2019年,日本でもっとも愛されたゲームアプリは? Google Play Best of Awards 2019レポート

2019年,日本でもっとも愛されたゲームアプリは? Google Play Best of Awards 2019レポート
2019年,日本でもっとも愛されたゲームアプリは? Google Play Best of Awards 2019レポート
 2019年に日本で人気を集めたGoogle Playのコンテンツを紹介する,「Google Playのベスト オブ 2019」。Googleは2019年12月7日,六本木のグランドハイアット東京ホテルにて,各部門の大賞,優秀賞,およびベストアプリとベストゲームの発表・表彰を行った。

 アプリとゲームに関しては,事前に「ユーザー投票部門」「インディー部門」といった部門に分けて,それぞれ優秀賞が発表された。今回の表彰式では,各部門ごとに大賞(ユーザー投票部門は最優秀賞)が発表・表彰された。

 ゲームに関しては,各部門の優秀賞と大賞・最優秀賞は以下のとおり。

●ユーザー投票部門  優秀賞
  • Call of Duty: Mobile (最優秀賞)
  • ドラゴンクエストウォーク
  • マリオカート ツアー
  • ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS
  • ロマンシング サガ リ・ユニバース

●エキサイティング部門賞
  • 黒い砂漠 MOBILE
  • Call of Duty: Mobile (部門大賞)
  • ポケモンマスターズ
  • ラングリッサー モバイル
  • ロマンシング サガ リ・ユニバース

●インディー部門賞
  • アーチャー伝説 (部門大賞)
  • Infection - 感染 -
  • ALTER EGO
  • くまのレストラン
  • Puzzrama ( パズラマ )

●キュート&カジュアル部門賞
  • けものフレンズ3
  • 東方キャノンボール
  • ドクターマリオ ワールド (部門大賞)
  • トロとパズル ~どこでもいっしょ~
  • ゆる〜いゲゲゲの鬼太郎 妖怪ドタバタ大戦争

●クリエイティブ部門賞
  • ゼノンザード ( ZENONZARD )
  • TEPPEN
  • 七つの大罪 光と闇の交戦 : グラクロ
  • ブロスタ
  • マリオカート ツアー (部門大賞)

大賞・最優秀賞受賞者の面々
2019年,日本でもっとも愛されたゲームアプリは? Google Play Best of Awards 2019レポート


2019年ベストアプリ,ベストゲームは……


 そして,2019年ベストアプリと,ベストゲームが選出された。2019年 ベストゲームとして選ばれたのは……,

●2019年 ベストゲーム
  • ドラゴンクエストウォーク

となった。

「ドラゴンクエストウォーク」がベストゲームに選出され,どよめく会場,そして登壇する堀井雄二氏,柴 貴正氏
2019年,日本でもっとも愛されたゲームアプリは? Google Play Best of Awards 2019レポート

 大賞,最優秀賞の表彰が先に行われ,その中で二度も呼ばれた「Call of Duty Mobile」がベストに選ばれるかに思われたが,2019年ベストゲームとして選ばれたのは,スクウェア・エニックスの「ドラゴンクエストウォーク」だった。

 この「ドラゴンクエストウォーク」は,据置型ゲーム機を元祖とする「ドラゴンクエスト」シリーズをテーマにした位置情報ゲームだ。リリースは2019年9月で,題材の著名度からか,ゲーム自体の完成度の高さからか人気を博し,2か月でダウンロードは1000万を超えたという。

 授賞式には,「ドラゴンクエスト」シリーズの生みの親と言える堀井雄二氏と,「ドラゴンクエストウォーク」のプロデューサーを務める柴貴正氏の両名が登壇した。

 堀井氏は,受賞を「最初の『ドラゴンクエスト』を作ったのが今から33年前なんですけど,33年経っても形を変えて(シリーズが)リリースされ,こうして賞をいただくことができて,本当うれしいです。感激しています,感無量です! みなさん,ありがとうございます」とコメントした。

 また,プロデューサーの柴氏も「33年前,自分が小学生のときに発売日に買ったゲームが『ドラゴンクエスト』です。そして,今,作り手の堀井さんとまた新しい『ドラゴンクエスト』を作れることが非常に楽しいなというか,感無量ですし。日本中,世界中の人たちをもっといろんなところへ歩いて,歩かせて連れて行きたいと思います。ので,ぜひともみんなで一緒に歩きましょう,ありがとうございました」もこちらも,にこやかにコメントした。


ベストゲームの作者は,ここまでプレイヤー目線で,ここまで自信にあふれていた!


