[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート

 2016年7月15日,「Game Tools & Middleware Forum 2016」(以下,GTMF)の東京会場イベントが東京・秋葉原UDXで開催された。GTMFは国内のほとんどのゲーム系ミドルウェア開発メーカーが参加するゲーム開発者イベントだ。ここ数年で規模がどんどん拡大しており,会場は非常に大勢のゲーム開発者でにぎわっていた。
 ここでは東京会場の展示ブースの模様を紹介してみたい。なお,大阪会場の展示ブースについては,一條氏のレポートを参照していただきたい。さらに昨年のレポートは4Gamer.netに上がっているので,そちらと見比べてみるのもよいだろう。

GTMF 2016大阪会場展示ブースレポート

GTMF 2015東京会場展示ブースレポート


●モノビット
 最近はリアルタイム通信エンジンで幅広い製品展開を行っているモノビット。今回は,中嶋謙互氏のCTO就任時に製品展開が予告されていたVR対応クラウドのイメージデモが公開された。このデモ,通信機能はないので本来の動作ではないのだが,その実装イメージを示すものとなっていた。形式としては,箱庭タイプのRTS仕立てで,マルチプレイヤーで艦隊を指揮して戦うといった感じのものとなっていた。配置モードと戦闘モードがあり,配置モードでは戦艦を掴んで細部を眺めたり,好きな位置に置いたりといった操作が可能で,戦闘モードではさまざまに視点を変えて自動戦闘の様子を観察できた。残念ながら戦闘はフルオートだ。
 画面内にはシルエット風の3Dモデルで他プレイヤーが表示され,本来ならば会話なども可能になる模様。なお,モノビットでは現在テキストチャットのシステムを提供しているが,ボイスチャットのシステムも投入予定とのこと。VRで使われるボイスチャットは,声の位置情報も必要になる。普通のボイスチャットであれば,N対Nの会話でもサーバー側でストリームを合成すれば,それぞれのプレイヤーには上り下りで1ストリームずつで足りたのだが,VRのN対Nチャットでは人数分のストリームが必要になる。そのあたりどうするのか聞いてみたものの,まだはっきりとした答えは出ていない模様。
 「VRで重要になるのはコミュニケーションだ」ということで需要を先取りしたVRクラウドだが,どのような体験を実現してくれるのか楽しみにしておこう。

[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート [GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート

モノビットエンジン公式サイト


●CRI・ミドルウェア
[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート
 新製品「CRI HAPTIX」をアピールするCRI・ミドルウェア。振動による触感要素を組み込んだディフェンスゲームのサンプルを展示していた。このシステムは,すでに多くのゲームで使われているADX2で簡単に触感要素を加えることができるというのがポイントだろう。
 反響をたずねてみると,振動のON/OFFくらいしかできないのではないかと思っている人が多いようで,振動の表現力がまだまだ知られていないことがうかがえる。モバイルゲームだと,電車内などでプレイする際には音声がカットされることも多いのだが,音声を切って振動をONにするという選択肢で,静かなままリッチな体験を実現することもできそうだ。

 そのほかでは,Sofdecによる4K動画ではPSVRによるデモを行っていた。一條氏による大阪会場レポートでは,H2の動画再生ミドルウェアが絶賛されていたのだが,性能としてはH.264によるα付き4K動画再生をサポートするSofdecのほうが優れていると思われる(一條氏は百も承知のことであろうが)。インディーズライセンスが新設されることを祈ろう。

CRI・ミドルウェア公式サイト


●ダイキン工業
[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート
 ダイキン工業ブースでは,3ds Max用のプラグイン「AutoModeller Pro」などが紹介されていた。
 このAutoModellerがどんなツールなのかというと,「3Dオブジェクトをテクスチャとして貼り付けられる」プラグインなのだ。言葉の意味としては不正確なのだが,実態を適切に表現するとこうなると思ってほしい。これだけじゃ意味が分からないという人は,下の動画を見てみるのがいいだろう。



 ペイントツールのような感じで,オブジェクトに模様を塗るようにディテールオブジェクトが生成されていることが分かる。ノーマルマッピングといった次元の処理ではない。きっと,球体にさっと塗ればあっという間にデススターができる。
 感心するのは細部まできちんと処理されていることだ。塗っていくオブジェクトの形によって自動的に断面が生成されるのだが,その断面にもバンプマッピングなどはちゃんと施されており,自然な外見に仕上げていることが分かる。
 やはりゲーム関係だと「Mayaにもほしい」という声は多いようだ。Maya版は出てくるかもしれないとのことではあったが,残念ながら少なくともすぐに出る気配はなさそうだった。

ダイキン工業COMTEC公式サイト


●東陽テクニカ
 PERFORCEをメインに展示していた東陽テクニカだが,今年持ち込んだ新製品は「Black Duck Hub」と「CHECKMARKS」だ。Black Duck Hubは,オープンソースソフトウェア(OSS)に含まれる既知の脆弱性を警告してくれるというツールだ。ソースコード,バイナリコードともに対応しており,どのOSSを使っているかなどのハッシュ値をサイトに登録しておくと,脆弱性が発見されたときに警告してくれるなどのサービスもあるそうだ。
 CHECKMARKSは,ソースコード中に含まれるセキュリティホールになりかねない記述を検出してくれるというツールである。ソースコードを解析して数百種類の脆弱性を未然に検知するという。チラシだけの展示だったので会場に行っても見落としていた人もいるかもしれない。
 現時点で,Java,JavaScript,PHP,Python,Groovy,Ruby,Android,iOS,HTML5,Windows Mobile,C#.net,C++,ASP.net,VB.net,VB6.0,PL/SQL,Perl,Apexという非常に多くの言語とシステムに対応しているのも特徴だ。ゲーム開発で使う言語はほぼ網羅されている。バッファオーバーラン対策などは,気を付けていても抜けてしまうところがあるかもしれない。人力でチェックするのも大変なので,機械的に検出できるツールは有用だろう。クローズドな環境であったコンシューマゲームと異なり,モバイルゲームやオンラインゲームではセキュリティ対策が必要になってくる。専門的な知識が必要な対策処理をサポートしてくれるツール群だ。

[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート [GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート

東陽テクニカ公式サイト


●日本シノプシス
 コードの静的解析による最適化ツール「Coverity」で知られるシノプシスは,今年もブースでデバッグクイズを展開していた。表立ってアピールはしていないが,ここも今年の主力はセキュリティ製品のようである。

[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート [GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート

 「Protecode」は上で紹介したBlack Duck Hubと同じようにOSS(に限らないようだが)の脆弱性を検知してくれるシステムである。機能はだいたい同じで,ソースコード,バイナリコードの双方で検出できる点も同じだ。手軽に使えることもあって,OSSはあらゆる分野で多用されるようになっている。自社開発でないライブラリなど,中身が見えないものに関してはバイナリベースの検出ツールが有効であるとのこと。また,ライセンス関連も気をつけなければならないポイントである。ライブラリを調べてみると,GPLとLGPL,個別ライセンスが混在していているといった事態も珍しくはないだろう。そういったものもバイナリ解析で分析してくれる。
 そのほか,普通には試しにくいセキュリティテスト関連のツールとして「Seeker」「Defensics」なども紹介されていた。Coverityでコードの性能は確保できるので,さらなる品質向上の方向としてセキュリティに注視した展開が行われているという。

日本シノプシス公式サイト


●ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン
 Unity 5.4の新機能デモの展示やPSVRによるVR体験コーナーを開設していたユニティ・テクノロジーズ・ジャパン。右写真で,左のディスプレイに映っているUnityちゃんはWebGLで動いており,その横はスクリーンスペースリフレクションの例,中央のディスプレイではGPUインスタンシングを使ったAdamデモ,右のディスプレイはちょっと分かりにくいがVRデモの画面が映っている。

[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート [GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート

Unity公式サイト


●アクセル
[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート
 オリジナル動画CODECである「H2MD」を展開するアクセル。H2MDはα付きの動画を扱え,インディーズライセンスを用意しているのが特徴だ。詳しくは大阪会場レポートを見てほしい。大阪会場ではVR版が押されていたようなのだが,東京会場ではスマートフォン版中心で展示されていた。

H2MD公式サイト


●アトミテック
[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート
 アトミテックはゲームサーバーエンジン「KiQ」関連の出展をしていた。KiQというのがどういうものかというと,ゲームサーバーの開発を簡単にするライブラリやAPI群といった感じのもののようだ。どういうことかというと,通常,ゲームコンテンツとサーバーサイドでは開発者に要求されるスキルが違い,別々のチームで開発されることが多かった。そのため,要求仕様とサーバーの実装で齟齬が出たり,無駄な作業が発生しがちであったという。そこで,ゲームクライアント開発者が直接サーバーサイドの処理を作れるような環境を用意しようということになったわけだ。それがKiQである。
 具体的には,クライアントとサーバーで開発言語を同じにするところから始まっている。ゲーム開発で使われそうな言語すべてに対応したサーバー側の開発環境が用意されている。なお,Swiftには対応していないのだが,iOS用ゲームとは言っても開発にはゲームエンジンを使う人がほとんどなので,ほぼ必要ないからだそうだ。
 C#,JavaScriptなどはUnity 5のようにC++のコードに変換されて,最終的にはC++のシステムとして実行されるとのことなのでパフォーマンスは高そうだ。

KiQ公式サイト


●Umbra
 オクルージョンカリングのツール「Umbra」によるデモ出展。オクルージョンカリングとは,膨大なオブジェクト数の3Dシーンで視点から見えているポリゴンだけを処理する手法のことで,Umbraはその代表的なミドルウェアである。Unityに搭載されているほか,Unreal Engine用にももちろんプラグインが用意されている。
 独自の空間データベースを作成することで高速に処理を行うが,速度と精度を選択することもできるという。

[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート [GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート

Umbra公式サイト


●インディーゾーン
[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート
 3Dグラフィックスツール「Houdimi」はモデリングやアニメーションなど,一通りの機能を備えている。とくにFXバージョンは豊富なエフェクト処理を標準実装しており,ほかの3Dツールにエクスポートして使われることも多いようだ。

Houdimi製品サイト


●ウェブテクノロジ
 ウェブテクノロジのブースでは,「OPTPiX SpriteStudio」を中心に展示がされていた。
 最新版はエフェクト関連が凄いということなのらしいのだが,あまりその辺はアピールされていなかったように思う。今回が初出ではないのだが,目を引くのは「キャラ半分回ってるじゃないですか。これツール関係なくないですか?」と言いたくなるような映像だ(参考URL)。A4フルカラー50ページのビギナー向け小冊子が配布されていたのもなかなか凄い。そこでは前述の映像の作り方なども解説されているのだが,手法を説明されてもマネできるものではない気はする。
 そのほか,ヤマハの遊技機用グラフィックスチップGP3に対応したSpriteStudioのランタイムがデモされており,インタラクティブな表現をアピールしていた。

[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート [GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート

ウェブテクノロジ公式サイト


●エピック・ゲームズ・ジャパン
 GTMFのプラチナスポンサーでもあるエピック・ゲームズ・ジャパンでは,Unreal Engine 4によるVR関連を中心に展示を行っていた。写真のように人だかりは非常に多かったのが印象的だ。Bullet TrainのVRデモでは,おそらく場内のVRデモで一番長蛇の列ができていた。

[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート [GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート

エピック・ゲームズ・ジャパン公式サイト


●Geomerics
[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート
 ARM傘下のGeomericsはグローバルイルミネーションミドルウェア「Enlighten」の展示。かつてBattlefield 3で採用されて,その表現力で世を驚かせたミドルウェアだ。実はUnity 5にも搭載されているのだが,認知度はいまひとつなのか,デモでアピールが行われていた。

Geomerics公式サイト


●Audiokinetic
[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート
 オーディオツール&ミドルウェアの「Wwise」を展開するAudiokineticでは,VRヘッドセットを使った3Dサウンドをデモしていた。Wwise for VRでは,各社の3Dポジショナルオーディオライブラリを読み込み,Wwiseのシステム内で制御が可能になる。今回はツールの紹介というよりも,VRでのポジショナルオーディオの効果をアピールしていた感じだ。

Audiokinetic公式サイト


●Wise
[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート
 高解像度の全周動画と3DCGの合成によるVR展示を行っていたWise。
 Go Proを6台組み合わせた機器で全周を撮影し,合成することで6000×2000ドットの映像を作り,その全天画像からIBLを作成して3DCGにライティングを施すという流れだ。足元などの影については,地形などは無視して合成してなじませている模様。
 取材したときにVRヘッドセットがなかったため体験はできなかったのだが,背景は非立体視映像になるはずなので,立体視CGが乗るとどんな感じなのかは少し興味深い。
 画面のとおり,デモ映像は海岸に恐竜(?)が佇むというものである。波の部分は綺麗にループ映像に編集されている。こういったことが可能な撮影・編集のプロと3DCGのプロが存在することが同社の強みだとのこと。PSVR用タイトルも開発中とのことなので,映像に注目しておこう。

 
●Google
[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート
 今年のGoogleはAndroidやAndroid WaerなどではなくCloud Platformの出展だった。BigQueryなどもアピールしており,ゲーム関係だと需要はどうかなと思ったのだが,実際にはログデータの処理などですでに多数導入されているという。ゲーム業界でもいつのまにかビッグデータが一般的に扱われるようになっていたらしいのには驚いた。

Google Clode Platform公式サイト


●GMOクラウド
 リアルタイム通信エンジンPhotonやMarmaladeなど各種ミドルウェアを扱うGMOクラウドだが,展示ではPlayCanvasが中心となっていた。PlayCanvasは,WebGLベースのゲームエンジンで,ぱっと見た感じの画面構成はUnityにかなり似ている。WebGLで,本格的な3Dブラウザゲームが手軽に作れるほか,ツール自体がWebブラウザ上で動作するのも特徴だ。

[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート [GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート

GMOクラウド公式サイト


●SHIFT
[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート
 テスト用ツールやQAサービスが本業のSHIFTだが,今回は他社製ながらAccesible to VRというツールが持ち込まれていた。これはVRゲームでのプレイヤーの行動や注視点などを計測するAPIやその分析ツールとゲームの運営サポート機能を含むサービスだ。VRゲームでプレイヤーがなにをどれくらいの時間見ていたのかなどをヒートマップでビジュアライズできるなど,ゲームの品質向上に役立つ機能が注目される。2017年にローンチ予定とのこと。

SHIFT公式サイト


●シリコンスタジオ
 シリコンスタジオでは,Mizuchiの新シェーダ機能を使った「YURI」やHDRデモなどが展示されていた。これらについての詳細は,「こちら」と「こちら」の記事を参照してほしい。国内ではあまり紹介されることのないPopcone FXという海外製の物理エンジンもデモされていたのも目を引いた。

[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート [GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート

シリコンスタジオ公式サイト


●マッチロック
[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート
 2D画像エフェクトエンジン「BISHAMON」を制作するマッチロックにもVR旋風は届いていた。パーティクルやエフェクトの多くはビルボードに2次元画像として描かれる。通常はZ軸の負の方向に向けていれば視点方向になったのだが,視点が二つになったので,それぞれの座標に向けてビルボードの角度を調整する処理が加わった。
 左右の目で扱うジオメトリ情報が異なった場合,歪み方などで両目画像をうまく合成できなくなるケースもありそうな気はするのだが,両目画像をうまく合成できないほうが板っぽさがはっきり出なくていいのかもしれない。うーむ微妙だ。
 従来,両眼立体視でのビジュアルエフェクトは「ビルボード感」が露骨に分かるので没入感を阻害する要因となることも多々あった。VR時代に向けたエフェクトテクニックも確立する必要はありそうだ。

マッチロック公式サイト


●ヤマハ
 ぱちんこやパチスロなどの遊技機で使われるグラフィックスチップ「GP3」を展示するハマハブース。今年は,「かんたん3D」というソリューションが提案されていた。
 遊技機で利用されているのはほとんどがプリレンダーのムービーなのだそうで,インタラクティブ性に乏しいのが難だったという。そこで,ムービー再生に対して3Dでのエフェクトを乗せるなど,新しい表現方法が提案されている。デモでは,ガラスのような質感の髑髏(?)がムービー画面の下から飛び出すような処理が行われていた。もちろん,屈折処理付きで表現されている。ヤマハとしては,せっかく内蔵されている3D機能をもっと有効に使ってほしいということなのだろうか。

[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート [GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート

ヤマハGraphic Controller公式サイト


●Live2D
[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート
 Live2Dブースでは「Live2D Euclid」を使ったユイちゃんによる保健室のVRデモが公開されていた。内容はalive 2016版とほぼ同じで,運び込まれた保健室内であちこちを注視して湿布薬を探すというアドベンチャー仕立てだ。

Live2D公式サイト


●ラクス
[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート
 問い合わせメール管理システム「メールディーラー」を展開しているラクスブース。とくにゲーム業界向けの製品というわけではないのだが,メールベースのユーザーサポートでは威力を発揮するツールで,この手のシステムではトップシェアを誇っている。昨今ではゲームもメールによる問い合わせ受付が増えているが,単なるメール共有では未処理の案件などを管理しきれなくなる。とくに複数人で対応する場合には,なんらかの管理システムは必須といえる。対応状況や進捗などをメールごとに管理し,サポートの漏れを未然に防いでくれるツールだ。

ラクス公式サイト


●ハートビーツ
[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート
 ハートビーツはサーバーの運用管理を行う会社である。ゲーム用サーバーでは24時間365日の管理が必須となってくる。ハートビーツも当然ながらそのような管理体制を敷いているわけだが,同社の強みは担当技術者と直接連絡が取れることだという。サポートのオペレーターなどを介さず,問題が発生したときには,担当者が直接応対を行う態勢が取られているので,きわめて迅速な対応が可能になるとのこと。

ハートビーツ公式サイト


●MaturalMotion
[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート
 NaturalMotionのブースでは,多くのゲームで実績を持つアニメーションソフトウェア「Morphine」のデモが行われていた。物理エンジンEuphoriaの名を加えた「Morphine+Euphoria」として出展されていたが,実際には物理演算は一切行われていないのだそうだ。物理演算を行わずに低負荷で「物理演算ぽい動き」を作り出しているのだという。

NaturalMotion公式サイト


●オートデスク
[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート
 オートデスクでは,ゲームエンジン「Stingray」中心の展示が行われていた。Stingray 1.2からVRに対応しており,RiftとViveなどに対応できるようになった。ブースで野はVRヘッドセットによるデモも行われていた。最新版は1.3となっており,クロスシミュレーションなどが追加されている。

Stingray製品情報ページ


●MUGENUP
[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート
 ゲーム制作で役割に応じた進行管理ツール「Save Point」を提供するMUGENUPのブース。こちらについては大阪会場レポートに詳しいので,ぜひそちらを参照してほしい。

Save Point公式サイト


●デジカ
[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート
 VR(だけではないが)タイトルのSteamパブリッシングに力を入れるデジカ。ブースは各種VRゲームの体験コーナーとなっていた。

デジカ公式サイト


●Too
 Autodesk系のツールがの名前が展示されていたのだが,実際のところはVRデモ中心だったTOOのブース。ViveによるデモではGoogleの「Tilt Brush」などが好評だったようだ。
 また,低価格モーションキャプチャデバイスとして知られるNoitomの「Perception Neuron」の実演デモも行われていた。低価格ながら,指の動きまで取れるデバイスだ。
 実際のところ指の動きはどれくらい取れるのか聞いたところ,グー・チョキ・パーはいけるが,バルカン星人の挨拶は無理とのこと。また,長時間使っていると位置ずれを起こすので,マメにリセットするのがコツとのこと。

[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート [GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート

TOO公式サイト


●日本マイクロソフト
 Windows 10用アプリを推す日本マイクロソフトブース。最近のVisual Studioにはグラフィックスツールや3Dモデリングツールも付属している。ブースではUnityちゃんのモデリングデータを読み込んでいた。
 Unity 5でVisual StudioのCommunity Editionがそのままインストールできるようになったため,コードのエディットで活用している人は増えているかもしれない。実はコード以外でも,MIP-MAP対応のテクスチャファイルを生成したり,モデリングデータを作成したりできるので活用してみよう。

[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート [GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート

Visual Studio公式サイト



●RAD Game Tools
[GTMF2016]ゲームツールとミドルウェアの最新動向を探る。GTMF2016東京会場展示ブースレポート
 RAD Game Toolsでは,海外で定番のゲーム動画エンジン「BINK」を中心にデモ展示。新顔のWoodleもアピールしていた。ファイルからネットワークのパケットまで圧縮できるツールWoodleについてはこちらの記事を参照のこと。

RAD Game Tools公式サイト