「ジオ展2023」レポート。地図情報を軸にした各種システムとゲーム業界のつながり
2023年4月21日,「ジオ展2023」が都内で開催された。これは地図情報を軸にした各種システムのための展示会であり,ゲーム業界と直接の関係はないが,ロケーション情報を用いたゲームを作成する際には必須となる,ある意味隣接業界でもあるのでここで動向をお伝えしたい。
さて,コロナ禍もあって一時期もてはやされた「ポケモンGO」に代表されるようなロケーションベースのゲームの発売ラッシュは収まってきているわけだが,コロナ後の新たな日常が回復するにつれ,そういった方向性のゲームが持つ可能性も再評価されておかしくない。。
地図のような位置情報に関連したものを扱うシステムを総称してGIS(地理情報システム)と呼ぶが,会場には,地図の基本データを提供するところ,人流などの付加データを提供するところ,そういったデータをもとにシステムを構築するところなどが集まっていた。
こういった地図情報は,Google Mapに代表されるような地図システムで使われるデータで,一般に地図の描画データを区域ごとにベクトルデータで持っており,必要な表示範囲に応じてサーバーからデータをストリーミングしてくるというベクトルタイル式のものが多用されている。
マップボックスの地図データでは,ベクトルタイルのほかに160層もの情報レイヤーを重ねることが可能であることが特徴の1つとなっている。地図情報には積み木風の簡易なものではあるが,3Dデータも含まれる。
会場ではソフトバンクと東京大学による「次世代AI都市シミュレーター」での事例が紹介されていた。これはコンピュータ内に仮想的に実在都市の副生物を作り上げ(デジタルツイン),人流データなどをもとにさまざまなシミュレーションを行うことで都市問題の解決を図るというもので,その基幹システムとして同社のサービスが使用されている。
そのほか,会場の一角で行われた講演では,2022年に行われた自転車イベント「ツール・ド・東北」で,1500人の参加者の位置情報を3Dマップ上にリアルタイム表示したり,車載カメラからの映像とリンクしたりなどと,大会を盛り上げるためのシステムなどが紹介されていた。
このようにいろいろな用途で使えるシステムではあるが,ゲーム業界的に見逃せないのは,同社のデータをUnityやUnreal Engineといったゲームエンジンで扱うことができることだろう。ロケーションベースゲームへの対応も進められているのだ。
同社のデータを扱うためのアカウントは無料で作成でき,試用のための無料枠も用意されているなど,試してみやすい環境が整えられていることも注目すべきだろう。
そこで使われるデータは,さまざまな有名モバイルアプリに搭載されたSDKから抽出されており,月間2500万人程度からデータを取っているのだという。「位置情報なんか絶対必要ないだろ」みたいなアプリでもしつこく使用許可を求めてくるやつは,たぶんこういった会社のSDKを使っているものと思われる。
人の流れの情報はスマートフォンの位置情報が中心となる。さらには,個人情報は含まれないが,ユーザーの属性は取られており,位置情報とユーザー属性を結び付けたマーケティングが行われている。
ただ,位置情報とは,GPSなどで得られる,どこにいるかの情報そのものである。ただ,時系列の位置情報だと膨大すぎて扱いづらいので,どこに立ち寄って,どれくらいの時間滞在したのかをまとめたODデータ(Origin Destination Data)の形式で扱っているという。
東京大学や名古屋大学では,そういった人の流れのデータをいかに分析するかについての出展を行っていたが,GISを活用する際に最も多用されるのがこういった人流データになるようだ。マーケティングから都市計画,避難計画など多用途で使われる。ゲームとはまったく関係なさそうだが,今後の社会を考えるうえでは興味深いテーマかもしれない。
ichimill(ソフトバンク)
ichimillは,人口衛星みちびきなどのGNSS情報を受信して誤差数cm単位の位置情報を取得できるシステムだ。超高精度なGPSシステムだと思えばいいだろう。自動運転やドローンの自動誘導など,主に今後の産業自動化で活用されるものと思われる。近い将来にはこういったものももっと身近なものになるのだろう。
3Dスキャナー(バイトム)
バイトムでは,いわゆるLiDERを用いたSLAM技術で周囲を3Dスキャンする製品が展示されていた。手持ちやバックパック式のほか,ドローンに搭載して利用することもできるようになっており,データは点群として保存される。LiDER以外にカメラも搭載されているので,カラー情報を取得することも可能だ。点群からメッシュの生成もできるので,実際の景観を3D化することもできる。実際に,ジオ展会場の周囲を歩き回って作ったという点群データも展示されていた。
さて,コロナ禍もあって一時期もてはやされた「ポケモンGO」に代表されるようなロケーションベースのゲームの発売ラッシュは収まってきているわけだが,コロナ後の新たな日常が回復するにつれ,そういった方向性のゲームが持つ可能性も再評価されておかしくない。。
地図のような位置情報に関連したものを扱うシステムを総称してGIS(地理情報システム)と呼ぶが,会場には,地図の基本データを提供するところ,人流などの付加データを提供するところ,そういったデータをもとにシステムを構築するところなどが集まっていた。
地図情報(マップボックス)
まず地図情報を扱っているマップボックスを紹介しよう。おそらく我々があちこちで目にしているであろう地図情報の多くを提供している会社だ。筆者の場合は,「Yahoo!の雨雲情報とかで使われているやつ」と言われてピンときた。こういった地図情報は,Google Mapに代表されるような地図システムで使われるデータで,一般に地図の描画データを区域ごとにベクトルデータで持っており,必要な表示範囲に応じてサーバーからデータをストリーミングしてくるというベクトルタイル式のものが多用されている。
マップボックスの地図データでは,ベクトルタイルのほかに160層もの情報レイヤーを重ねることが可能であることが特徴の1つとなっている。地図情報には積み木風の簡易なものではあるが,3Dデータも含まれる。
会場ではソフトバンクと東京大学による「次世代AI都市シミュレーター」での事例が紹介されていた。これはコンピュータ内に仮想的に実在都市の副生物を作り上げ(デジタルツイン),人流データなどをもとにさまざまなシミュレーションを行うことで都市問題の解決を図るというもので,その基幹システムとして同社のサービスが使用されている。
そのほか,会場の一角で行われた講演では,2022年に行われた自転車イベント「ツール・ド・東北」で,1500人の参加者の位置情報を3Dマップ上にリアルタイム表示したり,車載カメラからの映像とリンクしたりなどと,大会を盛り上げるためのシステムなどが紹介されていた。
このようにいろいろな用途で使えるシステムではあるが,ゲーム業界的に見逃せないのは,同社のデータをUnityやUnreal Engineといったゲームエンジンで扱うことができることだろう。ロケーションベースゲームへの対応も進められているのだ。
同社のデータを扱うためのアカウントは無料で作成でき,試用のための無料枠も用意されているなど,試してみやすい環境が整えられていることも注目すべきだろう。
人流データ(ブログウォッチャー)
「ブログウォッチャー」という,社名から何をしているところか当てるのは難しそうな会社が出展していたのは,地図情報ではなく,その上で動かすデータのほうだった。同社は人の流れに対して膨大なデータを蓄積しており,それを用いたマーケティングなどを行う会社である。そこで使われるデータは,さまざまな有名モバイルアプリに搭載されたSDKから抽出されており,月間2500万人程度からデータを取っているのだという。「位置情報なんか絶対必要ないだろ」みたいなアプリでもしつこく使用許可を求めてくるやつは,たぶんこういった会社のSDKを使っているものと思われる。
人の流れの情報はスマートフォンの位置情報が中心となる。さらには,個人情報は含まれないが,ユーザーの属性は取られており,位置情報とユーザー属性を結び付けたマーケティングが行われている。
ただ,位置情報とは,GPSなどで得られる,どこにいるかの情報そのものである。ただ,時系列の位置情報だと膨大すぎて扱いづらいので,どこに立ち寄って,どれくらいの時間滞在したのかをまとめたODデータ(Origin Destination Data)の形式で扱っているという。
東京大学や名古屋大学では,そういった人の流れのデータをいかに分析するかについての出展を行っていたが,GISを活用する際に最も多用されるのがこういった人流データになるようだ。マーケティングから都市計画,避難計画など多用途で使われる。ゲームとはまったく関係なさそうだが,今後の社会を考えるうえでは興味深いテーマかもしれない。
ichimill(ソフトバンク)
ichimillは,人口衛星みちびきなどのGNSS情報を受信して誤差数cm単位の位置情報を取得できるシステムだ。超高精度なGPSシステムだと思えばいいだろう。自動運転やドローンの自動誘導など,主に今後の産業自動化で活用されるものと思われる。近い将来にはこういったものももっと身近なものになるのだろう。
3Dスキャナー(バイトム)
バイトムでは,いわゆるLiDERを用いたSLAM技術で周囲を3Dスキャンする製品が展示されていた。手持ちやバックパック式のほか,ドローンに搭載して利用することもできるようになっており,データは点群として保存される。LiDER以外にカメラも搭載されているので,カラー情報を取得することも可能だ。点群からメッシュの生成もできるので,実際の景観を3D化することもできる。実際に,ジオ展会場の周囲を歩き回って作ったという点群データも展示されていた。