 表彰式後に,「ドラゴンクエストウォーク」の堀井氏,柴氏,続いて「マリオカート ツアー」および「ドクターマリオ ワールド」の今野秀樹氏を招いての囲み取材も行われたので,その様子もお伝えしたい。

 まずは,「ドラゴンクエストウォーク」の堀井氏,柴氏のお二人だ。

終始にこやかに明るく,囲み取材に応える堀井氏,柴氏のお二人
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 最初の出された質問は,現在国内のみで展開している「ドラゴンクエストウォーク」の海外へ展開についてだ。

「したいですよね。ただ,いろんな規制や歩くのに適していない土地といった問題があって難しいですね」(堀井氏)

 2日前に両氏はニューヨークへ一緒に行っていたのだが,ドラゴンクエストウォークはできない。そこで,モンスター出現アイテムの「においぶくろ」を使って無理矢理に遊び,こう言ったという。
 堀井氏「ハンバーガーを食べながらね,いつか世界中でできるといいなってね」

 堀井氏というととてもユーザー目線でゲームを見ている印象があるが,実際に「ドラゴンクエストウォーク」をプレイしているのかという質問もあった。それには。

 「やってますよ,今レベル52!」(堀井氏)

 課金もされていますか?という質問には,

 「多少はまぁ(笑)」(堀井氏)

と取材陣も驚きと納得の声が上がっていた。

 「ドラゴンクエストウォーク」の優れた点は,という問いには堀井氏,柴氏それぞれらしい答えがあった。

 「皆さん表に出られる,健康的なゲームだっていうことですね。おみやげシステムで旅行に行くきっかけができました」(堀井氏)

 柴氏は「位置情報を活用したゲームはいろいろ出ていますが,僕たちはゲームクリエイターとして,本当にゲームらしいものを作りたいと思ってました。位置情報とゲーム性というと親和性で難しい部分もありますが,そこがきっちり合致したことが他のゲームとの違いかな,と思っています」

 最後は,柴氏が「堀井さん,「ドラゴンクエストウォーク」に100点満点で点数をつけるとしたら何点ですか?」と堀井氏に対して質問を投げかけた。これを受けて,

 「いや,90点くらい行くと思いますよ!」(堀井氏)

と応えていた。

 「ドラゴンクエストウォーク」が高い評価を得ているのは,もちろん,かつて家庭用ゲーム機で熱心に遊んだドラクエプレイヤー達の心を,タイトルがつかんでいるのもあるだろう。しかし,作者自身が作ったゲームを自分で楽しむ,そして,自分でも高得点を与えられるくらい自信のある作品をリリースする,というのはそれ以上に大切なことなのかもしれないと思わされるインタビューだった。


大事なのはどのデバイスでも楽しく遊べる「手触り」感 ー 任天堂の自分に課す掟


 続いて,クリエイティブ部門・キュート&カジュアル部門大賞(「マリオカートツアー」「ドクターマリオワールド」)と二冠を奪取した任天堂の紺野秀樹氏もメディアの囲み取材に応じてくれた。

はにかみつつも,歯切れ良く任天堂のモバイルゲーム作りのポリシーを話してくれる紺野氏
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 メディアからの最初の質問は(任天堂のスマートフォンタイトル開発責任者である氏に対して),スマートフォン市場では,幅広いユーザーを狙ったり,あるいはニッチ層にターゲットを絞るタイトルもあるが,任天堂ではどのようなユーザー層をターゲットにしているだろうか,という質問だ。

 「特別にどこかターゲットを決めるというよりは,多くのお客様に遊んでいただきたいという想いで開発しています。『ドクターマリオ』や『マリオカート』なども,もともと(家庭用などでも)多くのお客様に遊んでいただいているタイトルなので,基本はあまり変わらないのですが,たとえば『マリオカートツアー』では,日本はもちろん,世界的に見ても男女問わず,モバイルだからと高い年齢に偏ることもなく,本当に幅広い年代の方にプレイしていただいています。改めて任天堂タイトルを遊んでくださっているお客様の層の広さを実感しているところです」(紺野氏)

 家庭用ゲーム機と違い,スマートフォンは機種に性能の差が大きい。性能差でゲームの面白さが変わってしまう問題が出てきそうだが,そのあたりはどのように考えたか? という質問もあった。

 「そこに苦労は多いです。多くの方に遊んでもらうために,できるだけ多くの端末で一定のパフォーマンスを維持して楽しく遊んでもらう。たとえば『マリオカートツアー』で言えばゲーム専用機と同じように60フレーム描画にこだわって開発しています。機種は多いですが,その分,チューニングを重ねていて,気持ち的としてはゲーム専用機とあまり変わりないです。ゲームには,いわゆる“手触り”感とでも言うものがとても大事だと思っていますので,そこを重視しながら開発しています。日々,チューニングを重ねてきてそれを実現できたことがよかったのかな,と思っています」(紺野氏)

 スマートフォンゲームを開発するうえでの苦労する点についての質問には,紺野氏はこう答えた。

 「ゲーム専用機ですと,物理的にコントローラとボタンがあってそれでゲームをプレイできる。スマートフォンでは,(それがないので)タッチスクリーンが使われることになります。ここを置き換えて,いかにシンプルに楽しく遊べるか。ここに集中して開発しています。(同じく任天堂タイトルの)『スーパーマリオラン』と同様,片手で楽しく遊べる『マリオカートツアー』を今回作りました。テーマは“そのデバイスにジャストフィットした遊び”を開発していくということでした。これは大事なことで。そして,それを実現できたと思っています」(紺野氏)

  • 多くのユーザー層に愛されるタイトル・メーカーは強い。
  • (苦労は多いが)多くの人に遊んでもらうために,なるべく多くの端末で一定のパフォーマンスをちゃんと維持して楽しく遊んでもらう。いわゆる“手触り”がとても大事。

ということを感じさせてくれるインタビューだった。

Google Playのベスト オブ 2019公式サイト