Coherence「参入障壁を下げることは,常にゲームチェンジャーとなる」
Dino Patti氏は,オンラインゲームの開発を民主化するため,Unityの共同設立者であるDavid Helgason氏とEA DICEのベテランPeter Bjorklund氏と協力する。
Playdeadの共同設立者であるDino Patti氏とUnityの共同設立者であるDavid Helgason氏による新しいベンチャーは,オンラインゲームの創造を民主化することを目的としている。―オンラインゲームは伝統的に大企業と大資本の専門分野だった。
Coherenceは同社と,その意欲的な製品の両方の名前となっている(公式サイト)。「あらゆる規模と経験レベルの」チームがリアルタイムの対話で永続的なオンラインゲームを作ることを可能にするクラウドベースのオープンソース開発プラットフォームである。
また,Jumpshipの共同創設者でもあるPatti氏がマルメに本拠を置く会社のCEOになり(関連英文記事),Helgason氏が顧問の役割を果たすことになる。Patti氏によると,Coherenceのアイデアは彼とHelgason氏との間で生まれたが,彼らはEA DICEのFrostbite Engineの主任ネットワーキングプログラマで,かなりの技術的専門知識を持つPeter Bjorklund氏と会社を共同で設立した。
Coherenceは確かに野心を抱いている。そして,Patti氏は同社が目標を達成できるチームを持っていると確信している。
「現在の課題は,マルチプレイヤーを念頭に置いて何かを構築するためには多くの技術的知識が必要だということです」と,氏はGamesIndustry.bizに語った。「とくに初期のアイデア段階では,ゲームにどの程度の規模と機能が必要になるかで,非常に違った考え方をする必要があります」
「我々はアクセシビリティを非常に重視しており,さまざまな制御層の背後にあるすべての複雑なものを隠しています」
Coherenceは,開発プロセスのあらゆる段階を簡単にするために構築されている。Patti氏と彼のチームは,長年のゲーム開発経験のおかげでこれを理解している。このプラットフォームは,生産の初期段階でのラピッドプロトタイピングを可能にしている。同様に,プロジェクトが具体化し始めたときには,より正確な制御を可能にする。CoherenceはすでにUnityと連携しているが,Patti氏によると,主要なすべてのゲームエンジン用のプラグインを提供する予定だとのこと。
David Helgason氏が参加しているので,UnityがCoherenceと連携する最初のエンジンであることにおそらく驚きではないだろう。しかし,Unityとのつながりは同社のより大きな目標を物語っている。述べられた目的は,ゲームを作るための歴史的に複雑で高価なアプローチを「民主化する」ことであり,それはまさにUnityが全体として開発のためにやろうとしたことである。Unityがゲーム開発でありふれたものになったように,Patti氏はCoherenceがオンラインマルチプレイヤー,永続的な世界,リアルタイムのインタラクション,またはこれら三つの機能を使ってゲームを構築するチームの主力になることを望んでいる。
「これはまさに夢です」と氏は語る。「ゲーム開発を始めるとき,オンラインの要素を考える前であっても,Coherenceが最初かつ最良の選択になることを望んでいます」
Coherenceの売り文句は素晴らしいが,それだけではない。Improbable(※SpatialOSの開発元)は,大規模で永続的な世界をより少ないリソース,より小さなチームが利用できるようにすることを約束して,多くの評判を呼び,多額の資金を調達した。Patti氏は,SpatialOSとの比較は「正当」なことだと表現しているが,Coherenceは異なる観点から同様の目標を目指していると考えているという。
「我々のアプローチは,ゲームとゲーム開発者の特定のニーズに焦点を合わせてゼロから構築されたシステムです」と氏は語る。「我々は自分たちが使いたいプラットフォームを作っているのです。開発者の経験と迅速な開発サイクルは我々にとって最も重要です。さらに,我々はこれがレイテンシ依存のゲームに対する需要に対応できることを理解しています」
「我々のCTOであるPeter Bjorklundは,DICEのFrostbiteのネットワークエンジンの主力開発者でした。そして,我々はパフォーマンスと使いやすさに重点を置いたリーンチームを育てています」
パフォーマンスと使いやすさは,Coherenceが開発者の支持を勝ち取るために絶対に不可欠だ。Bossa Studiosが先週Worlds Adrift(Improbableの技術を使って作られた)を終了したとき(関連英文記事),「我々の野心的なプロジェクトに伴う課題は,我々のすべての仕事が,望んでいだ経験になるのではなく,ゲームの仕事になることを意味したことにあった」ことを認めている。SpatialOSがどの程度これらの課題の一部であったのかは明確ではないが,オンラインの世界を作り出し,それを維持することは非常に異なる課題であることは明らかだ。
「基本的に,大量のプレイヤーや巨大なマップを持つあらゆる種類のゲームが,すべての開発者にとって現実的な目標になるでしょう」と氏は語る。「コーディングの経験があろうとなかろうと,開発者や創造的な人物にコネクテッドエクスペリエンスを提供する力を与えることで,現在では想像もできないようなゲームやエクスペリエンスが生まれることでしょう。こういった民主化はあらゆる分野の進歩にとって重要であり,最終的にオーディエンスやビジネスモデルの大きな多様化につながると思います」
「参入障壁を低くすることは,どんな業界においても,常にゲームチェンジャーとなることは証明されています。MMOゲームは,ほとんどの人にとって初めて作成するものになると思います。しかし,私はソロアーティストや小さなチームから生み出されるであろう,クレイジーで思いがけないアイデアに興味があります。非常に多くの種類のゲームプレイが,広大な居住空間で可能になってくることでしょう。そこでは,あなたが携帯電話を使うか,ゲーム機を使うか,PCを使うか,もしくはVRを通して操作するかによって体験の階層が異なってくるのです」
個人的なレベルでPatti氏は,Coherenceがthatgamecompanyの「風ノ旅ビト」のような路線で,より多くのゲームを生み出すことに期待している。それは美しく巧妙に作られたシングルプレイヤーの体験と抑制された強力なマルチプレイヤーコンポーネントを組み合わせたものだ。それは彼からオンラインゲームでは「通常達成するのが難しい」と思えるような感情を引き出した。
「このあいまいな体験は長い間,本当に私を魅了してきました,そして私は何年もの間,これについていくつかのアイデアを持っていました。そこで,それらすべてを作ろうとするのではなく(それは一生を要する),創造的な人がこのタイプの体験を作れるような構造を作るという考えは,本当に刺激的でした。
「私はPlaydeadで一員として作ったゲームをとても誇りに思っています。いつまでも……。そういった種類のゲームを作るプロセスは,非常に遅くて面倒なものでした。そして,私は苦労してそれを学んだものです。結局,ずっとそこにいたら,私は生涯であまりにも多くを食べ,あまりにも少ない結果しかもたらさないであろうと感じました,しかし,私は私の中にもっともっと多くのエネルギーがあると感じていたのです」
「Coherenceのビジョンや規模と比べると,我々がPlaydeadでやったことなどは,ほこりの一片と見なされるだろうと感じたものです。そして,この考えにはぞっとしますね」
Playdeadの共同設立者であるDino Patti氏とUnityの共同設立者であるDavid Helgason氏による新しいベンチャーは,オンラインゲームの創造を民主化することを目的としている。―オンラインゲームは伝統的に大企業と大資本の専門分野だった。
Coherenceは同社と,その意欲的な製品の両方の名前となっている(公式サイト)。「あらゆる規模と経験レベルの」チームがリアルタイムの対話で永続的なオンラインゲームを作ることを可能にするクラウドベースのオープンソース開発プラットフォームである。
また,Jumpshipの共同創設者でもあるPatti氏がマルメに本拠を置く会社のCEOになり(関連英文記事),Helgason氏が顧問の役割を果たすことになる。Patti氏によると,Coherenceのアイデアは彼とHelgason氏との間で生まれたが,彼らはEA DICEのFrostbite Engineの主任ネットワーキングプログラマで,かなりの技術的専門知識を持つPeter Bjorklund氏と会社を共同で設立した。
Coherenceは確かに野心を抱いている。そして,Patti氏は同社が目標を達成できるチームを持っていると確信している。
「現在の課題は,マルチプレイヤーを念頭に置いて何かを構築するためには多くの技術的知識が必要だということです」と,氏はGamesIndustry.bizに語った。「とくに初期のアイデア段階では,ゲームにどの程度の規模と機能が必要になるかで,非常に違った考え方をする必要があります」
「大量のプレイヤーや巨大なマップを有するあらゆる種類のゲームが,すべての開発者にとって現実的な目標になるでしょう」
「ほとんどの場合,ゲーム開発は ―非常に反復的なプロセスになりますが― ゲームが実際にどこで終わるのかが分かりません。我々は,ネットワークのバックエンドの設計や,何人の人があなたのゲームをプレイする可能性があるかを気にせずに,デザインのアイデアを思いつくことができるように,プロセスとそれに関わるすべてのものを非常に簡単にしています」「我々はアクセシビリティを非常に重視しており,さまざまな制御層の背後にあるすべての複雑なものを隠しています」
Coherenceは,開発プロセスのあらゆる段階を簡単にするために構築されている。Patti氏と彼のチームは,長年のゲーム開発経験のおかげでこれを理解している。このプラットフォームは,生産の初期段階でのラピッドプロトタイピングを可能にしている。同様に,プロジェクトが具体化し始めたときには,より正確な制御を可能にする。CoherenceはすでにUnityと連携しているが,Patti氏によると,主要なすべてのゲームエンジン用のプラグインを提供する予定だとのこと。
David Helgason氏が参加しているので,UnityがCoherenceと連携する最初のエンジンであることにおそらく驚きではないだろう。しかし,Unityとのつながりは同社のより大きな目標を物語っている。述べられた目的は,ゲームを作るための歴史的に複雑で高価なアプローチを「民主化する」ことであり,それはまさにUnityが全体として開発のためにやろうとしたことである。Unityがゲーム開発でありふれたものになったように,Patti氏はCoherenceがオンラインマルチプレイヤー,永続的な世界,リアルタイムのインタラクション,またはこれら三つの機能を使ってゲームを構築するチームの主力になることを望んでいる。
