Mirage Solo:白昼夢を伴った単体蜃気楼は6軸自由度の夢を見るか
WorldSenseとは,加速度センサーと2眼の魚眼レンズを持ったカメラを使ってプレイヤーの頭の位置のトラッキングを行う,いわゆるインサイドアウト式トラッキングのGoogleによる実装形式のことだ。本が読める程度の明るさがあれば室内でも屋外でも正確な位置測定ができるとされている。Cardboard,Daydreamと続くGoogleのVRアプローチでの最新段階を示すものであり,初めてWorldSenseを搭載して登場したMirage Soloには,今後のモバイルVRを占ううえで重要な意味がある。また,税込み5万5296円という価格は,オールインワンタイプとしてはかなり頑張った値段でもある。
今回は,この製品の特徴についてレポートしてみたい。
※以下,時期的にOculus Goとの比較が多くなるのでご了承を
■Mirage Soloのハードウェア
最初にハードウェアを概観してみよう。
SoCはSnapdragon 835で,2017年のハイエンドスマートフォンに搭載されていたものと同じなので,1世代前のハイエンドスマホ相当の性能だと思っておけばいいだろう。メインメモリ4GB,ストレージ64GBと相応な量を搭載している。
画面は2560×1440ピクセルの液晶仕様で,先日紹介したOculus Goと同じ解像度である。画角もほぼ同じくらいかなと思っていたのだが,実測するとMirage Soloのほうが若干広いようだ。Oculus Goを普通に装着している場合の左右視野角は75度弱なのに対して,Mirage Soloだと75度強になる。目分量込みだと,72度と77度くらいか。Mirage Soloで目一杯ゴーグルを顔に押し付けた場合には90度近くに広がる。Oculus Goのフェイスパッドを外した場合も約90度だ。上下については両機種とも90度程度であった。
画面表示は,Oculus Goの72fpsよりやや速いようだ。接眼部分から400fpsでのスロー撮影で確認してみたところ,タイミングがわずかに早いことが確認できる。1/400秒の16フレームでちょうど3コマ分が表示されているので,75fpsということになる(Oculus Goのときは計算を間違えていたか……)。一般に,6DOFでは3DOFよりも高いフレームレートが望ましいので,これは嬉しいところだ。
そのほか,映像のブレがないことや黒が浮き気味になることを含めて,画面の特徴はOculus Goとよく似ている(参考記事)。
コントローラは小型で少し長い小判型となっている。リチウム電池式で,USB Type-C端子から充電する。
上面の丸いタッチパッド部がメインボタンも兼ねており,加えてアプリボタンとDaydreamボタンが付いている。アプリボタンはBackボタンを兼ねており,Daydreamボタンは長押しでコントローラの方向リセット,単純クリックでダッシュボードへのショートカット機能を持っている。ほとんどの局面でHomeへの移動は,ダッシュボードを介することになるだろう。そのほか,操作では使わないがボリューム調整ボタンが右側面に配置されている。
上面の3つのボタンはそれもそれなりの頻度で使用する。メインボタンとDaydreamボタンという両端のボタンはとくに頻度が高い。メインボタンがタッチパッドの押し込みであるため,コントローラの握り方は少し重要になってくる。つまりメインボタンを押し込んだときにポインタがズレることがあるのだ。普通にコントローラの後端部の丸みを手のひらに当てて握ると,前方のタッチパッド分くらいが手からはみ出るくらいの大きさだ。その状態でタッチパッド部分を親指で上から押したら,コントローラの向きがブレる。とくに不思議はないだろう。一方,Oculus Goはメインボタンがトリガーだったので,押しても(引いても)コントローラ自体の向きはブレなかった。
また,コントローラにストラップホールはあるのだがストラップは付属しない。使っていてコントローラがすっ飛んでいったのはまだ一度だけだが,ストラップは絶対につけたほうがよいと感じた。
■第一印象は最悪だった
Mirage Soloが届いたのはOculus Goの原稿を書いている最中だった
とりあえず動作確認を兼ねて試用してみたところ,Oculus Goと比べると明らかに重く,フォーカス範囲が狭い,しかもすぐズレる,ポインタの動きがトロい,ポインタの動きが異様……と最初の印象ではボロボロだった。ポインタの動きについては少し詳しく書いておこう。
Oculus Goのコントローラにも遅延はある。手を振るとわずかに遅れるのは簡単に確認できる。だがMirage Soloの遅延はずっと大きく,手の微妙な動きと無関係に動いているような感じがあり,非常に気持ち悪かった。
真っ直ぐに手を伸ばした状態から右に手を動かすと画面内のポインタも右に移動するのだが,画面端に近づくとそこで止まってしまっていた。右手を正面に戻すとポインタも左に移動する。手が真正面の位置にきたときには,さっき手が右側にはみ出していたときの角度分だけポインタが左にズレているというひどい仕様だった。とにかくこういう実装をするような人たちが作ったVRデバイスだと思うと欠片も期待ができず「そっ閉じ」してしまっていた。ありえないくらいひどかった。
後日,ちゃんとセットアップして使って使い始めたわけだが,きちんとセットアップが済むと,ポインタが端で止まるようなことはなくなった。比較的普通に扱える。
ただ,ポインタの動きは不自然でしばらくは違和感があった。ラグがあるのもそうなのだが,なにか動きが不自然だった。この手のデバイスの文字入力では,表示されたキーボードのキーをポイントしてクリックしていくわけだが,Oculus Goだと入力が速すぎるとたまに文字を取りこぼしていたのが不満だったのだが,Mirage Soloでは1文字ずつ慎重に狙ってそれでも誤爆するとかいった具合だったのだ(これはコントローラにトリガーがないことも一因だが)。
ちなみに,初期時の動作を確認するためシステムのリカバリを試みたのだが,ブートメニューではリカバリを選択できるものの,「No Command」というエラーが出てリカバリ操作は実行不可能だった。いろいろと困るのだが……。
■マジ? 装着感は過去最高クラスの仕上がりか
てこずったのは装着方法だ。見た感じ,PSVRと酷似した額+後頭部でダイヤル回して締め付け方式なのだが,同じように装着しようとするとダメなのだ。まず,なにか焦点範囲が狭いというか合わない。形状から想定されるよりも本体部分を少し上に配置するとフォーカスが合いやすいのだが,フェイスパッドの下側は浮き気味で使っていると簡単にズレてくる。
そもそも額のパッド部の窪みの頂点部分から目の中心部までの距離は約100〜105mmで,顔の大きさにもよると思われるが,額に合わせてセットすると接眼部は低すぎる位置になる(PSVRは約95mm)。
後頭部の中間あたりで締めると髪で滑りやすく,ズレやすい。加えてそのあたりは締め付けると痛みがある。製品写真だともっと下までサポートする形に見えたのだが,個体差だろうか? ちょっと本気でドライヤー当てて角度調整しようかと考えたくらいだ。フォーカスが合う場所を見つけられないわけではないが,その場合でも焦点範囲は狭く画面全体ではボケた部分も出ていた。
PlayStation VR額と後頭部で支えるスタイルだ。VRデバイスのスタンダードとなるつつある |
AcerのWindows MRヘッドセットAH101(開発版)は深い角度のヘッドバンドになっている |
Mirage Soloはヘッドバンドの角度が非常に浅い |
そこで発想を変えて,VRヘッドセット装着法の基本に立ち戻り,いちばんちゃんと見える部分に本体を当てて付け直してみた。先ほどより少し高めの位置で固定すると広範囲でフォーカスが合った。するとヘッドバンドはかなり上にくる。頭の上部で軽く引っ掛ける程度にヘッドバンドを調整するとようやく落ち着いた。ヘッドバンドの調整は最小半径,締めるというよりは載せるといった感じだ。
写真を見て分かるように,これで後頭部の下で深くホールドするような装着法にすると,レンズとスクリーン面が確実に上斜め方向になってしまうためちゃんとフォーカスが合うわけもなかったのだ。あくまでも画面位置優先で装着すると,ただ載せただけのようになってしまう。最初はこれはいかがなものかと思ったのだが,この状態が意外にも非常に快適で画面も綺麗でと,なんの問題もなかった。
その状態でなら,視界は非常にクリアだ。先日紹介したOculus Goよりもよいくらいだ。周辺部はややボケるものの色にじみはOculus Goよりも少ない。激しく動くと落ちそうだが,顔および頭への圧迫も非常に少なく快適である。フェイスパッドは鼻部分についてもまったく隙間なく閉じている。利便性はともかく没入度は高い。ちょっと重く感じられた重量も,フィット感維持に作用していてあまり気にならない(もう少し軽いとベター)。
常識的に考えるともっと曲げないと額の部分が意味をなさないのだが,現状の装着法はとても楽で視認性も最高によく,ざっと手元にある8台のVRデバイスで比べても最良に近いのものとなっている。とにかくちょい載せ式の装着法を見つけてから,このデバイスの心象が格段によくなったのは確かだ。
最初は設計ミスか加工ミスか不良品だろうと思っていたのだが,意外と神設計だったようだ? 個人的にVRヘッドセットの装着感では,これまでIdealens K2を最も評価していたのだが,Mirage Soloはその次くらいにランクするデキだと思っている。ともに側頭部を締め付けないデザインが快適さの秘訣か。
コントローラについてはまだ少しラグいのだが,なんとなく日ごとによくなっているような気もしている。最初はコントローラをカメラで撮影して位置検出してるから遅いのだと思い込んでいた。カメラでトラッキングしているのは頭だけで,コントローラ自体は残念ながら3DOFだった。
最初は本当にひどかったので単に慣れただけとも思えない。アップデートだろうか? 初期には,「サポートサイト見てこい」とURLだけ表示されていたようなエラーも,いつのまにかちゃんと意味が分かるように変わっていたりしており,アップデートがされていることは感じられる。少なかったアプリストアの品揃えも拡充されている。日々進化しているのか,とにかく現時点で見ると最初に感じたほどひどくはないのだ。
非常に感覚的な表現でアレなのだが,Oculus Goのポインタの動きはサラサレしているのに対して,Mirage Soloのポインタの動きは少しジトっとしている。素早くコントローラを左右に振った場合に,Oculus Goは離散的にポインタの点が数個表示されるのに対し,Mirage Soloでは連続した線で軌跡が表示されており(ともに残像込み),Oculus Goのほうがむしろ更新頻度は少ないようにも感じられる。どちらも追従性に大きな問題はなく,Oculus Goのほうがよりダイレクト感があるという感じだ。
実際にコントローラのラグをカメラで撮影して計測してみると,Oculus Goが1/60秒単位で4〜5フレーム,Mirage Soloは7〜8フレーム程度の遅延となっていた。人間の反射速度は0.1〜0.2秒と言われているが,0.1秒あたりのところで遅延の気になり方も変わるのだろうか。
SoCとしては,Mirage Soloのほうが明らかに高速なものを搭載しているのだが,WorldSenseのオーバーヘッドのためか,体感的には重く感じられる。
■Playストアの使い勝手は×
システムを起動すると出てくるHome画面では,最上部にPlayストアからのお勧め(?)が2段めに下の段に最近使ったアプリが表示される。一番下にはPlayストア,ライブラリ,キャスト機能へのショートカットボタンが並んでいる。ストア押しである。
よってPCからのアプリ導入をお勧めしたいところなのだが,最も肝心なWorldSense対応アプリはMirage SoloのPlayストアでしか確認できない。PC版のブラウザからインストールを行うだけで自動的に端末にインストールされるのはすばらしいのだが。
Oculus Goと違うのは,Daydreamアプリだけでなく,一般的なAndroidアプリを入れることができる点だ。前述のようにいろいろトラブルを抱えているので,スクリーンショットなどは一般のファイラーアプリを導入して転送しているのだが,インストールしてもライブラリには表示されないので使い方は控えめに言ってもかなり面倒くさい。まあ,一般的には「使うな」ということなのだろう。
ではアプリにはどんなものがあるのだろうか。
5月28日時点でGoogle PlayからDaydream対応タイトルを見ると,ジャンル別の登録本数は以下のようになっている。
- Media & Entertainment 69
- Action & Adventure 115
- Casual Fun 84
- Learn & Explore 50
- Daydream Exclusives 43
- Daydream Apps 80
- Daydream Games 93
ここからタイトルを重複なく抽出した場合,216本となった。公式サイトでは250以上のアプリがあるとされているので,Google Playで出てこないモノもあるのかもしれない。ゲームが多いというよりは,動画プレイヤーなどが異様に豊富な印象がある。Mirage Soloで重要なWorldSenseに対応したソフトは51本だった。ただ,WorldSense対応が謳われていても6DOFに対応しているとは限らないのが困ったところだ。逆にWorldSense対応にピックアップされていなくても,普通に6DOFで動くタイトルもある。また,Daydream Exclusiveに含まれているタイトルのいくつかはほかのプラットフォームでも遊べるものだったりする。
全体に,Oculus Goと比較してソフトの値段は高めに感じられる。平均価格は409円,フリーのものを除くと574円だった。Oculus Goより明らかに高い。
両者で共通しているソフトはだいたい同じ値段だが,Virtual Virtual Realityだと,Oculus Goで990円,Mirage Soloで1000円と,端数程度の割引もされてないことは分かる。
WorldSenseに対応している6DOFタイトルであれば機能的にはMirage Soloのほうが上位となるが,通常のDaydreamアプリはほぼ3DOFであり,Gear VRやOculus Goと差はない。単純に値段は高めと言っていいだろう。
■使用感のまとめ
●装着感は○
すでに述べているように,装着感は悪くない。顔への加重がやや重めになるものの,側頭部を締め付けず,長時間使っていてもズレてこない。
フェイスパッド部にはスポンジが使われているが,その土台になる部分を含めて取り外すことは難しそうに見える。土台部分は外れそうな気配もあるのだが,壊す確率のほうが高そうだったので無理はしていない。顔の触れる部分に布やスポンジを使ったヘッドセットでは取り外せないのはきわめて珍しい……と思っていたら,スポンジ部分は両面テープで接着されているだけで,(部分的には)思いのほかはがれやすかった。じっくりはがして,洗剤で洗って両面テープで付け直すことになるのだろうか。
いろいろと個人用(一人でしか使わない)ということが徹底されているようにも思える。
●6DOFでのヘッドトラック
やはり頭部が6DOFで動かせるものついては楽でいい。自由度も高くなり,酔いも少なくなる。ちょっとした動きでの快適性がまったく違う。半面,手が3DOF止まりなのはちょっと残念だ。ハイエンドVRのような両手感覚があれば可能性は大きく広がったのだが。
問題は,6DOFに対応していないゲームもあるということだろう。単なるDaydream用のゲームであれば3DOF対応でしかないのもやむをえないのだが,前述のようにWorldSense対応ゲームに分類されているのに3DOFでしかないタイトルもあるのが問題だ。6DOFのつもりで動くと非常に気持ち悪い。6DOFを楽しめるデバイスであるにもかかわらず,ソフト環境はまだまだ整備されておらず,デバイスの特性を生かせていない。
また,動画プレイヤーなどがやたら充実しているのだが,その手のものは原理的に6DOF対応が不可能なので,推しどころには注意してほしいところだ。
●オールインワンの手軽さ
「Mirage Soloならでは」というわけではないのだが,この手のオールインワンタイプのデバイスの最大のメリットであるケーブルがないというのは,扱いやすさでは大きなメリットではある。とはいえ,コンテンツ体験の最中にはそれほど違いがあるわけでもない。ただ,PCでのVR体験はセットアップが結構面倒であったりするので,導入までの部分が楽というのは絶対的なメリットではある。
本機に内蔵スピーカーはないので,付属のイヤフォンなどを使ってサウンドを楽しむことになる。ちょっと困ったのはイヤフォンの左右が見分けづらいことだ。一応LとRの文字は刻んであるのだが光源状況によってはほぼ読めないこともある。イヤフォンのケーブル長は実測38cmほどで,約25cmの部分で分岐している。左右の耳にぴったりの長さで作られている感じだ。
●前面部が傷つきやすい
本体全体はヘッドバンドを含めてはかなり硬い白いつや消しのプラスチック素材でできているのだが,前面部は黒&透明な光沢系プラスチック素材であり,黒い部分は傷がつきやすい。ちょっと使っただけですでに傷だらけだ。レンズを囲っている透明部は無傷なので,全体で黒い部分だけ柔らかい素材が使われているようだ。
●ダッシュボードの位置づけが微妙
すでに紹介したように,Home画面はストア押しのあまり役に立たない画面でもあり,ストアである程度アプリを揃えたらHome画面事態はほぼ不要になる。それに対して全体のハブとなるのが,ダッシュボード画面だ。各種お知らせが表示されるほか,ライブラリや設定にアクセスできる。ここにストアへのリンクを付ければHome画面不要だと思うのだが,なんとも地味に作られている。
●スクリーンショットなどは開発者向け機能
共有を大きく打ち出していたOculus Goとは異なり,スクリーンショットを撮る機能はなぜか標準では公開されていない。開発者モードにする必要があるのだ。Daydreamボタンでダッシュボードを呼び出し,[設定]の[すべての設定]-[Daydream]-[VR Setting]で[ビルドバージョン]の部分を7回押すとデベロッパモードが有効になるので,新しく増えた[デベロッパー向けの設定]から[Enable VR Screen Recording via chords]をチェックする。この状態で,コントローラにある2つのボタンの同時押しでスクリーンショットやムービーが撮れるようになっている。Daydream+ボリュームダウンでスクリーンショット,Daydream+ボリュームアップでムービー撮影だ。ヘッドセット本体側のボリュームボタンでは動作しない。
●PCと接続できない?
使用して少し困っているのは,本機をPCと接続したときにうまく認識されないことだ。実はOculus Goのときも同様の症状になっていたのだが,一度初期化して接続できるようになっていた。本機一般での問題ではなく,個体での問題ではあろうが,本機では前述のとおり,リカバリが実行できないので処置なしといった感じだ。代わりにmicro-SDスロットが使えるのはメリットではあるが,トータルでの使い勝手はよくない。
●電池のもちは?
長時間連続での使用はしていないので電池のもちは判定しづらいのだが,Oculus Goよりやや短いような印象はある。Oculus Goのコントローラの電池が全然減らなかったのに対し,Mirage Soloでは電池の減りにも気をつける必要があるので充電機会が多かったためかもしれない。コントローラは本体よりはもつものの,気がつくと切れている感じだ。そしてコントローラが電池が切れの状態になると,しばらくは充電しながらでも認識してくれなかった。
Oculus Goとの比較が多くなったが,両者の製品としての位置づけは大きく異なる。Gear VRで培った経験をもとに,コンシューマ向けの戦略商品的な位置づけとなるOculus Goに対して,WorldSenseという新技術のサンプル的な位置づけのMirage Soloでは完成度が違うのは当然ではあろう。
WorldSenseに対応した初めてのデバイス,そして低価格6DOF対応VRヘッドセットという意味でMirage Soloには大きな意味がある(スタンドアロンのDaydreamとしても世界初とのことだが,去年のChinaJoyでは置いてあった)。ただ,1年前のハイエンドスマホと同等+αのモノだと考えれば十分安いのだが,Oculus Goが安すぎるためそれほどのインパクトはなくなっている。優位店である6DOFを生かせないと意味がないのだが,まだまだ対応ソフトは少ない。
また,6DOFだからといってハイエンドのVR体験ができるわけではない。コントローラは3DOFなので,体験は限定的である。とはいえ,ヘッドトラッキングが6DOF化されることには大きな意味がある。そもそも3DOFのヘッドトラッキングだけのものを一般市場に出すべきではなかったのだ。VR嫌いを増やすだけだろう。個人的には,カメラをWorldSense以外で生かしたソフトに期待している。ワイヤレスを生かすには動き回るのがいちばんなのだが,今後MR的な活用はないのだろうか。