小島秀夫氏:「みんな私にビッグなゲームを求めてくる」

氏はKojima Productionsで小さなタイトルを手掛けたかったのだが,ゲーマーたちからは大きなゲームを求められているのだと説得されていた。

 小島秀夫氏は,先ごろ開催されていたNordic Game Conferenceでキーノート・ファイアーサイドチャットで登壇し,人々から受ける期待の大きさやスカンジナビアのこと,スケジュールの管理について語った。

 この通訳を交えたセッションで小島氏は,北欧地域におけるゲーム開発シーンの深みについての質問に答えるところからトークを始めた。なぜ,人口も大きくはないこの地域において,ゲーム開発が盛んに行われているのかを聞かれた彼は,その秘密を探るために北欧を旅しているのだと述べたのだ。「ストックホルムにあるDICEには8年前に訪ねたことがありますが,素晴らしい環境の中で,世界に向けて販売されていく素晴らしいゲームを作られていました。スカンジナビアでは,AAAタイトルからインディーズ,モバイルまでさまざまなゲームが作られています。私はそれに非常に感嘆し,なぜだか知りたかったというのが私が今ここにいる理由ですが,20年後はさらに凄くなっていると思わざるを得ないですね」

 小島氏はさらに,ヨーロッパの北西部を旅している理由の一つとして,新生Kojima Productionsで利用されるためのゲームエンジンを含む,新しいテクノロジーの“ショッピング”を行っているとも明かしている。彼は,ゲームエンジンはできるだけ内部で開発するのが好ましいとする一方,第1作の開発における時間的な制約から,既存のソリューションを模索しているのだという。このイベントでは,新作ゲームの規模についての質問も飛び出したが,開発サイクルが長いビッグタイトルを何作も手掛けてきた彼は,果たして新しい開発スタジオの評価を素早く上げるために,小さくすぐにでもプレイできるようなゲームを考慮したりはしなかったのだろうか?

 「小さなチームで大きなゲームを作りたいとは思います」という小島氏は続ける。「Kojima Productionsをスタートさせたとき,小さいプロジェクトを作りたいと思っていたのです。しかし,世界を旅して友人たちと話していくと,みんな人々の期待は私が大きなプロジェクトを稼働させることになるというのです。だから,それが私が今やっていることですね。いつリリースする予定なのかはまだ確定していないですが,小さなゲームにはならないということは言えます」

 また,小島氏は,実際にゲームを発売できる状態になるまでは,(アーリーアクセスやデモなどで)リリースされることはないと話す。過去,彼のプロジェクトの発売が遅延してしまったり,開発予算を超過させたことについて,彼自身が完璧主義者であるからだというのだ。「人々は,私のことを完璧主義者だと思っているようですが,それは間違いではないでしょうね,自分が満足できるようなゲームを作ることが私にとって重要であるのですけど,ゲームはプレイしてから初めて完成するわけであって,必ずプレイヤーの皆さんのもとに出荷しなければなりません。ある意味,プレイヤーたちは私よりも完璧主義者かもしれません。私の作品が過去に発売延期になったのは2回だけですよ」

 しかしながら,ゲームの品質というものは,プレイヤーがどれだけの時間楽しんだのかではなく,ゲーム体験の深さやプレイヤーたちが熱中できたのかを重視するべきだと小島氏は述べる。加えて,プレイヤーは広い嗜好と消費傾向を持っているのであるから,ゲーム開発者はそれらにしっかりと対応してからなければならないとのことだ。

 小島氏は,「プレイヤーはさまざまな選択肢を持っていますから,当然ゲーム開発者は顧客のライフスタイルに合わせていかなければなりません。それはモバイルになるかもしれませんし,エンドレスなマルチプレイヤーモードかもしれません。それをゲーム開発者が自分に合わせようとさせることはできないのです」と続け,「でも映画を見てください。構想から5年かけて作っても,観衆は2時間で見終わってしまいます。もちろんゲームはそんな風にはできないですが,テレビドラマならば半年をかけて制作したものをエピソードとしてリリースさせていくことができ,長いスパンで楽しんでもらえますよね。それならゲームでも可能です。時間をかけて作り上げるのですから,こうしてプレイヤーがゲームをどうやって消費するかをコントロールしたいものです」と語った。

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