Denuvoは枠にとらわれない思考をするチーターにどのように取り組んでいるのか

チートがより洗練され,検出が難しくなるにつれて,パブリッシャは困難な戦いに直面している。

 サービスベースのゲームやe-Sportsの台頭は,チーターに肥沃な基盤を生み出してきた。これは,プレイヤーエクスペリエンスを損なう可能性があり,ビジネスにとっても悪いことだ。

 不正防止対策会社であるDenuvoが実施した調査によると,チーターが自分の経験に影響を与えていると感じた場合,77%のプレイヤーが永久にゲームをやめる可能性があるという。さらに,48%が,ゲーム内コンテンツの購入を中止すると回答している。

 ゲームの収益化に目を向けている開発者が増えている中,これらの数字は,ある時点で不正行為の影響を受けているプレイヤーが半数近くになると懸念される場合にはとくに重要だ。

 DenuvoとIrdetoのセールスディレクターElmar Fischer氏は,今年のGDCでGamesIndustry.bizに語った。「それが我々が何かをしたかった主な理由の一つでした。我々はみんな一日の終わりにはゲーマーであり,公平な遊び場を持ちたいのです」

 昨年セキュリティプラットフォームIrdetoに買収されたDenuvoは,最近,IntelとAMDが提供するハードウェアセキュリティ機能と,不正学習の検出を最大化して誤検知を最小限に抑える機械学習を組み合わせた新しいアンチチートシステムを発表した。

 この数年間で,Denuvoは,不正コピー防止技術がTekken 7,Rime,Sonic Maniaなどの特定のゲームの性能をどれくらい低下させたのかについて,ゲーマーたちの関心を集めている。


「それが本当に重要になる場合,ゲームの性能は,まったく影響を受けません…… まったく遅延はないはずです」
-Elmar Fischer氏

 しかし,Fischer氏は,新しいチート防止技術がゲームプレイに悪影響を及ぼさないと確信している。

 「それが本当に重要になる場合,ゲームの性能は,まったく影響を受けません…… まったく遅延はないはずです」と氏は語った。ロード時間など,ゲームのほかの部分に影響が出る可能性があるという考えには言及しなかった。

 これは,ゲームと収益を守るためにパブリッシャがどれだけ犠牲を払おうとしているのかという興味深い論争を引き起こしている。ロード時間が長くなる可能性があるのであれば,それはゲーム体験を根本的に害するチーターを締め出すことの合理的なトレードオフなのだろうか? 

 チート行為も巧妙化しており,チートツールの開発者にとってどれほど儲かるソフトウェアになったかによって状況は悪化する。月に数千ドルしか稼いでいない人もいれば(一人の人にとって悪くない稼ぎだが),年間で数百万ドルを引いている人もいる。ただし,ビジネスの闇市場の性質上,正確に追跡することは不可能だ。

 Irdetoの製品マーケティングスペシャリストであるLau Zuydervelt氏は,次のように述べている。「なので,もし彼らが不正行為を可能にする特定のツールを書くならば,彼らにも収入があります。それで彼らがツールを売り出して露出を得ること,あるいは実際にチートを買う人々を持つユーザーベースを得ることはより簡単になっている。これは彼らにそのチートツールをメンテナンスし,検出されないようにする動機を与えている。

 「チートの中には,かなり複雑なものもあります。最終的に我々が見つけたので,彼らは検出されないわけではありませんでした。しかしその種のチートを見れば,あなたは彼らが本当に既存の枠にとらわれない思考をすることが分かるでしょう」

 Denuvoはチート行為のより高度な手法のいくつかを強調した。傑出した例としては,敵のプレイヤーの位置などの機密データをゲームから引き出して,スマートフォンのようなセカンドスクリーンデバイスに表示するブローカープログラムがあった。


「自分が得た情報の精度をどの時点で信頼するのかを決める必要があります」
-Lau Zuydervelt氏

 別の例は,ある程度不正確な人間の行動を模倣するエイムボットだった。これは,機械学習を使用して熟練したストリーマを研究し,許容可能なレベルのスキルのパラメータを設定することによって実現されている。

 これらのチートの創意工夫は,それらを見つけるのがどれほど難しくするかというところにある。それらは,不正行為防止のスクリーンショットには表示されないか,または従来のエイムボットほど明確ではない。実際,Denuvoでさえ,このようなものをすべて検出することは保証できないが,問題のあるプレイヤーに不正行為の可能性があるというフラグを立てることはできる。

 「チーターの究極の利益は,その競争上の優位性を持つことです」とZuydervelt氏は述べた。「プレイヤーの行動に基づいて,誰かが不正行為をしているかどうかを学習させた機械で,かなり学習された決定を下すことができます」

 「あなたは必ずしも彼らが何を使っているのかを具体的に知る必要はありません。あなたは彼らが不正行為をしていることを,彼らの行動から判定できます,しかし,必ずしも彼らがどうやっているのかを正確に言うことができるわけではありません。しかし,[アンチチート技術]は,彼らが競争上の優位性を得るために何かを使っているのであれば,間違いなくあなたに教えてくれるでしょう」


 最終的には,Denuvoの技術は決定を下したり,禁止したりするのではなく,単に行動にフラグを立てて,その情報をパブリッシャに使用させるだけだ。

 「自分が得た情報の精度をどの時点で信頼するのかを決める必要があります」とZuydervelt氏は続けた。「あなたは特定のプレイヤーに対して自動的に禁止をしたいと思うかもしれません,そして各ゲームパブリッシャはどの時点で自動的に禁止する必要があるかについて意見が異なるでしょう。しかし,それは彼らがどのような対抗策を講じたいのかということです。つまり,人間の介入があるかどうか,確認する追加のチェックがあるかどうかです」

 Denuvoは不正行為のすべての形態を排除することはできないが,ゲームに明らかに有害な影響を及ぼす問題に取り組むことで,パブリッシャの収入を保護し,公正なプレイ体験を維持することを望んでいる。

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら