この2つを足せば,その落ち込みを補う以上の効果がある。

 収益面では,これらの製品は前年比14%増の8億2000万だ

 最後に,昨年販売されたポイントカード(オンラインメンバーシップとカードで購入した店舗ポイントを含む)は,地域別で1550万枚で,前年比9.5%の減少となった。前年比18.7%減にもかかわらず「PlayStation Store」カードがトップで,次いで「PlayStation Plus」カードが0.2%増となる。ニンテンドーeショップカードは前年比34%増の3位となり。全体では,2020年に販売されたポイントカードは前年比9%減の3億5300万枚だった。

GSD Annual 2020 Top 20 Video Games (Digital + Physical)
Position Title
1 FIFA 21 (EA)
2 Grand Theft Auto 5 (Rockstar)
3 Animal Crossing: New Horizons (Nintendo)*
4 FIFA 20 (EA)
5 Call of Duty: Black Ops Cold War (Activision Blizzard)
6 Mario Kart 8: Deluxe (Nintendo)*
7 The Last of Us Part 2 (Sony)
8 Assassin's Creed Valhalla (Ubisoft)
9 Call of Duty: Modern Warfare
10 Red Dead Redemption 2 (Rockstar)
11 NBA 2K20 (2K Games)
12 Super Mario 3D All-Stars (Nintendo)*
13 Tom Clancy's Rainbow Six Siege (Ubisoft)
14 Cyberpunk 2077 (CD Projekt)*
15 Minecraft: Switch Edition (Nintendo/Microsoft)*
16 Ghost of Tsushima (Sony)
17 Assassin's Creed Odyssey (Ubisoft)
18 Ring Fit Adventure (Nintendo)
19 Just Dance 2020
20 Super Mario Party (Nintendo)*
 *Digital data not available

GSD European Digital 2020 Top 10 Video Games (excluding UK)
Position Title
1 FIFA 21 (EA)
2 Grand Theft Auto 5 (Rockstar)
3 FIFA 20 (EA)
4 Call of Duty: Black Ops Cold War (Activision Blizzard)
5 NBA 2K20 (2K Games)
6 Call of Duty: Modern Warfare (Activision Blizzard)
7 Tom Clancy's Rainbow Six: Siege (Ubisoft)
8 Red Dead Redemption 2 (Rockstar)
9 Assassin's Creed Odyssey (Ubisoft)
10 Assassin's Creed Valhalla (Ubisoft)

GSD European Physical 2020 Top 10 Video Games (excluding UK)
Position Title
1 FIFA 21 (EA)
2 Animal Crossing: New Horizons (Nintendo)
3 Mario Kart 8: Deluxe (Nintendo)
4 The Last of Us: Part 2 (Sony)
5 Super Mario 3D All-Stars (Nintendo)
6 Grand Theft Auto 5 (Rockstar)
7 Assassin's Creed Valhalla (Ubisoft)
8 FIFA 20 (EA)
9 Cyberpunk 2077 (CD Projekt)
10 Minecraft: Switch Edition (Nintendo)


GSDのデジタルデータには,Steam,Xbox Live,PlayStation Network,Nintendo Eshopで販売されている参加企業のゲームが含まれています。対象企業は,Activision Blizzard,Bandai Namco,Big Ben Interactive,Capcom,Codemasters,Electronic Arts,Focus Home Interactive,Koch Media,Konami,Microids,Microsoft,Milestone,Paradox Interactive,Quantic Dream,Sega,Sony,Square Enix,Strelka,Take-Two,Ubisoft,Warner Brosだ。任天堂とBethesdaは対象企業ではありません

本レポートでは,ベネルクス,フランス,GSA(ドイツ,スイス,オーストリア),イベリア,北欧,ポーランドで販売されたデジタルゲームとハードに焦点を当てました。ハードウェアについては,GSDのデータは特にベルギー,デンマーク,フィンランド,フランス,イタリア,オランダ,ノルウェー,フィンランド,スペイン,スウェーデン,スイスをカバーしています


※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら