Richard Duck氏は，OculusでVRゲームをローンチするための技術的なガイドラインとコンテンツのガイドラインを詳しく紹介してくれた。

　ゲームが，ストア上の提出要件をパスするように確認するのはなかなか難しくなってきている。しかし，そういったものはより多くの技術的な制約を持っているVRコンテンツではさらに重要になる。GDC週の間に，Facebook はGame Developers Showcaseを開催し，Oculus で VR ゲームをリリースするためのベストプラクティスを共有した。

　ストアオペレーションマネージャーのRichard Duck氏が主催したプレゼンテーションは（参考URL），開発の終了とローンチの間の重要な瞬間に焦点を当てている。それは，ゲームがOculusの技術的ガイドラインやコンテンツガイドラインに準拠しているかどうかをチェックする期間だ。このアドバイスはFacebookのVRエコシステムに焦点を当てているが，ほとんどはどのプラットフォームにも適用できるものである。

1. テストを徹底する

　ゲームを提出する前に最も重要になるのは，可能な限り広範囲にテストを行ってきたかを確認することだ。

　「アプリケーションやアセットにテストを含めるのが早ければ早いほど，発売に向けての準備が早くなります」とDuck氏は語る。「すべての顧客が一貫した体験を求めていることを忘れないことが重要ですが，これは顧客の助けになるだけでなく，あなたの助けにもなります。タイトルだけでなくメタデータも含めて，早期に頻繁にテストを行うことで，時間を節約し，ローンチをより早く成功に導くことができます」

異なるハードウェアでのテストが重要

　VRデベロッパは，市場がまだニッチなので，できるだけ多くのプラットフォームでゲームを発売することを目指すべきだ。つまり，各エコシステムでのテストを徹底する必要がある。そして，それに加えて，適切なハードウェアでゲームをテストする必要がある。

　「これは動くターゲットのように感じるかもしれませんが，アプリケーションを可能な限り多くのハードウェア上で動作させることが重要です」とDuck氏は続ける。「アプリケーションが最小スペックのハードウェアで動作することを確認することで，技術的なレビュープロセスの時間を節約し，アプリケーションの起動に一歩近づけることができます」

　「あなたのマシンでは問題なくアプリケーションを実行できるかもしれませんが，他のコンピュータでは実行できないかもしれません。テスト，テスト，テスト，テストを行うことが重要です」

2. バーチャルリアリティチェック(VRC)を実施する

　Duck氏は，Oculusストアでの発売を許可するためにチェックが必要なVRソフトウェアの複数の側面を強調していた。Riftの場合はこのページ，Questの場合はこのページで，それぞれの詳細を確認できる。

• アセット：Oculusのアセットガイドラインに従っているか？
• オーディオ：アプリケーションは適切なハードウェアをターゲットにしているか？
• 互換性：正しいSDKを使用しているか？　正しいバージョンの Unityを使用しているか？　Unrealの正しいバージョンを使用しているか？
• 機能性：ゲームはすべての機能要件を満たしているか？　HMDトラッキングと方向性をサポートしているか？
• 入力：適切な入力をすべてサポートしているか？
• セキュリティ: 資格チェックを行っているか？　アプリにデバッグファイルはないか？
• パフォーマンス：アプリケーションはすべてのパフォーマンス要件を満たしているか？
• トラッキング: メタデータは，座りながらのプレイやルームスケールのセットアップなど，さまざまなプレイモードにマッチしているか?

　VRC Validatorは，上記のほとんどの点について自動テストを実行し，技術的なレビュープロセスを容易にしてくれる。

Oculusのストアオペレーションマネージャー，Richard Duck氏

　「これは省略されたリストですが，開発者サイトで提供しているテスト計画に従えば，これらの多くが解決できることが分かるでしょう」とDuck氏は語る。「（VRC Validator）ツールは，アプリケーションに問題があるかどうかを弊社に提出する前に確認するのに役立ちます。これもまた，提出前に多くの時間を節約することができます」

