つぶやくThe Elder Scrolls OnlineでソロプレイヤーのためのMMOを作る
ZeniMax Online のクリエイティブディレクター Rich Lambert氏が，長年のシリーズファンと貪欲な MMOファンの両方にアピールするための 8年間の取り組みについて話してくれた。
1994年のArenaに始まり，とくに2002年のMorrowind以来，Elder ScrollsというIPは，壮大なメインクエストや探検，豊富なサイドコンテンツに夢中になれる，ファンタジーファンにはたまらないオープンワールドのシングルプレイヤーRPGの代名詞になっている。
しかし，各ヒーローの周りに，同じようなヒーローが何百万人もいる可能性があるMMOではどうだろうか？
「そこが難しいところで，ほとんどのElder Scrollsファンは自分のゲームに他のプレイヤーは入れたくないと思っています」とZeniMax OnlineでThe Elder Scrolls Onlineのクリエイティブディレクターを務めるRich Lambert氏は，GamesIndustry.bizに語っている。
「我々はかなり初期の段階からたくさんのフィードバックを受け取っていました。それは『ピーナッツバターにチョコレートは入れたくない 』というようなもので，自分が世界に直接影響を及ぼし，自分の選択が重要であると感じたいというようなことでした。そのようなストーリーの伝え方について，我々は多くを学びましだ。プレイヤーにとって良い選択であると同時に，ゲーム内には他のプレイヤーもいるので，自分がしなければならないこともあるという，とても良いバランスを見つけることができたと思います」
氏は，MMOの初期に何百人ものプレイヤーが同時に大きなボスに挑んでいた例を挙げ，「従来のElder Scrollsファンの一部は本当に敬遠していました」と語る。時を経て，ZeniMax Onlineは，プレイヤーが見ることができるものを重ねるための新しいテクニックと方法を開発した。
「基本的には，そのボスのための自分だけのインスタンスのようなものです」とLambert氏は説明する。「そのボスに遭遇したら，自分だけのインスタンスに入ることができるのです。他の人を招待することはできますが，他の人が誤って入ってきて，その経験を台なしにしてしまうことはありません」
「最終的には，プレイヤーに，自分だけがそこにいる特別な存在であると感じてもらうために，できる限りのことをすることに尽きますが，周囲に他のプレイヤーがいることは分かっています」とLambert氏は語る。
「本当に早い段階で，世界が実際に変化するようにしようとしていました。この村に行き，この村を救うと，その地域に行き，村が救われ，そこに他の人がやってくると，基本的に別のレイヤーにいて，そこらじゅうに敵がいるといった具合です。世界観やストーリーを変化させるという点ではとても良かったのですが，プレイヤー同士が離れてしまうことで，他のプレイヤーと一緒に遊べなくなってしまい，そのバランスを考えなければならなりませんでした。発売から半年ほどは，こうした問題の解決に明け暮れていました」
「最終的にこのゲームはMMOです。人間関係を構築するのが目的です。同じような考えの仲間を見つけ，ギルドを作って，その仲間と一緒にプレイするのです。コンテンツはそこにあり，それをプレイして楽しむこともできますが，本当にログインするのはその人たちと話をするためなのです」
チームにとって重要なのは，Skyrimをプレイする代わりにソロでElder Scrollsをプレイしたいというファンも，エンドゲームのコンテンツに深く入り込みたいという熱心なMMOファンも，誰もが楽しめるようにESOのバランスを整えることだ。Lambert氏によると，前者にはたくさんのコンテンツがあり，後者には，複数のプレイヤーが倒さなければならないボスから，4人用ダンジョン，最大12人をサポートするトライアルやレイドまで，あらゆるものが用意されているそうだ。
「その中で一番大変なのは，ロードマップを把握することです」と氏は付け加える。「このゲームは永続的な世界ですので，プレイヤーは常にこの世界にいます。ストーリーは，そこまでしか進みません。30〜40時間のコンテンツを含むチャプターを立ち上げると，ハードコアなプレイヤーは1週間でそれを終わらせて，『もっとよこせ』と言うでしょう。コンテンツ制作のスピードが足りないんです。それを踏まえてすべてのサポートシステムを用意しなければなりません」
また，ZeniMaxチームは，ESOが新しいプレイヤーを歓迎できるよう配慮し，拡張のたびに以前のチュートリアルに手を加えたり，まったく新しいチュートリアルを作ったりしているという。Lambert氏によると，他のMMOとは異なり，新規ユーザーが過去のコンテンツを正しい順序で学習する必要がないことが強調されている。シングルプレイのElder Scrollシリーズと同様に，プレイヤーは方向性やクエストラインを選択するだけで，キャラクターに合わせて敵のレベルも調整され，どんな発見があるか分かるように設計されているのだ。
「ESOの大きな特徴は，ある任意のレベルキャップに到達すると，ゲームが開放されてレベルアップ体験ではない別のゲームに変わるのではなく，プレイヤーが世界を旅することにあります」と氏は説明する。「それが我々の哲学です。とてもうまく機能しています」
「我々は，長年にわたって，プレイヤーの獲得方法について，多くのことを行ってきました。以前は，新しいチャプターごとに新しいチュートリアルを行い，チャプターのストーリーに参加できるようにして，チャプターの外に出たい場合は，他のゾーンに移動できるような仕組みになっていました。これはとても効果的でした。Blackwoodのチャプターでは，少しゲーム性を持たせました。自分が何者で，何について学んでいるのか，ちょっとしたストーリーがあり，その後，選択肢が与えられます。ポータルがたくさんある部屋に入っていくと，NPCがいて，ポータルから行けるそれぞれの物語について話してくれるのですが，その物語に行くことができるのです」
The Elder Scrolls Onlineは今年で8年めを迎えるが，現在でも，デベロッパが誰をターゲットにするかなどをはじめとして，初期に学んだことを基礎に，今後の展開が考えられている。
「発売当初は，MMO プレイヤーと Elder Scrolls プレイヤーに同時にアピールしようとして，その中間を見つけようとしたのですが，うまくいきませんでした」と Lambert氏は語る。「どちらもあまり楽しめませんでした。クールなコアゲームがあったので，人々はそれを気に入っていたのですが，好きにはならなかったのです。我々は，このゲームがElder Scrollsのゲームであることを第一に考え，それが我々が下すべき多くの決断に影響を与えました」
「我々は自分たちの仕事に満足しており，何よりBethesda Game Studioチームから全面的な支持を受けています。初期には，『このIPを引き継ぐのは誰だ？』といった葛藤や信頼の問題もありましたが，彼らとは素晴らしい仕事上の関係を築けています。じっくりと話し合い，合意に至ることができます。そこには多くの信頼があるのです」
6月に発売された最新の拡張版High Isleでは，これまでのElder Scrollsタイトルにはなかった新しい群島であるSystres Islesが追加された。Lambert氏によると，チームはすでに2023年のコンテンツに懸命に取り組んでおり，2024年の計画や，その先の数年間のコンセプトも具体化しているとのことだ。The Elder Scrolls Onlineの新しいゾーンの構築には1年強かかるが，Lambert氏は今後も拡張が続くと確信している。
「ESOをプレイしたいという人がいる限り，我々はサポートを続けるつもりです」
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1994年のArenaに始まり，とくに2002年のMorrowind以来，Elder ScrollsというIPは，壮大なメインクエストや探検，豊富なサイドコンテンツに夢中になれる，ファンタジーファンにはたまらないオープンワールドのシングルプレイヤーRPGの代名詞になっている。
しかし，各ヒーローの周りに，同じようなヒーローが何百万人もいる可能性があるMMOではどうだろうか？
「そこが難しいところで，ほとんどのElder Scrollsファンは自分のゲームに他のプレイヤーは入れたくないと思っています」とZeniMax OnlineでThe Elder Scrolls Onlineのクリエイティブディレクターを務めるRich Lambert氏は，GamesIndustry.bizに語っている。
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氏は，MMOの初期に何百人ものプレイヤーが同時に大きなボスに挑んでいた例を挙げ，「従来のElder Scrollsファンの一部は本当に敬遠していました」と語る。時を経て，ZeniMax Onlineは，プレイヤーが見ることができるものを重ねるための新しいテクニックと方法を開発した。
「基本的には，そのボスのための自分だけのインスタンスのようなものです」とLambert氏は説明する。「そのボスに遭遇したら，自分だけのインスタンスに入ることができるのです。他の人を招待することはできますが，他の人が誤って入ってきて，その経験を台なしにしてしまうことはありません」
Elder Scrollsのファンの多くは，自分のゲームに他のプレイヤーを入れたくないと思っています
もう1つの例は，NPCを隠すことができることだ。クエストでキャラクターを殺すと，そのキャラクターは見えなくなるが，他のプレイヤーからは見ることができる。また，必要に応じてNPCの名前や外見を変更し，ゲームの構成と自分のシナリオの双方に整合性を持たせることができる。「最終的には，プレイヤーに，自分だけがそこにいる特別な存在であると感じてもらうために，できる限りのことをすることに尽きますが，周囲に他のプレイヤーがいることは分かっています」とLambert氏は語る。
「本当に早い段階で，世界が実際に変化するようにしようとしていました。この村に行き，この村を救うと，その地域に行き，村が救われ，そこに他の人がやってくると，基本的に別のレイヤーにいて，そこらじゅうに敵がいるといった具合です。世界観やストーリーを変化させるという点ではとても良かったのですが，プレイヤー同士が離れてしまうことで，他のプレイヤーと一緒に遊べなくなってしまい，そのバランスを考えなければならなりませんでした。発売から半年ほどは，こうした問題の解決に明け暮れていました」
「最終的にこのゲームはMMOです。人間関係を構築するのが目的です。同じような考えの仲間を見つけ，ギルドを作って，その仲間と一緒にプレイするのです。コンテンツはそこにあり，それをプレイして楽しむこともできますが，本当にログインするのはその人たちと話をするためなのです」
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チームにとって重要なのは，Skyrimをプレイする代わりにソロでElder Scrollsをプレイしたいというファンも，エンドゲームのコンテンツに深く入り込みたいという熱心なMMOファンも，誰もが楽しめるようにESOのバランスを整えることだ。Lambert氏によると，前者にはたくさんのコンテンツがあり，後者には，複数のプレイヤーが倒さなければならないボスから，4人用ダンジョン，最大12人をサポートするトライアルやレイドまで，あらゆるものが用意されているそうだ。
「その中で一番大変なのは，ロードマップを把握することです」と氏は付け加える。「このゲームは永続的な世界ですので，プレイヤーは常にこの世界にいます。ストーリーは，そこまでしか進みません。30〜40時間のコンテンツを含むチャプターを立ち上げると，ハードコアなプレイヤーは1週間でそれを終わらせて，『もっとよこせ』と言うでしょう。コンテンツ制作のスピードが足りないんです。それを踏まえてすべてのサポートシステムを用意しなければなりません」
MMO プレイヤーと Elder Scrolls プレイヤーに同時にアピールして，幸せな中間点を見つけようとしたのですが，無理でした
Lambert氏によると，ZeniMaxは，プレイヤーのプレイ習慣を分析する際に，プレイヤーベースをセグメント化したコホートに分類する方法を学んだという。たとえば，PvP，ソロPvE，グループPvEなどのアクティビティに主に時間を費やすプレイヤーの行動を比較することが可能だ。そして，毎年4回あるメジャーアップデートのたびに，そのグループ向けの新しいコンテンツ（合計約60時間の新しいコンテンツ）が用意されていることを確認する。Lambert氏は以前，過去にいくつかの問題があったことを認めたが（関連英文記事），プロセスが改善され，管理者の期待も抑制されたため，以前ほど問題視されなくなったと語る。また，ZeniMaxチームは，ESOが新しいプレイヤーを歓迎できるよう配慮し，拡張のたびに以前のチュートリアルに手を加えたり，まったく新しいチュートリアルを作ったりしているという。Lambert氏によると，他のMMOとは異なり，新規ユーザーが過去のコンテンツを正しい順序で学習する必要がないことが強調されている。シングルプレイのElder Scrollシリーズと同様に，プレイヤーは方向性やクエストラインを選択するだけで，キャラクターに合わせて敵のレベルも調整され，どんな発見があるか分かるように設計されているのだ。
「ESOの大きな特徴は，ある任意のレベルキャップに到達すると，ゲームが開放されてレベルアップ体験ではない別のゲームに変わるのではなく，プレイヤーが世界を旅することにあります」と氏は説明する。「それが我々の哲学です。とてもうまく機能しています」
「我々は，長年にわたって，プレイヤーの獲得方法について，多くのことを行ってきました。以前は，新しいチャプターごとに新しいチュートリアルを行い，チャプターのストーリーに参加できるようにして，チャプターの外に出たい場合は，他のゾーンに移動できるような仕組みになっていました。これはとても効果的でした。Blackwoodのチャプターでは，少しゲーム性を持たせました。自分が何者で，何について学んでいるのか，ちょっとしたストーリーがあり，その後，選択肢が与えられます。ポータルがたくさんある部屋に入っていくと，NPCがいて，ポータルから行けるそれぞれの物語について話してくれるのですが，その物語に行くことができるのです」
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The Elder Scrolls Onlineは今年で8年めを迎えるが，現在でも，デベロッパが誰をターゲットにするかなどをはじめとして，初期に学んだことを基礎に，今後の展開が考えられている。
「発売当初は，MMO プレイヤーと Elder Scrolls プレイヤーに同時にアピールしようとして，その中間を見つけようとしたのですが，うまくいきませんでした」と Lambert氏は語る。「どちらもあまり楽しめませんでした。クールなコアゲームがあったので，人々はそれを気に入っていたのですが，好きにはならなかったのです。我々は，このゲームがElder Scrollsのゲームであることを第一に考え，それが我々が下すべき多くの決断に影響を与えました」
40時間のコンテンツを発売しても，ハードコアプレイヤーは1週間でそれを使い切ってしまうでしょう。コンテンツ制作のスピードを上げることはできません
Lambert氏が言うように，Elder Scrollsブランド全体の「聖火を運ぶ」というプレッシャーもある。Skyrimが可能な限り新しいプラットフォームでリリースされ続ける一方で，ESOは2014年以来フランチャイズで唯一の新作となり，2018年にはThe Elder Scrolls 6が発表されたが，BethesdaがStarfieldに注力していることからも，近い将来，近作RPGの更新がある可能性は低いと思われる。Elder Scrollsファンは新しいコンテンツを待ち望んでおり，Lambert氏はチームが彼らを満足させられると確信している。「我々は自分たちの仕事に満足しており，何よりBethesda Game Studioチームから全面的な支持を受けています。初期には，『このIPを引き継ぐのは誰だ？』といった葛藤や信頼の問題もありましたが，彼らとは素晴らしい仕事上の関係を築けています。じっくりと話し合い，合意に至ることができます。そこには多くの信頼があるのです」
6月に発売された最新の拡張版High Isleでは，これまでのElder Scrollsタイトルにはなかった新しい群島であるSystres Islesが追加された。Lambert氏によると，チームはすでに2023年のコンテンツに懸命に取り組んでおり，2024年の計画や，その先の数年間のコンセプトも具体化しているとのことだ。The Elder Scrolls Onlineの新しいゾーンの構築には1年強かかるが，Lambert氏は今後も拡張が続くと確信している。
「ESOをプレイしたいという人がいる限り，我々はサポートを続けるつもりです」
※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています（元記事はこちら）
