【ACADEMY】Ali-Aによるゲームストリーマーのキャリアアップのためのアドバイス
今年初め,ゲームコンテンツクリエイター(※ゲームのコンテンツを作る人ではなくてゲームを使ったコンテンツを作る人,ストリーマーのこと)であるAlastair 'Ali-A' Aiken氏は,YouTubeと共同で明日のストリーマーの発掘に焦点を当てたタレントショーという最新のプロジェクトを発表した。
Utureの最初のエピソード(参考URL)は今週初めに放送されたのだが,この最初のシーズンの勝者を選ぶ戦いでは,11人の出場者がスキルを試す一連のチャレンジを行い,10万ドルを手にする可能性があることが明らかにされた。
Utureチームには1万5000人を超えるYouTube Shortsの応募があったとAiken氏は明かしてくれた。このような高い関心が生まれたというのは,過去10年間において,ゲーム業界と一般社会の両方でコンテンツクリエイターたちがエンターテイナーとニュース解説者の両方の役割を担ってきたことの証といえるだろう。
「数年前,私は座っていつもの仕事以外に何かできないかと考えたんです」とAiken氏は振り返る。「私は,長い間やってきたことにつながる何かを考えようとしたのです。つまり,YouTubeの動画制作につながることで,次世代の才能を育てて,私が長年のコンテンツ制作で学んだことをアドバイスできるようなことを考えようと思ったのです」
「ショウの形式は,参加者がショウに出ることで恩恵を受けるだけでなく,視聴者が途中で学習できるようなものになればと考えました。こういうのは,コンテンツの作成に興味がある人にとって,それがどのようなものかのかを確認するのに最適な場所だからです」
Utureは,過去13年間のYouTuberとしての活動で学んだことを伝えたいというAiken氏の思いから生まれたものだ。GamesIndustry.biz ACADEMYで,Aiken氏は,新人やコンテンツクリエイター志望者,さらにキャリアアップを目指す人へのアドバイスを語ってくれた。
- 適切なフォーマットで適切なプラットフォームをターゲットにする
- 一貫したスケジュールで継続する
- コンテンツクリエイターとしての成功の尺度
- 自分の価値を理解するためのネットワークを見つける
- コンテンツ制作は,カメラの前でゲームをすること(だけ)ではない
適切なフォーマットで適切なプラットフォームをターゲットにする
Aiken氏は,ゲームコンテンツ制作者として考慮すべき3つの垂直(※特化)方向があると説明し,話を始めた。
- TikTokに代表される短編の垂直型コンテンツ
- 10分以上の通常のビデオ作品:YouTubeでよく見られるもの
- ライブストリーミング:Facebook,Twitch,YouTube Gamingなど,いくつかの選択肢がある
作りたいコンテンツの種類によって,どのプラットフォームを優先すべきかを知ることが重要だ。
Aiken氏は,YouTubeを「糧」にしてきたと言い,こう付け加えた。「偏見なしで言うと,これらの3つのすべてでうまくいく場所を見つけたいなら,これらの3つとも,YouTube上で本当に良い場所を見つけられると思います」
「本当にこれに挑戦して打ち勝ち,成功したいのであれば,あなたはこれらの3つすべて(のコンテンツの種類)に取り組むための十分なスキルが必要です ― 少なくとも役には立ちます」
Aiken氏は,ライブストリーミングをあまりやっていないことを認めているものの,氏はそれがあなたと聴衆を瞬時つなぐための素晴らしい方法であると語る。
情熱を維持する必要があります。あなたのビデオがうまくいかなくても,ほかの誰かのビデオはうまくいっているのですから
「Call of Dutyのアップデートやフォートナイトの大きなライブイベントなど,ビデオゲームで何か大きな出来事があれば,私はいつもそれをストリーミングします。というのも,人々はその場で,その場で,それを消費したいからです」と氏は語る。「一緒になって盛り上がると,みんなその瞬間を覚えていてくれますので,すごくいいんですよ」一方,ゲームに関するニュースをまとめたいときは,エディターと協力して洗練された10分間のビデオを作るのだとAiken氏は語る。そのほうが目的に適っているからだそうだ。昨年末からは,短編のビデオも作り始めたという。
「短編の場合は,相手とのつながりが希薄になります。10秒,30秒という短い時間しか相手と接することができないからです。短すぎます」と氏は語る。「しかし,人々の前に顔を出すには素晴らしい方法であり,もし私がどれかを優先させるとしたら,短編動画コンテンツ制作は素晴らしい成長ハックであると言えるでしょう。YouTubeの私のチャンネルには,YouTubeショートからたくさんのチャンネル登録者が来ています」
「彼らは,私のShortsを30秒ほど見たあと,同じチャンネルで似たような長尺のコンテンツを見つけます。ですから,私はあえてそういうスタイルのコンテンツが1つのチャンネルに混在するようにしています。すべてがそれぞれの利点になるからです」
一貫したスケジュールで継続する
コンテンツ制作を始めるにあたって,Aiken氏がアドバイスするのは,あまり考えすぎず,ただ一貫して行うことだ。
「ただ単純に始め,ただビデオを作ります。最初の動画が素晴らしい動画になることはないでしょう。YouTuberの最初の動画はみんなひどいものだったでしょうが,それは学習(プロセス)だからです。サッカーを始めて,いきなりプレミアリーグでプレイする人はいません。誰もが,人生において何事も,最初はうまくいかず,改善されていくものなのです」
「あまり深く考えず,とにかく始めてみること,ライブストリーミングでも,ビデオを作るでも,とにかくやってみること,そしてやり続けることです。そして,自分が続けられるような,自分に合ったスケジュールを立ててみてください」
「私は毎日1,2本のビデオをアップロードしていますが,それを実現するために10人のチームが私をサポートしてくれています。もしあなたが始めたばかりで,週末に多くの時間があるのなら,週に1回,土曜日にビデオをアップロードするのもいいかもしれません。自分ができる範囲に留めておくのです」
Aiken氏は,単にバイラルにのりたいという観点からではなく,一貫性を持たせることが重要であると強調する。自分がやっていることを楽しむことが重要なのだ。そして,小さなコミュニティを作ったからといって,その仕事は終わりではない。
最初の動画が素晴らしい動画になることはありません。YouTuberの最初の動画はみんなひどいものだったでしょうが,それは学習(プロセス)だからです
「残念なのは,フォロワーが増えたからといって,その後休んだりリラックスできるわけではないことです。私は13年間ずっと,自分のコンテンツをより良いものにするために,考え,眠り,ただ生きてきました」「気が遠くなる話にも聞こえますが,あなたはそれを本当に愛する必要があります。あなたのビデオが良くならなくても,ほかの誰かのビデオは良くなっているので,あなたは情熱を持ち続ける必要があるのです」
「自分自身にプレッシャーをかけすぎず,ビデオを作るたびに,たとえそれがとても小さなことであっても,常に自分のビデオの中で何か1つ改善しようとする必要があることを理解しておいてください。また,始めたばかりの人と同じように,コンテンツを作っている人なら1年後に振り返ると『うわあ,今のコンテンツはかなり良くなってきたな』と思うはずです。たとえ1年前に始めたばかりでも,1年前に人気になっていたとしても,今はもっと人気になることを期待できます」
改善の一環として,きちんとした品質のマイクに投資することを忘れないでほしい,とAiken氏は付け加えた。
「オンラインでコンテンツを視聴する場合,音質周りはおそらく最も過小評価されている機材だと思います。我々のビデオは(信じられないような凄いビデオと比べても)映像はまあまあに見えるものです。しかし,ひどい音を出すビデオに対するいい音のビデオについては,実はとても過小評価されているのです」
コンテンツクリエイターとしての成功の評価
自分のコンテンツがどのように受け止められているか,より多くの人に届けるにはどうすればいいかを理解することは,クリエイターとして成功するために非常に重要だ。
一般的には,視聴回数や購読者数といった指標に注目が集まるが,実は最も重要なのは舞台裏の分析であるとAiken氏は示唆した。
自分にプレッシャーをかけすぎず,動画を作るたびに,たとえとても小さなことであっても,常に何か1つは改善しようとするべきです
「追加のコストをかけるべき部分が2つあります。1つはCTR(クリックスルー率),つまりあなたのサムネイルが実際にそれをクリックするために誰かを変換するうえでどれだけ効果的であるかを示すものです。もう1つは平均表示時間で,誰かがあなたのコンテンツを見るために平均でどのくらいの時間であるかを示すものです」この2つの指標は,動画のバックエンド分析に行ったときに「目の前にある」ものだとAiken氏は語る。なぜなら,YouTubeがコンテンツの成功を測るために使っているのもこの指標だからだ。
「これらの指標は,YouTubeが有機的に動画を拡散し,より多くの人々の目に触れるようにするもので,その結果,動画はバイラルになり,多くの再生回数を得ることができるようになります」
「ですから,私はそれらの数字に非常に熱心に取り組んでいます。現時点でプラットフォーム上で成功しているほとんどの人が同様にこれらの数字に大きく投資していますので,あなたもこれらに注意する必要があります」
氏は,動画が公開されからといってプロセスは終了しないので,物事を試してみる,いくつかのA / Bテストを行うことを恐れてはならないと助言する。異なるサムネイルがCTRに影響を及ぼしている可能性もあり,視聴者が脱落している場合は動画を再編集できる。
「最高のサムネイルを作りましょう。あるサムネイルで動画を公開して,翌日にはそれを変更します。その結果,CTRの数値は上がるでしょうか下がるでしょうか? 上がるようなら,サムネイルが良くなったということで,そのままにしておきます。下がるようなら,別のものを試してみてください」
「そして,視聴時間を見て,ある時点で視聴時間が短くなっていたら,その部分を動画から切り離します。そこは必要はないからです」
また,視聴者をすぐに惹きつけなくてはならないように物事は進化してきたと語る。TikTokのブームの影響もあって,動画はどんどん短くなっているので,視聴者をすぐに引き込む必要があるのだ。
「昔は動画を開くとすべてのYouTubeクリエイターが,『こんにちは,これから見ていただくのはこれです,必ず購読してください,いいねボタンを押してください,私の商品をチェックしてください』云々と言っていましたが,とりとめがないので30秒後には50%の人がクリックアウトしていたのです」
そして,これはYouTubeだけでなく,すべてのプラットフォームで言えることだと氏は語る。
「このようなプラットフォームには,良いコンテンツと悪いコンテンツを区別するシステムが必要で,その指標となるのが,その人がどれくらいの時間そのコンテンツを見ているかということです」
「TikTokでは,おそらく100%に近いリテンションが必要でしょう。簡単なことではないかもしれませんが,もし100%のリテンションが達成できれば,つまり誰かがTikTok全体を見ている,もしくはいくつかのTikTokの中には100%以上のリテンションを持っている(1回以上見られている)ということになります。TikTokは,明らかに多くの人が見ていますので,それらを共有し始めるでしょう」
「YouTubeの場合,長尺のコンテンツはそこまで伸びませんが,10分程度の動画で平均視聴時間が50%以上というのは,非常に堅実な数字だと思います。この数字を見て,常に改善,改善,改善と心がけています」
自分の価値を理解するためのネットワークを見つける
フォロワーが増え始めると,ブランドとの提携が不可欠になってくるかもしれない。こうしたビジネス面では,自分の価値をしっかりと理解することが大切だ。
「小規模なコンテンツクリエイターにとって,最も良いアドバイスは,自分と同じような規模のクリエイターと話しをし,自分の価値を決して過小評価しないようにすることです。私は,フォロワー数に関係なく,ある程度のフォロワーがいるのであれば,どんな種類のブランド活動でも報酬を得るべきだと思っています。ですから,(無料でも)なにかをやるべきだとは思わないでください」
「もちろん,私は無料で何かをしたこともありますが,最終的に自分自身を過小評価しないでください。他の誰かがあなたを代理していれば,そうなることは決してないので,簡単です。しかし,小規模で代理人もいない場合は,他のクリエイターと話すことで,自分の価値を理解できると思います」
小規模なコンテンツクリエイターにとっては,自分と同じような規模のクリエイターと話をすること,そして自分の価値を過小評価しないことが一番だと思います
「他のクリエイターが100ドルで,自分は10ドル。だから,自分と同じような規模のクリエイターが何をしているのかを理解することは,本当に大切なことです。そして,もし自分のために代理人を雇うことができるのであれば,私は常にそれを検討します」代理人が必要な時期はいつかを知ることについては,明確な答えはない。Aiken氏は,YouTubeの登録者数が数十万人になるまで代理人を立てなかったと語る。しかし,今は状況が違う。
「最初のステップは,人々があなたに連絡を取ることができるように,何らかのビジネスメールを設定することです。クリエイターの中には,かなり大物なのに,明らかに連絡を取る方法がない人もいます。ですから,こういう企業や,こういう会社からは仕事が来ません。どうやって連絡を取ればいいんでしょう? ただ,ビジネスメールを作って1日おきにログインするだけでいいんです」
そして,もしビジネスの依頼が,その管理に手助けが必要だと感じるほど来続けるなら,それはおそらく,その勢いを維持するために代理人に投資する価値があるというサインだろう。
コンテンツ制作は,カメラの前でゲームをすること(だけ)ではない
最後に,Aiken氏は,コンテンツ制作者としての神話や誤解について,次のように語っている。
「私は,コンテンツ制作を通して多くのスキルを学んだので,コンテンツ制作から人々を遠ざけたいとは思いません。編集,Photoshopの使い方,Eメールの作成と送信,代理人を立てる前の自分に対する自信,カメラの前で話すこと,台本作り,これらすべてを学んびました」
私は,コンテンツ制作を通して多くのスキルを学びましたので,コンテンツを制作しようとする人の勇気をくじきたくはありません
「勇気をくじきたくないと言いましたが,コンテンツ制作には,そのコンテンツクリエイターのビデオには映っていない部分もたくさんあるのです。(私がかなり有名なコンテンツクリエイターであることを念頭においても)今,私の作業時間の中で一番少ないのは,カメラの前にいることとゲームでしょうね」「それは私が選んだやり方です。ストリームに出演している人の中には,いつもカメラの前で何時間もゲームをしている人もいます。私はカットダウンしたビデオに集中しているので,かなり正確に,自分が望むビデオを得るために何をしようとしているのかが分かっています。
「しかし,私の場合は,これまで述べてきたようなこと,ビジネスメールのチェック,スケジュールの計画など,すべてです。ビッグになったら,人を雇って仕事をさせますが,彼らにどれくらいの給料を払えばいいのかの管理,同様に自分自身の生活管理……。ワークライフバランスが必要だと思います。また,映像制作のアイデアを考える際にも,他の人と差をつけるにはどうしたらいいのか? 自分自身のブランドを作るのであれば,自分が表現したいと思うようなものでなければならないのです……」
コンテンツクリエイターにはさまざまな側面があり,トップになるには多くの努力が必要だ。長いプロセスで,心血を注いでも成功が保証されないこともある。
「なんにしても私がいつもアドバイス一言に尽きると思います。つまり,楽しむことです。もし1人の登録者がいるときに楽しんでいて,1000人,10万人の登録者がいるときにも楽しめているのなら,それは正しいことだと思います」
「しかし,自分が成長できるからといって,無理に何かをしようとすると,楽しくないことをやるだけになってしまうかもしれません。それはひどい話です。ですから,この仕事では,自分が楽しいと思えることをするように心がけてください」
「そして,もし自分が楽しんでいない部分があれば,それを取り除くことを考えてみてください。エディターを雇ったり,アイデアを練るのを手伝ってくれる人を雇ったり,サムネイルを作ってくれたり,基本的にあなたの生活を楽にするような裏方の仕事をしてくれる人を雇いましょう。楽しんで,自分が楽しめることに集中することが大切です」
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