　ライブテスターを利用できない場合，この段階ではOculusデバッグツールが非常に便利だ。これを使えば，ゲーム内のパフォーマンスやデバッグ情報を見ることができる。

　「VRC Validatorと同様に，時間を節約し，アプリケーションの提出準備ができているかどうかを確認するのに役立ちます」と Duck 氏は述べている。「アプリケーションがパフォーマンス目標を満たしているかどうかを確認するためには，開発中に最低限のスペックのハードウェアを用意する必要があることを覚えておいてください。このツールは，アプリケーションにパフォーマンスの問題があるかもしれないときに，非常に正確に追跡することができるので，私の経験ではとくに有用です」

3. 最も一般的な障害に注目する

　Oculusストアでアプリが拒否される原因となるPCの一般的な障害は3つある。

1.パフォーマンス
2.資格チェック
3.アプリケーションの一時停止

　「これらを暗記してください」とDuck氏。「この3つに時間を集中させることで，VRCの失敗数を減らし，タイトルを発売する前の投稿数を減らすことができます。失敗するたびに，再投稿までに開発，クリエイティブ，テストの時間を費やす必要がありますが，これらの上位3つの問題を排除するために時間を費やすことで，ローンチを前進させることができます。資格チェックは必ずしも退屈なものとは限りません」

ゲームのローンチ

Pistol Whipの資格チェック

　資格チェックは，ユーザーがあなたのアプリを利用する権利があるかどうかを確認するもので，Oculus Storeで販売する際に必要となるものだ。Duck氏は，デベロッパであるCloud Head GamesによるPistol Whipのクリエイティブなエンタイトルメントチェックの例を挙げた（右図）。

　「これは単なるダイアログボックスであってもよかったのですが，ゲームのテーマに沿ったユーザーへのリマインダーとして魅力的です」

4. コンテンツがOculusの期待に応えていることを確認する

　技術的な要件をクリアしたら，提出するコンテンツが Oculus のポリシーに準拠していることを確認する必要がある。コンテンツガイドラインはこちらのページで確認可能だ。Oculusのコンテンツ審査では，ゲームの価値や完成度だけでなく，どれだけ洗練されているかも評価される。

　「完全なアプリを提出してください 」とDuck氏は語る。「完成されていない，もしくはうまく動かないアプリでは，技術的な審査を通過できてもコンテンツ審査を通過できません。我々は，アセット，メタデータ，アプリケーション自体，その他多くのことを審査します。ですから，時間を節約するためにも，当社のチームがレビューする準備が完全に整ったときにアプリケーションを送信してください」

　前述したように，アセットのガイドラインもある。つまり，バナー，ロゴ，スクリーンショット，予告編などは，すべて一定のルールに準拠する必要がある。これらの要件に加えて，常識的な慣行もいくつか存在する。

あなたのゲームが何を目的としているのかを伝えるために，アセットを確認しよう

　「あなたはアセットに，説得力のある面白さを求めるようになるでしょう」とDuck氏は語る。「この例（上図参照）は，技術的にはヒーローアート（製品ページのメインアセット）の要件を満たしています。しかし，アートはゲームについて何を語っているのでしょうか？　消費者が購入しようとしているタイトルが明確になっていますか？　不明確です。我々のガイドラインに従うことで，アートは非常にクリエイティブなものになります。時間をかけてアセットをテストしましょう。早めに，そして頻繁にテスターや潜在的な顧客からフィードバックを得ることが重要です」


　すべては，OculusのWebサイトに掲載されているガイドラインを読み，それに従うことに尽きる。同社の開発者向けWebサイトには，Oculusアプリのライフサイクルに関するこの記事を含め，そのプロセスがどのようなものかの概要を知ることができるリソースが満載されている。

　「ガイドラインに従ってください。― 我々はあなたのメタデータをすべてレビューします。ガイドラインに従うことで，技術的な問題ではなく，提出前に解決できる可能性の高い失敗を防ぐことができます」

　「アプリケーションがすべてのレビューサイクルを通過した場合，我々はお客様に連絡を取ります。ここからは，発売日，分類などについてお客様と一緒に検討します。質問がある場合は，遠慮なく submissions@oculus.com までメールでお問い合わせください。いつでもお手伝いさせていただきます」

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