匂いデバイスVAQSO VR(Dev kit)本日発売,価格は999ドル

Dev kitを装着したViveを手にするVAQSO CEO川口健太郎氏
匂いデバイスVAQSO VR(Dev kit)本日発売,価格は999ドル
 2018年11月21日,VAQSOは都内で発表会を開催し,同社の開発するVR用嗅覚デバイスの開発者向け開発キットとなる「VAQSO VR(Dev kit)」を発表した。価格は999ドル(税抜き,税込み約12万2000円)で別途送料が10ドルとなる。販売は同社公式サイトから,本日より行われており,発送は11月末からになる予定だ。

 VAQSO VRは,同業他社製品と比較して圧倒的に小型であり,現実的な匂いデバイスとして注目されている。現時点でもB2Bを中心とした製品プロモーションなどでの引き合いが多いようで,同社は製品版の展開に先駆けて開発版の投入を決定したという。

ちょっと読みづらいが,左上から順にミルクチョコレート,ミント,芝,ゾンビ,ガス,カレー,ブーケ,土,杉,淹れたてコーヒー
匂いデバイスVAQSO VR(Dev kit)本日発売,価格は999ドル
 Dev kitは,VRヘッドセットの下面に取り付ける本体と,そこに取り付ける5個のカートリッジ,匂いのもととなる5種類のScent Liquidのボトルで構成される。カートリッジ内にScent Liquidを染み込ませ,USB接続されたPCから制御される。
 カートリッジに染み込ませた匂いは3日間程度使用できるとのことだが,将来的な製品版では1か月程度はもつようになるという。5種類の香りは,15種の中から任意で選択でき,別途70ドルで追加のカートリッジとScent Liquidを購入することも可能だ。オリジナルの香りの開発は1件3000ドルとのこと。
 現在用意されている香りは3系統で5種ずつの15種類となっている。

  • 環境系 海,火薬,芝,木,土
  • 飲食物 コーヒー,キャラメル,チョコレート,カレー,フライドチキン
  • その他 ゾンビ,女性,ミント,ガス,花束

 ゾンビはちょっと酸っぱい系の腐った感じの匂い,女性は髪(シャンプー)の匂いといった感じだ。

 扇状に5個の匂いパッケージを配置するver.3と呼ばれる形状のものはこれまでにも試作されていたが,3Dプリンタで作成したものでは匂い漏れが防げず,今回は金型を起こして開発版を製作しているとのことだ。製品版の形状はさらに変更されるとのことなので,開発版自体の原価が非常に高額になってしまっている。

匂いデバイスVAQSO VR(Dev kit)本日発売,価格は999ドル
匂いデバイスVAQSO VR(Dev kit)本日発売,価格は999ドル 匂いデバイスVAQSO VR(Dev kit)本日発売,価格は999ドル

 なお,現在開発中の製品版は,2019年内に2万円以下で発売される模様だ。今回の開発版とはかなり仕様が変わるようで,USB接続とBLEによるワイヤレス接続に対応し,スタンドアロンVRヘッドセットにも対応できるようになるという。最大5種類という仕様は変わらないので,開発版で作成したプログラムはそのまま製品版でも使用できるとのことだ。開発版は現在Unityに対応しており,今後Unreal Engineにも対応していくという。

匂いデバイスVAQSO VR(Dev kit)本日発売,価格は999ドル
 今回,開発版の発表と同時に,ウエルインベストメントによる新たな資金調達とフランスのLVMH(ルイヴィトン,モエ,ヘネシーなどの企業体による世界最大のファッションブランド集団)系の高級香水ブランドMaison Francis Kurkdjanを率いるフランシス・クルジャン氏をアドバイザーとして迎えたことも発表された。VAQSOに興味を示したクルジャン氏にコンタクトを取ったところ,さまざまな協業が行われるようで,アドバイザーとしては香水関係で非常に幅広い情報網も持つ同氏の協力で,香りを保持する部材の調達やより効率的な本体構造などでの知見が期待されているとのことだった。今後の成果に期待しよう。

VAQSO公式サイト