さて,中国最大のゲームショウChinaJoy 2018では,VRデバイスがかなり少なめだったというのは
何度も繰り返したとおりで,VR系は
こちらでも紹介したように,多くはアミューズメント施設用の大型筐体とセットになった業務用のモノだった。
VR系は勢いのある中国で特徴的なデバイス(無茶さ加減を含めて)だったのだが,しかたがない。ここでは会場で見かけたその他のハードウェア情報をまとめてみよう。
これもすでに書いたように,ChinaJoy会場ではVR機器が鳴りを潜め,椅子とヘッドセットが多かった。もちろんVRヘッドセットではないオーディオヘッドセットだ。
■ゲーマー向けチェアはどう使われているのか?
わりと一般的なゲーマー向けチェア。バケットシートとバケットシートの意義を全否定するような枕の設置が流行か
![[CJ2018]VRは少々なれどChinaJoy会場で見かけたハードウェア各種](/article/1808/18081001/TN/007.jpg) |
会場内にたくさん展示されてはいたものの,椅子についてはどれも似たような形で,椅子ソムリエな人にはもうしわけないのだがはっきり言って違いなどもほとんど分からない。プロゲーマーが使っていて,「勝てるアイテム」であるかのように売り込まれているのだが,正直怪しいとことはある。
ということで,会場ではあちこちのブースがe-Sports系の競技会を開催していたので,そこを中心に見て回った。そういった会場では当然のように競技用PCの前に「ゲーマー向けチェア」が並んでいるのだ。e-Sportsに最適というのが謳い文句なのだろう。そして,そういったメーカーのサイトでは,背もたれに深く腰かけたプレイヤーの写真ばかり目立ったりするのだが,実際にはどうなのかと,今回はそのあたりを注意して見てきたわけだ。
IntelのESLの模様。会場内のe-Sports系イベントの盛り上がりはかなり凄い
![[CJ2018]VRは少々なれどChinaJoy会場で見かけたハードウェア各種](/article/1808/18081001/TN/006.jpg) |
まず,e-Sportsではないが,レースゲームシムの大型筐体,VRでの乗り物系ではしっかりと背をつけている人が多かった。ハンドルの位置がかなり手前にくるので,それは当然なのだろう。座面も背もたれもしっかり使われており,ゲーマー向けチェアはレースゲームに向いていることが分かる。
VR系可動筐体では,身体をあずけるタイプが一般的だ
![[CJ2018]VRは少々なれどChinaJoy会場で見かけたハードウェア各種](/article/1808/18081001/TN/001.jpg) |
![[CJ2018]VRは少々なれどChinaJoy会場で見かけたハードウェア各種](/article/1808/18081001/TN/003.jpg) |
![[CJ2018]VRは少々なれどChinaJoy会場で見かけたハードウェア各種](/article/1808/18081001/TN/002.jpg) こんなに深く腰掛けている人も |
![[CJ2018]VRは少々なれどChinaJoy会場で見かけたハードウェア各種](/article/1808/18081001/TN/004.jpg) もちろん例外もいる |
会場で撮ってきた写真で最も背もたれと肘掛けが活用されていた例だが,ゲームはまったく関係なかった
![[CJ2018]VRは少々なれどChinaJoy会場で見かけたハードウェア各種](/article/1808/18081001/TN/005.jpg) |
一方,FPSやRTS,携帯ゲームなどでは,背を立たせて背もたれからは浮かせた姿勢の人が大半だ。思ったより前傾の人は少なく,直立といった感じの人が多かったように思う。椅子との接点はほぼ座面だけだ。
肘掛けやリクライニング,背もたれの途中にある用途不明の枕などはほぼ使用されていない。こういったものは競技の合間の休憩などでは役立つだろうが,たいていこういった大会では入れ替え制だろうから,試合が終わったら場所はすぐに明け渡すのが普通だろう。
全体に浅く座って前傾気味。機材がノートPCであることも影響しているかもしれない
![[CJ2018]VRは少々なれどChinaJoy会場で見かけたハードウェア各種](/article/1808/18081001/TN/008.jpg) |
比較的深めに座っている人もいるが,身体は直立かやや前傾が多い
![[CJ2018]VRは少々なれどChinaJoy会場で見かけたハードウェア各種](/article/1808/18081001/TN/010.jpg) |
椅子メーカーのブースだが,ほぼ前傾