「これはまさに夢です」と氏は語る。「ゲーム開発を始めるとき,オンラインの要素を考える前であっても,Coherenceが最初かつ最良の選択になることを望んでいます」
Coherenceの売り文句は素晴らしいが,それだけではない。Improbable(※SpatialOSの開発元)は,大規模で永続的な世界をより少ないリソース,より小さなチームが利用できるようにすることを約束して,多くの評判を呼び,多額の資金を調達した。Patti氏は,SpatialOSとの比較は「正当」なことだと表現しているが,Coherenceは異なる観点から同様の目標を目指していると考えているという。
「我々のアプローチは,ゲームとゲーム開発者の特定のニーズに焦点を合わせてゼロから構築されたシステムです」と氏は語る。「我々は自分たちが使いたいプラットフォームを作っているのです。開発者の経験と迅速な開発サイクルは我々にとって最も重要です。さらに,我々はこれがレイテンシ依存のゲームに対する需要に対応できることを理解しています」
「我々のCTOであるPeter Bjorklundは,DICEのFrostbiteのネットワークエンジンの主力開発者でした。そして,我々はパフォーマンスと使いやすさに重点を置いたリーンチームを育てています」
パフォーマンスと使いやすさは,Coherenceが開発者の支持を勝ち取るために絶対に不可欠だ。Bossa Studiosが先週Worlds Adrift(Improbableの技術を使って作られた)を終了したとき(関連英文記事),「我々の野心的なプロジェクトに伴う課題は,我々のすべての仕事が,望んでいだ経験になるのではなく,ゲームの仕事になることを意味したことにあった」ことを認めている。SpatialOSがどの程度これらの課題の一部であったのかは明確ではないが,オンラインの世界を作り出し,それを維持することは非常に異なる課題であることは明らかだ。
「Coherenceのビジョンと規模と比べると,Playdeadで行ったことは一片のほこりにしか見えないだろうと感じました」
Coherenceは,少なくとも最初の課題を大幅に単純化すると確信しており,Patti氏は,これがイノベーションの急増につながると考えている。このプラットフォームの可能性は,かつて大規模なチームを必要としていたような種類のゲーム(例えばMMORPG)を作成する力を小規模なチームに与えることだけではなく,大規模なプレイヤーの集団をオンラインで交流させるために,より広範な人々の創造性を適用できるところにある。「基本的に,大量のプレイヤーや巨大なマップを持つあらゆる種類のゲームが,すべての開発者にとって現実的な目標になるでしょう」と氏は語る。「コーディングの経験があろうとなかろうと,開発者や創造的な人物にコネクテッドエクスペリエンスを提供する力を与えることで,現在では想像もできないようなゲームやエクスペリエンスが生まれることでしょう。こういった民主化はあらゆる分野の進歩にとって重要であり,最終的にオーディエンスやビジネスモデルの大きな多様化につながると思います」
「参入障壁を低くすることは,どんな業界においても,常にゲームチェンジャーとなることは証明されています。MMOゲームは,ほとんどの人にとって初めて作成するものになると思います。しかし,私はソロアーティストや小さなチームから生み出されるであろう,クレイジーで思いがけないアイデアに興味があります。非常に多くの種類のゲームプレイが,広大な居住空間で可能になってくることでしょう。そこでは,あなたが携帯電話を使うか,ゲーム機を使うか,PCを使うか,もしくはVRを通して操作するかによって体験の階層が異なってくるのです」
個人的なレベルでPatti氏は,Coherenceがthatgamecompanyの「風ノ旅ビト」のような路線で,より多くのゲームを生み出すことに期待している。それは美しく巧妙に作られたシングルプレイヤーの体験と抑制された強力なマルチプレイヤーコンポーネントを組み合わせたものだ。それは彼からオンラインゲームでは「通常達成するのが難しい」と思えるような感情を引き出した。
「このあいまいな体験は長い間,本当に私を魅了してきました,そして私は何年もの間,これについていくつかのアイデアを持っていました。そこで,それらすべてを作ろうとするのではなく(それは一生を要する),創造的な人がこのタイプの体験を作れるような構造を作るという考えは,本当に刺激的でした。
「私はPlaydeadで一員として作ったゲームをとても誇りに思っています。いつまでも……。そういった種類のゲームを作るプロセスは,非常に遅くて面倒なものでした。そして,私は苦労してそれを学んだものです。結局,ずっとそこにいたら,私は生涯であまりにも多くを食べ,あまりにも少ない結果しかもたらさないであろうと感じました,しかし,私は私の中にもっともっと多くのエネルギーがあると感じていたのです」
「Coherenceのビジョンや規模と比べると,我々がPlaydeadでやったことなどは,ほこりの一片と見なされるだろうと感じたものです。そして,この考えにはぞっとしますね」
※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら)