Miniclipが10億DL達成 ― これからどこに向かうのか?

Rob Small氏
8 Ball Poolの背後にある会社は,自らがゲーム業界の頂点の一角に達したことを知った。いまや収益チャートの制覇に乗り出している。

 先月は多くの人がSupercellよりもMiniclipのゲームをダウンロードしていた。
 実際のところ,12月にはこのゲーム開発会社とパブリッシャは北米のAndroid市場ではNo.1だった。 KingやZynga,EAを差し置いてだ(iOSでは任天堂が1位だったが)。
 総合的に,MiniclipはiOS,AndroidそしてWindows Phoneにわたって10億ダウンロードを誇っている。

 この会社はまだ有名なライバル企業ほどの信用や知名度,あるいは正当な理由を勝ち得てはいない。これらの成功は収益面で必死になってミラーしていたフリーダウンロードがもたらしたものだ。実際,多くのゲームは,少なくとも初期段階ではマネタイズ要素をまったく持たずにローンチされている。8 Ball Poolもその好例といえるタイトルだった。しかし最初のリリースから5年を経て,いま英国の収益チャートのトップに立ったのだ。

 「我々はどんなマネタイズ手法がプレイヤーの楽しみを削ぐことなくバランスが取れるのかを慎重に確認していました」と同社のCEOを務めるRob Small氏はその商業戦略の基となる考えを説明しつつ語った。「ユーザー数の増加はMiniclipの主要なKPIです。我々は妥協することなく慎重にそれを貫いてきました。事実,我々は安定してほとんどのダウンロードゲームを支配しています。つまり,その前面に出ることを実現しているという意味です」

「我々はどんなマネタイズ手法がプレイヤーの楽しみを削ぐことなくバランスが取れるのかを慎重に確認していました」

 Miniclipは,現在の成功したゲームのポートフォリオのなかではまったくのところ珍獣といえる存在だ。Agar.io,8 Ball Pool,Flip Divingなど,この会社はiOSとAndoroidのランキングでの多くの機会からこの方針にたどり着いた。
 スマートフォン分野でのユーザー獲得がいかに難しいかを考えれば,これは1作品の成功よりも大きな業績だといえるだろう。これはいくつかの大企業がこの分野の空隙を目指している理由でもある。Take-Twoの社長であるStrauss Zelnick氏は成功よりも遥かに多くの失敗がある市場であることを確認しつつしつつモバイルでの不本意な投資を繰り返している。彼はモバイル開発に投資するくらいならラスベガスのほうがマシなギャンブルだとさえ言っている。

 「我々はいつも手持ちのすべての卵を一つのバスケットに入れることを躊躇していました。私が思うにその理由は,我々は会社として常に次の大物に期待し,見出そうとしているからでしょう」とSmall氏は我々に語った。「8 Ball Poolはいまだに大ヒットしています。間違いなく,そのままなにもしなくても何年も暮らしていくのは簡単だったでしょう。しかしそうしようと思ったことは一度もありません。既存のゲームのサポートを続けつつ,我々はポルトガルやイタリアなどで,新しいアイデアを常に考えている人による開発チームを作りました。我々は,既存のタイトルのユーザー,さらにはMiniclipのゲームをこれまでプレイしたことのない人にとても人気が出るゲームプレイとメカニクスを見つけることに非常に長けてきたのだと思います」

8 Ball Poolはリリース後,5年を経て収益ランキングのトップに躍り出た

 市場飽和の問題について彼は,とくに小規模開発者の中でモバイルゲームパブリッシャへのさらなる需要が存在すると語っている。「小規模開発者が注目を集めるのはとても難しいことです。大きなパブリッシャで働くというのはそれを避ける一つの方法でしょう。我々はよく小さなスタジオと,彼らの作品を発表できる可能性やより多くの人々に届ける方法について話をしています。自己PRもまた重要です。10年前と比べれば,ソーシャルメディアを使って簡単に名前を広めることができるのですから」

 モバイルやさらに広い市場で成功を得ているにもかかわらず,MiniclipはPCとゲーム専用機の開発で興味深い動きをしている。モトクロス作品MX Nitroを来月発売するのだ。

 「しばらくの間,コンソールゲームタイトルをリリースすることについて考えていました。そしてちょうどよい時期になったのです」とSmall氏は語った。「このゲームは長い間我々のバートナーだった会社によって開発されました。ですので作業関係は確立されていますし,彼らが高品質の作品を作ることも分かっています。MX Nitroは素晴らしいモトクロスレースないしスタントゲームになるように研ぎ澄まされています。そして我々はそれがMiniclipにコンソールゲーム市場への扉を開けるのを待ちきれない思いでいます」

 モバイル市場でもハードコアやミッドコアのゲームを作ってきた開発会社には自然な流れがある。実際のところ,Nintendo Switchがモバイルとコンソールのギャップを埋める製品として設計されていると考えたとき,我々はこの空間への収束を理解し始めている。我々は,さらに大きなソーシャルないしモバイルゲームのパブリッシャとスタジオが伝統的なコンソールゲーム市場で力試しをすることを期待してもいいものだろうか?

「我々は単に手持ちのモバイルゲームの一つを移植したわけではありません。コンソールに特化した完全新作を開発しているのです」

 「YesともNoともいえますね」とSmall氏は示唆した。「開発者とパブリッシャにとっては,彼らのゲームができるだけ多くのプラットフォームに持って生きたいと思うのは当たり前のことでしょう。ですので,その点ではコンソールへの移行は自然です。しかし,コンソールゲームはモバイルゲームとは違った市場であり,違ったタイプのゲームが要求されます。我々は単に手持ちのモバイルゲームの一つを移植したわけではありません。コンソールに特化した完全新作を開発しているのです。もしほかの会社に同様なことができるなら,彼らは成功するかもしれません。しかし,短期間で作られたモバイルの単純移植ゲームだと別の困難が出てくるでしょう」

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら>)