Microsoft:Xbox Series Sは,次世代を押し留めない,むしろ推進する

ローエンド家庭用ゲーム機を維持するのではなく,Xbox One Xの低性能版を出した理由をプラットフォームホルダーが説明する。

 Microsoftは,そのエントリレベルの次世代家庭用ゲーム機Xbox Series Sをローンチするに至った決定について詳細を共有する。

 昨日,より強力なSeries Xと一緒に発売された299ドル/249ドルのデジタル専用家庭用ゲーム機は,クイックレジュームやソリッドステートドライブによって有効となった高速なロード時間のような次世代の機能を備えているにもかかわらず,パフォーマンスの面では,現在廃盤となっている(関連英文記事)Xbox One Xと大差はない。

 技術の小さな違いを考えると,Microsoftは,そのエントリレベルのデバイスとしてXbox One Xを保持することもできただろう。しかし,システムアーキテクトAndrew Goossen氏は,プラットフォームホルダーが新しいローエンド家庭用ゲーム機で前方にプッシュした理由をDigital Foundryに語っている(関連英文記事)。

 その要因の1つは,Xbox One Xは新世代まで長持ちしたかもしれないが,Xbox Velocity Architectureやレイトレーシング,可変レートシェーディングなどのグラフィカル機能といった,Microsoftが新しいデバイスを定義すると考えている側面が欠けていたことにある。

 「我々は,適切な価格帯のエントリーレベルがあることを確認したかったので,本当に世代を押し留めるのではなく,前進させることができます」 Goossenは語っている。

 「Series Sは次世代を抑制するとい人もいますが,私は実際にはSeries Sがそれを前進させていると見ています。Series Sを出すことで,次世代機の特性に合わせたゲームが増えるからです」

 価格も重要な要素の1つであり,「家庭用ゲーム機の設計方法の大きな変化」を反映している。シリコンコストの削減により,歴史的に家庭用ゲーム機は世代を経るごとに安くなっていたが,その効果はあまり顕著ではなかった。

 「前の世代は,最初に,非常に高価なものを作って,それにできるだけ多くのシリコンと性能を入れていましたので,コスト削減のカーブに乗って大衆市場価格まで下げていくのは簡単でした。とGoossen氏は付け加えた。「それはもうありませんが」

 さらに,「皮肉なことに,Xbox One Xを見ていたのですが,希望する価格帯まで下げられなかませんでした。Xbox Series Sを見てみると,Xbox One Xよりも安くなっていたのです」とも付け加えている。

 Goossen氏はまた,Series SはOne Xではできない方法でOne Sのゲームを強化することができ,Series Xよりもいくつかの改善点があることも指摘している ― たとえば,Quick Resumeはローエンドの家庭用ゲーム機のほうがより高速だ(※メインメモリ量が小さいことの副作用と思われる)。

 アーキテクトのコメントは,XboxのボスであるPhil Spancer氏のコメントと同じく,ローエンドのハードウェアによって 「抑えられている 」背後にあるデベロッパの概念について今年初めに我々に話してくれた(関連英文記事)。

 「率直に言って,抑え込まれているというのは,デバイスの競争に巻き込まれすぎている人たちによって作られたミームです」と氏は当時語っていた。

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら