24Frame代表の追憶オーバードライブ:第8回 漫画「HUNTER×HUNTER」から始まる追憶
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最近,寝つきの悪い夜には漫画「ハンター・ハンター」を読んでいる。この場合はiPadの巨大な画面で読むのがいい。
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しかし「ハンター・ハンター」をiPadで読むといろいろな発見がある。ここでは拡大機能をいかして,細かなセリフを隅々まですべて読むのがポイントだ。
細部を理解すればするほど,いろいろなことが気になってきて,時系列や場面ごとにつながりを整理するメモなどを作成する自分もいて,それも新たな発見である。
「喧嘩商売」という漫画も登場人物と時系列の相関が複雑だったので似たような感情を覚えたことはあるが,あの時はまだ老眼が始まっていなかったし,むしろキャラ別に整理された別バージョンも発売されていて,この辺りには意外な需要があるようだ。
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エンタメ業界に従事する者であればそれは仕事の一環であろうとも思うのだが,とはいえ逆に一時期,漫画をまったく読まない時期もあった。
その頃は知らない漫画があるどころではなく書店に行っても大体の漫画を知らないという状態だ。
それは10数年前,3DS「メタルマックス4」の作業終盤からPSP「デジモンワールド リ:デジタイズ」,その3DS版に当たる「デジモンワールド リ:デジタイズ デコード」のディレクションへと突入していた頃だ。漫画を読む暇がないというのも納得の忙しさだったことを懐かしく思いだす。
少し話はそれるが,そんなデジモンの最新作に当たる「デジモンストーリー タイムストレンジャー」も,間もなく発売となる。機会があればぜひ手にとっていただきたい。
こちらは本編のディレクションに加え,開発現場のスタッフさんたちの熱意を補足する動画にも出演させていただいた。興味があればそちらもご覧になっていただければ幸いである。
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その後は多少仕事とプライベートのバランスをとれるようになったのか,漫画を読むのも仕事だという認識の下にワーカホリックが進行したのか定かではないが,漫画を読む習慣が復活し,現在に至っている。電子書籍という販売形態もあってなんなら昔より加速している気さえする。
実家にも大量の漫画本があるが,これには両親から「床が抜けそうで嫌だから処分してくれ」とクレームが入ったりもした。しかしそんな時もかつてナウシカを読まされていた祖母は「そんなんで床が抜けるわけないよなあ」と言ってくれた。そんな風にいつだって祖母は僕の味方である。実際には床が抜ける可能性は十分にあった気がするが。
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世代的にも僕の両親は漫画などまったく読まない人たちであったが,幼稚園から帰ると父がリビングで見慣れないものを手に取っていた。それが漫画版のナウシカであり,僕が初めて見た「漫画」というものであった。
見たことがないものへの興味から,そこに置き去りにされていた漫画版のナウシカを手に取ったときに今の世界線が始まったといえるだろう。
「漫画」というものを初めて見た僕は,それを新手の絵本か何かと勘違いしたのか祖母にも「読んでくれ」と頻繁にせがんでいた。幼稚園児であったので,識字も完全ではなかったのであろう(漫画版のナウシカには難しい漢字も多いのだ)。しかし常に僕の味方であった祖母も何度目かには珍しく難色を示し始めたのは印象的であった。どうやら王蟲の造形が苦手だったようだ。
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自身の読み方が電子書籍へと切り替わりを遂げていく契機として印象的だったのは「かぐや様は告らせたい」であろうか。
これは「メタルマックス・ゼノ」という作品の作業が過熱していた時期,僕が社屋に軟禁状態となり,その時に一冊だけ置いてあった漫画であった。
誰かがおいて行った「かぐや様」の6巻を読むことだけが唯一その精神と時の部屋で許されていた娯楽であり,その巻のエピソードはセリフを覚えるほどに読み込んだ。そんなことは思春期以降初めてだったように思う。
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今手元で読んでいる作品の中にも,これから予測不能なほどに有名になっていくものがあるのだろう。面白さと共に思い出も増えていく。ハンニバル・レクターよろしく僕の記憶の図書館(漫画版)は,今日もどんどん大きくなっていくのであった。テクノロジーの進歩により電子書籍がメインとなったことで,家の床が抜ける心配からも解放されて。