![[CJ2018]VRは少々なれどChinaJoy会場で見かけたハードウェア各種](/article/1808/18081001/TN/009.jpg) |
直立からやや前傾
![[CJ2018]VRは少々なれどChinaJoy会場で見かけたハードウェア各種](/article/1808/18081001/TN/011.jpg) |
![[CJ2018]VRは少々なれどChinaJoy会場で見かけたハードウェア各種](/article/1808/18081001/TN/012.jpg) 比較的深めに座った例。後ろが狭いのかもしれない |
![[CJ2018]VRは少々なれどChinaJoy会場で見かけたハードウェア各種](/article/1808/18081001/TN/013.jpg) 別角度から。背中は浮いている |
また,この手の椅子はたいてい曲線的なデザインとなっており,座面の奥まで腰かけて座ったときに荷重を効果的に分散させるようになっていることが分かる。実際には座面の奥深くまで腰かける人は少なめで,人によっては座面の前側しか使わないこともある。少なくともゲーマー向けチェアがほぼ例外なく採用しているバケットシートが生かされている場面は,乗り物系以外では見受けられなかった。
■ゲーマー向けヘッドセットは激戦区。JBLも参戦
JBLの未発売ヘッドセットG6500
![[CJ2018]VRは少々なれどChinaJoy会場で見かけたハードウェア各種](/article/1808/18081001/TN/015.jpg) |
昨年も紹介したMORIなどの中国メーカーをはじめ,SenheiserやCorsair,Razer,Turtle Beachなどが多数出展していた。オーディオは専門ではないのでほとんどスルーしているが,数だけは本当に多い。しかし見ただけでは違いなど分からないのが辛い。「昔よりかなり静かになった」というと驚かれるが,異常な大音量のブースはまだまだ多い会場内は試聴環境としては最低だ。
今年の新顔としてはJBLがブースを構えていた。メインの出展はカプセル状の光るカジュアルなスピーカーだったようだが,発売予定であるというゲーマー向けヘッドセット「G3500」と「G6500」が出展されていた。7.1chバーチャルサラウンドに対応した密閉式のヘッドフォンはかなり大きめで,USBでのデジタル接続と3.5mmのピンジャックでアナログ接続が可能だ。イヤパッドのオーバルが大きめで着け心地はよかった。ケーブルはJBLな感じのオレンジ色だ。あとヘッドフォンの側面が光るので競技会では目立つかもしれないが,普通に使うだけだと極端に視野角の広い人でも光の変化は確認できないだろう。実況映え狙いか?
スペックについては上記以外の細かい情報はまったくなかった。2種類の型番が書かれていたのだが両者の違いも確認できなかった。
体験デモで使われていたのは,アスファルト8の東京ステージだ。道路に大きな鳥居が架かっていたり,巨大ロボットが立っていたり,色気のまったくないゴシック体で「カタロニア料理」「ゲームロフト」などといった看板が並ぶ異世界の街並みを走り抜けていく。
試してみてちょっとボコボコした音に感じたが,会場の騒音などでこういった機器を評価するような環境でもない。日本市場に登場したら評価の機会もあるのではないかと思うので,それを待とう。
本文とあまり関係ないがJBLブースの人間UFOキャッチャー
![[CJ2018]VRは少々なれどChinaJoy会場で見かけたハードウェア各種](/article/1808/18081001/TN/018.jpg) |
![[CJ2018]VRは少々なれどChinaJoy会場で見かけたハードウェア各種](/article/1808/18081001/TN/017.jpg) |
■会場で見かけたVR系デバイス各種
●吊り下げ系飛行体感デバイス
VR体感筐体で吊り下げ型のデバイス。状況がいまひとつよく分からなかったのだが,軍用ぽい輸送機からダイビングを行う。飛び出したあとの挙動はパラシュートではなくウィングスーツぽい。あちこちのチェックポイントを巡って,最終的に空母の甲板に着陸する。
飛行系のVRデバイスとしては面白い展開ができそうな気もするのだが,やってみると操作はまったくできないジェットコースター系のコンテンツだった。各部を見ても,腕や体の動きなどを検知することはまったく考慮されてないようなのはちょっと残念だった。
●小型可動椅子
