【ACADEMY】Electronic Artsの不変の4原則で,サービス型ゲームを新鮮に保とう
ライブサービスタイトルのアップデートや拡張を計画する際には,考慮すべき点が数多くあるが,なかでも最も重要なのは,プレイヤーが最も反応するのは何かということだ。
これは,11月13日から15日までハイデラバードで開催されたインドゲーム開発者会議で,ライブサービスゲーム開発の不変の原則に関するプレゼーテンションを行った,Electronic Artsのオペレーション部門責任者Arjun Balaram氏の言葉である。
とくにモバイル分野のライブサービスタイトルにおける豊富な経験をもとに,Balaram氏はすべてのアップデートは3つのレンズを通して見なければならないと語った。
- プレイヤー:新しいコンテンツがどのようにして,彼らにゲームへの継続的な関わりをうながすか。
- 人々:各アップデートの目標とビジネス上の背景について,チームにどのように情報を伝えるか。
- プロセス:できるだけ効率的に追加要素を作成する方法。
Balaram氏は,プレイヤー中心の考えと,その背景にある4つの主要原則について説明したので,以下に紹介しよう。
1. どれほど努力を積み重ねてきたとしても,変化する準備をしておくこと
Balaram氏は,開発者やパブリッシャが柔軟性を維持する必要性を強調し,「Bejeweled Blitz」の開発を例に挙げた。
「私たちが何か月も努力した結果,プレイヤーが最もよく行ったのは,ポップアップを閉じる“X”をクリックすることでした」とBalaram氏は説明した。「彼らはほかのことは試さず,スコアアップだけを気にしていました」
「そこで,ほかのことはすべて関係ないということを本当に強調するようにデザインを変更しました。スコアアップがプレイのモチベーションとなり,デザイン変更は本当に機能しました」
2. プレイヤーが望むものを与えよう
「Plants vs Zombies 2」の開発当初,Electronic Artsは2〜3か月ごとに新しいワールドを追加し,5ドルで販売する計画を立てていた。各ワールドには,新しいステージに加えて,プレイヤーが配置可能な20〜30種類の新しい植物と,それらに対抗する追加のゾンビ,それらに関連する新しいチャレンジが含まれていた。
「プレイヤーは新しい植物と,その奇抜さを本当に楽しんでいました」とBalaram氏は語る。「そこで,プレミアム植物の生産に切り替えました。この世界や多くの異なるキャラクターに労力を注ぐ代わりに,毎月同じ5ドルで販売する植物を用意しました。それはうまくいきました」
「私たちは,その植物に関連したクエストやイベントのシステムを構築し,それもまたうまくいきました。私たちは,この重苦しいコンテンツの繰り返しから,プレイヤーが本当に気にしていること,つまり一緒に遊べる新しい植物を手に入れることに焦点を当てるようになったのです」
3. アップデートをルーティン化する
定期的なアップデート,そしてアップデートへの期待を高める通知は,プレイヤーの関心を維持するのに非常に役立つ。ライブサービスゲームは,プレイヤーの日常の一部となり,プレイヤーが何を期待すべきかを知り,新しい追加要素について計画できるようになると,活気づく。
これは,前述した2〜3か月の拡張のような中期的な期間,あるいは日単位でも機能する。Balaram氏は,「Plants vs Zombies 2」の別の例を挙げ,次のデイリークエストが始まる時刻をプレイヤーに知らせるために,画面上部にタイマーがポップアップ表示されると説明した。
「タイマー追加という単純なことで,基本的に私たちのDAU(デイリーアクティブユーザー)は安定しました」と彼は言う。「そして新しいクエストを追加すると,私たちのDAUが急上昇するのが分かりました。それはとてもクールです」
4. プレイヤーは,あなたがそれをどう作るかよりも,自分が何を得るかに関心がある
Balaram氏は,ライブサービスタイトルは当初から拡張性を念頭に置いて設計すべきだが,プレイヤーがそれらの拡張機能とどのように関わるかによって戦略を適応させるべきだと述べた。
新しい追加機能を設計する際には,チームが考えているゲームの改善の余地に気を取られがちになる。同様に,コミュニティが成長するにつれ,自分が取り組んでいることやその進め方について,より詳細な情報を共有したくなることもある。
“忘れないでください。あなたが作るゲームは,プレイヤーがそれをどう思うかにかかっています。それだけが重要です。”
しかし,Electronic Artsの幹部は,自身の経験ではプレイヤーは主に「3つのhow」を気にしていると語った。オーディエンスにとっての重要度順に,「how often(どのくらいの頻度で)」「how much(いくらで)」「how(どのように)」である。「プレイヤーが最も気にかけるのは,あなたがどのくらいの頻度で彼らをゲームに引き込んでいるかです」と彼は言う。「次に気になるのは,あなたがいくらで新しいコンテンツを提供しているかです」
「彼らが最も関心がないのは,あなたが実際にどのように行っているか,その仕組みや,その他もろもろです。それはデザイン変更なのか,ゼロから構築されたものなのか。クライアントのアップデートなのか,サービスサイドのプッシュなのか。彼らはそんなことは気にしません。ただ,新しくて面白いものに関わりたいだけです」
とくにBalaram氏は開発者やパブリッシャに対して,プレイヤーからのフィードバックに注意を払い,それに応じて戦略や開発プロセスを適応させるようにうながした。
「忘れないでください。あなたが作るゲームは,プレイヤーがそれをどう思うかにかかっています。それだけが重要です」
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