一般的に言って,VR系の可動筐体というとかなり大型のものになる。そういったものは会場内にもたくさんあったのだが,非常にコンパクトな椅子を動かすデバイスも展示されていた。ざっと見て,小さくてもよく動くという印象だ。前述のように「椅子」というと,背もたれで身体全体をがっちりホールドする大型のモノが前提とされることが多いのだが,可動椅子もこれくらいで必要十分なのかもしれない。耐久性とか安全性とかはともかく,サイズだけ見れば一般家庭でも導入できそうなものとなっている。
しかし,会期中の通じて座面の下に置かれていたコンビニ袋風のビニール袋はもしかしたら重要なものだったのだろうか? いずれは家庭用にも売りたいとのことだが,2万〜3万元(約32万〜50万円)という値段はちょっとどうかと思う。
●EYETOP VR+
VRとは付いているけど,VRはあまり関係のないメガネ型ディスプレイだ。一応3D表示には対応している。
これは装着すると視界中央に四角い窓の出るタイプの,やや懐かしいデバイスだ。頭の動きなどには追従しない。それでも付属の機器でHDMI信号をワイヤレスで飛ばせるといったあたりが新しい。会場ではPS4の画面をワイヤレスで飛ばして格闘ゲームを動かしていた。遅延? あまり気にならない。有機ELの画面は綺麗ではあったが,いまとなっては視野角が狭い。視野角が広いという試作品もあったが,ちょっと不調だったようで体験はできなかった。
技術的には,これも懐かしいフリーフォームドプリズム(昔はオリンパスにしか設計できないと言われていた変態光学系)ぽい単語「自由曲面穿透光学」が使われている。確かにかなり小型でまとめているなあと評価はできるのだが,5年遅かったという感じか。「本物の」小型VRデバイスへの応用などは期待できないのだろうか……。
Viveの充電器を入れるソフトケース。Vive Proの購入者にプレゼントされているという。充電器ってコントローラ用のアレか……
![[CJ2018]VRは少々なれどChinaJoy会場で見かけたハードウェア各種](/article/1808/18081001/TN/024.jpg) |
■その他のデバイスなどなど
GeForce GTX 1060搭載のプロジェクタ内蔵PCというかゲーマー向けPC内蔵プロジェクタ?
![[CJ2018]VRは少々なれどChinaJoy会場で見かけたハードウェア各種](/article/1808/18081001/TN/025.jpg) |
![[CJ2018]VRは少々なれどChinaJoy会場で見かけたハードウェア各種](/article/1808/18081001/TN/026.jpg) |
変形PCケース。透明部は水晶だそうで,PCから出てくる有害ななにかを防いでくれるのだという。電波かなにかかと思っていたのだが,壁には有害気体と書いてあるな……。15年ほど前に逆ピラミッド型透明筐体を作ったことがある私が言うのもなんだけど,こういう馬鹿げた形は使いにくいだけだ。電源部を分離するのは悪くないんだけどねえ
![[CJ2018]VRは少々なれどChinaJoy会場で見かけたハードウェア各種](/article/1808/18081001/TN/027.jpg) |
Lenoboの謎の展示。写真には写っていないが,上部には右側に置いてあるノートPCの型番が書かれた看板がある。で,実際の布の下には,そのノートPCをバラしたモノが並べられていた。もったいぶる要素が分からない
![[CJ2018]VRは少々なれどChinaJoy会場で見かけたハードウェア各種](/article/1808/18081001/TN/028.jpg) |
AMDブースに展示されていた視野角ほぼ180度画面のレースシミュレータ。上部に3台のプロジェクタが設置されている
![[CJ2018]VRは少々なれどChinaJoy会場で見かけたハードウェア各種](/article/1808/18081001/TN/029.jpg) |
新製品ではないが,Xiaomi製ゲーマー向けノートPC「Mi Notebook Pro」。SDカードスロットなども付いていて,Macbook Proよりも実用性はむしろこっちのほうが高いんじゃないかと思わせるところもある。弟分の13型のAirでもGeForce MX150,ProでGeForce GTX 1060を搭載しているので,ゲームでの3D性能はMacbookよりは上だ。キーボードの左右に邪魔なキーがあるのはマイナス点か
![[CJ2018]VRは少々なれどChinaJoy会場で見かけたハードウェア各種](/article/1808/18081001/TN/030.jpg) |
マザーボードが小さいのか,クーラーがでかいのか
![[CJ2018]VRは少々なれどChinaJoy会場で見かけたハードウェア各種](/article/1808/18081001/TN/031.jpg) |